小町がドア1枚を隔てたすぐ向こうにいるこの状況で。
この人は、一体何をしているんだ――?
陽乃さんはいやらしく伸ばした長い舌を口の中にしまうと、ドアの方に顔を向けた。
「小町ちゃーん。さっきはごめんねー?」
「あ、いえいえー! びっくりはしましたけど、びっくりはしましたけど!」
大丈夫とは言わないんだな。
陽乃さんはドアに顔を向けたまま話を続ける――と思いきや、目線をドアに向けて小町との会話を続けながら、突如手の指を肉棒に絡めてきた。
「ちょ……っ!?」
目と声で抗議をするが、もちろんそんなものは通らない。もちろんって言うのも悲しいけど。
陽乃さんが肉棒に、しゅるしゅると淫猥な動きで指を絡めてくるのに悶絶していると、
「小町ちゃん。今ちょっと取り込み中だから、ドアの前に置いておいてくれる? ごめんねー」
「うっ……ぐぁっ……」
陽乃さんの指が亀頭を念入りに責め立ててきて、にちゃにちゃという淫猥な音と共に耐えがたい射精の衝動が押し寄せる。小町にばれないように必死で声を殺していると、小町の声が聞こえた。
「了解しましたー! お兄ちゃん、ファイト!」
「何をだよ……っ!?」
小町がお盆を下に置いた音がした瞬間、視線をドアに向けたために陽乃さんから目を離した。その一瞬の隙を突かれて、再び肉茎が陽乃さんの口に呑み込まれた。
「ちょっ……ま、待って、待って、待って……っ!」
小町がとててと可愛らしい足音を立てて離れていくが聞こえる。待ってという言葉は2人に対して投げかけたように思えた。
「じゅるっ、あむっ、じゅぷぷ、ごぷっ、んふぁっ、じゅぷぷぷ……」
「あがっ、ぐぅぅぅ……っ!」
陽乃さんはさっきよりも深々と咥え込んできていて、亀頭が喉奥に当たる感触がした。恐ろしい程の快感にぞわっとして陽乃さんの顔を見ると、発情しきった牝の顔をしていて、その顔を見ただけで射精してしまいそうになる。
「ちょっ……陽乃さん、本当にやばいですから……っ!」
顔を引き離そうと手を伸ばすと、陽乃さんは肉棒をぱっくり咥えたまま俺の両手首を掴み、ぎりっと締め上げるような角度で固めたまま、再び口の中で肉棒を蹂躙し始めた。
「うぐぁぁぁぁ……っ!」
腕が脇腹にぴったりくっついた状態でぴんと伸びたまま、がっちりロックされる。少しでも抵抗や逃亡を試みようと動こうものなら激痛が走り、その行為が無駄であることを思い知らせてくる。
快感で足にも力が入らず、抵抗の手段が絶たれた。
陽乃さんはとても楽しそうに目を細めて、亀頭から玉まで満遍なく舌を這わせてくる。舌が持つ独特のザラついた感触に肉棒を撫で回されて、痛みが走らないように腕を固定したまま、何度も背筋をぐにゃぐにゃと悶えさせる。
「じゅぷぷ、ぐぷ、じゅぶ、ずぞぞぞ、ぢゅりゅ、ぢゅっぷ、ぐぽっ、ずろろろろろ……っ」
「あっ、あがっ、あっ、あっ、あっ……」
意識を刈り取られそうな快感の波に翻弄されて、無意識に足を彷徨わせて陽乃さんの首を後ろから挟み込んだ。少しでも安定した場所が欲しかったのだろうか。
間もなく決壊を迎えそうな下半身の感覚に打ち震えていると、陽乃さんが俺の足に挟まれたまま、にやりと目を細めた。
何を考えているか全く読めない陽乃さんだが、この時だけは何を云わんとしているのか、手に取るように分かった。
『出して、良いよ』
そんな、シンプルなメッセージ。
次の瞬間、一気に俺を射精へ追い立てようと、陽乃さんの顔が左右に動き出す。
「じゅぶぶ、ずろろろ、じゅぶ、ぐぶぶ、ずりゅ、じゅっぷ、ぐぷ、ずぞぞぞ、じゅるるるる……っ」
喉奥と内頬の触感に脳を焼かれ、口内で蠢く長い舌に理性を舐め取られる。
もう、だめだ――。
そう思った時。
「ぎっ……!?」
陽乃さんが手首をくいっと返すと、抵抗さえしなければ痛むことはなかった両手首に激痛が走った。それと同時に口内の愛撫も激しさを増す。
そこから射精に至るまでの10数秒くらいは、天国と地獄が明確に存在していた。
口淫による、全てを忘れそうな程の快感という名の天国と。
関節技による、余計な動きをしなくても強烈な痛みが走る地獄と。
「あがぁぁぁ……っ!」
陽乃さんの口の動きの激しさと、手首に加えられる痛みが比例する。
狂おしい程の快感が背中を駆け上がり、下腹部の奥で燻る熱い塊が限界を迎えてせり上がってきた。
「もう、出る――っ!」
泣きそうな声で告げると、不意に手首が解放された。何故なのかを考えるよりも先に手が動き、陽乃さんの頭をがしっと掴む。逃げはしないだろうが、それでもたとえむせようが何をしようが逃がさない為に……そう思った、のだろう。自分でもよく分からなかった。
「うぐぁ――っ!」
頭の中が真っ白になる程の快感と同時に、口内で舐られ続けた肉茎が激しく戦慄き、白濁の塊を解き放った。
「んふぅぅぅぅ……っ!」
大きく膨れたペニスから熱い滾りが濁流の如く噴き出たことで、陽乃さんが口で受け止めながらくぐもった声で悶える。
「んむふぅぅぅ……んむっ、んぐっ、ごくっ、ごくっ、んぐぅっ、んんんん……ごくっ、んんんん……っ!」
全ての精液を、陽乃さんは何とか全て飲み込もうとしていた。陽乃さんの目に涙が浮かんでいることに気付く。
やがて大きな波が去って脈動が落ち着くと、陽乃さんの口の動きも止まった。陽乃さんの顔を押さえ込んでいた足と手を離すと、陽乃さんが口をすぼめてちゅるちゅると音を立てて尿道口から残りの汁を吸い出した。それだけでもたまらず、またむくむくと勃起してしまう。
「ぷはっ……はぁ、はぁ、けほっ、比企谷、くん、かふっ、すごいね。ゼリーみたいに濃かった。あは、こんなすごいのに嬲られたら、わたしおかしくなっちゃうかも……」
「あんたねぇ……」
いたずらっぽく、また妖艶に微笑む陽乃さんにどきどきしながら、さっきまでがっちり極められていた手首をぷらぷらとする。うん、まぁ大体大丈夫そうだ。この人、こんな状況下でぎりぎりまで力加減が出来るってマジどういうスペックなんだよ。
しかし。
「…………」
俺の仕草を見た陽乃さんは一瞬目を見開いて、しゅんと眉根を寄せた。
「? どうしました?」
どうしたのかと思い尋ねると、陽乃さんの視線が俺の手首に向けられる。
「……ごめんね? 少し……やりすぎちゃった。痛かったでしょ?」
「え? あ、いや……」
突然そんな素直に謝られても……。
頬をぽりぽりと掻いて、本棚に目をやりながら答える。
「まぁ、驚きましたし、実際痛かったですけど。今は何ともないみたいですから、別に良いですよ、もう」
言ってちらりと陽乃さんを見ると、目にふんわりと光が灯った。
「……ほんと?」
「ほんとですよ」
「……ほんとに良いの?」
「だから良いですって。何度も言わせないでください」
「何もしなくて良いの?」
「何ですかそれ。何もしないですよ。良いからまずはこいつをしまわせてくださ――」
再びてろんと大人しくなった自分のモノを見て何とも言えない気持ちになり、早くしまいたいと言おうとしたところ――
「わたしのこと、全裸で目隠ししてボールギャグ噛ませて腕と足をぎちぎちにしばり上げておもちゃでイジメたりしなくて良いの?」
えげつない危険球を放ってきやがった。
「だか、らっ、て、俺、あ、え、えい? いや、その、ええ?」
やべぇ。
今の俺、超ダサい。
なんで陽乃さん、今のえげつない台詞を純真無垢な顔で首をくりっと傾げながら言えるの? 超可愛いけど違和感が半端ないんですけど。タラちゃんが中尾彬の声で喋るくらいの違和感。何だこの例え。落ち着け俺。
テンパりにテンパっていると、陽乃さんが可愛らしいきょとんとした顔のまま、更に追い打ちをかけてきた。
「おもちゃじゃなくて比企谷くんの手でも良いよ? わたしそっちの方がやばいかも」
「ちょ、ちょっと、その話やめてください」
鼻血出そう。やばい。この人何言ってんだ。実際にそんなことしたらあなた無事じゃ済まないでしょう。
陽乃さんは俺の制止など歯牙にもかけず、勝手に感慨深げに頷く。
「比企谷くんの指で胸もアソコもめちゃくちゃにされてどろどろになったわたしの中に、比企谷くんがこの逞しいものをずぷりと……あ、これやばいね。わたし一発で意識飛んじゃいそう」
「あんたはどこの痴女だーっ!」
「きゃーん!」
たまらず叫ぶと、陽乃さんは楽しそうに叫んで……よりによって、陽乃さんの話によってがちがちに勃った俺のモノの陰に顔を隠しやがった。何この卑猥なかくれんぼ?
まったくこの人は……と思っていると、陽乃さんがひょっこり顔を出した。うん、顔も表情も超可愛いけど、状況がシュールすぎるのでもう何とも言えません。
「でも……本当に良いの? 比企谷くん。わたしは結構本気でやってもらってみたいかもって思ってるよ?」
「え、いや、ちょ、いやいや、その、あーっと、うん、えーっと」
比企谷八幡、大混乱。
頭をぶんぶんと振る。
考えろ。どうしたらこの地獄みたいな状況を打破出来る? 考えろ、考えろ、考えろ――
あ、そうだ。
「……あー、アレです、また今度、ってことで」
保留。
苦肉の策だが悪くないのではと思いつつ陽乃さんの顔をちらりと見やると、陽乃さんは一瞬ぽけっとした顔をして、間もなく呆れ混じりのため息をふっと吐いた。
「……ん、わかった。じゃあ今度、比企谷くんがわたしの四肢をベッドに縛り付けて、抵抗出来ないのを良いことに何回も何十回もイカせてくれるんだね! まったく、比企谷くんは鬼畜だなぁ」
「鼻血出ました」
「なんでなの……」
今度は本気で呆れられた。
ティッシュで拭きながら、ふと今の状況を思い出す。
……俺の股間に陽乃さんが顔をうずめたままでこんな会話してたのか、俺たち……。
「あ、小町が作ってくれたご飯」
大事なことを思い出した。なんでマイエンジェル小町、大天使コマチエルが作りたもうた夕食の存在を忘れていたんだろうか、我ながら信じられない。
「ん、そうだね。せっかく小町ちゃんが作ってくれたんだもんね」
陽乃さんが、いつも通り、いやいつも以上に優しく、ふわりと微笑んた。
ああ、ずるい。
どれだけ理不尽な目に遭って、どれだけ寿命が縮む思いがしても、この笑顔を見るとまぁ良いかと思えてしまうのだから。
取り敢えず手を洗わなきゃなぁ……と思いながら、何とはなしに陽乃さんの髪をくしゃりと撫でた。
「んぁ……」
「え……」
うっとりとした顔で艶っぽい声を上げたため、本気で唖然とする。陽乃さんは目を細めて気持ち良さそうに身を委ねている。
そこから数分程、ついさっきまで悲惨且つ淫猥な目に遭っていたことも忘れ、夢中で陽乃さんの頭を撫でていた。もちろんモノはしまった上で。勢いで陽乃さんを抱きしめると、陽乃さんは何も言わずに俺の胸に顔をうずめた。
「ふぅ……ん……っ」
「……っ」
撫でる度に漏れる気持ち良さそうな声に、心が蕩かされる。
――本当に、この人は一体何なんだ……。
続く。
はるのんでした。痛みの要素を入れてみました。もっとぞわぞわぞくぞくするのを書きたいです。参考になりそうな、良さげな本を買っているので、土日月で読んでみようと思います。
<改めてお知らせ>
明日明後日(日・月)は投稿をお休みします。火曜日には復活しますので、どうぞご期待ください!読み返して頂けたりするととても嬉しいです。
平日も終わりましたね。連休、楽しみましょう。
それでは、また3日後にお会いしましょう(^^)!初めて言ったこのセリフ!笑
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!