※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

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めぐりん編、スタートです。


いつだって、城廻めぐりは見てくれている。
(1)


1.

「…………」

「…………」

 穏やかな静寂。

 だけれど、恐らく俺だけが一方的に緊張している。

 手元の本の文字列を目で追いながら、時折ティーカップに注がれたコーヒーに口を付け、こくりと飲み込む。

 ……苦い。

 あまりに謎な状況の為かテンパってしまい、ガムシロップを入れるのをすっかり忘れてしまっていた。

 ティーカップを見つめてぐぬぬと唸っていると、向かい側からくすりと笑う声がする。

「比企谷くん、それブラックだよね? 苦くない?」

「ああ、や、その、大丈夫です、先輩」

 めぐり先輩の問いかけに慌ててしまい、一切思っていないことを口走ってしまう。この時点で超かっこ悪い……。

「ふふ、もう……。そんなに無理しなくて良いんだよ? わたしさっき余計にガムシロップ貰ってきちゃったから、はい、あげるね」

 にこっと微笑んで、めぐり先輩が手元に置いていたガムシロップを差し出してくれる。

 受け取ろうとすると、めぐり先輩の白く細い指につと触れた。

「あ、す、すいません……それと、ありがとうございます」

「あはは、いいよいいよ。比企谷くんはかわいいなー」

 文庫本を片手にほわんと柔和な笑みを浮かべるめぐり先輩を見て、内心でろでろになる程気持ちが蕩けていた。

 どうしよう、一家に一台、いや一家に一めぐり欲しい。

 おいおいどうすんだよ、家に帰ったら姉めぐりんと妹小町がいるんだろ? 何それ来世もこの家で暮らしたいレベル。

 うーん。

 ていうか、なーんでこんな状況になってるのん?

 

2.

 遡ること1日、というか昨日。

 2月のある日のこと。

「というわけで、先輩方、ご飯に行きませんか!」

「……は?」

 部室に現れた一色の突然のお誘いに、拒絶の意たっぷりの声を発した。

 俺のそんな返事を聞いて、一色が膨れっ面になる。

「むー……」

 なんだよフグかよ。外敵でも現れたの?

 膨れっ面であざとくぷりぷり怒りながら、一色が抗議してくる。

「ちゃんと話を聞いてからにしてくださいよー!」

「や、お前がのっけから俺が断るとしか思えないような要約をしてくるのが悪い。あんな誘い方されたら俺は誰に誘われたって断るぞ」

「ヒッキー、相変わらずだね……」

「なんでそんな酷いことを堂々と胸を張っていえるのかしら……」

 俺の台詞を受けて、由比ヶ浜と雪ノ下が同時に呆れる。ううむ、シンクロ率高いなこいつら……。

「急にごめんね。忙しくなかった?」

 一色の隣に居ためぐり先輩が口を開く。おお、一色と違ってちゃんと話を聞く気が起きるな。やばいな俺超失礼。

 ほんわかめぐりんの問いかけに対して、雪ノ下は目線を上げ、ふっと微笑む。

「大丈夫ですよ、城廻先輩。この男に忙しい時なんて年中ありませんから」

「おいこら、ついこないだのフリーペーパー作りの地獄をもう忘れたのか。あれで忙しくないとか言ったらもうこの部活を完全にブラック認定すんぞ」

「あの、どういう流れであたしたちがお誘いを受けてるんでしょうか?」

 由比ヶ浜がふと口を開いた。おお、まともな発言だ、珍しい。記録しておけば良かった。それとなく俺のツッコミをスルーする辺りも流石と言える。思わず泣いちゃいそう。

 由比ヶ浜の問いに対して、一色が口を開いた。

「えっとですね、もうじき城廻先輩が卒業されるじゃないですかー。それで、生徒会で送別会をしようってなったんです」

「で、その前にね、すごくお世話になった奉仕部のみんなとも一度じっくりお話したいなってことをさっき一色さんに言ったの。そしたら『それなら今すぐお願いしに行きましょう!』って一色さんがはりきっちゃって……」

 めぐり先輩が一色の言葉を引き継いで、たははと苦笑する。

 おお、苦笑するめぐり先輩もなんか和む。良いぞ一色、お前のはりきりはよく分からんが、それによりめぐり先輩の苦笑顔を見ることが出来た。でかした、いろはす!

「そんな訳でー、奉仕部との食事に関しては生徒会とっていうよりはわたしと城廻先輩が個人で動いてるんです。いかがですか? 日頃の感謝を込めて、奉仕部のお三方とぜひお食事をしたいなーって」

 一色が手をもじもじさせながら、ちらちらと見てくる。俺を。……え、なんで俺?

 ふと隣を見ると、なんか膨れっ面の奴がいた。

「むー……」

 なんだよまたフグかよ。ここって下関だったっけ?

「ヒッキー、でれでれしてる」

 不機嫌そうな由比ヶ浜が言い、再び膨れっ面になる。忙しいなお前……。

「や、なんでだよ」

 まあ、冷静に考えたら、可愛い女子(先輩、同期2人、後輩)に囲まれてるこの状態っていうのは、多くの男どもから見たら射殺の対象になるよな。

「今の一色の言い方だとアレだ、雪ノ下と由比ヶ浜が奉仕部への感謝を受け取ってくれれば俺がいなくても十分にその食事の目的を果たせる訳だな。第一俺はその日はほら、アレだから」

「ヒッキー、まだいつ行くか聞いてないよ」

「うぐ……」

 由比ヶ浜からの冷静なツッコミに呻いていると、正面から全く容赦ない声が飛んでくる。

「なんですかー先輩のその屁理屈。キモいですよ、キモいです」

「なんで今キモいって2回言ったの? そんなに大事なの?」

 こいつ……何の容赦もねえな……。

 ぐぬぬと唸って一色を睨んでいると、雪ノ下がすいと手帳を取り出した。

「日にちはいつを予定してるのでしょうか?」

 それに対してめぐり先輩が瞑目してうーんと唸り、やがてぱっと目を開いた。

「みんなが空いてるなら、出来れば明日でもいいかなって。ほら、今日金曜日でしょ?」

 それを聞いて、雪ノ下は手帳を、由比ヶ浜が携帯を確認する。そして雪ノ下と由比ヶ浜が目を合わせて、それからめぐり先輩に視線を向けてこくりと頷いた。ま、まずい、急に慣れない予定を入れられる!

「や、ほら、アレです、急に予定を入れられるとちょっと心の準備が間に合わないんで、明日はちょっと……」

「どんだけ緊張してんのっ!?」

 由比ヶ浜からのツッコミが入る。

「それならいつが良いの? 来週の土曜日?」

 雪ノ下から冷静に別案を提示をされて、腕を組んで考え込む。

「うーん……そうやってちょっと遠くに予定を組むと、3日前から『やっぱ行きたくなーい!』って思うんだよな……だからその場合もちょっとアレだ」

「それじゃ永久に予定を組めないじゃない……」

 雪ノ下はこめかみに手を当てて、ふうとため息を吐いた。ごめんね、めんどくさい奴で……。

 このやりとりを聞いていた一色が、更に露骨にため息を吐いてまとめにかかる。

「先輩ってほんとめんどくさいですねー。じゃあ、明日で良いですか?」

「ねえ、俺の話聞いてた? 俺にも人権あるんだよ?」

「城廻先輩も、雪ノ下先輩も、結衣先輩も明日で大丈夫なんですよね? それで先輩も明日は暇な訳じゃないですか。……何か、言いたいことはありますか?」

「ぐ……」

 状況整理すんじゃねえよ……そうだよ、この状況だと俺がただの空気読めない奴だよ……。読みたくもない空気だけど……!

「や、その、明日はアレだ、小町と家で兄妹水入らずで過ごしたいから」

 言うと、由比ヶ浜がちゃっと携帯を取り出してすいすいとイジリ出し、何かの確認を始める。

「あー、小町ちゃんなら明日出かけるってさ。昨日メールしてたとき聞いたよ」

 おいぃぃぃ! 由比ヶ浜さん、何追い込みかけてくれちゃってんのおぉぉぉ!? っていうか2人仲良いなおい……。

 気付くと、4人からの視線の圧がやたらと高まっていることに気付く。めぐり先輩の期待の目が一番きついよぉ……!

「うぐぐ……」

 額にしわを寄せて唸っていると、ふと両袖が引っ張られたことに気付く。

 右を見ると由比ヶ浜が、左を見るといつの間にか机を回り込んだ一色が、それぞれ俺の袖を摘まんでいる。由比ヶ浜は「ヒッキー、来てくれないの?」という子犬みたいな目を、一色は「さっさと返事しろよこのノロマ」という鬼みたいな目をしている。一色のはちょっと盛りましたごめんなさい。

 雪ノ下はそんな由比ヶ浜の行動を見て、ふっとため息を吐いて温かい目で見ている。ちょーっと聖母感が半端ないですねー。

「比企谷くん……来てくれるかな?」

 取り囲まれた俺を見て困ったように笑いながら、めぐり先輩が問うてくる。

 ……逃げ場がないぜぇ……。

 頭をがしがしと掻いて(心の中で)、ふいーと息を吐く。

「……明日、何時集合にしますか?」

 言うと、めぐり先輩と由比ヶ浜の目がぱぁっと明るく輝き、一色と雪ノ下が「ほお?」と驚いた顔をした。後ろ2人は俺をなんだと思ってるのん?

「やった、ありがとうね、比企谷くん! それじゃあ明日の集合時間と場所は……」

 それぞれが手帳や携帯を取り出しながら、机に身を寄せ合う。

 ……まあ、たまには、ね。

 こんだけ居れば俺が喋る必要も無いし、程ほどに空気と化すとしよう。

 

 

 

 続く。




やっとのことでめぐりん編スタートです。
と言っても、彼女は今まで書いてきたヒロインと違って、出番の頻度の少なさや八幡に対する好意の描写が無い(のかな?)こともあり、ある意味一番ラブコメな感じになります。他のヒロインでは数話でくっついていたところを、めぐりんはもしかしたら10話くらいかかるかもしれません。それまでにめぐりんを躍動感を持って書けるように頑張りたいと思います。
いろはす以来の新ヒロイン(約1ヶ月ぶり)なのでどきどきしています。
まあ他のエピソードががっつり進行中なので、取り敢えずスタートさせた程度に考えて頂ければと思います。

皆さんにお聞きしたいことがあります。感想欄で良いので、ご存じの方は答えて頂けるとありがたいです。
原作を何度読み直しても見つからなかったり不安な箇所があったもので。
①八幡がめぐりんを会話で呼ぶときは「先輩」で合っているか?
→これは10巻で1つだけ見付けたんですが、他に無かったので不安なのです。
②由比ヶ浜はめぐりんを何と読んでいるか?
→めぐりんは由比ヶ浜を「由比ヶ浜さん」と呼んでいるところはあるのですが、逆が見当たらないなーと。情報待ってます。
③八幡がはるのんを会話で呼ぶときは「雪ノ下さん」で合っているか?
地の文で陽乃さんと呼んでいるのは何回も見ているのですが、会話では雪ノ下さんと呼んでるよなーと思いながら探したら見当たりませんでした。何故。
以上①~③の情報を求めています。こういう所は絶対間違えないように、新しいエピソードを始める時は入念にチェックしているんですが……今回は中々苦戦しています。
よろしければご協力下さい。

50万UA突破しましたーーーーー皆さん本当にありがとうございます(^^)!!!
全話PV(ページビュー)では200万を越えており、もう嬉しいとしか言いようがありません。
書き始めて2ヶ月と3週間程経った今でもまだまだ探り探りではありますが、これからもどうぞ宜しくお願い致します。

ご感想、メール、評価投票、お気に入り登録など、諸々とお待ちしております。評価投票の際のコメントも1つ1つすーごく嬉しいです。感想を書いて頂いている方と同様に繰り返し投票してコメントを書いて下さっている方もいらっしゃって、本当にありがたい限りです。頑張ります!!!

明日は小町編のラストです。既に半分程書きましたが。ちなみにめぐりんとはるのんもそれぞれ1話分の半分程度を今日書いてました。新シリーズは書き溜めを。
まだ小町編を終えていない今の段階で進行しているのが
①ゆきのん
②小町
③ガハマさん
④いろはす
⑤平塚先生
⑥めぐりん
という状況に。明日で②の小町編を一旦終わりにして、⑤の平塚先生と⑥のめぐりんはしばらくかなりゆっくりめな更新にしたいと思います。

3ヶ月近く毎日ここで投稿しているというこの状況に、毎日驚いています。ほんと毎日驚いています。
せっかく多くの方に見て頂けているのだから、もっともっときちんと成長して行きたいなと思っています。頑張ります。

それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!
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