※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

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 ――良かったら、わたしが勉強教えようか――

 この言葉から漂う甘美な匂いたるや。

 直接的に考えただけであれば、単純に「先輩女子が後輩男子たる自分に勉強を教えてくれる」という話であって、もちろんこれはこれで胸アツなイベントではあるのだけれど、それだけではないと考えると、途端に夢が膨らむ。貧しい少年が大富豪になるくらいのビッグドリームの予感がする。

 先輩女子に勉強を教えてもらう。まずは場所から考えるのが良いだろう。ひと気のない放課後の図書館、ひと気の無い放課後の教室、親が居ない日の自室……あゝ、夢が膨らむ。

 次に内容だ。数学、数学、数学。考えてみれば数学ってなんだ? 数字を扱う訳だ。それならば互いの身体の様々な要素を数値化する遊びをしてみてはどうだろう。それは身体の一部の何かしかを測っても良いし、あるいは感覚的な何かを自分たちで便宜的に数値化するのでも良い。お医者さんごっこの要領で互いに色々なものを卑猥に測り合うのだ。回数なんかを測るのも良いかもしれない。あゝ、夢が膨らむ。アメリカンドリーム、鉄道王、自動車王、バイク王、石油王、あゝ、夢が膨らむ――

「……比企谷くん? どうしたの?」

「あ」

 脳内が祭りと化してしまっていた。盛り上がりのレベルで言うと、ラピュタ放映日のTwitter上のバルス祭りくらいの盛り上がり。

 めぐり先輩から見れば、自分が提案した途端に後輩男子が急に固まって目の焦点が定まらなくなったのだから、不思議にしか映らないだろう。ていうかそれもはやただのホラーだな。

「こほんこほん、あー、すみません、ぼーっとしてました。……でもその、勉強なんて……良いんですか? 第一、1回教えてもらったくらいじゃ俺は手に負えませんよ?」

「なんでそこ胸を張って言うかな……。ん、えっとね、その……1回だけじゃなくて、出来れば定期的に……その、理想としては毎日ちょっとずつ教えたいんだけど……」

「え」

 めぐり先輩が頬を赤らめて、ちらちらと周りに視線をせわしなく動かして、上目遣いで告げてくる。抱きしめろと言うことか。ちげぇよ。どうしたんだ俺。

 めぐり先輩はあわあわと慌てるように、まるで言い訳でもするかのように早口で捲し立てる。

「あ、その、わたしね? 実際、推薦で決まってるのもあって、同級生の前では大きな声で言えないけど……結構暇なんだ。大学行った時に頭がふやけてたら困るから一応みんなと一緒に受験対策の授業は受けてるけど、あくまで一応だしね。……だから、その、何度もお世話になった比企谷くんに、多少なりともお礼が出来たらなー……なん、て……。……ダメ、かな? 無理にとは言わな――」

「お願いします」

「早いね!?」

「あ」

 しまった、癒しの天使のオーラにやられてしまってつい。頭がふやけためぐり先輩とか超見てみたい。や、そうじゃなくて。

「ほ、本当に良いの? 出来るのなら、その、わたしも嬉しいなって――」

「ぜひ」

「もう確定だね!?」

「あ」

 あかん、俺にこの天使の誘いを断る能力なんてない。もうこの人の苗字は『天使(あまつか)』で良いんでなかろうか。やべぇ、天使めぐりとかもはや1字違いじゃん。フキダシ作って遊ぼうかな――

「……比企谷くん?」

「あ、はい、またぼーっとしてました、すみません。今日の紅茶はニルギリですか?」

「……本当にどうしたの?」

「……すみません」

 いかん、めぐり先輩が紅茶タンクと化している幻まで見えてしまった。

「こほんこほん、がふっ、すみません、むせました。……その、毎日となると決まった時間帯の方がやりやすいですよね?」

「ん、そうだね。昼休みはお昼を食べる時間や合流する時間を差し引くとだいぶ短くなっちゃうし、放課後は奉仕部の活動があるんだもんね。んー……あ」

 頬に指を当てて、天井を見上げていためぐり先輩がぽんと手を叩く。

「……ちょっと、出来るかどうか先生に確認してみるね」

「え? あ、はい、分かりました」

 めぐり先輩の閃きの内容を聞かされぬままに、これから必要だしねと言われて連絡先を交換した。その日の晩に彼女から送られてきた1発目のメッセージがやたら可愛いスタンプで、危うく悶え死ぬところだった。

 

       ×  ×  ×

 

 火曜日。

 先生への確認とやらは平日になってからでないと出来ないので、少し時間が空いた。めぐり先輩は月曜に先生に確認を取ると、その日の夕方に俺に電話をしてきた。いつも登校していた時間から小一時間程早く来るように言われ、欠伸を噛み殺しながら学校へ向かって、着いた所だ。取り敢えず試しでこの時間帯にしたらしい。めぐり先輩の電話越しの声は癒し力が高すぎてなんかもう毎日電話したいまである。朝晩5分ずつで良いから。

「あ、比企谷くん、おはよう。ごめんね? 朝早くから」

「どもです。いえいえ、世話になるのは俺ですから」

 昇降口前で白い息を吐きながら、鞄を両手で持っていためぐり先輩と挨拶を交わした。何故中に入っていなかったのかと聞くと、なんか身体が熱くて……と頬を赤らめながら言われた。熱は無いらしい。なんでかしらん?

 まだひと気の無い校舎を歩きながら、めぐり先輩をちらりと見やる。

「結局、場所はどうするんですか?」

 聞くと、めぐり先輩がふふっと微笑んで、ポケットから鍵を取り出した。

「図書館……ですか。よく借りられましたね」

 鍵に取り付けられたプレートに書かれた「図書館」の文字を見て、どうして図書委員でもないのにと不思議に思う。

「ふふ。先生にね、『もう受験は終わったけど、図書館で勉強をさせてもらいたい。人の居ない早朝の時間だと特に集中出来るから』ってだいぶ強引な事を言って、これから毎日借りられるようにしたんだ。ま、今まで行いが良かったんだろうね」

 歩きながら、えっへんと胸を張るめぐり先輩が何とも可愛らしい。実際、今までの行いが良かったというのはもはや全校一致の事実だろう。誰も文句は言うまい、俺もそう思うし。

 ……って、ん? んん? んんん?

「あ、じゃあ、これからしばらくは、この時間帯に、その……2人きりで、図書館で勉強ってことでしょうか……?」

 よく考えたら、よく考えなくても、これって相当心臓に悪いんじゃ……と思って質問すると、めぐり先輩がぴたりと立ち止まった。慌ててつんのめるように止まってめぐり先輩を見ると、明らかに目が泳いでいる。

「ま、まま、ま、まあ、そうなるかかか、かなぁ……? さ、ささ、行こ行こ!」

 テンパりにテンパってDJスクラッチみたいな声を出して、めぐり先輩が足早に歩き出す。

「…………」

 慌てて追いかけながら、考える。

 ……俺が言うまで、気付いてなかったのん?

 

       ×  ×  ×

 

 鍵を開けて、早朝の図書館へ足を踏み入れる。

 誰も居ない図書館はいつも以上に無音で、静謐な森の中を思わせる。

 この場所で、2人きりか――

 そう思った瞬間、顔がかっと熱くなった。

 見ると、めぐり先輩も実感を同じくしていたのか、明らかに落ち着かない様子だ。

「せ、先輩、どこ座りましょうか」

「あ、そ、そうだね、じゃ、こっちに……」

 そそくさと歩き出す先輩の後を追う。……俺たち、大丈夫なのかしらん?

 行き着いた先は、入り口から一番遠くて、ドアを開けても直接は見えない奥まった場所だった。

「えーと……なんでこんな奥に……?」

 正直、卑猥な妄想しか出来ない。卑猥って言っちゃった!

 聞くと、めぐり先輩は今の質問の意図を感じ取ったのか、慌ててぶんぶんと首を振る。

「あ、ち、違うからね? 落ち着いた場所って考えると、普段からひと気の少ないこういう場所が自然と浮かんだだけで……ち、違うからね? ほんとだよ?」

「………………………は、はい」

「沈黙が長いよ!?」

 大慌てするめぐり先輩を見て、余計に死ぬ程恥ずかしくなった。

 結局、場所を移動するのは意識しているのだと自白するようなものだと思ったのか、互いにその提案をすることはなく、一番奥まったこの場所にそのまま陣取った。

 座った席は……隣同士。

「……ええっと――」

「教えやすいようにだからね? 向かいからだと書いたものも見せづらいし。それだけだからね? ほんとだよ?」

「え、あ、はい」

 冷静なようでいて、明らかに目が泳ぐめぐり先輩からの素早い弁明に、疑問が食い気味に叩き潰された。

「さ、それじゃ始めようか」

「はい」

「じゃあまずは、現状の把握から――」

 兎にも角にも、俺とめぐり先輩の早朝勉強会はこうして幕を開けた。

 

 

 

 続く。




<繰り返しお知らせ>
活動報告の方でリクエスト受付をしています。アクセスに対するリクエストコメントを残した人の割合が高い高いwwwありがとうございます。
基本的にここで書いてもらった事に対して返信はしないので、取り敢えず書いてみてください。その内不意に採用されたりってパターンになるかと思います。ほんと不意にです。
それに伴ってですが、感想でリクエストは書かないようお願いします。露骨なリクエストや催促をする人が未だにいます。あかん!

閑話休題。

何本か書き溜めた上で、添削のモチベーションの関係でめぐりんを投稿しました。ここからどきどきモードです、ふふふ。
エロ3人娘(訳:本番に及ぶシーンに突入しているゆきのん、ガハマさん、いろはす)については、それぞれが今やっている行為のバランスを見ながら進めようかなと思います。油断するとまるっきり同じシーンに3人同時に突入とかになっちゃうので。

居住地の報告ありがとうございます。「ほー。へー。はー」ってなりっぱなしですw
メッセージを頂いた方で、イギリス在住の方が毎夕読んでますとご報告くださいました。うおいい超嬉しいですよおおおおお!!!ありがとうございます!!!

GJ部をガンガン読んでるんですが、8巻から漂いだす寂しさがね、うん。23時23分時点で9巻を読み終えました。うおあああ寂しいなあああ!!!今から中等部をちょろっと読みます。寂しさを乗り越えるには新しい出会いと刺激を!!!GJ部ロスタイムって中等部の更に後に出たんですね。そこに辿り着くまでの道中も楽しみつつ。ああ寂しい。
そう言えば、3月から始めた読書で読んだ本が100冊を越えて、これから読もうとしている本が数えたら50冊を越えていた(馬鹿)んですが、ガガガ率が高いです。本棚が青い。俺ガイル・人生・GJ部がもりもりと揃っていて、ささみさんと下ネタも結構な数が。ガガガの小説が肌に合うのだと分かりました。最初に読んだのが俺ガイルというのが大きいのでしょうが。

官能小説をものすごい数書いておられる睦月影郎さんの「平成好色一代男」シリーズを読み始めました。さくさく行く感じが良いです。このエロスをどんどん吸収したいところ。官能小説と美少女文庫にある類の美少女官能小説(どう言えば良いのか)を並行して読んでいます。

アクセスが自己ベストを更新。なんなんですかもう本当にありがとうございます。

またしても1週間が始まるぅぅぅそして8月が終わるぅぅぅ!
頑張りましょう。
それでは、また明日ここでお会いしましょう(^^)!
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!
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