めぐり先輩の耳を髪越しに愛でながら、唇を重ねてゆっくりと舌を伸ばし、薄い上下の唇を押し開いて口内に侵入する。
「んふぅぅ……っ」
めぐり先輩は固く目を閉じて、俺の舌の動き一つ一つに敏感に反応する。
舌で舌を舐めて。
歯茎の裏を端から端へ舐って。
そして舌に吸い付――こうとしたら、
「ぷはっ! だ、だめ……っ!」
「え?」
めぐり先輩が突然口を離し、唖然とする。
めぐり先輩は声の調子とは違って、顔は上気していて目もとろとろに蕩けていて、口は半開きになっていて涎が垂れていてもおかしくない状態で息を弾ませている。
「だめ……なんですか?」
突然の拒否に驚いて恐る恐る聞くと、めぐり先輩が否定とも肯定ともとれない俯き方をした。
「そ、その……っ、もう、ここまででも頭の中がわけ分かんなくなっちゃって……これ以上したら、ちょっとまずい気がするんだ……っ」
ふむふむ、そうか。ならば仕方あるまい――とはなるまい。あれだけ火の点いた顔を見せておきながら、今更何を言っているんだろう。
「だから、ね? その、また、今度以降、ゆっくり――」
「舌、出してください」
「え……」
俺の要求に、めぐり先輩が固まる。細く白い喉が、くぴりと鳴って動いた。
「え、比企谷くん、今なんて……」
「舌、出してくださいって言ったんです」
「……あ、あはは、だから、その、そういうのはまた今度でも……」
「今、したいんです。先輩と」
「あ、う……こ、こらこら……せ、先輩をあんまりからかうんじゃありま」
「本気ですよ」
「ひぁ……っ!?」
抵抗を跳ね除けて左腕をめぐり先輩の背中に回し、力を込めて抱きしめる。めぐり先輩の耳元にふっと息を吹きかけると、彼女の身体はぶるりと震えた。
「あ、う…………っ」
戸惑った末に観念したのだろう、めぐり先輩が舌を口から伸ばした。真っ直ぐ伸ばした舌はふるふると震えていて、目は怖いもの見たさなのか閉じる事はせずにうっすらと開いている。
たまらない喜びに打ち震えながら、わざとめぐり先輩の目をじっと見ながら、ゆっくりと口を大きく開けて、めぐり先輩の舌を咥え込んだ。
× × ×
「~~~~っ!? ~~~~っ! ……~~~~っ!」
めぐり先輩の言葉に成らないくぐもった喘ぎ声が、口の中から直接頭の中に響く。
めぐり先輩が律儀に真っ直ぐ伸ばした舌を上下の唇で挟むと、ゆっくりと前後して舌を味わう。奥まで咥え込んだら舌の裏をねっとりと舐め上げ、抜くときは舌先同士でつつき合う。
「あ、あぇっ、はひっ、ひぁぁぁ……っ」
ようやくはっきりしてきた声も情けないもので、嗜虐心をそそられる。こんな状態でも目を完全に閉じはしないため、綺麗な瞳が揺らぐのをじっくり目で嬲りながら、執拗に舌を責め立てる。
「あっ、あっ、あっ……」
「んむっ……?」
めぐり先輩が目をしばたたかせて、後ろに体重をかけた。どうやら後ずさりしそうになっているようだ。危ないと思いすかさず舌を解放すると、そのまま1歩2歩と下がって……とすっと、めぐり先輩の後ろにあった椅子に座り込んでしまった。
「……ち、力、入んない……立ってらんない……」
泣きそうな目で見上げてくるめぐり先輩の顔は、今すぐ押し倒したくなるほどいやらしい。
めぐり先輩のあごの下に曲げた人差し指を添えて、くいっと上げる。
そしてもう一度唇を重ねると……今度は、唾液を流し込む。
「んんっ!? ……んんっ、ごくっ、んっく、んぐぅっ、ごくっ、ごくっ、んむぅぅ……っ」
抵抗しようとするもすぐに無駄だと悟ったのか、まるで人形のように腕をだらりと下げて、俺に耳を押さえられたままなすがままに唾液を飲み込んでいく。めぐり先輩の喉が艶めかしく鳴る度に、凄まじい興奮の波が押し寄せた。
「……ぷはっ」
唇を離すと、2人の間に長い糸が伸びた。
「先輩……すごいですね。全部飲んでくれ……あ、少しこぼしちゃいましたね」
めぐり先輩の顔を見ると、上を向いたまま口の端から涎を垂らしていた。
「ふぁ……? あ、やだ……んっ」
めぐり先輩が俺に指摘されて気付くと、恥ずかしがりながらその唾液を指で掬い、ぺろりと舐めた。その艶姿にごくりと息を呑む。
本当に、この人はあのめぐり先輩なのか……? 普段とのあまりのギャップに背徳感さえ覚える。
既にズボンは痛い程張り詰めていた。もう、我慢出来ない。
「先輩……これ、触ってくれますか?」
「え……っ!?」
どれだけ変態なことを言っているかは百も承知で、めぐり先輩の両手首を掴んで、張り詰めた部分に引き寄せた。
めぐり先輩が顔を真っ赤にしてあわあわと慌てている。
「あっ、やっ、そんな……っ、やぁっ、こんな急に……っ」
「…………」
…………。
今更だけど。
先輩の口を嬲って、更に自分の股間を触らせようとするとか……変態を通り越して犯罪の匂いさえするような気がする。気がするってかこれもうアウトだろ。
いくらなんでもやりすぎだ……と我(数十分くらい前の我)に返ってめぐり先輩の手を掴む力を緩めると、
「え……?」
めぐり先輩が、顔を逸らしながらも目だけはこちらに向けて、そろそろと手を伸ばしてくる。え、なに、自分から……? と驚いていると、俺に掴まれたまま、めぐり先輩の手がパンツとズボン越しに肉棒に触れた。
「うぁ……っ!」
予想しなかった事態に加え、2枚の生地を間に挟んでいるにも関わらず走った快感の衝撃に驚いて声を漏らすと、めぐり先輩がハッと目を見開いて顔をこちらに向けた。
「あっ、ご、ごめん。痛かった?」
「や、違うんです。大丈夫です。むしろ気持ち良かったです。あっ」
口が盛大に滑った。ボブスレーくらいの勢いで滑った。
めぐり先輩は顔を真っ赤にして再び顔を逸らしたが、手は股間から離れない。
「そ、そう……なら、良かったんだけど……」
ぽしょぽしょと呟きながらも目だけはしっかりこちらに向けていて、徐々に指が艶めかしくズボンの生地の上を這ってくる。
「お、おぉぉ……っ」
めぐり先輩の手首を掴んだまま、言い知れぬ快感に身を震わせる。
ちょっと待て、あのめぐり先輩が、俺のを触ってる? ズボン越しとは言え、今までの関係でなら絶対有り得ない行為を、顔を真っ赤にしながらやってくれている?
感動と焦れったい快感で頭がおかしくなりそうだった。
「気持ち……良い?」
たどたどしい口調で尋ねてくるめぐり先輩の声には、緊張と、それ以上の興奮が混ざっている。
「すっ、げ……や、ばい、です……」
もっと触って欲しくて、がくつかせながらも腰を前に突き出すと、めぐり先輩が色っぽく眉をひそめて震える。口の端を微かに上げて、ぞくぞくする程淫らな微笑を浮かべた。
「あ……すごい……どんどん硬くなってる……」
いきり立った肉棒はズボンの中でぱんぱんに膨れ上がって反り返り、めぐり先輩は肉棒の裏を撫でていた。亀頭ははちきれんばかりに充血して、ベルトと腰の間で狭そうに暴れている。
「こ、これ、もう、外に出してあげた方が楽になるかな……?」
「ちょ、せ、先輩……?」
めぐり先輩がいつの間にか顔をこちらに向けて、何やら興奮で顔から湯気を噴き出しながら目をぐるぐるさせている。こ、これ、流石にやばくないか?
「先輩、無理しなくて良いですよ? 先輩?」
「うん、大丈夫。全くもって大丈夫だよ。うん、うん、うん……」
まるで自分を納得させようとしているかのように何度も頷いて、ズボンのチャックに手を掛ける。
おい、マジか、本当に? ここで、手で――? と思っていると。
「はわ、はわわわわ…………きゅぅぅ」
「……え……」
興奮が最高潮に達したのか、めぐり先輩は俺の股間から手を離して、椅子にもたれかかって目をぐるぐるとさせたまま……ダウンした。完全にぐったりしている。
「…………………………………………」
…………………………………………。
ピュアな人が頑張ると、こうなるのか……。
一つ新たな事を学んだ、冬の朝だった。
ちなみに、この日はもちろん数学の勉強も何もあったもんじゃなかった。先輩が目を覚ましたのは勉強会が終わる直前だったし。もっと言うとその後の授業も気もそぞろでやばかった。なんかもう色々と駄目だった。朝何度もめぐり先輩に謝られて、その後もLINEで何度もごめんねと謝られて、その度に妙に可愛い動物が申し訳なさそうに謝っているスタンプが送られてきて、これはこれで和んだ。「和みました」って返信したら「あ、ごめん。茶化してるように見えちゃったよね、ごめんね」と返ってきた。真面目か。
……明日以降……どうなるんだろう、俺たち……。
続く。
めぐりんでした。
はい、そうです。めぐりんはピュアです。下手な英文和訳みたいになった。
いろはす編の感想、たくさんありがとうございます。そしてそれに伴ってかたくさんの評価を付けて頂きました。昨日一昨日の評価がもう半端ないペースです。本当にありがとうございます!!
平日中日の水曜日、頑張りましょう。
それでは、また明日ここでお会いしましょう(^^)!
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!