※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

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(18)

 陽乃さんとの脳内デート、続行中。

 現在、陽乃さんの指定により、濃厚ベッドシーンが話題の映画を見に来ていた。

「はい、上映部屋に入ったよー」

 陽乃さんがのんびりと状況を説明する。

 脳内デートでの状況の指定は互いに権利がある。なるべく変なことにならないように……。

 よし、と心の中で気合を入れて、ぐっと握り拳に力を込める。

「あー、結構人が居ますね。こりゃあとてもじゃないけど、普通に観る以外のことは」

「あー、がらがらだね。公開中のはずなのに。昼間に観る気は起きないのかなー。うーん、わたし達の他には……うわ、一人で見に来てる人が前の方と真ん中手前に……うん、2人しか居ないみたいだね。じゃ、私たちは一番後ろの奥に座ろっか」

「…………」

 俺の方が、先に言ったよね?

「えーと、雪ノ下さん、あの」

「あー、がらっがらなのかー、しょうがないなー。……じゃ、比企谷くん、後ろ行こっか」

 理不尽だ……。

「……はい……」

 引き続き脳内で、陽乃さんに手を引っ張られていくのを想像しながらも場面は進む。

 

       ×  ×  ×

 

「うわー、冒頭からベッドシーンだ。うひゃー」

 陽乃さんがわざとらしく驚く。この言ったもん勝ち感、すごいな……。ちなみに俺は陽乃さんが今の言葉を喋る直前まで、映画泥棒のことを思い浮かべてました。勝手に振付とか考えるの楽しい。彼(?)が楽しそうにボックスステップを踏む姿を思い浮かべて勝手に和んでみた。

「……俺はベッドシーンなんてまともに観たことないですよ」

 小学生の頃家族でテレビを見ていた時(あの頃はまだ両親とも今ほど社畜になってはいなかった。平和な時期だった、うん)、ベッドシーンが流れた時の気まずさを思い出してしまい、その後見ようと思えば見られるタイミングがあっても、忌避するように見ていなかった。ちなみにベッドシーンが流れたとき、小学校低学年だった小町は「ほえ? お母さん、あれなにー?」と可愛く首を傾げて可愛く質問していて(超可愛い)、母は抜群に気まずい顔をして「え、えぇっとね……お、お父さん、何とかして!」という目配せを親父にするも、当の親父は朝読んだ筈の新聞を熟読するという下手極まりない逃げ方をしていたのを鮮明に覚えている。その夜両親の部屋で母が親父を叱る声が聞こえてきて、物凄く切ない気持ちになった。ケンカにさえなってなかったし。

 ああ、この状況が緊張しすぎて、つい現実逃避してしまった。

 具体的な描写を何とか避けようとする俺の意思は見え透いているのか、陽乃さんがくすりと笑って内腿を撫でてきて、耳にふっと息を吹きかけた。

「わたしも観たことないよ。だから、想像しよっか」

 ……妖しい流れになってきた……。

「あ、俺アレなんです。こういう映画ってどこまで描写するのか分からないから、全然加減が分からないんです。だからやっぱり今からでも違う映画に」

「わたしも分からないから大丈夫だよ。それにこれはあくまで想像だから。さ、考えてみよう」

 逃げ場が無い。

「……じゃ、じゃあ……」

「うんうん」

「まず、2組の男女がベッドに入ってます」

「それ4人になるけど」

 間違えた。いかん、テンパっている。「何頼もうか」「あたし、同じのでいいよ」「じゃあ、ラーメン2つ」「あたしも」という黄金パターンのコントみたいになっていた。

「えーと、2人の男女がベッドに入って、布団をかぶってます」

「そっか。それで、男の人が顔を出して、何やら仰向けで気持ち良さそうにしてるね。何をしてもらってるのかな?」

 え、こんな責め方ありますのん?

「え、えぇっと……」

 思考を詰まらせ、答えに詰まる。下半身に血液が流れ込み、徐々に欲望が屹立していく。じわじわと真綿で締められるような感覚は、決して一時で済むものではないのだろう。きっと、ここからどんどん……。

「……お、女の人に、モノを触ってもらってます」

「モノって……なぁに?」

「うぇ……っ!?」

 言って、陽乃さんが俺の首に手を回して、ぐいと顔を近付けた。

「ねぇ、モノって……なぁに?」

 耽美な声を、吐息がかかる程近くで耳から流し込まれて、身体全体に甘い痺れが走る。ズボンの中で、肉棒が狭そうにびくびくと蠢いている。

「や、それは、その……」

 面接でも受けているかのように両手を固く握りしめて、唇をきゅっと引き結ぶ。答えられずにいると、陽乃さんが更に唇を近付けた。

「もう……ちゃんと答えてよ。……おちんちん、でしょ?」

「……っ、……は、はい……っ」

 蠱惑的な響きを持った声で淫語を囁かれて、背中に稲妻が走った。今すぐ社交界に行ったとしても、容姿の面でも礼儀の面でも何ら問題の無いであろう気品を持つ彼女が、こんな言葉を……そう思うと、言い知れぬ背徳感を覚えた。

 陽乃さんは身体を俺の方に向けて密着して、尚も続ける。左腕に感じる熱と柔らかさ、そして漂う甘い香りに思考が陽炎の様に揺らぐ。

「それで? その女の人はどんな風に触ってるの? それに女の人の口が空いてるよね? 口で男の人に何かしてない?」

 いよいよ、逃れることが出来なくなってきた。陽乃さんの細い指が内腿を蠢いて、答えを急かすように、答える以外の選択肢は無いとでも言うように、とんとんと指先でつついてくる。

「うっ……そ、その……き、亀頭、を、……手の平と指で嬲るようにじっくり撫で回してます。それに口は……男の人の、乳首をねっとりと舐め上げて、舌先で執拗につついてます」

 言うと、陽乃さんが耳元でくすりと笑った。陽乃さんのもう片方の手も内腿を撫でてきて、生地の上を柔らかい指の腹が熱っぽく這い回る。

「あはっ……良いね、良いね。どんどん具体的になってきた。楽しくなってきたよ。それで、それで? 今度は女の人が布団を剥いじゃって、お互いの姿がはっきり見える状態になって、口を男の人の胸からお腹に這わせてきたよ。この後女の人はどうするのかな?」

「うっ……そ、その、裏筋に舌をゆっくり這わせて、上目遣いで男の人を見ながら、何度も何度も舌を這わせます。途中で陰嚢も舐めて、口に含んで転がして……その間も、ずっと男の人を見つめ続けて男の人の反応を見ています」

 陽乃さんの魔性の声に思考が麻痺して、催眠術でもかけられているかのように淫猥な言葉がするすると出てくる。

「ふむふむ、それで、男の人はどんな反応をしたの?」

「たまらなくなって、何度も『気持ち良いよ』と言いながら、身体を震わせて、『頼む、咥えてくれ』ってお願いします」

「へー……」

 不意に。

 陽乃さんの声の温度が下がり、ぞくりとする。

 唇を俺の耳元に近付けて……柔らかな唇がちゅっと触れた。

「……それが、比企谷くんがされたいことなんだ?」

「……っ」

 どこまでも冷たいのに、どこまでも扇情的な、そんな声音。

「……そ、そんなことは……っ」

 声を詰まらせながらも答えると、陽乃さんはふっと軽く息を吹きかけて、ぱっと顔を離した。

「ふーん……取り敢えず、さっきの話の続きにしようか。ただし今度は映画のベッドシーンの話じゃなくて、そのシーンを見てるわたしたちの話ね」

「え……っと……」

「すごく淫猥なシーンを見てわたしたちはすぐさま興奮してきた。わたしはたまらなくなって、比企谷くんの手をきゅっと握る」

 自分たちの話になった途端に、同じ想像の中での話だと言うのに、緊張感が跳ね上がった。

「難しいことは考えないでね。やりたいようにやるの。……やらなきゃだめ」

 陽乃さんの、俺の行動から逃げの選択肢を排除する姿勢は尋常ではない。一種の執念さえ感じてしまう。

「……じゃ、じゃあ……雪ノ下さんが握ってきた手を、握り返します」

「どれくらい強く?」

「結構……力を入れてます」

「どうして? どんな感情を抱いてるの?」

 言われて、考える。

「……多分、独占欲……とか、……征服欲に、近いんじゃないかなと思います」

「……っ」

 答えると、隣でこきゅっと喉を鳴らす音が聞こえて、自分の足に触れている陽乃さんの足がもぞもぞと動いた。

「ん……んくぁ……っ」

「? 雪ノ下さん?」

「ふぅっ、んふぅぅ……っ、……何でもないよ」

 明らかに挙動不審だったんだけど……追求しない方が良さそうだ。

「そっか……征服欲ね、ふふふ。……それで?」

 目を閉じたまま、何も考えずに、考える。

 映画館という薄暗い空間で、声を殺して、陽乃さんと手を繋いで……そこから、やりたいこと?

「……陽乃さんの脇の下に手を伸ばして、胸を思い切り揉みしだきながら引き寄せて、唇に吸い付きます」

 考えたことを何の推敲もせずに宙に吐き出した。何を言ってるんだ、俺、こんなこと考えてたのかよと自分に呆れていると、隣から思わぬ声が漏れた。

「んくぅぅ……っ!」

「え、ちょっと……雪ノ下さん?」

 陽乃さんが甘ったるい声を上げると同時に、俺に抱きついてきた。柔らかな感触が胸に押し付けられて、そのままこてんとカーペットの上に倒れる。

「あの……」

 問い掛ける。こんな状況でも一応目は閉じているので、何が起きているのかさっぱり分からない。陽乃さんも俺も、後頭部をぶつけたりしなくて良かったなどと呑気に考えていた。

 陽乃さんが切なそうに身を捩らせて、頬と頬をすり寄せてきた。

「……どうしよう、こういう流れもあるかもとは思ってたけど、いざ本当にこうなると予想以上に……」

「ゆ、雪ノ下さん?」

 暗闇の中問い掛けるが、陽乃さんは答えない。

「……その後は?」

 口を開いたと思いきや、続きを促す言葉だった。

 このくだりをきちんと終わらせないと、落ち着くことは無さそうだ。

 陽乃さんとのやりとりは、尚も続く。

 

 

 

 続く。




はるのんでした。

☆☆祝・全話PV(ページビュー)7,777,777突破☆☆
少し前にPVを確認したところ、「あれ、これもうじきゾロ目だ」と気付いてから、ちょこちょこと確認していました。本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします(^^)

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もうじき雪が降るというタイミングで車検があったため、タイヤ交換も一緒にしてもらいました。毎年除雪をしない所は建物の1階分くらい積もる場所なので、気合を入れたいと思います。

1週間が始まりますね。最近のジャンプはずっとトリコとニセコイが前後でくっついていますね。ここで言ってどうすんだって話ですけど。
頑張りましょう。
それでは、また明日ここでお会いしましょう(^^)!
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!
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