※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

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(4)

 来慣れたはずの由比ケ浜宅が、まるで別世界のように感じられる。由比ケ浜マ……彼女の背中を見つめていると、その周りの空気がどことなく、ピンクや紫色に歪んでいるように見えた。

「はい、ここにどうぞ~」

「あ、どもです」

 リビングに入ると、彼女は椅子を引いて俺に座るよう促した。とすっと座って、何とはなしに自分の下半身に目をやる。……うん、俺、これからちゃんと平常心を保つんだぞ。絶対な? 絶対だぞ?

「――え……」

 不意に、彼女の温かい手が肩に添えられた。何事かと思い首だけ後ろに向けると、彼女が優しく微笑んでいる。

「……それじゃ、お茶、淹れるわね」

「…………は、はい」

 近い。

 なんでお茶を淹れる報告をするためだけにこんなに近づいてるの? もうちょい近付いたら耳に息がかかるし。今この時点でも既に甘い匂いがふわりと香っていて、心地良さと共にあらぬ方向に思考が向いてしまう。いけない、いけない。我慢、我慢、我慢……。

「いっぱい、楽しみましょうね?」

「っ!? え、は、はい……っ」

 我慢しようとしていた矢先、彼女の手が俺の肩から首にすすすと滑っていき、顔がより近付いた。とろけるような声音でとんでもないことを言われて、頭が一気にパニックに陥る。や、ほんとワニワニパニック。

 待て、落ち着け。

 今のは単純に「お話を楽しみましょうね」という意味だろう。普通に考えたらそうだろう。よかったー変な勘違いをするとこだったわーほんと危ないとこだっ――

「……色々と、ね」

 勘違いじゃなかったっぽい。

 反応に困りに困って、冷や汗が背中を伝うのを生々しく感じながら、言葉も無くひたすらにこくこくと頷いた。

 

       ×  ×  ×

 

 彼女が2つのコーヒーカップを持って、俺の向かいの席に座る。

「ヒッキーくんは甘くするのが好きなのよね~」

「そうですね、座る時に足を椅子に乗せないと集中力が40%落ちる世界的名探偵と同じくらいには好きです」

「? 何の話~?」

「すみません、何でもないです」

 パニクりすぎて、ぱっと分かることはまず無さそうなネタを出してしまった。申し訳ない。

 彼女がにこにことしながらコーヒーにミルクと砂糖を入れるのをぬぼーっと眺める。

 コーヒー……。

 砂糖……。

 ミルク……。

 …………。

 ……ミルク……。

 ……牛乳……。

 ……乳……。

 視線を少しだけ上にスライド。

 ……乳……。

 ……谷間……。

 ……乳……。

 ……母……。

 ……乳……。

「…………………………………………」

「ヒッキーくん、どうぞ~」

「え、あ、はい、ありがとうございます、ありがとうございます」

 もはや。

 思考がかなりまずいことになっていた。

 彼女は俺にコーヒーを渡すと、自分のものにも砂糖を入れ始めた。俺程ではないにしろ、それなりの量を入れている。

「さて、と」

 コーヒーカップを手に取って、彼女が俺に向き直る。揺らめく湯気にちらりと目をやるその仕草は、年を重ねたことによる艶っぽさを感じて、どくんと心臓が高鳴る。

「それじゃあ、早速……」

「は、はいっ」

 なんだ、なにが来る?

 背筋をしゃっきりと伸ばして居住まいを正す。

 そして、彼女がにっこりと微笑んで――

「結衣の話、聞かせてもらおうかしら」

 ん。

 それもそうか。

「……はい」

「? どうしたの~?」

「や、なんでもないです。じゃあどんな話からしましょうか」

「そうね~、まずは――」

 さっきまでのテンションのインフレから急に落ち着いて、二人で結衣についての話を始めた。

 

       ×  ×  ×

 

「あはは、なるほどね~。もう、結衣ったら……」

 雑談を始めてからしばらくして。

 会話は、穏やかそのものだった。

「他にももっと聞きたいわ~。何か、ないかしら?」

「そうですね、他には……」

 次に何を話そうかと考えていると、彼女がほんの僅かに姿勢を変える。

 …………。

 10分程前からだろうか。

 少し……ほんの少しずつ、何か違和感が生じてきていた。

 今、彼女は両腕をテーブルに乗せて前のめりになり、その腕の上に豊満な胸を乗せてこれ以上無い程に、身に纏った凶器を強調させている。話に強い興味を示した前のめりの姿勢を取ってくれているから本当は彼女の目を見て応えたいんだが、そうすると視線が強制的に一点に固定されてしまうから本当に困る。

 どうしよう、超見たい。

 や、そうじゃなくて。

 さっきから彼女は、時折胸を強調させた状態でからからと笑ってその凶悪な胸をゆさゆさと揺らしたり、時折席を立って飲み物を持ってきてくれる際に、ちょっとしたものを落として「あらあら、わたしったら~」と言いながら屈んで、年齢を重ねたことにより艶やかな色香を纏った足をミニスカートから覗かせてくる。どれも考えすぎと言えば考えすぎなのかもしれない。わざとかなんて分からないし。しかし、何でこの人、子供一人生んで更にその子供が高校3年生になってるってのに、こんなにミニスカートが似合うんだろう。超可愛いんですけど。

「ヒッキーくん? どうしたの~?」

「っ!? あ、や、その……っ」

 不意に、彼女の顔が目の前まで近付いていたことに驚く。慌てて顔を逸らして、彼女をちらりと見る。

「……うふふ、変なヒッキーくん。どうしようかな、もっと近くでお話ししたいな」

「え……?」

 彼女はにこにこしながら、テレビ前に置いてあるソファを指差した。

「あっち、移動しましょうか。コーヒーカップは片付けるわね」

「え、あ、はい……」

 何が何だから分からないままに場所移動が決まった。

 ……もっと近くって……?

 ざわざわとした胸騒ぎを覚えながら席を立つ。

 椅子を押さえる自分の手が、微かに震えていた。

 

       ×  ×  ×

 

「あ、あの……」

「ん~? なぁに~?」

「い、いや、これって……」

「どうかしたの~?」 

 俺の疑問及び抗議の声が面白い程に届かない。助けて。

 コーヒーを飲みながらの雑談を終えてソファに移動すると、彼女は俺の左隣に座った。いや、それだけでもどきどきはするのだけど、この場合、その距離感が問題だった。

「……………………」

 肩と肩とが触れ合って、彼女の柔らかな二の腕のふわりとした感触を楽しめる程に、密着している。

 現時点での結論。

 さっきまでの挑発なのか天然なのか分からなかった行為の数々は、全部かは分からないが、意図的なものである。

 うん、決定。

「それでね? 今度はちょっと話を変えたいんだけど……」

「おわっ……は、はい……っ」

 密着した状態で彼女が首をこちらに傾けて、髪のくすぐったくも心地良い感触が首に降りてくると同時に、彼女の身体から漂う濃厚な甘い匂いが一層増した。

 がちがちに固まって真っ直ぐ前を向いている俺を見て、耳元でくすりと笑う声がする。

「ヒッキーくんは、Sなの?」

「え」

 思考が止まった。

 え、話題を変えるって、結衣のこと以外だったり、俺のことだったりってことじゃなくて? え、なに、さっきの話からよりディープになるってこと? あ、俺のことっていうのは当たってるのか。や、そうじゃなくて。

「え、ええと……何で急に……」

「……興味があってね」

 おっとりした声音はそのままに、どこか糸が張り詰めたような緊張感がその声に含まれている。間延びした喋り方も無くなっていて、状況の変化に頭が付いて行かない。

「や、でも、流石にこんな話は――」

 言葉を最後まで続けるよりも先に。

 彼女は俺の前にするりと回り込んで、膝立ちで俺の首に腕を回した。下半身に彼女の豊満な尻がずっしりと乗って、それだけで勃起が痛い程に増す。

 鼻と鼻が触れ合う程の距離で、彼女が妖艶な声音で囁く。

「わたしはね? とってもMなの。いっぱい尽くして、いっぱいいじめてもらうのが好きなの。……大好きなの」

「……っ」

 頬をほんのり朱に染めて、理性の糸を焼き切るような発言をして尚にっこりと笑う彼女を見て、ぶるりと身体を震わせる。彼女にもはっきりと聞こえるだろう音量で喉を鳴らした。何も言葉を返すことが出来ないままに、彼女の手が俺の頬に添えられる。

「結衣はわたしに似てるからね。そういうことをする時もわたしと似てる気がしたんだ。相性が良くなかったらあんなにいっぱいすることは無いだろうから。わたしと似てるなら、きっと結衣と相性の良いヒッキーくんはSか、もしくはドSなのかなーって。……合ってる、かな?」

 唇と唇が触れ合いそうな距離になっても、喋ることも出来ず、逃げる気さえおきない。頭の中がびりびりと痺れて、呼吸が疎かになる。手はソファの上に置いて、がちがちに固まっていた。

「……そうだよね?」

 彼女が更に問いかけてくる。おでこがくっついて、なんで唇が触れていないのか分からない程の近さになっていた。

「…………は、はい……っ」

 こんな距離感では意味は無いだろうが、それでも目を逸らしながら答える。

「ん、ありがと。答えづらい質問しちゃってごめんね? ずっと気になってて~」

 急に元の調子に戻って、俺からぱっと顔を離したかと思うと、俺の股座に座り込んだ。

「……へ?」

 何が起こったのかとぽかーんとしていると。

「ごめんね~、ちょっと後ろ下がってもらえる~?」

「え、あ、うぉあっ!?」

 彼女は自分が座るスペースを確保しようと、俺の太ももに手を置いて尻をぐりぐりと押し付けて後ろに下がり始めた。ミニスカートの中の柔らかい感触と摩擦に、突き出された尻を犯そうとするかのように股間がぎちぎちに勃起してしまう。

 少しばかり下がると彼女はその動きを止めて首だけくるりと振り返り、婀娜っぽい流し目を送ってくすりと微笑んだ。

「ヒッキーくん、肩、揉んでくれるかしら? 最近凝っちゃってて~」

「へ……?」

 頼みごと自体は……まあ、こんな色っぽい人の身体に触れるんだからどきどきはするだろうけど、それでも決して難易度が高いものではない。そういった意味では拍子抜けさえする。しかし、今さっきまでのやりとりを終えた後にこんなことを言われたら、この後の展開を思って緊張しか出来ない。

「急にごめんね~? ……なんだか、ヒッキーくんに揉んでほしくなっちゃって」

「……っ」

「……やって、くれるかしら?」

「…………は……い……っ」

 目の前に見えているうなじに目を奪われながら、こくりと頷いた。

 

 

 

 続く。




そろそろエロシーンに突入していきます。

Twitterもやっています。
takahashi_toru_
でやってます。こちらで感想をリプで飛ばして頂くのも大いにありがたいので、ぜひともお願いします。慣れの問題で、Twitterでぱっと感想を書いて頂いた方がこちらもぱっと返せるんだなーと思いました。

なんか急に寒くなりましたね。即座にコートを買いましたw

また平日が始まりますね。10月最後の週!頑張りましょう。
それでは、また明日ここでお会いしましょう(^^)!
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!
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