仰向けになった一色の顔の両脇に、ゆっくりと手を沈み込ませる。
顔を寄せると、一色がびくっと震えた。
「……ひっ、ひぃんっ、ふっ、ふっ、ふっ……」
その瞳には、不安と、怯えと、緊張と、――期待が、ないまぜになっている。
一色の表情を楽しみながら、耳をさわさわと撫でる。
「あふあっ、あひぁっ、ひぃぃん……っ、やあっ……」
朱色に染まった細い首を、うねうねとくねらせた。
徐々に、徐々に――と思い、初めは一色の頬に口を付ける。
ふにっと柔らかい感触がして、唇が頬肉に沈み込んだ。
「ふあっ……?」
こんなにソフトな責めをされると思っていなかったのだろうか、一色は間の抜けた声を上げた。
頬に唇を付けたまま、ちろちろと舌先で頬をつつく。
「ふあ……あ、んん……っ」
横から見える一色の目が、蕩けて上気したものになってくる。
唇を付けたまま、つつーっと下にスライドして、細い首に舌を這わせる。
そこでべろりと舐めてやると、一色がびくっと跳ねた。
「ひあぁっ!? あっ、ふあっ、んんん……っ」
急に声を上げてしまって恥ずかしくなったのだろうか、一色は口を手の甲で押さえて、悩ましげに目を細めた。
――そんな顔するなよ、余計にそそるだろ?
爆発しそうになる何かを堪えながら、首を責めるのを止めず、絶えずれろれろと舌を這わせながら移動させてゆく。
やがて鎖骨の上の窪みに舌が到達すると、
「ちゅるるる、ずず、ずぞぞぞ……」
「ふああああああっ!?」
一色の首に腕を回して押さえ込み、ここぞとばかりに吸い付いた。
一色は足をくねらせ、震えながら内股になり、時折背筋をくいと反り返らせる。
「ちゅるっ、じゅる、ちろちろ、ちゅっ、くちゅくちゅくちゅ……」
「~~~~! ~~~~!」
水音を大きく立てるように舐め回すと、一色は手の甲で口を押さえながら、涙目でぎゅっと目を瞑る。
執拗に、執拗に、何度も同じ場所を舌で舐り続けると、一色が頭上から、理性を蕩かすような猫撫で声を掛けてきた。
「……先輩、……キス、したいです……」
「……っ」
ここで更に焦らして、もっともっとイジメるというのもありだったのだけれど。
「……んむっ……はむっ、先輩、先輩、せんぱいぃ……」
目を細めて甘えてくる一色の顔があまりにも可愛くて、そんな焦らしなど頭の中から霧散してしまった。
「んちゅるっ、れるっ、ぴちゃぴちゃ、れるっ、ごくっ、ごくっ、くちゅくちゅ……んはっ、せんぱ……い、んむぅ……っ、はうっ、ごくっ、ちゅぴっ、ちゅぱっ、ごくごくっ、ふあっ、あはっ、ひぅぅ……んむぅ……」
俺が上から覆いかぶさってキスをする体勢になっているので、さあ一方的に蹂躙してやるぞ……と思ったのだけれど。
一色は俺の背中に腕を回し、そしてあろうことか俺の腰にその細くしなやかな足を回して絡み付いてきた。
そして俺が流し込む大量の唾液を嬉々として飲み込み、その度に幸せそうに目を細める。
……わー。何この子。エロ可愛すぎるんですけど。
もはや、一緒に暮らしたいまである。
……考えただけで恥ずかしくて死にそうになった。
一色はキスに集中しているようで、俺が唾液を流し込むのを一時的にでもやめると、
「……んむっ! あむっ、あむっ、じゅるるるるる……ごくっ、ごくっ……あむっ、あむっ、じゅるるる……ごくっ、ごくっ」
「〜〜〜っ!?」
俺の舌に吸い付いて唾液を奪い取り、幾度となく飲み込んでくる。
……なんだよ、これ?
なんだよ、そのうっとりとした表情?
……こんな顔、絶対他の誰にも見せたくない。
「……ぷはっ、……えへへ……、ひぇんぱい、もっと……もっとくらはい……」
「……っ」
ふやっと緩んだ表情で、舌っ足らずに甘えてくる一色のおねだりは強烈で。
「んあっ……? もう、先輩、そんなに強く抱き付かなくても……はうっ、あっ、首っ、そんな、あんっ、……んむっ、ちゅるっ、じゅるるっ、はむっ、んんん……っ」
一色が次々と見せてくる魅力的な顔に、柄にもなく独占欲なぞというものが果てしなく膨らむのが分かった。独占欲なんて小町くらいにしか抱かないものと思ってたんだけどなあ……。あと戸塚。
× × ×
「……ぷはっ。……うー……うー……」
たっぷりと互いの唇と口内を味わって唇を離すと、一色が切なそうな、物欲しそうな唸り声を上げ始めた。
いつかも見たその仕草に、とくんと胸が高鳴る。
「……どうした?」
問い掛けて、一色の髪を撫でる。
シャンプーと汗の匂いが混じった女の匂いがふわりと漂い、頭がくらくらする。うーん、ずっと嗅いでいたい。
「はう……」
一色は俺の手に自分の手を重ね、心地良さそうに目を閉じる。
ころころと甘えるように俺の胸におでこをすりすりとこすり付けてくる。やだ、一緒に暮らしても良し、飼っても良しなの……?
わしゃわしゃと撫でていると、ぱちっと目を開けて、まるで今しがた忘れていた欲求を思い出したかのように、また唸り始めた。
「先輩……」
「ん?」
一色の声が、明らかに震えている。
「……って……いです……」
「……え?」
「だから、さ……て、ほし……です……」
「…………」
ここまで聞こえれば、一色の望んでいることは分かる。
聞こえなかった部分を補填してやるのも優しさなんだろう……とは思いつつも。
「なんだって? よく聞こえないぞ、一色。もっとはっきり言ってくれないと」
「……っ」
鬼畜モード、全開。
首まで真っ赤になった一色を見て、ああもう何だこの可愛すぎる子は……と身悶えした。
今にも泣きそうな顔になりながら、一色が俺を見つめる。
懇願と、哀願と、嘆願と、熱願と。
ありったけの願いを込めた双眸が、俺を見つめる。
「……だか、ら、わたしの、身体、触ってください。も、う、我慢出来なくなっちゃいました……。……あ、あの、でも、それでも、ご飯食べ終わった後にちゃんとしたいっていうか、その……」
たどたどしくも、自分の欲する事を伝えてくる一色を見て、ふっと頬を緩める。
一色の頬に手を添えると、表情がぽわんとして、少しばかり見え隠れしていた緊張が溶け出したのが分かった。
「……分かったよ。その辺もきっちりするから」
「……っ! ……はい……っ」
一色が、心の底から嬉しそうに返事をする。
――家に来て、昼ご飯を食べた後辺りからだろうか。
閉じた空間で2人きりで過ごす内に、少しずつある種の空気が醸成されて行ったのを感じていた。
――最後までするのは夜。そしてその時を迎えたら、もう歯止めなんて掛けない――気付けば、そんな暗黙の了解が出来ていた気がする。
そんな認識を抱きつつも、今こうして一色が改めてきちんと口にしたことで、それはより強固な約束事になった。
正直、一色の言葉が前半までで止まっていたら、もうひん剥いていたかもしれない。というか今まで押し倒してなかったのが我ながら信じられない。
……ふう、危ない危ない。
楽しみはディナーの後で。
「じゃあ、一色」
「……はい」
「……下着くらいは見せてくれよ」
言うと、一色は目をむいて、唇を戦慄かせながら目を逸らした。
そして、目だけちらりとこちらに向け、両手を胸にきゅっと押し当てる。
「……はい」
弱々しくも、ひどく熱の籠った声が耳朶を打った。
続く。
21話て。このサイトで見る俺ガイル小説でも、1作品終わるくらい続いてます。しかもまだ下着姿すら見ていない。あれ?
執筆の速さ(一定時間内に何文字打てるか)は落ちますが、色々調べながら書いて、文の密度を上げようと頑張っております。いろはす可愛いなあ……。
前話の後書きでルミルミについて触れたら、今までよりもだいぶ大きな反応がありました。なんという事でしょうw
うん、ここまで反応があるのなら。
書きます。
といっても、はるのんを書き出してしばらくしてからとかになるので、遥か先の話になりますが!
それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!