「いただきます」
「はい、召し上がれ」
一色が用意してくれたご飯を前に手を合わせる。
この面だけを取り出して見てみれば、さぞ幸せな光景に映ることだろう。
――幸せなのには違いないのだけれど……今、二人の間に漂う空気の妖しさは、この食事を素直に楽しめるようなものではまるでなかった。
一色が作ってくれたのはハンバーグとシチュー。一色がシチューにおたまを入れると、湯気を立てながらスープが柔らかく揺らぐ。ハンバーグの焼けた肉の匂いはお腹まで浸透して、程好く食欲をそそる。実際口に運ぶと、期待通りの幸福感が身体を包んだ。
通常の食事ならば、このまま舌鼓を打って楽しんだのだろう。
――けれど、今は……。
「せんぱい、美味しいですか?」
「うっく……ああ、美味い……ぞ……くうっ……」
右隣りにいる一色との距離はとても近い、というよりはもはや密着している。一色は俺が食べている間、肩を寄せながらずっと俺の股間をズボン越しに撫で回している。ズボンの布地が軋む程に盛り上がった山のてっぺんを、艶めかしく垂らした指でつつっと何度もなぞっている。
最初の2~3口は自分で食べたのだけれど、その後箸を伸ばしたら、不意に手首を掴まれた。そっと握られただけで、鼓動ががこんと音を成して加速する。
「せんぱい、ここからは……んっ……」
「……え」
一色が自分の箸でハンバーグを取ったかと思うと、それを瑞々しい唇で挟んで、ゆっくりと目を閉じた。
……ええー? 「ここからは」ってことは、これをずっと……ええー?
……持つかなあ、俺。色んな意味で。
しかし、あまり考えてこのあざとい姫君を待たせる訳にもいかない。
「わかったよ……んっ」
首を傾けて、ハンバーグを譲り受けるようにそっと唇を付ける。
唇はそっとふれるだけのつもりだったのだけれど、一色の舌が動いて俺の唇を割った。
ちゅるりと口内に侵入してきた舌が、さも自分の家であるかのごとく自由に動き回る。
「んちゅっ、ちゅるっ、ちゅりゅ、ちゅぴ、くちゅるっ、ちゅぷっ……ぷはっ……はぷっ、くちゅ、じゅる、ぢゅりゅ、じゅぷっ、んちゅ、ちゅる……」
「~~~~っ」
横を向いた姿勢で口内を蹂躙され、蕩けるような快楽とは対照的に頭の中はスパークしていた。
一色は本当にこれを食事を終えるまで続けるつもりなのだろうか? と思うくらいの濃厚なキス。
口の中のハンバーグは二人の舌に弄ばれて噛まないままにほとんど溶けてしまい、一色の唾液と一緒に喉奥へ流し込まれた。
身体はがちがちに硬直し、気付けば一色の肩を強く抱いていた。抱きしめた瞬間に一色が嬉しそうに目を細めるのを見て、幸福感と同時に大量の血液が下腹部に流れ込んだ。
「ぷはっ……せんぱい……ちゅっ。……じゃあ、どんどん行きますよ?」
えへっと笑う一色。可愛い上に艶っぽいとか、もうどれだけ俺を喜ばせりゃ気が済むんだろうかこの子は……。
今度はシチューをスプーンで掬い、はぷっと咥えた。
「ん……」
「……うお……」
今度は、口内の白いスープを見せつけるように口を縦に開いた。上唇と下唇の間にうっすら引いた糸が微かに反射している。
目の前のこの光景はたまらなく扇情的で――
「……いただきます」
――食べたい、と思った。
今度は俺が一色の口内を貪る流れのようだ。
「……んっ、ちゅるっ、じゅるっ、ちゅぴ、くちゅちゅ、ずぞぞ、あむっ、じゅるるるるる……」
「あううう、あううううう……っ」
スープを吸い上げると、途中からは一色の舌に吸い付き、存分にしゃぶり尽くす。
一色は涙目でふるふると震えた。
スープの味は、触覚と嗅覚と聴覚を支配する高揚感により麻痺してしまい、まるで分からなかった。スープを味わうというよりは、一色の舌を味わうという具合だ。
「……ぷはっ、はあっ、はあっ、はあっ、もっと、もっとしましょ……?」
「……おう」
股間を鷲掴みにしてしまう程の威力がある目で見つめられたら、断る理由など辺りを見回してもどこにもなかった。
× × ×
どれくらい時間が経っただろうか。
「ちゅぴっ、んはあっ、ちゅぷ、あむ、ひぐうっ……ちゅりゅりゅ、れるれる……あは、せんぱいの、すごい……もうおつゆがいっぱい出ちゃってますよ?」
「……お前だって、さっきからずっと震えてるじゃねえか」
互いの身体を弄りながら、ずっとこんなやりとりをしている。
気付けばとうに皿は空になり、それでも飽き足らずにキスに興じていた。
一色は途中からチャックを開けて、パンツ越しに肉棒の感触を楽しんでいた。ボクサーパンツは一色が握ると、生地が自由に形を変えて伸び縮みして、彼女のいやらしい指の動きに応じて肉棒を擦り上げている。
俺は一色の背中に腕を回してそのまま後ろから胸を揉み、セーター越しに下着を装着していない柔肉の感触を楽しむ。キスをしている時に突起を摘まむと、くぐもった素敵な声で鳴いてくれて、それが口内から顔中に染み渡るのがなんとも心地良い。
時計を見る気は起きない。時計を見る必要もない。
寝ている時と同じくらいに、時を忘れた。
このまま一晩過ごしても良いんじゃなかろうかと思う程にこの快楽に身を浸していたのだけれど、ここで一色が動いた。
「――ぷはっ……せんぱい。まずは片付けて、歯を磨きましょ?」
「あ、ああ」
それじゃあ――と一色から手を離し、立ち上がろうとした矢先。
一色が、そっと口を耳元に近付けた。
「……早く、せんぱいとエッチしたいです」
「…………っ」
ごくり、と喉が鳴った。
一色の顔を見ると、頬は紅潮し全体的に熱っぽい。下着を外した上半身は、服1枚纏っているだけで身体のラインがはっきりとしていて劣情を煽る。
そして下半身は――今更になって気付いたが、一色の座る椅子はびしょびしょになっていて、まるでコップの水を溢したかのように椅子から床へと滴っている。
一色の肩に手が伸びた。
「一色……!」
肩を掴まれた一色は、あっと一瞬驚いたもののくすりと笑って。
「あん……っ、だめですよ? ちゃんと今言った、片付けと歯磨きをしてからじゃないと」
「や、だってお前、今、俺と、その……」
がっついていると思われてもしょうがない。もはや我慢の限界だった。
それでも一色は、
「ふふ、こう言った方が先輩を煽れるかなーと思ったんです」
てへっと可愛く笑ったかと思うと、すっと表情を入れ替えて目に妖しい光を燈す。
「……わたし、ひどいですよね」
――このフレーズは、ついさっき聞いたような気がした。
こんな言葉を紡がれたら、もう流れに乗らない訳にはいかなかった。
「……そうだな、かなりひどい」
「……ですよね。……だから、その……」
一色が言い終える前に、肩を掴む手に力をぐっと込める。
「……焦らしてくれてる分、更におしおきしてやるからな。めちゃくちゃにするぞ」
一色の目を見据えてはっきりとした口調で告げると、彼女の唇がふるると震えた。
そして俺の太腿に手を添えると、嗜虐心をそそる目の光を湛えて微笑む。
「……はい、おね、がい、します……」
「…………っ」
真後ろから手を回されて下腹部を触られたような、ぞくぞくとした快感が身体を包んで。
肉棒の先から、ぷくっと露が浮かんだ。
続く。
<リクエストのすゝめ>
福沢諭吉風味。
初期は積極的に募集していたリクエストなんですが、最近はむしろやめてー!という感じになっていました。
しかし感想やメッセージで沢山のリクエストや要望(言ってること同じだなこれ)を受けている内に、ありがたいものとそうでないものの境目が分かりました。今日、突然。
×NGパターン
・(既出)書かないとはっきり名言しているヒロインのリクエスト
・(これ重要)今やっているエピソードの直近のくだりで「~~はどうですか?」「~~という展開を期待」などという書き方
⇒例)「由比ヶ浜の本番で~~という体勢で~~と言葉責めするのはどうですか?」(これは今考えたやつなので実際とは関係ないです、多分)
⇒答えづらい上に、何よりも自由に書こうとしているのにイメージが引っ張られます。今後はお控えください。
〇OKパターン
・今後いつ書くか分からない、タイミングを指定しないリクエスト。
⇒例)「ルミルミと八幡が~~に行って~~するというのはどうですか」的なこと
⇒これなら採用しようがしまいが、今やっていることにほとんど影響を与えないです。
NGとOKの違いは、要するに「タイミングの指定の有無」です。これから確実に訪れるであろうシーンについてのリクエストということでなければ大丈夫です。
今後もリクエストを受ける中で、また基準がはっきりすることがあれば書こうと思います。
閑話休題。
うーん、妖しい。
いろはす編の本番までの道程の長さよ……。
あ、ちなみに皆さん、本番は1~2話分かなーなんて油断しないでくださいね。アフターに行く前の今書いている本編だけでも、何回戦かします。散々焦らしているので、これだけは言っておきます。ふふふ。2人が全裸になってからも10話近く行くんでなかろうかという危機感。
あ、今読んでる官能小説からアイディアがぽぽぽんと浮かんで、はるのんのどエロシーンが書けるようになりました。実際書くのはかなり先ですが、もはやこのシーンを書く為にはるのん編を頑張ろうと思えるくらいのレベルでエロくなりそうです。モチベーションがめっちゃ上がりました。目指せ1000人全裸待機&鼻血(ただの地獄絵図)!
僕は明日出勤したお盆休みですぜふおおお。やる事は本を読んで小説を書くという本来の事と……後は他の趣味の練習ですね。
後書きが1000字に到達してしまった……!
それでは皆さん、また明日お会いしましょう!
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!