「……ん。……いただきます」
小町が丁寧に挨拶をして、チャックに手を掛ける。
期待が否応なしに膨らんで、緊張して見つめていると、ゆっくりとチャックが下ろされた。
ちー……と。
いつもならば全く気にしない、チャックを開ける際の金属同士がじじじと擦れるほんのわずかな音が、やけにはっきりと聞こえる。
チャックを開けきると、小町がうっとりとした顔で、僅かに覗いたパンツを見つめている。
「えへへ……もう、濃い匂いがするよ? お兄ちゃん……」
「え……うお……!?」
言うや否や、小町がチャックの隙間に自分の顔を押し付けた。
既に興奮でがちがちになっているため、肉棒の裏筋に、パンツ越しとはいえ小町の鼻がつんと当たる。
「ちょ、おい……っ」
何この変態っぽい行為!? 小町ちゃん、ちょっとスイッチ入り過ぎじゃない!?
俺の激しい動揺など意に介さず、小町はすりすりと鼻をこすり付ける。
「えへへ……んー……お兄ちゃんの匂いだー……あむっ」
「うっ……くあっ……!」
小町は首を横に傾けると、裏筋を咥え込んだ。
「あぐ、あぐ、あぐ……」
舌を這わせてもあまり意味は無いと思ったのか、ゆっくりと唇で挟み込んでいる。
「う……お……」
直接的でなく、ゆっくりと高められていく興奮が焦れったい。
この行為がしばし続けられて、気付けばパンツは小町の唾液と俺の先走りですっかり濡れていた。
「あぐ、あぐ……ぷはっ……うん、味わった!」
「お、おう……」
唇を離すと、蕩けた目から一転して、急にぺかーっと太陽みたいに笑った。表情の変化が急ハンドル過ぎて、お兄ちゃん付いて行けてないです……。
この後どうするのだろうと期待し……どきどきして待っていると(ほとんど同じことを言ってしまった)、小町が目を細めた。
真冬の凍える寒さの中では、小町の桜色に染まった頬が際立つ。
小町の瞳は、薄明かりの下で妖しく色めいていた。
「……じゃ、直接……するね?」
「……ああ」
言うと、小町がチャックの中に手を入れ、ボクサーパンツをずるりと引き下ろす。
「きゃん……っ」
ぶるん、と寒空の下に弾き出された肉棒が、小町の顔に勢いよくぴたんと当たった。
「あ、わ、悪い。大丈夫か?」
「ん。大丈夫。ううむ、小町の計算以上にびんびんになってて、動きが読めなかったよ……この暴れん坊さんめ~、うりうり!」
さり気なくやたら恥ずかしい擬音を使ったかと思ったら、肉棒の根本を押さえて亀頭を指でつんつんとしてきた。やめろやめろ恥ずかしい恥ずかしいちょっと気持ち良い恥ずかしい!
「こんなに興奮してくれてるんだから、じっくり楽しんでもらいたいな……」
小町がうっとりした顔で言うと、肉棒に両手を添えて、口をくぱっと開けた。可愛らしく覗いた八重歯に、小町の小悪魔めいた魅力を感じて、脳髄に痺れが走る。
……や、風邪引いてほしくないから、あまり長居したくないんだけど……。
しかし、小町も俺も汗ばむ一歩手前くらいまでには身体が熱を持っている。汗をかいたら後始末だけきちんとして、二人乗りで急ぎ気味で帰ろう……なんて思っていると。
「……うおおお……っ!?」
突然の展開に、素っ頓狂な声を出してしまった。
「ちろちろ、ぴちゃ、んっ……ちゅむ、ちゅむ、ぺちゃ、ぴちゃぴちゃ、ちゅるるる……」
尖らせた舌を亀頭に伸ばしてつんつんとつつき、尿道口を舐め、軽くキスをして、快感で浮かび上がってきた先走りを丁寧に吸い取る。
「おあ……おおお……」
情けない呻き声を上げて、行き場を失って手が小町の頭を掴んだ。
「んんっ、ぴちゃ、ぴちゃ、ちゅりゅっ、ちゅぴっ、ちゅぱっ……んはあっ」
唇を離すと、あごに指を当てて、んー……と考える仕草をした。え、何、作戦を練ってるのん?
俺の肉棒をじーっと見つめていたかと思うと(超恥ずかしい)、ようやく方針が決まったのか、よし、と小さく気合の声を上げたかと思うと、口をくぱっと開けた。
公園の僅かな灯りに照らされた小町の顔に影が出来て淫靡さが増して、口の中に見えるピンクの発情した舌が見えると、激しい期待の波が押し寄せる。
「……あむっ」
「くおっ……」
愛おしむように、ゆっくりと亀頭を咥えたかと思うと、竿の部分を両手で握って、しっかり固定した。
そして、
「ちゅぴっ、ちゅるっ、くちゅっ、じゅるるっ、くぷぷ、くぷ、くぷ、あむ、じゅる、ぷちゅ、ちゅぱちゅぱ……」
「~~~!」
亀頭だけを集中的に責められ、その快感に頭が付いてこなくて、否応なしに悶絶する。
「れろれろ、くちゅ、にちゅ、ちゅぴ、ちろちろ、あむ、あむ、ぐぼ、んんんん……」
「あっ、ぐあ……うあああ……っ」
ひたすらに舐められ、つつかれ、啜られて、多少なり残っていた筈の冷静な思考ががりがりと削り取られて、その残滓が公園の暗がりに溶けて行く。
小町が亀頭を咥えたまま俺の顔を見ると、嬉しそうに目を細めた。その顔は発情しきっていて、この顔を見るだけでも抜けそうだな……なんて思ってしまった。
「……ぷはっ、えへへ……お兄ちゃん、気持ち良いんだね? 可愛い顔しちゃって」
「恥ずかしいこと言うな……うっ、くっ……」
再び咥えられて、何も言えなくなる。
「んぶっ……」
今度は竿の方まで咥えられて、肉棒全体が小町の口内の温かさに包まれた。
「ぐぷ、ぐぷぷ、がっぽ、がっぽ、じゅぴっ、ぢゅっぷぢゅっぷ、じゅりゅっ、ぐぷぷぷ……ぐりゅ、ぐりゅ、ぐりゅ」
「あっ……かっ……」
籠った水音にいやらしさが増し、視界が霞む。
小町は時折顔の角度を変えて咥え込むことで、亀頭に内頬や口蓋が当たるようにしている。その度に絶妙に異なる感触がして、それがまた、たまらなく気持ち良い。
「小町……小町、小町、小町……」
「んん……? ……んぐっ……!?」
我慢出来なくなって。
小町の頭を掴む手に力を入れて、ゆっくりと最奥までねじ込んで咥えさせる。
「うぐう……じゅる、くちゅくちゅ、ぐぷぷ……んっく、んっ、れろれろ……」
涙目になりながらも、小町は顔の角度を変え、舌を駆使して、深く咥え込んだままで亀頭や裏筋を巧みに刺激する。
――もう、我慢出来ない。
小町の許しを得て、小町の頭を掴んで、小町の口の中を蹂躙しよう。そして目一杯欲望を吐き出そう――そう思った瞬間。
「じゅるるるるる……」
「うあああっ!?」
突然小町が亀頭を強烈に吸い上げ、たまらず声を上げてしまった。
「うっ、ぐっ、うあああ……っ!」
耐え切れなくなって、一時避難を……と思って腰を引いたが、小町が俺の腰に腕を回してがっちりロックしていて、どこにも逃げる事が出来ない。
「じゅるるる……じゅぽっ、ぐっぽ、がっぽ、じゅるるるるる……」
「あ……かはっ……」
予想していなかったタイミングでの強烈すぎる快感に、思考回路がゆっくり解かれて、何の意味も成さない糸に変わり果てていく。
未だに激しい口淫の音が鳴りやまぬ中、あまりに意識が朦朧として、下腹部に絶えず押し寄せる悦楽の波がまるで別世界のことのように感じられる。
……あれ、ここ、どこだったっけ……?
茫然とした目つきで周りを見渡すと、暗い中、灯りの下でほんのり浮かび上がる遊具が目に入る。
――ああ、そうか、俺、公園で、小町に――
今の状況を、改めて認識した瞬間。
「う……うああああああ!?」
身体の内側から溢れ出すマグマの奔流の感覚に、身体全体がさざめき立つ。
「じゅるる、じゅぷっ、んっく、んぶっ、ぢゅるる、ぢゅるっ、じゅるる……」
「あっ、うあっ、こ、小町、それやばっ、うう、うぐあ……っ!」
既にある程度こういった行為にも慣れて、俺の射精の予兆も分かるようになっていて、いつもならにっこり微笑んで「良いよ……出して?」なんて、優しく穏やかに言ってくれる小町が。
ただただ、我を忘れた獣のように、俺の肉棒にしゃぶりついて、離さない。
「あ……うあ、うう、小町、出る、出るから、もうやばいから……うぐうう……!」
気付けば、背中の冷たい壁に手を付けて、必死で身体の標高を保っていた。
小町がしゃぶればしゃぶる程、頭の中で火花が散って、気が狂いそうになる。
なのに、小町はそんな俺の様子を一向に気にすることなく――と、思っていたら。
「…………」
――ふと、下からの視線を感じた。
……気にはしているのだ。
ただ、発情した目つきで俺を見る目は嗜虐心に満ち満ちていて、まるで如何に俺を盛大に絶頂に追い込むのかだけを考えているかのようだ。
腰がひっきりなしに情けなくかくかくと前後して、壁に腰をぶっては反射で前に突き出して、その度に小町の喉奥のざらざらした部分に亀頭が当たって、あまりの快感に、油断すると腰を抜かしそうになる。
「じゅるるる……じゅぶじゅぶ、ぐぽっ、がぽっ、ぐじゅ、じゅるるる……」
小町の顎には大量の唾液が伝い、灯りに照らされて妖しく光る。
――もう、だめだ――。
がしっ、と。
小町の後頭部をぐっと掴む。小町は一瞬だけ素の表情に戻り、「ほえ?」という感じで可愛らしく首を傾げた。今この状態だと、それで内頬に亀頭が擦れるから尚のことやばいです……。
「小町、出る、出る、出るぞ。もう、だめだ。本当にだめだ。一滴残らず飲んでくれ……」
冷静さなど欠片も残っていない口調で告げると。
小町はこくりと小さく頷いて、
「……ずぞぞぞぞぞ、じゅるる、じゅぼっ、ぐじゅる、じゅぶぶ、じゅるるるる、ぢゅるるるるる……」
――俺の意識ごと刈り取ろうとするかのように、俺の腰ごと刈り取ろうとするかのように、凄絶なまでの勢いで肉棒全体を吸い上げてきた。
「あが……うぐああああ……」
もはや、力無くおとがいを上げて、優しい月明かりを覆い尽くす黒い雲たちを見つめることしか出来ない。
――そして。
「……あ……」
最後には、もはや、声も出なかった。
確かな予感に、くんっ、と腰を引いた次の瞬間。
――どぶぶっ、どぶっ、びゅぶぶ、ぶびゅるっ、びゅるるっ、びゅるっ、びゅるっ、びゅるっ、びゅるっ、びゅるる……。
「…………」
「…………」
俺も、小町も互いに無言で。
俺は真冬の冷気漂う宵闇の景色が白むのを感じながら、夥しい量の白濁液を小町の喉奥に幾重にも吐き出して。
小町はその白濁液を、何も言うことなく、ごきゅっ、ごきゅっ、と喉を鳴らして、頼んだ通り、一切零さずに飲み込んだ。
「あ……うあ……」
俺は壁に背を付けたまま、ずるずると腰を下ろした。
× × ×
「……はあ」
帰り道。
家まであと僅かという所で、疲労のせいかため息を吐いてしまった。
「どうしたのお兄ちゃん?」
手を繋いでいた小町が、目をくりっとさせて首を傾げる。発情が尾を引いてるのか、指の絡ませ方がいちいちいやらしいんですけど気のせいですかね……。
「や、もう、さっきので魂吸い取られたわ。昔の人が写真撮られた時もこんな感じだったのかなとさえ思う」
「……お兄ちゃん、何言ってんの?」
今度は腐った目で首を傾げられた。くっそ、可愛くねえから救いようの無い絶望が押し寄せる! やめてよお!
「どっちにしろ、家帰ったらしばらく休憩な。マジで腰がくがくだし」
ぬぼーっと前を見ながら言うと、小町はうーんと唸って瞑目した。
見慣れた自分たちの家が見えた頃に、小町がぱちっと目を開けて手を離し、俺の前に回り込む。
「……どうした?」
「うん、今日は小町もちょっとやり過ぎたなーって反省したのです! ごめんなさい」
ぺこりと謝る……のかと思ったら、胸元に飛び込んできた。お辞儀代わりにおでこをすりすりこすり付けながら「ごめんなさい~」と謝ってくる。可愛い可愛いやめろ可愛い離れろいやもっと抱き付いてこい可愛い可愛いもう超可愛い!
「…………」
やがて、ぴたっと動きを止めたかと思うと、おねだり全開の表情で上目遣いをした。いかん、死ぬぞ、俺。
「……でね? 今日はもうやめにしておいて……明日、その……やっぱこれは明日言うよ。お兄ちゃんは明日の夜、リビングに居て! いい? いいよね? はい決定―!」
「え、おい……」
俺の返答を一切待たぬまま、勝手に俺の行動を縛ったかと思うと、にぱっと笑って愛くるしい八重歯を覗かせた。うーん、さっきと今では同じ八重歯でも受ける印象が全く違うな……女の子って不思議。
「ふふふー、小町との約束なのです! お兄ちゃん、破っちゃやだよ?」
前をとてとて歩いていた小町が、手を後ろに組んでくるりと振り返った。
その純真無垢な可愛らしさに、思わず思考が固まって。
「……おう」
短く答えると、小町が再び俺の手を握った。今度はいやらしさが無い……恋人繋ぎだった。どっちにしろ恥ずかしい……。
「よし! やー、楽しみだな~」
「…………」
めっちゃ振り回されてんじゃん、俺。
……などと思いながら。
小町のにこにこと幸せそうな笑顔を見ると、多少の不満はどうでも良くなってしまった。
やがて家に着いて、自転車を停めると、何とはなしに小町の頭をくしゃりと撫でる。「ふあ……?」と気持ち良さそうにする小町に内心悶えながら、鍵を開けて中に入る。
まず電気を点けると、
「ただいまー!」
「おう、おかえり」
元気に挨拶をする小町に、一緒に帰ってきた身ではあるが、俺が返事をする。
明日どうなるのか超不安だけど超楽しみいやそんなことは……などと考えつつ。
隣の小町を見て、家の暖かさとはまた別の、優しい温もりが身体を包む感覚に頬を緩ませた。
続く。
久しぶりの小町でした。描写に少しずつ色を付けつつ、更に濃厚に。
きちんとレベルアップを図りつつ……と思い、色々と表現を試しながら書いています。試行錯誤の毎日です。
気付けばこの作品の合計文字数が500000字を越えてました。マジか。
<再び、小説情報の募集>
毎日沢山の方にご覧頂いているので、せっかくなので皆さんの力をお借りしたいです。
すごーーーくピンポイントなシーンが、ほんの一部でも良いので書かれている小説(ジャンル問わず)を探しています。
「恋人関係(もしくはそれに類似した関係)の男女2人が家の中で普通に生活していて、夜にベッドに入った時でもその他の時でも、何かの拍子に性行為に及ぶ時の空気感の変化を細かく描いた」シーンがある小説を探しています。
こういう、微妙な空気の変化の描写にもっと彩りを付けたいなと思い、ここで書かせて頂きました。何か少しでも情報があれば、ぜひ感想欄なりメッセージなりで教えて頂きたいです。よろしくお願いします!日々是精進。
それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!