もうちょっと川崎の泣き顔を見てみようと思います。
1.
そんな訳で、それなりにあちこちを見て回りながらお化け屋敷へ向かう。
しかし。
俺と川崎は寄り道する気0、小町は寄りたい所があるけど興味無さげな俺らを見て気を遣って諦めっぱなし、大志は興味が湧かないので俺は見てすらいない、と言う状況の為すいすい進む。この状況を分かっててそのままにしてる俺マジワイルド。
まあ、大志はどうせ「~っす!~っす!」とかって小町に言ってんだろ。何ヶ所空気漏れてんの?針で穴増やそうか?
歩いていると、雑踏の中に見慣れた二人を見付けた。
タイプは違えど、人の目に付きやすい二人だ。
絶壁美人と、可愛げメロン。
…ここで会うとは。
近付くと、まず黒髪ロングの氷の女王が俺に気付いた。
「…」
視線を逸らした。
え、なんでなんで?俺そんなに見てられない存在?目を逸らしたくなる程強大なの?どこの前生徒会長?
と、視線を逸らした先に居た小町と目が合うと、途端に微笑んだ。
「あら、小町さん」
「あー!雪乃さーん!あれ、結衣さんも一緒なんですか!やっはろー!」
「あれー小町ちゃん、…と、ひ、ヒッキー…や、やっはろー!」
「待て待て待て、雪ノ下も由比ヶ浜も俺の扱いおかしくない?一回流す&戸惑うって何?そろそろ俺って言う存在に慣れようよ?泣くよ?」
ほんと、泣く。
「あら、ごめんなさい。未だにあなたと言う存在から目を逸らさずには居られないのよ…ひ、ひき、ひきが…あ、小町さんの苗字から察するに、比企谷くん?」
「おい、妹をヒントにするとは良い度胸してんじゃねえか」
肉親をヒントにするなんて…どこの俺だよ。な、川崎!
「雪乃さんと結衣さんは二人でお買い物ですかー?」
「そう、由比ヶ浜さんがどうしてもって言うものだから…」
「えー、猫グッズがすごく揃ってる店もあるって言ったらゆきのんノリノリだったじゃんかー!」
「ちょ、由比ヶ浜さん、それは…こ、こら、抱き付かないで…」
なんでそのタイミングで抱き付くのん?
夏でもゆりゆりしくて、お兄さん一安心です。
「そう言うあなたたちは、二人かしら…あ」
ここでようやく、雪ノ下と由比ヶ浜が川崎姉弟に気付く。
「…こんにちは」
「…ああ」
雪ノ下と川崎の距離は、遠い。
互いにある程度尊重するが故の距離感だ。
普段はそれで触れないようにすればそれで済むのだが、こう言う状態だと如何せんちょっと…いや、だいぶ気まずい。
ここは…行け、我が天使!
「…あ、私たちは4人で遊びに来てるんですよー!」
「!そ、そうなんだね!良いね、楽しそう!」
小町の明るさは世界を照らす。
由比ヶ浜の空気読みスキルも世界を救う。
だいぶ良い雰囲気だ。ここで大志を生贄にして戸塚を召喚出来たらもう俺はすごく楽しいんだけど。
あ、大志一人じゃ足りねえな。材木座も生贄に捧げよう。
あと、戸部な。ついでで生贄。
と、小町が事情を説明した所で、雪ノ下が何やら俺をじーっと見ている。
何、俺ってそんな改めて侮蔑したくなる存在なの?
とか思ってたら、俺と川崎を交互に見始めた。
なになに?俺と川崎の共通点でも探してんの?…二足歩行?
「川崎さん」
「?ん、なに?」
雪ノ下の声がけに、川崎が少し驚く。そりゃそうだ。
「…この男に気を付けてね?何かされそうになったら連絡をちょうだい。ひどい目に遭わせるから」
「待て待て待て、俺どんな扱い?」
俺どんだけ年中はあはあ言ってるキャラなの?
俺の人間性を対価にして雪ノ下と川崎の絆を錬成するの?割に合わないよ?全然等価交換になってないよ?
「あら、初めて会ったときにあなた…」
「おい待てばかやろうその話はするな」
平塚先生に持ち掛けられた勝負で、『勝った方が負けた方に何でも出来る』と言うのを提案された時の俺のリアクションを未だに持ち掛けられる。たまったもんじゃありゃしない!
「え、あんた、何?そんな…」
「いやいや待て待て川崎。違うんだこれは違う」
まずいまずいまずい。
「えー、ヒッキー、なんか…やだな…」
「待て待て由比ヶ浜。誤解だ誤解」
拗ね方可愛いなお前間違えたやばいやばいやばい。
「え、ごみいちゃん、雪乃さんにそんなことしたの?」
「え、僕何も言ってないよね?ねえ?」
あかんあかんあかん。
「うわ、お兄さん、そんな」
「黙れ毒虫お前は喋るな」
「食い気味っすか!?」
貴様に発言権など無い。
貴様は桃太郎の劇で言う所のベンチだ。
つまり、登場すらしない。
舞台袖で休憩してる役者に座られてろ、空気椅子で。
そんで悶えてろ。
座るのはちょい太りめの男子だ。
って言うか、この流れは何か色々とまずい。どうにかせねば。
「あのなあ、俺の話をまず聞けよ」
「あら、面白いじゃない。どうぞ?」
腕を組むようにして、右手を少し上げて、手の甲に顎を乗せて得意気にふふんと笑う。
何この挑発的な態度…。泣かすぞ。ケンカ俺の方が弱いけど。
「大体な、もし俺が川崎に手を出すような手の早いヤツだとしたら、何で俺は奉仕部の明らかに可愛い二人には何にもしてねえんだ?」
「「え」」
「いくら川崎が冷たく見えるけど結構可愛いって分かってたって、先に関わった魅力的な二人に何もしないってのはおかしいだろ?」
「え」
「つまり、俺は、健全だ!」
「お兄ちゃん、そこは違う」
あれ、妹に脇腹を刺された。
しかし、適度によいしょも交えての反論。これなら上手く行くだろう。
「「「…」」」
あれ、雪ノ下も由比ヶ浜も顔が赤い…あれ、川崎も?なんで?
「…ま、まあ、そこまで言うなら、その…そう認識してあげるのも吝かではないわ。貴方の普段の言動も挙動もとても見ていられるものではないけれど、そうやって自分が思った事を素直に口に出来るようになったと言うのは成長したと捉えて良いのではないかしら。私が保障してあげる。少しは誇りなさい?」
めっちゃまくし立てて来た…。
素直に受け止めろよ…。
…にしても、顔赤いな。
「…あ、あはは、何かよく分かんないけど、今のヒッキーの言葉…結構嬉しいかも…えへへ」
あれ、人差し指同士を押し当ててもじもじしてらっしゃる?あれ、可愛いぞ?
「…か、可愛いって…可愛いって…」
頬に手を当てて…湯気が噴き出してる?気のせいかな?
俺が面食らっていると、小町が袖を引っ張って来た。よし、超可愛い。
「お兄ちゃん…スケコマシにも程があるよ…立てたフラグ全部回収するの?ハーレムなの?」
「え」
そんなだったか?フラグ回収…そういや室伏広治ってビーチフラッグ超強いよね。俊敏性が半端ない。超どうでも良い。
「はあ…まったくごみいちゃんは…二人以上落とすんだったら全員きっちり落としてね?」
「待て待て待て何の話だ」
「あの、お兄さん!恐らく」
「あー、今君はお手付きなんで」
「俺クイズ間違えてないっすよ!?」
君は番組の入りからはけまでお手付きです。
雪ノ下と由比ヶ浜は顔を赤くしたまま去って行った。なんだったんざんしょ。
小町、俺の横で俺をチラ見してはため息ついて、指折り数えながら小声で『雪乃さんでしょ?結衣さん、沙希さん…後は平塚先生も有りかな?後は…まだありそうだなあ、これからも含めて…はあ』とか言うのやめて。何その先見の明?
2.
やっとこさ、お化け屋敷に着いた。
お化け屋敷と言っても千差万別。あんまり怖すぎると俺が泣き顔を楽しむ余裕が無くなるので、程良いのが良いなー。
…理由がクズ過ぎるなー。
「え」
受付に近付いた時、小町が急に立ち止まった。
「小町、どうした?」
「お、お兄ちゃ、あれ…」
小町が指差す方向を見ると、お化け屋敷の説明がでかでかと書いてある。。
『夏季限定!今話題の最恐ジャパニーズホラーとのタイアップ!あなたは最後まで耐えられるか!?』
なんだってー。
川崎と大志の顔も固まってる。
いやしかし、これはしんどいな。
説明をよく見ると、『映画の進行に沿った恐怖があなたを襲う!途中リタイア率日本一!』などと書いてある。
これ、あかんやつや。
川崎に至っては最後の方は俺を見てたからラスト知らないし。や、俺も川崎の視線が気になって最後らへんは8割くらい頭に入ってないけど。
…俺もやばいな。
しかし、何人まで同時に入れるんだろう?
理想は3人までで、俺・小町・川崎で入って、大志に一人で行かせるパターンなんだけど。
受付で確認した所…『原則』二人一組だった。夢潰える。
さて、どうするかなー。
兄妹と姉弟で言ってもそれ只の仲良しだし、小町と大志を一緒に行かせるなんて死んでも嫌だ。難なら大志を死なせるのも厭わない。
俺がこの後どうするかを迷っていると、小町と目が合った。
俺と川崎のことを交互に2往復ぐらい見つめると、名案が閃いたのか、再び俺と目を合わせて突如として目がヤマピカリャー。
小町が突然、わざとらしくふらつく。
「あ、あれー、ちょっと体調がおかしいなー?熱でもあるのかなー?」
なるほど、そう来たか。
すかさず合わせる。
「なにー?それは大変だ!すぐ確認せねば!」
兄妹での熱演。川崎の視線が心持ち冷たいけど僕負けない!
「よし、確認しよう!」
大げさにやらねばと思い、小町のおでこに手ではなく自分のおでこを当てる。
すると、小町の顔が急に真っ赤になった。
「!?ちょ、ちょっと…お兄…ちゃん…」
最初は驚いていたが、やがてとろんとした目になった。
なんで?やり方がToLOVEる式だから?
「うん、ちょっとこれは休んだ方が良いな。大志、面倒見てくれるか?」
小町の顔が赤くなったのは、よりウソに真実味が出るのでありがたかった。
川崎も心配した表情になってる。よし。
「!?え、あ、はい!!」
何はりきってんだてめえこの野郎。
「ただし、うちの妹に手え出したらただじゃ済まねえかんな?もし何かやらかしたら、城の巨大時計の短針と長針で押し潰すぞ?」
「それテレビで見た事あるっす!怖いっす!」
「うるせえ。ハートどころか命を盗むぞ、刈り取るぞ」
「怖いっす!」
威嚇完了☆
なんか今日は途中から川崎の追及も鈍くなってる。
なので、大志イジリに精が出る。
「お、お兄ちゃん、フラグを肉親にまで立てるの?反則だよ…」
え、なに、そのうっとりした顔?その顔多分、女の顔だよ?家族とか友達に見せちゃいけないやつだよ?
「あ、じゃあ、あたしと…あんたで、か?」
「ああ、そうなるな」
「そ、そっか…」
だからそこで頬を赤らめて俯くのやめて?ちょっと嬉しそうなの見えちゃったよ?
にしても、今は大丈夫でもいざ中に入ったら…絶対また怖がるよな。
なんて言うか、川崎への申し訳無さ3割、期待感12割。
俺の心のキャパが限界突破して5割増しになってる。
流石に変なことをする気は無い。けど、多分変な感じにはなる。
自信を持って、言えます!
続く。
ゆきのんガハマさんとの絡みを入れたら割と長くなったので、ここで一旦区切ります。
ゆきのんの八幡に対する罵倒って、書こうとするとすーごい難しいです…頭良い感を出しつつ鮮やかに罵倒するのってすごいですね。
3~4話で終わると言いましたが、実際は5~6話になりそうです。あれ、おかしいな。
なんか大志の扱いがひどすぎて楽しくなって来ました☆
明日はこの続きorゆきのんとの濃厚な絡みのどちらかを書きます。イメージが湧いた方で!
宣伝になりますが、今はこちらの小説に重きを置いて書いているのですが、同時並行でニセコイとToLOVEるダークネスの小説も書いています。ToLOVEるはこちら同様短編を書いていて、ニセコイは思い切りストーリーものです。
二つとも更新が滞っていますが、週末にはまた書きたいと思っています。
テイストは似ています。オリジナルキャラは出さず、愉快に甘々に平和にエロく、です。
①楽×マリー『オネガイ』その後
②楽×マリー『オネガイ』その後【エロ】(R-18)
③ToLOVEる ピーチ&オレンジ【エロ】(R-18)
と言うタイトルです!
よろしければ、ぜひご覧ください(^^)
長々と失礼しました!
それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!