陽乃さんに先を促されて、脳内デートは尚も続く。……まあ、序盤も序盤から、デートの体は成さなくなってたけど……。
陽乃さんは俺に柔らかな肢体をすり寄せたまま、続く言葉を待っている。
こめかみをぽりぽりと掻いて、先の展開を考える。
「映画のベッドシーンが本番に入った所で、お互いの興奮も高まって益々激しく口付けをします。陽乃さんに俺が大量の唾液を飲ませて、胸元に手を突っ込んで胸を揉んで――」
――よくもここまでするすると話せるものだと驚くと同時に、あることに気付く。
陽乃さんの、このゲームでの目論見は、言葉と僅かなスキンシップで俺の欲求を引き出して、理性を剥ぎ取ることだったのかもしれない。確信は無いけれど自信はある。
けれど、いざ俺の欲求が止めどなく吐き出され始めると、それに思い切り影響を受けて、陽乃さん自身に火が点いてきた……そう、考えることも出来る。
あくまで推測に過ぎないけれど。
相手は、あの、雪ノ下陽乃なんだから。
しかし、この推測ならばさっきの陽乃さんの異変も、それに構わずゲームを続けようとする姿勢も納得出来る。……ここまでも含めて陽乃さんの計算と考えても、何ら不思議は無いのだけど。
……まあ、今はどう考えるにせよ、続けるしかないだろう。
陽乃さんの背中に片腕を回して、そっと撫でる。衣服越しに感じる確かな熱に、心臓がどくんと高鳴った。
「うっ……くぅ……っ、それで?」
「雪ノ下さんは体質の関係もあって相当反応しやすいので、口付けをしてる間絶えずくぐもった声を上げます。口を離して胸の形がぐにゃぐにゃと変わるくらいに強く揉むと、陽乃さんは自分で口を押さえて必死で声を上げないよう我慢します」
「ぁ……うぁっ……」
仰向けにされたまま紡ぐ俺の言葉に、頬をすり寄せたまま陽乃さんが悩ましい声を上げる。陽乃さんから香る甘い匂いが濃くなって、益々陶然として身体から力が抜ける。
――今、一体、俺はこの人をどうしたいんだろう。この人はどうされたいんだろう。
……色々、やってみるか……。
そう思い、試しに、背中に腕を回してぎゅっと抱きしめて、一気に捲し立てる。
「今度は両手で雪ノ下さんの胸を揉みくちゃにします。余りの柔らかさと弾力に夢中になって、雪ノ下さんがどれだけ痙攣しようが何しようが構わず、めちゃくちゃに、めちゃくちゃにします」
「うぁぁぁぁ……っ」
陽乃さんがもぞもぞと身体を蠢かせながら、艶っぽい声で喘ぐ。艶かしい肢体を揺らして密着されて、狂おしい程の興奮を覚える。強い嗜虐心が身体の奥底から溢れ出てくるのを感じた。
妄想による蹂躙は、尚も続く。
「……散々揉みしだいた後、今度は雪ノ下さんの素肌を見たくなります。映画は日常のシーンに入っていますが、そんなのは関係ありません。……雪ノ下さんに命令を出して、俺の目の前に立って、全裸になってもらいます」
「…………っ」
こきゅっ、と陽乃さんの喉が鳴った。
そして、首の後ろにそっと腕が回され、甘い吐息が顔にかかって鼻腔に染み渡る。俺の腰をすらりと伸びた脚がぴたりと挟み込んできた。密着状態で身体を動かしたため、スカートが捲れ上がり中の柔らかい生地が股間に擦り付けられる。
陽乃さんが、ふぅ……と息を吐く。興奮と、不安と、幾分の諦観が混じったような、そんな吐息。
「あー……もう、これやばいかも」
「? 雪ノ下さん……?」
「……ま、いっか……」
陽乃さんが呟いた言葉の意図を考えていると、陽乃さんに突然身体を起こされた。戸惑っている内に胡座をかかされ、股座に陽乃さんが向かい合って座ってきて、俺の腰に美しく長い脚をするりと回してきた。互いの太腿が重なり、俺の足が下に、陽乃さんの足が上になる形になる。陽乃さんの手に誘導され暗闇の中足を動かすと、どうやら互いの腰に互いの足を巻きつけた形になったようだ。
陽乃さんの手が首に回され、指の腹が、指先が、蠱惑的にうなじの上を這い回る。
暗闇の中から、一段と妖しい雰囲気を纏った声が聞こえた。
「比企谷くん、さっきのシーンで確認したい部分があるんだけど」
「……何でしょう」
「さっきのシーンで、比企谷くんはわたしの胸を揉みくちゃにしたんだよね」
「……まあ、そうですね」
「そっか……」
「そうで……す――っ!?」
心臓が止まりそうになった。
陽乃さんが、俺の手を引っ張って自分の胸にまで寄せて、触らせてきた。目を開けて確認するまでも無く分かる、この柔らかい感触。幾度となく身体に当てられていた、あの感触だった。
「……揉みくちゃに、したんだね……」
確認するように、自分に言い聞かせるように呟きながら、陽乃さんが俺の手を掴むのをやめた。柔肉に沈み込んだままの指が置いていかれて、どうしたら良いか分からなくなる。
俺の手は、今、陽乃さんのたっぷりとした乳肉に埋もれている。ニット越しとは言えその事実は揺るぎない。
「……揉みくちゃに、したんだね……」
念を押すように耳朶を打つ、陽乃さんの淫猥な艶声。
本能を抑え込む理性が、陽乃さんの乳肉を掴む指を伝って、陽乃さんの身体の中に流れ溶けて行った。
「そう、ですね……」
言いながら、指を乳房に深く食い込ませると――
「んくぅぅぁあぁぁ……っ!」
陽乃さんが、俺の腰に巻きつけた足にぎゅっと力を込めた。予想を上回る柔らかさと弾力に、ごくりと息を呑む。指に力を込めればその分だけ柔肉に埋まっていって、その感触に夢中になって揉み始める。
「あぁっ、あっ、あぁぁ……っ」
陽乃さんの甘い喘ぎを楽しみながら、目を見開いて無言で揉み続ける。
陽乃さんの服は胸元が開いている為に、乳肉を揉みしだく手の指が、自然と陽乃さんの2つの乳鞠の谷間の柔肌に直接触れて食い込む。
直接触れた部分は淫らな熱が篭っていて、押し込めば押し込むだけ指が埋没してしまう程の淫らな柔らかさを持っていた。
陽乃さんの艶美な姿態を、この目で見たい――そう思ったとき、陽乃さんが腕を背中にまわして抱きしめてきて、おでこ同士をこつんと当てた。
「……目は開けちゃだめだよ。その方が楽しめるから、ね?」
「お……ぁ……っ、……はい……っ」
甘美な声と吐息に顔を包まれ、限定された感覚が更に研ぎ澄まされる。
「……あっ、くぅっ、ふぅん……っ」
手の指が陽乃さんの乳房に埋まるごとに、悩ましい衣擦れの音がする。陽乃さんの手が背中を離れて今度は下腹部に迫ってくると、心の底から言い知れぬ期待感を抱いた。
「ねぇ……っ、次、どうしたい? 映画館の中で、わたしたち、どうしちゃおっか……?」
言いながら、ジーンズの上から肉棒に指を這わせてきて、指を動かして先端をぐりぐりと刺激してくる。快感に身悶えして手を動かすとその分陽乃さんの双丘に指が深く沈み込んで、陽乃さんの身体がびくびくと跳ねた。
……この状況で次のことを言ったら……陽乃さん、絶対ここで実際にやりそう、というか絶対やるよな……。
――こんな逡巡も、もはや自分の中では予定調和と化した自己対話に成り下がっていた。
陽乃さんの身体をほんの少し貪っただけで、これだけの喜びが身体を包み込むなんて……ここで止まれる程、正常で異常な思考回路は持っていない、もはや持っていない。
ごくりと喉を鳴らす。
「雪ノ下さん、さっきも言ったでしょう?」
「え……?」
陽乃さんは動揺を声に滲ませながらも、手の指でジーンズ越しに亀頭をぐりぐりと刺激するのをやめない。
「……雪ノ下さんには、全裸になってもらいます」
「……っ」
「聞こえませんでしたか? 全部脱いでもらうって言ったんです」
陽乃さんの身体が、ぶるりと震えた。
表面上は、あくまで、俺が妄想を語っているだけ。しかも、その内容はひどく稚拙で卑猥だ。
けれど、今は。
妄想を語っているだけという表面上の意味とは別で、俺が話したことが、そのまま陽乃さんに対する命令と化す。
「……そ、そっか、そうだよね、そうだったよね……」
「……そうですよ。忘れるなんて雪ノ下さんらしくない……」
ひどく白々しい会話をしながら手の指を動かすと、陽乃さんの身体がびくびくと跳ねた。跳ねたら跳ねた分だけ下腹部をまさぐる手の動きも激しくなる為に、陽乃さんへの愛撫に連動して鈴口からカウパーが滲み出る。
「……そっか、映画館の中でわたし、……裸……に……」
消え入るような声で陽乃さんが呟くと、俺の手をそっと掴んで、たわわな双丘から離した。まるでこちらの指を弾くかのような弾力に驚きながらも、この後の展開に胸を弾ませ、暗闇の中で息を呑む。
「……そっ、か……」
自分に言い聞かせるように何度も呟いて、陽乃さんがこきゅっと喉を鳴らした。
続く。
はるのんでした。
超寒くなってきましたね。
金曜日も頑張りましょう。
それでは、また明日ここでお会いしましょう(^^)!
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!