由比ケ浜マ――彼女の手がジーンズのベルトに掛かる。
ソファに寄りかかった俺はその様子を息を呑みながら見守っている。
彼女の甘美な匂いが鼻腔をくすぐると、二人の間の空気が薄桃色に妖しく歪み、これから訪れるであろう快感に対しての期待がいやが上にも高まる。
「うふふ……」
「……?」
……なんか、妙にベルトを外すのに手間取っているような……?
「……うふふ」
「……」
……や、待て。
この人、わざとゆっくりやってるぞ。すげぇ怪しく笑ってるし。
俺が焦れったさにもぞもぞしていることに気付いたのか、彼女が上目遣いでにっこり微笑んだ。
「……うふふ……」
「…………」
何も言わねぇのかよ。
まあ、もうしばらく待てば期待通りに……と思っていたら、そうも行かなかった。
「あら、間違って更にきつく締めちゃった~」
「や、あの」
「最近のベルトって難しいのかしら。どうも外し方がピンとこないわ~」
「ベルトの根本的な変化なんて多分世紀単位でありませんよ」
「それもそうね~。……うふふ……」
「…………」
……ってな具合。
流石に、期待を魔人ブウくらい膨らませていたので(よく分からない例えだ)、そろそろ我慢の限界になって――ほとんど反射的に、彼女の髪をぐっと掴んでしまった。
俺の行動に対して彼女はあら、と飄々とした声を漏らし、顔を上げるとゆっくり目を細めた。
「どうしたの~?」
「や、あの、その、流石にそろそろ――」
ちゃんとしてもらって――と言おうとした瞬間。
「えいっ」
「えっ」
――素早い手つきで一瞬でベルトを外され、反射で腰を上げたらあっという間にジーンズが足の先からすぽんと抜けた。
……えっ。はやっ。
「うふふ~……どうだったかしら、今の焦らしは?」
「え、や、その……」
さっきまでのことを考えようにも、彼女が間髪を入れずにその可愛らしい顔をボクサーパンツに寄せて、微かに鼻を鳴らしながらにこにこしているため、まるで思考がまとまらない。犬がいるぞ犬が。
「すんすん……うふふ、どうだったかしら? すごい焦れったくて、すんすん、早く下ろしてくれよー! とか思った? すんすん」
「や、その……」
待って待って、段々顔が近付いてる。匂いをすげぇ嗅いでる!
彼女がうふふと笑い――生地を突き破らんばかりに隆起した肉棒の裏筋に手を触れた。
「……焦らした分、余計に先っぽが濡れてるのかしらね。それともさっきの分?」
言って、彼女がつんつんと鈴口の辺りを指でつつく。ぞわぞわとした快感が走り、パンツの中で熱い塊が脈動してびくびくと揺れる。
「や、それは、その……分からない、です」
俺どんだけ遊ばれてんだよとは思いつつも、やはり、というよりも尚更、期待が高まってしまう。
――不意に。
うぐっ、と小さく呻いた。
彼女の右手が竿の部分に、左手が陰嚢に添えられていたからだ。
「……少し、遊びすぎたわ。ごめんなさいね。……いっぱい、気持ち良くしてあげる」
「……ぅ……ぁ……」
言葉にならない喜びを、情けない呻き声に変換して漏らす。
彼女が、くぱっと口を開け、艶めかしく舌を蠢かせた。
先程も見た、まるで性器を連想させるようないやらしい口の開け方。
口を開けるという単純な日常的行為が、どうしてこうも扇情的に映るのか。
彼女が一度口を閉じて、いやらしく目を細めて再び口を開く。
「……いただきます」
彼女の言葉に、心臓が跳ねた。
× × ×
……あれ、俺、まだパンツ履いてるけど――と思った瞬間。
彼女は、見えなくても充血しきっていることが分かる亀頭を、パンツ越しにぱくりと咥えた。
「ふおぁぁ……っ!?」
それと同時に右手がぎゅむぎゅむと生地の上から心地よく竿を握って、左手が陰嚢を優しく揉みしだいてきた。予想外の、それでいて予想以上の快感に間抜けな声が漏れる。
「えるっ、れちゅ、ちゅぴっ、ぐむっ、くむくむっ、んふぅっ、すごい……濃い匂い……んふぁっ、ちゅぽっ、ちゅぱっ、ふぅんっ、んふぁぁ……っ」
彼女の舌は亀頭が当たっている部分をびしょびしょに湿らせていて、視覚と嗅覚に訴え掛ける快感を与えてくる。
そして唇をОの字にすぼめて前後に動かすことで、亀頭を生地越しにごしゅごしゅとしごき上げてくる。もどかしい舌の感触と、生地を使っての摩擦が甘美な快感を生む。
「ぅうっ、ぅぁあっ……」
考えもしていなかった、パンツ越しの口淫。
しかしその効果は、射精に導くその快感はとてつもない。
「んふぅっ、ちゅくっ、れちゅるっ、ぐっぷ、ぐぷぐぷ……」
彼女の口の動きの激しさとは裏腹に、その両の手はまるでマッサージするかのごとく優しく揉み上げてくる。
強めの快楽と微弱な悦楽が交互に波となって押し寄せてきて、あっという間に睾丸から子種が這い上がってくる気配を感じる。
彼女の頭を掴む。彼女はしゃぶりついたまま、「んむ?」と首を可愛らしく傾げた。
「あ、あの……も、もう、このまま出ちゃいそうなんで、その、直接、舐めてくれますか……っ」
切実な声で訴えると、彼女はにぃっと目を細め、もう数回だけ唇を前後させてからゆっくりと口を離した。
「んはぁっ……うふふ、気持ち良くなりたいのね? そうよね、ここがもうこんなに……」
言って、彼女が先程と同じように鈴口を生地越しに指の腹で弄ぶ。
彼女の唾液と溢れ出したカウパーとで、布1枚隔てているというのに細い糸が引いた。
――これ以上は、もう、我慢出来ない。
「う……は、はい……」
素直に返事をする。
「ん……よし」
俺の返答に上機嫌にうんうんと頷くと、彼女の手がパンツの縁にかかった。
× × ×
彼女の手の動きに合わせて、僅かに腰を浮かせる。
「ん……しょっ……と――っ!?」
彼女がパンツをずるりと下ろした瞬間――青筋立った肉鉾が久方ぶりに外気の下に解放されて、喜び勇むように反り返った。まず俺の腹にべちんと当たり、勢いそのままに――彼女の頬に当たる。
「ひゃわっ!?」
彼女の可愛らしい、けれどどこか間抜けな声が漏れた。
猛り狂った剛直は彼女の頬に当たった後すぐに戻り、今は隆々と天を突くようにそそり立っている。
「わ、わわ……っ、さっきもすごかったけど、今は、こんなに……こんな……に……」
彼女がどこかぼぉっとした表情で、肉棒の下に顔を寄せる。幼さを感じる声音で呟いて、手を内腿に添えて……まるで、餌の入った皿に顔を寄せる犬のような体勢になる。
ふと過ぎる、あの子の顔。
「……ん?」
頭の中に見慣れた笑顔が過ぎった時――かたかたと、微かな物音がした。正確に言えばもっと前からしていたと思われる物音が、途中で意識が目の前の彼女から逸れて外に向いた事で聞こえたような、そんな音。
彼女をちらりと見る。その顔はうっとりとしていて、今の物音にはまるで気付いていない。
……まさか、な。
自分の家で聞き慣れない音がすれば一発で分かるが、ここはまだまだ来慣れていない家だ。家鳴り等もあるだろう。
気を取り直して、彼女の髪をくしゃりと撫でる。
「……あなたが焦らしに焦らしたせいで、ぎっちぎちになった上に思い切り蒸れちゃいましたよ。……綺麗にしてくださいね」
言うと、彼女の顔が震えた。
「……はい、わかりました」
「……っ」
さっきまでの悪戯お姉さんな雰囲気から一転して、従順な面を見せる。思わずごくりと息を呑んで、目の前の艶美な女性を見つめる。
……この人は、本当に、一体どこまで……。
彼女の顔を両手で掴んで、顔の真ん中に肉槍の裏筋をぺたんとくっつけると、「ひぁ……っ」と小さく声を上げた。
「……匂いも、いくらでも嗅いで良いですからね? ……犬みたいに」
「……っ」
今度は彼女がこくりと息を呑んだ。
彼女の手が、肉棒の根元に添えられる。
そして、震える声で言葉を紡ぐ。
「……は、はい……っ」
彼女の返事一つ、吐息一つで。
可愛らしい顔に擦り付けられている肉棒が、喜びでびくんと跳ねた。
続く。
由比ヶ浜マでした。
<小説情報募集>
すごく久しぶりのお願いです。
この作品をある程度読まれている方は分かると思うんですが、よく笑顔についての描写をしています。微笑みにしろからっとした笑いにしろ妖しい笑みにしろ本当に好きなのでこれからも書き続けたいんですが、描写の勉強不足でかなりワンパターンになってます(もちろん他のワンパターンになっているものも沢山ありますが)。
なので、「笑顔の描写が素敵な小説」の情報をお待ちしています。ジャンルは問いませんが、恋愛やラブコメの類だとありがたいです。もちろん他のジャンルでも素敵な笑顔の描写があれば大歓迎ですので、よろしくお願いします。感想でもメッセージでもTwitterでも何でもオーケーですので(^^)!
朝起きて仕事に行く前に副物語を読んだら、案の定すんごい笑ってだいぶ元気が出ました。夜寝る前と朝起きた後にちょっとずつ読むことにします。
水曜日も頑張りましょう。
それでは、また明日ここでお会いしましょう(^^)!
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!