「あ……う……」
「……………………」
いろはがもどかしそうに身体をよじるのを、悶々としながら眺める。
――いろはの手首に俺のTシャツを巻くと、いろははアイマスクをしたままそれに顔を寄せてすんすんと鼻を鳴らし、「えへへ……」と嬉しそうに声を漏らした。やめろやめろ、頬を緩めるな、可愛すぎて死にそう。
その後いろはを仰向けでころんとベッドの上に寝転がらせて、手首を掴むといろはの頭の上に拘束された両手を持って行った。上から吊るされているかのような、そんな状態。
いろはから手を離すと「あぅ……」と寂しそうな、不安そうな声が聞こえて……あー、なんか俺、おしおき向いてないかも、と思った。触れながらするのは大歓迎なんだけどね。
もし今いろはにアイマスクを着けていなくて、いろはの寂しそうな目を見てしまったら……多分その目に負けていろはの拘束を解いて抱きしめて、いろはに「もー、先輩、それじゃおしおきにならないですよー」とか言われつつ頭をぽんぽん撫でられてそのままいつもの流れになっていただろう。何それ結構良いかも。
や、そうじゃなくて。
もう一度、いろはを見やる。ちなみに俺は上裸で、胡座をかいていろはの様子を見守っていた。
いろはとの距離は、互いに触れそうで触れない、そんな距離。
俺からすれば、目の前にいろはが居るのだから、別になんてことのない距離なのだけれど。
いろはにとっては、視覚を塞がれた今のいろはにとっては、この距離は果てしなく遠かったようで。
身体をよじらせて、内股を切なそうにこすり合わせているいろはが、顔を俺が居る(と思っている方向。実際合っているけれど)に向けて、唇を震わせた。
「あぅ……せんぱいぃ……っ、どこぉ……っ? やぁっ……怖いよぉ……っ」
「……………………………………………………………………………………」
笑わないで聞いてほしい。
鼻血出た。
「…………」
無言でベッドから離れ、ティッシュが置いてある場所に向かう。まさかの事態だった。この時、ベッドが軋んだ感触にいろはが気付いたのだろう、顔を僅かに起こして口を開いた。
「あっ、せ、せんぱぃ……っ、やぁっ、行かないでぇ……っ」
「……………………」
ティッシュ3枚追加。
ふきふき。
ついでにウェットティッシュも使って念入りに手を拭く。手は汚れてなかったけど、一応。
別におしおきの内容は厳密には決めてないんだから、声で答えても良いとは思うんだけれど……何故だか今は、自分の中で声に出して応じてはいけないというルールを勝手に作っていた。全くもってめんどくさいヤツだなぁ、俺。
綺麗に拭き取って再びベッドに上がる。ベッドの軋みがいろはに伝わると、いろはの頬が緩んだ。危ない危ない、危うくムツゴロウばりに撫でるところだった……。
さて。
どうしたものか。
試しに……と思い、いろはに気付かれないように顔を近付ける。いろはが相変わらず身をよじらせて「せんぱいぃ……どこぉ……っ? やぁっ……」と呟いている。ああもう可愛すぎて死にそう。
唇をいろはの左の耳元に近付けて、
「……ふーーっ」
と息を吹きかけた。
すると、
「ひぁぁぁんっ!」
いろはが身体を仰け反らせて、ブリッジせんばかりに身を反らした。
「え……」
あまりの反応の大きさに、呆然とする。緊張で高ぶっているから、こんなことになるのか……?
――ここで、一つ。
とびきり楽しそうなことを思いついた。
× × ×
いろはから顔を離して、
「10、9、8……」
と、ゆっくりカウントを始めた。それと同時に、いろはの逆側へと回り込む。
「……っ? え、せ、せんぱい……?」
不安げに首を傾げるいろはをよそに、「7、6、5、4」とカウントを続ける。3まで行ってから、いろはの右耳に顔を近付ける。
今度は、声を微かに混ぜた、先程よりも更に熱を帯びた吐息を浴びせた。
「んひぃぃぃっ!?」
いろはが先程よりも激しく背筋を反らした。
「? ?? ???」
快感に身悶えしながらも、一体何が起きているのかといろはが視線を巡らせる(と言っても、目隠しをしているので実際は顔を動かしているだけなのだけれど)。
「10、9、8、……」
「ひっ……!?」
引きつった声を上げて、いろはがびくっと身体を強張らせた。この子は賢いから、すぐに事態を察してくれたのだろう。内股に力を込めて、唇を引き結んで身体を震わせる様は、どうしようも無い程蠱惑的で、どうしようも無い程愛おしい。
今度は位置を変えないままで待機する。
「……5、4……」
この辺りで、いろはの首の後ろに手を回し、いろはを身体ごとぐりんとこちらに向けた。横向きで、左耳が上になった状態で――1まで数えて、耳の中に舌を挿入した。
ちろちろ、ちゅる、ちゅぷぷぷ……。
「あおぉぉぉ……あっ、あへぇぁっ、ひぁぁぁ……っ」
今度は俺に首を固定されているために激しく動くことも出来ず、俺の腕の中でびくびくと震える。足の指が不自然なまでに緊張して、びくびくと痙攣しながら指の曲げ伸ばしを繰り返す。
そしていろはの身体を仰向けに戻すが、首に手を回して逃げられない状態にして、再びカウントを始める。
「10、9、8……」
「ひぁぁぁ……っ、やっ、やぁ……っ」
身悶えしながらも、諦めているのか逃げようとはしない。1まで数えたところで、今度は右耳が上に来るように身体の向きを変えて、耳の中につぷりと舌を挿入する。肩にも手を回してがっちりと固定してより念入りに舐めると、
「あっ、かへぁっ、あっ、あぉぉぉ……あっ、あっ、あっ……」
先程とはまた違った、獣のような声をいろはが上げた。足を折り畳んでぶるぶると震えている。この子はやはり、力強く拘束した方が興奮するみたいだ。
耳に顔を近付けて「まだまだやるぞ……」と囁こうかと思ったが、やっぱりやめた。何をされるかも分からず、どう進めていくのかも分からず、いつ終わるかも分からない。
その状態で嬲るこの状況の、なんと、楽しいことか。
おしおきを渋っていたさっきの自分は何処に行ったのだろうと不思議に思いながら、心ゆくまでこの時間を楽しむ事に決めた。
× × ×
ここで、下も脱ぐことにした。
いろはが匂いに気付くように、いろはの頭のすぐ横で大げさにごそごそと音を立てて脱いで、ぎちぎちに隆起した男根をいろはの顔のすぐ上に晒す。
「ひぁ……っ!?」
匂いで気付いたのか、いろはがびくっと身体を震わせた。この後どんなりリアクションをするのかと思いきや、
「あ、あ、あ……」
顎を震わせて、ゆっくりと舌を上に伸ばし、顔を起こしてきた。
「うおっ……とぉっ」
鈴口にカウパーが滲んだ亀頭に、とろとろに発情しきった舌先が触れそうになったところで、慌てて離れた。危ない危ない、今咥えられたらあっという間に理性が飛んでしまうところだった……。
今度はいろはの左隣に添い寝するようにして、いろはの左腕をぐいと頭の上の方に上げる。
「あっ、え、え、え……っ?」
俺の目の前に腋を晒して恥ずかしくなったのだろうか、いろはが恥ずかしそうに身悶えした。その体勢のまま、いろはの腋の下に自分の吐息がかかるくらい顔を近付けて、
「10、9、8……」
とカウントを始める。
「っ!? やっ、え、そんな、そこ、ほんとにっ? やっ、やぁ……っ」
今度は明らかな予告をしたことにより、いろはにもこれから自分がどこを責められるのかが伝わった。敢えてさっきよりも間延びしたカウントをして、いろはの緊張を高める。
「……3、2、1」
「ひっ……ひぁっ、やぁっ、やらぁ……っ」
いろはの涙声に劣情を催しながら。
ゆっくりと、いろはの腋に舌を伸ばした。
続く。
11月だーーーー!!!
いろはすでした。
鼻血のくだり、何気に何ヶ月も前から書きたいと思っいたシーンでした。やっと書けた……。
睦月影郎先生の本を読んでいる影響か、フェティッシュな方向に行きました。このおしおきは書きながら思い付いたものです。勉強しながら書きます。
総合評価がもうじき9000に到達しそうです……実感が湧きません。いつもありがとうございます。
いつもの宣伝を。
Twitterをやっています。
takahashi_toru_
でやってます。執筆や読書のことをちょこちょこ呟いています。こちらに感想その他をリプで飛ばして頂くのもすごく嬉しいので、ぜひともお願いします(^^)!
それでは、また明日ここでお会いしましょう(^^)!
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!