※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

167 / 700
(12)

 めぐり先輩が顔の熱(部位限定)を冷ますのにひたすら顔を扇いで何とか持ち直した後、それぞれのお目当ての本を購入。ちなみにめぐり先輩の提案で、2人分をめぐり先輩がまとめて買って、後でレシートを見て俺が自分の分をめぐり先輩に払うことになった。

 しかし、そうする予定にも関わらず、気付けば雑談しながら一緒に並んでいた。隣同士で並んで一緒の会計とかなんかもう中々恥ずかしい。

「さてさて、それじゃあ……あ」

 書店の出口に向かっていると、紙袋に入った本を胸に抱きながらめぐり先輩がある場所に視線を向けた。

 そこは書店と併設されたカフェで、書店で買い物したらそのままそのカフェで読めるというお店だった。会計の際に書店でのレシートを提示すればちょっと割り引いてくれるという粋なサービスもある。

 本来であればめぐり先輩とはここでお別れの筈なのだが……そのカフェを見付けた先輩が俺とカフェとをちらりちらりと交互に見やる。や、もう意図は分かったので……大丈夫ですから……! そんなに純粋な瞳で見ないで……!

「比企谷くん、せっかくだし……どうかな?」

「ああ……はい、まあ良いですよ。せっかくですし」

 何がせっかくなのかは芥程も分からないけど。

 俺にしては珍しく、本当に珍しく、もう少しくらいこの時間を楽しんでみても良いかなと思っていた。

 と言う訳で、身体の向きをカフェに向けてとことことこ。

 

       ×  ×  ×

 

 ――こうして、冒頭(よく分からんけど(1)の冒頭辺りの気がする。2ヶ月くらい前な気がする)に戻る訳だ。回想なのかどうかももはやよく分からん。

「…………」

 めぐり先輩に貰ったガムシロップをコーヒーに入れながら(なんか先輩に貰ったと考えると、普通のガムシロップより甘そうな気がする。絶対気のせいだけど)、読書に耽るめぐり先輩をちらりと見やる。

 その落ち着いた雰囲気はいつもと一味違っていて、とても大人びて見える。

 ……うーん、お姉さん、って感じだなあ……。

 やっぱり俺が出かける時に洗濯物を干しながら「行ってらっしゃい」とか言ってくれたらそりゃあもう馬車馬の如く働く元気が……あれ、今、専業主夫への道が閉ざされた……?

 そしてアレだ、帰ってきたらめぐり先輩と小町がご飯を作ってくれてて、そこにきらきら笑顔の戸塚も帰ってくる。やだ、天国……! 俺何言ってるのん?

 ――なんて妄想をしていると、どうやらめぐり先輩をガン見していてしまったらしく、ぱっちりと目が合った。

「ん? どうかした?」

「あ、い、いえ、なんでも……」

 慌てて顔を逸らして目だけめぐり先輩に向けると、首を傾げたままにっこりと目を細めた。そしてまた本に視線を戻す。

「…………」

 絵を描きたいからモデルになってと言って、2時間くらいガン見してたいなあ……嘘が3分でバレると思うけど。絶対口元が緩んで「うへへ……」とか言っちゃいそうだし。何それ即座に通報されちゃう。

 ふと、自分が読んでいる本に視線を戻す。今自分が読んでいるのは、何冊か買ったうちの1冊だ。――さっきめぐり先輩が耳まで真っ赤にしたイラストが描いていあるラノベは、紙袋の中に入れてある。

 試しに――と思い、今読んでいる本に栞を挟んで鞄にしまい、例のラノベを取り出した。読み始める際、わざとらしく本を立てて表紙がめぐり先輩に見えやすいように仕向けた。

 まあ、集中しているようだし、気付くとしてもしばらく先かなと思っていたら、

「~~~~~~っ!?」

 ぼんっと蒸気が噴き出す音。

 見ると、めぐり先輩が読んでいた本で顔を隠してちらちらとこちらを覗いていた。

 俺が読む本を替えるという行為にたまたま意識が向いたようだ。こうかはばつぐんだ!

 リアクションを見る事が出来て、ああもうめぐり先輩可愛いわー癒されたわーと思った所で、俺も読書を開始したのだけど……。

「…………」

 めぐり先輩、もう、全っ然集中出来てない。ちょっと面白すぎる。

 視線の比率が、読んでいる本:俺が読んでいる本=2:1くらいなもんで、ちょくちょくと小声で「あ、あれ? どこまで読んだっけ……」とか言ってる。なんだよ超お茶目だな。

 予想を超えるリアクションに、なんというか、うん、夢が膨らむよね!

 今日やっと、ある程度会話をするようになった先輩という関係に過ぎないのだけど、ここで珍しくいたずら心が働いた。

「昼の方が混むんですかね? 思ったより空いてる感じが……」

 ――などと他愛も無い事を言いながら、例のカラーイラストが描いてあるページを開いて、周りを見渡しつつ本をぱたっとテーブルの上に広げる。

 ――その瞬間。

「ほわあっ!?」

 ――ぼしゅうっ、と。

 さっきの蒸気がやかんの湯気だとしたら、今のは草津温泉の湯気かな……なんてどうでもいいことを考えてしまうくらいには、とんでもないレベルで湯気が噴き出した。

 そこまで大きい声ではなかったものの、カフェ及び書店でまず聞く事が無い類の声であったため、周囲の視線が一斉に自分たちのテーブルに向けられる。

 めぐり先輩は口を手で塞ぎながら、方々にぺこぺこと頭を下げていた。

 あ、これあかんやつや。

 やりすぎた。

 ――そう思った矢先、案の定、平静を取り戻しためぐり先輩が最後にすーはーと深呼吸をして、ゆっくりとこちらを見やった。あ、やばい、笑顔が超恐いぞ。

「比企谷くん……?」

「は、ひゃいっ」

 地の底を這うような声に思わず身が竦む。あ、あれ、おかしいな、癒しのめぐりんの声の筈なのにな……。

 めぐり先輩が超絶恐い笑顔のまま言葉を続ける。

「……わざとやってるなら、怒るよ?」

「……っ」

 やっべ、心臓止まりそう。

 仲が良いというのもあるのだろうか、めぐり先輩があの魔王にどことなく重なる部分があるように思えた。

 まあ、これは明らかに俺が悪い。悪ノリが過ぎた。

 そう思い、ぺこりと頭を下げる。

「ごめんなさい」

 努めて真面目に言うと、ふっと息を吐く音がした。

「……うん、顔上げて良いよ」

「……はい」

 顔を上げると、めぐり先輩は穏やかながらもどこか呆れたような、なんとも大人びた表情を浮かべている。

「素直に謝る点はとてもよろしい。……じゃ、理由を聞かせてもらおうかな」

「え」

 理由って、え、え、え? なに、「先輩の反応が可愛いもんでやっちゃいました、テヘ☆」とか言えばいいの? 俺超気持ち悪いな。

 逡巡していると、めぐり先輩が顔をずいと乗り出してきた。甘い吐息が顔にかかり、心臓がどくんと跳ねあがる。

「り・ゆ・う・は?」

「うぐ……」

 どうしよう、めぐり先輩の頬を両手で挟んでむぎゅーってしたい……なんて現実逃避をしてしまうくらいにはパニくっている。

 顔を逸らしながら、ちらりとめぐり先輩を見やる。あかん、めっちゃ見てる!

 ……どうやら逃げ場は無いようだ。ウソなどついてもコンマ何秒でバレそうなので、素直に言うことにする。

 頬をぽりぽりと掻きながら、

「ええとですね……その、最初に先輩がこの本のイラストを見たと思われる時の反応があまりにも可愛くて……で、まあ、元々買おうとも思っていた本でもあったので……あと、いざここに来たら先輩のあの可愛い反応をもう一度見れないかなあ……なんて思いまして……」

 しどろもどろにも程があるだろう、俺……と、呆れながらも一通り話した……のだけど、めぐり先輩からの返事が無い。

「……?」

 不思議に思い、めぐり先輩を見やる。

 ……なんで顔が真っ赤なのん?

 俺と目が合うと、めぐり先輩はハッとして両手を頬に当ててあわあわ。

「……あ、え、えと、その、ええ? わ、わたしが、か、かわい……ええ……?」

「…………」

 やべえ、なんだこの可愛い生き物。死ぬ。

「……えと、可愛い、って言ったんですが……」

 言うと、顔が更に赤くなる。

「あ、え、ええ? あう、そ、その、わたし、そんな風に言われたことないから……」

「え? 告白された事が結構あるって言ってましたよね?」

 確か地味男に告白された経験が結構告白されたと言ってたはず。大人しめな、という優しい表現だったけどね!

 その時は――と、めぐり先輩が話を続ける。

「その、あまり話した事が無かった男の子が急に『好きです、付き合って下さい』って言ってくるばっかりだったから……」

 うわあ、ひでえ。と言っても俺も全く人のこと言えねえけど。

 しかし、なんだ。

 めぐり先輩が恥ずかしがってうーうー唸る姿が可愛すぎて、なんかもう……わー! 思考が爆発する。

 ちょっとだけ……ちょっとだけ、攻めてみる。

「そうなんですね。こんなに可愛くて素敵なのに」

「か、かわ……!? す、すて……!?」

 皮捨て?

「先輩、ぽわぽわしててすごい癒されるし、可愛いですよ。あと可愛い」

「あ、あわわわ……」

「先輩と話す度に和んでるんですよ。癒し系の上に可愛いとか反則ですね」

「あう、あううう……ちょ、ちょっと、比企谷くん、もう……」

「や、本当に可愛いですよ。他にも――」

「こらー!」

 怒られた。

「す、すいません」

「あうう……まったく、調子に乗っちゃだめだぞ!」

 さっきと比べると怒り方がずいぶんと愛らしい。腕をぶんぶん振ってぷりぷりと怒っている。撫でていいかなあ。

 それに、と顔を逸らしていためぐり先輩がちらりとこちらを見やる。

「……いいの? なんか今の、……その、口説いてる……ようにしか見えないんだけど」

「え……あ」

 自分の言動を思い出して、顔が熱くなる。

 めぐり先輩を見ると、先程とは種類の違う、ほのかな紅潮が頬に見える。

「…………」

「…………」

「…………ええと、その、なんか、すいません」

「…………いや、その、大丈夫だよ」

「…………でも、さっき言った事に嘘は含まれてませんから」

「……! ま、またそうやって……っ」

 気付けば、2人して真っ赤になって俯いていた。

 ……なんだこの状況。

 この、カフェでの不思議な時間は、もう少しだけ続きそうだ。

 ……まだ顔が熱い……。

 

 

 

 続く。




エロの間のーーー、癒し。
めぐりんでした。冒頭っていうのはめぐりん編(1)の冒頭のことです。このシーンまでの骨組み(皆でわいわい→本屋→カフェ)の流れは元々考えていたんですが、すんごい長くなりました。楽しかったのでまあ良いかー!

沢山のお祝いメッセージ、ありがとうございます!初感想を投稿して頂く方がちょこちょこいらっしゃってすんごく嬉しいです。2回目以上の方・常連の方はもちろんのこと!
評価の投票もたくさんの方にして頂きました。もう本当にありがとうございます!!

何故にアクセスが急に伸びた……?はるのんか?はるのんなのか……?はるのんを書けば食いつきが良くなるのか?(錯乱)
0時台にアクセスが2000を突破したのは昨日が初めてでした。嬉し過ぎてーーーーー!!!!!
本当にありがとうございます。

今の状態って、1人のヒロインの連続投稿を無しにすると、例として、
ゆきのん→ガハマさん→いろはす→小町→めぐりん→はるのん→……
みたいなことになるんですよね。なんだよ素敵すぎるでしょ。
今更ながら、割と不思議なことをやってるなーと思いました。
基本的に非エロの部分はシチュエーションを決めたら後の会話はノリで書いているので、普段妄想する時は専らエロなんです。頭の中がずっとピンク。やばい。

涼しいなあ……。

それでは、また明日ここでお会いしましょう(^^)!
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。