※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

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 めぐり先輩と一緒にトイレを出た後、一度リビングに戻った。

 めぐり先輩は脱衣所に向かい着替えてくると行って、俺をソファに座らせるとリビングを出ていく。

 程なくして、めぐり先輩が戻ってきた。

 

「…………」

 

 めぐり先輩の服装を見て、言葉を失う。

 めぐり先輩が着ていたのは、もこもこ生地のワンピースで、前面にファスナーが付いているタイプのものだった。可愛らしいピンク色をしていて、いかにもくつろげそうな格好だ。

 明らかに、部屋着である。

 まさかの攻め方だった。

 

「……ど、どうか、な……?」

 

 めぐり先輩が後ろ手を組んで、頬を赤らめてもじもじと俺を見つめてくる。

 

「……死ぬ程似合ってます」

 

 めぐり先輩の目を見ては逸らしを繰り返しながら、やっとのことで言葉を捻り出す。

 可愛いにも程があるのもそうなんだけど。

 それ以上に、部屋着を着たことで、これから二人で過ごす時間の現実味が急に湧いた気がした。

 さっきまでは勢いに任せていたため、そういうことを考える余裕さえなかったのだけど。

 俺の言葉を聞いて、めぐり先輩が目を見開いて俺を見つめる。

 はわわと小さく声を漏らして、両頬に手を当てた。

 

「そ、そっか。ありがとう……っ」

 

 こ、紅茶淹れてくるね――と早口で告げて、足早に駆けていった。

 しばらくして、お盆に紅茶カップを乗せてきてくれた。

 俺が紅茶を飲んでくつろいでいる内に歯磨きをしてくる旨を告げて、めぐり先輩が再びリビングを出る。忙しくさせてしまって申し訳ない……。

 のほほんと紅茶を飲んでいると、めぐり先輩が一足先に歯磨きを終えて、ソファで俺のすぐ隣に座る。

 にこにこしながら、こちらをじーっと見てらっしゃる。

 

 じー。

 じー……。

 じー…………。

 

「…………どうしました」

 

 視線に耐え兼ねて、カップを手に持ったまま顔を逸らして尋ねる。

 めぐり先輩が、俺の太ももにそっと手を置いてくすりと笑った。

 

「ふふ。えぇっとね? この後何しようかなーって考えてたの」

「……それなら、そんなに俺を見なくても……」

「比企谷くんを見てた方が色々浮かびやすそうだなって思って」

 

 答えになってるようでなってないような、ふわっとした理由だった。

 頬をぽりぽりと掻き、紅茶の残りをくっと飲み込む。思ったより熱かったけれど、少し我慢すれば事足りる程度だった。

 

「ごちそう様でした。行きますか」

「ん、そうだね」

 

 立ち上がってめぐり先輩を促すと、めぐり先輩も立ち上がる。

 カップは自分で洗わせてほしいと言うと、めぐり先輩は最初こそ渋ったものの結局折れて洗わせてくれた。

 小声で「そ、そうだよね……これからのことを考えると、洗剤とかスポンジとか洗った食器を置く場所とか、知っておいた方が良いもんね……」と呟いていたけれど、恥ずかしすぎるので聞こえなかったことにする。

 今度こそ部屋に向かおうとすると、めぐり先輩は俺の手を握った。

 自分の手の指と指の間に、細くて温かい指が入り込んでくる。

 この感触は、しばらく忘れられそうもなかった。

 

       ×  ×  ×

 

 めぐり先輩の部屋に入った途端、ふわりとした甘い匂いが鼻腔を擽った。

 めぐり先輩に怪しまれない程度に視線を巡らせる。

 所々に女の子らしさを感じさせるぬいぐるみや可愛らしい小物などが見受けられるが、全体的に見れば物が少なくすっきりした印象で、めぐり先輩の人柄が見えるようだった。

 こっちこっちと手招きされて、カーペットの上のクッションに腰を下ろす。

 めぐり先輩が隣のクッションに腰を下ろして、落ち着かなさそうにもじもじとしたかと思うと、えへへと微笑んだ。可愛すぎて爆ぜる。

 近くに置いていた別のクッションを胸元に抱き寄せて、ちらちらと俺を窺い見る。

 

「それじゃ、まずは何をしようかな……。色々考えてるんだけど……」

 

 む。

 思案してみる。

 至極真面目に、思い付いた意見を述べる。

 

「ツイスター……とか……」

「比企谷くん?」

「何でもないです、何でもないです」

 

 ぷりぷり怒るめぐり先輩が可愛すぎるから、今度適度に怒らせるやり方をメモしたノートを作ろうかな。真面目にクズだな俺。

 めぐり先輩はクッションを抱きしめたまま、あれにしようかなこれにしようかなと呟きながら左右にゆらゆら揺れる。

 カーペットの上の俺の手に、さりげなく自分の手を重ねてチラ見してくるのはちょっと破壊力が過ぎる。

 

「……よし」

 

 動きをぴたりと止めたかと思うと、めぐり先輩はすっくと立ち上がり、近くにあったリモコンを手に取った。

 そして自分のクッションの位置をずらして座り、二人並んでテレビを見ることが出来る状態にする。

 クッションを抱いて体育座りをして、録画番組一覧を何やら真剣な顔で見つめたかと思うと、「これかな……」と小さく呟いた。

 リモコンのスイッチを押して画面が切り替わると、少し古めの、雰囲気の良さげな洋画らしき作品が映される。

 すぐさま一時停止をすると、めぐり先輩がこちらを見て柔らかにはにかんだ。

 

「えへへ……この間番組表を見て面白そうだなって思ったんだけど、観る時間が無くて。それで録画してたんだー」

「そうなんですか」

「うん。……これ、一緒に観ない?」

 

 クッションに口元をうずめて、こちらをちらりと見やるめぐり先輩。

 正直、普通に見てたら2時間前後も生殺しが続くのかな、しんどいなと思ったんだけど。

 ――お互いに、気分に応じてって言うか――

 めぐり先輩の言葉を思い出し、前向きに解釈することにする。

 ……うん、やりようはあるよな、きっと。

 

「良いですよ。観ましょう」

 

 答えると、めぐり先輩が目を細める。

 花の咲いたよう笑顔に癒されて、心が綻ぶ。

 

「ありがとう。……じゃ、観よっか」

 

 二人の視線は交差するのを止め、テレビ画面に向けられる。

 リモコンを操作して、一時停止が解かれる。

 二人の距離が、自然に縮まる。

 めぐり先輩の手の上に、自分の手を重ねる。

 ぴくりと反応した華奢な手は、ゆっくりと握り返してきた。

 こくりと息を呑む。

 めぐり先輩も緊張しているのか、小さく喉を鳴らすのが聞こえた。

 映画が、始まる。

 

       ×  ×  ×

 

 映画自体は、よくある昔の洋画という感じだ。

 ベタなストーリーに、良い感じに影のある渋い主人公に、これまた綺麗ながらもどこか影のあるヒロイン。

 二人が出会う所から始まり、物語は淡々と進んでいく。

 物語の途中で訪れる二人のすれ違いも何とか乗り越え、二人が情熱的なキスをする。

 

「ほわぁ……っ」

 

 めぐり先輩に視線を滑らせると、口を開けて頬を赤らめて画面を凝視している。

 画面の中で行われるキスが、思いの外激しいからだろう。

 俺は吐息だけを静かに漏らして、めぐり先輩の手をきゅっと握る。

 めぐり先輩がぴくりと反応して、ゆっくりこちらを振り向く。

 俺が首を傾けると、めぐり先輩が逆側に首を傾けた。

 ゆっくりと二人の間の空間を縮める。

 徐々に唇に柔らかな感触が広がる。

 唇を離すと、めぐり先輩はうっとりとした表情を浮かべていた。

 肩を抱いて、もう一度唇を重ねる。

 今度はさっきよりも、もう少しだけ長く。

 二つの唇が触れている部分がやけに熱い。

 これは、めぐり先輩が熱いのか。

 それとも、俺が熱いのか。

 あるいは、両方なのか。

 実際どうかなんてことは分からないが、それでも心地良い。

 心の底から、身体の底から、幸せな気持ちが湧いてくる。

 唇を離すと、目が合った。

 お互いどこかぎこちなく笑うが、交わす視線は温かい。

 肩を抱き寄せたまま、映画に戻る。

 映画はまだまだ続くようだ。

 

 

 

 続く。

 

 

 




 後書きが抜けてました。何ということでしょう。
 めぐりん、もう少し続きます。どうぞ最後までお楽しみくださいませ(^^)

 それでは、また明日ここでお会いしましょう(^^)!
 今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!
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