――ご褒美に、お姉さんが比企谷くんの服を脱がせてあげよう――
陽乃さんは蠱惑的な声で囁いて立ち上がり、目線で俺を促した。
部屋の壁に追い立てられていた為、背中の圧迫感も相俟って妙な緊張が走る。
立ち上がると、陽乃さんが俺の腰に手を添えた。
そして俺の足と足の間に自分の足を差し込んで、にこりと微笑む。
「さ、比企谷くん。まずは上からだね」
「え、あ、はい……っ!?」
陽乃さんが、上着のボタンを外しにかかる。
驚いて、上ずった声を上げてしまった。
ただ普通に外しているだけなのに。
ましてや今、陽乃さんは一糸纏わぬ生まれたままの姿だというのに。
「~♪」
――鼻唄混じりにボタンを外す光景が、あまりにも絵になっている。
心臓がばくばく言うのを感じながら見守っていると、陽乃さんはすぐにボタンを外し終えた。
上着を外側に開いて、中に来ているTシャツを何故か上にくるくると巻いていく。なんか聴音機を当てられる時に似ていて、いやな予感がした。
そして上着の肩の辺りに手を添えて、するりと脱がす――かと思いきや。
「……?」
脱げる寸前のところで、脱がす動きがぴたりと止まった。
今、俺の腕は両方とも後ろにぴんと伸びた状態になっている。
陽乃さんはどう力を込めているのか、俺は手首を押さえられてまるで動くことが叶わない。
陽乃さんは何故か俯いていて、その表情を窺うことが出来ない。
「……は、陽乃……?」
まだ名前で呼ぶのは抵抗しか無いのだけど、取り敢えず呼んでみる。
ゆらりと陽乃さんの顔が上がる。
先程までのにこやかな表情はどこへ行ったのか、その瞳は蛇のような鋭い光を湛えていて。
瞬間的に、今の自分が被捕食者であることを自覚する。
「脱がせるって言ってもさ」
陽乃さんが呟く。
空間に広がっていくはずの声が、湿り気を帯びて俺の身体に巻き付いてくる。
俺を捉える声の糸は、温もりが抜け落ちている気がした。
「……途中で何もしない訳じゃないよ?」
陽乃さんが首を傾げて、微かに口の端を吊り上げる。
……ちょっと待て、何だその微笑みは。
心臓が尋常でない程締め付けられるのに、その中でも確かな興奮を覚える。
陽乃さんが顔を近付けてくる。けれど俺の顔に近付いてくる訳ではなく――
「……っ」
ここで、陽乃さんの意図に気付く。
が、気付いたからと言って、何かが出来る訳ではない。
ほんの数瞬後、陽乃さんの瑞々しい唇が、俺の乳首に吸い付いた。
「……ちゅっ」
「っっ~~……」
快感の電流が走る。
反射的に、反応してはいけないと思い声を出すのを堪える。
そんな中、陽乃さんはゆっくりと唇を押し当てると、
「ちゅっ、ちゅぴっ、れろれるっ、んちゅるっ、ちゅるるる、ちゅぴゅっ、ちゅぱっ、れろれろ……んちゅるるる……っ」
一切の容赦なく、紅い粘膜で責め立ててきた。
予想を超えた悦楽の波に、我慢が利かなくなる。
「うぐぅぅぅ……っ!」
呻き声を上げてもがく俺を、陽乃さんは上目遣いで覗き見る。
まるで、俺の反応の一挙動さえ見逃すまいとしているかのように。
黒曜石の如く光を放つ瞳が、心を捉えて離さない。
陽乃さんの手が動き、俺の両手首をくっつけた。
それを片手で拘束すると、空いた手でジーンズのベルトをゆるめ、するりと下ろしてしまう。
残されたパンツの中に、陽乃さんの右手がするりと滑り込む。
ぞわりとした感覚が背筋を駆け抜ける。
既に暴発寸前にまで勃起した肉棒に指を絡めると、パンツの中でゆっくりしごきだした。
「うぐぁぁぁ……っ!」
乳首への刺激に加えて、直接的を肉棒を愛撫され悶絶する。
足首にジーンズが引っかかった情けない格好で、腰を子鹿のようにがくがくと震わせる。
陽乃さんは尚も俺の顔を覗き込んでいる。
扇情的な瞳を見ているだけで、肉槍の硬度が増してゆく。
不意に、陽乃さんが口を離した。陽乃さんの口と乳首の間に、細い欲望の糸が伝う。
「パンツの中で出すのと、お姉さんのお腹に出しちゃうの、どっちが良い?」
「…………」
この人、性格悪すぎるだろう。
どっちにしろ、言うの超恥ずかしいじゃん。
けれど、もう限界だ。
パンツの中に出すのは、被害の拡散は防げるものの……如何せん、不快になるのは避けられない。
もう一つの選択肢が「カーペットに出す」なんていうものだったら、流石にもっと考えたのだけど。
迷うと、それだけ言うのが恥ずかしくなる。かと言って答えなかった何をされるか分からない。本当に怖い。
なので。
「……お腹で」
早めに答えることにした。
陽乃さんは予想外の早さだったのか、きょとんとした顔をした。
しかし、陽乃さんは手を緩めてくれない。
「誰の?」
「うぐ……っ」
この体勢では頭を掻くことも出来ないなと思いながら。
「……陽乃の、お腹で」
答えると、陽乃さんがにやりと目を細めた。
「……ん、素直でよろしい。比企谷くんが思ったより素直だったから、お姉さん奮発しちゃおうかな」
至極楽しそうに言うと、陽乃さんは俺を引っ張って数歩下がり、膝立ちになった。
そして――その豊満かつ弾力性に富んだ乳房を、両側から掴んだかと思うと――一息に肉棒を飲み込んだ。
ぴんと張り詰めた肉槍が、柔乳の谷間に垂直の向きで突き刺さる。
「うおっ!?」
突如肉茎を包んだ柔らかな感触に、びくりと跳ねる。
極上の乳圧に加えて、じっとりと滲んだ汗のぬめりがたまらない。
陶然としていると、陽乃さんが俺に顔を向けて、でろりと舌を出した。
性の象徴のような長い舌に息を呑む。
「ん……っ」
紅い粘膜が口の中を行き来する度に、液体が溜まっていく。敢えて緩慢にしているのであろう動作は、目が離せなくなる程劣情を煽るものだった。
でろりと溜まった唾液が重力に負けると、ゆっくりと蜘蛛の糸のように伸びて、柔肉の谷間を潤していく。
極上の光景に目が釘付けになる中、陽乃さんが自ら乳肉をこねくり回し、唾液を肉棒にまで浸透させる。
「……比企谷くん、良いよ」
「え……」
「予行演習ってことで、ね? いっぱい、好きなように突いて」
陽乃さんの誘惑の言葉。
何か考える前に。
身体が動いた。
陽乃さんの双丘の先端部分を両手で挟み込んで、めいっぱい腰を引いて打ち付ける。
唾液と汗と先走りとが潤滑油になり、獣欲を妨げることなく最奥まで一瞬で到達する。
俺の下腹と陽乃さんの柔乳がぶつかり合い、ぐぱんっと卑猥な音が打ち鳴らされる。
陽乃さんがおとがいを上げ、喜悦の表情を浮かべた。
「あはぁっ! こっ、これ、すごい、ひぁんっ! えっち、だね……ひぃぃんっ!」
陽乃さんの乳頭を竿の根本に擦り付けながら抽送をしている為、俺だけでなく陽乃さんも疑似性交の虜になる。
乳房は、二足歩行になった人類が尻同様のセックスアピールをする為に発達したもの。
どこかで聞いた、そんな言葉を思い出す。
だから、この行為も至極自然に思える。
陽乃さんの顔を見る。
敏感な身体の中でも一際感じやすい場所を自ら蹂躙させ、頬を桜色に染め、眉を八の字に寄せて喘ぎ続けている。
扇情的すぎる顔は、見ているだけで達してしまいそうだ。
何度も腰を引いては打ち付ける。
陽乃さんは目が虚ろになりながらも、手に込める力加減を絶妙に変えていて、腰を打ち付ける度に微妙に違う快感が身を包む。
すぐに出してはもったいない気がして腰を止めると、左右で互い違いに扱き上げてきて、止まることを許してくれない。
陽乃さんが俺を見上げる。
くぱぁっと、口を開けた。
口内粘膜が見えて、陽乃さんの身体の内側を知ったような背徳感が湧き出る。
腰を屈めて、口の中に唾液を溜めて、陽乃さんの口に垂らす。
陽乃さんはそれを受け止めて、口の中でしばらく味わうと、こくりと飲み込んだ。
満足気な表情を見て、腰の動きを加速させる。
「んぐぅぅ……比企谷、くん、これ、やばっ、気持ちいっ……ひぃぃん! ひぃぃぃんっ!」
陽乃さんの口がだらしなく開き、快感に溺れているのだと淫らな表情が伝えてくる。
下半身がざわめいて、射精衝動が込み上げてくる。
「うぐ……も、もう、出る、出る、出る……っ!」
「あはっ、出るんだ? いっぱい出しちゃうんだ? 出して、出して、出して……っ!」
陽乃さんが興奮で声を上ずらせる。
陽乃さん自身もびくびくと戦慄いている。
抽送を繰り返す中、陽乃さんが射精を促そうと力を込めて、互い違いに乳房を擦り合わせる。
乳房を介して、陽乃さんの手でしごかれているような感覚に陥ると、陰嚢がきゅんと持ち上がり、輸精管を疼痛が突き抜けた。
「い……っ、もう、出る、陽乃、出る、出る、出る……っ!」
「出して、比企谷くん、いっぱい出して……っ!」
身体の奥底からマグマの奔流が湧き上がり、尿道を固体のような粘度の灼熱が伝う。
――びゅぶっ、ぶびゅるっ、びゅるるるっ、びゅくっ、びゅくびゅくっ、どぶどぶどぶ……っ。
「あっ、熱っ、熱いぃ……っっ」
陽乃さんが陶然とした表情で、全身を歓喜で震わせながら双丘の奥底にマグマを受け入れる。
受けきれなくなった白濁が、谷間からぼたぼたと下へ零れ落ちる。
凄まじい濃度のようで、谷間からゼラチンの糸が長く伸びて、床の近くまで来た所でようやく切れた。
「いっぱい出したねぇ……っ」
陽乃さんが流石に驚いたという口調で話す。恥ずかしいような嬉しいような。
陽乃さん自身も達したようで、息を荒げる様子が何とも色っぽい。
「これ、毎日してあげよっか?」
「え、マジっすか」
「ただし、最低でも二回はさせてくれないとダメっていう条件ね」
「二回だと足りないな……」
「え」
「何でもないです」
「比企谷くん」
「何でしょう」
「けだもの」
「平仮名で書かれた……」
けものより、けだものの方がダメージがあるのは何でだろう。日本語って不思議。
ティッシュとウエットティッシュで胸を綺麗に拭きとると、陽乃さんは「そう言えば」と言ってあっと言う間に俺の服を脱がせた。
さっきまでのは何だったんだ……。
陽乃さんが俺の手を取る。
不意に気付いた。
初めて、お互い一糸纏わぬ姿になっていることに。
「比企谷くん」
「はい」
「もう一回言うよ」
「はい」
「しよっか」
「はい」
短く三回答えると、互いにくすりと笑い合う。
俺と陽乃さんは、ベッドに向かう。
狭い部屋だから、それはたかだか数歩程度の出来事なのだけど。
時間がやけにゆっくりに感じられて、幸せが身体の奥底から湧き上がった。
続く。
はるのんでした。もっとエロくもっとエロく……!
それでは、また明日ここでお会いしましょう(^^)!
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!