※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

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 前回同様、由比ヶ浜マのことを「彼女」、ガハマさんのことを「結衣」で統一しています。


(14)

 由比ケ浜マ――彼女が謎すぎる提案をしてから、ほんの15分程経った現在。

 

『……………………』

 

 俺と結衣は、由比ケ浜家の浴室で並んで座っていた。

 タオル1枚だけ身体に巻いて、完全な入浴スタイルである。

 

「……ママ、まだ来ないね……」

「あ、ああ、そうだな……」

 

 何これ。どうしてこうなったの。気を抜くと目の前のむちむちした太ももに手を這わせそうになるからまずい。

 

「ヒッキー……その、ママ、いつ来るかわかんないから……」

「……すまん」

 

 触ってた。ナチュラルに罪を犯した感が半端無い。

 ていうか何で結衣に触っただけでこんな背徳感が湧くのん? おかしくない?

 

『……………………』

 

 二人して、もう一度黙り込む。

 ……もう一度言う。

 どうしてこうなった。

 

       ×  ×  ×

 

 ほんの15分前。

 彼女が俺と結衣に対して一緒にお風呂に入ろうと言った時、もちろん最初は全力で抵抗した。主に結衣が。厳密に言えば九割九分八厘くらいで結衣が。

 

 

「マ、マ、ママ!? 何言ってんの! さっきあたしに謝ったばっかじゃん!」

 結衣が必死で捲し立てるが、その剣幕に対して彼女は頬に手を当てて「あらあら」と涼しげに受け流している。

 受け流し方が郭海皇ばりに上手いなこの人。消力の使い手だろうか。一度で良いからあんなにリラックスして壁に穴を開けてみたい。

 

「私は結衣の為にもなると思って言ってるんだけど……だめかしら~?」

 

 彼女が呑気に言葉を返すと、結衣はぶんぶんと首を振る。脳震盪が心配されるレベル。

 ……結衣の為に『も』ってなんだよ……。

 

「だからダメだって! ママ、ほんとに何言ってるか分からないの!? そんなの出来る訳ないって!」

 

 必死で言い募る結衣を見ていた彼女が、不意に目を妖しく細めた。僅かながらも明確な変化に俺も結衣も気付き、びくりと身体を竦ませる。

 彼女が一歩前に出て結衣に近付く。結衣は一瞬後ずさりそうになったが、すぐに踏み止まった。

 彼女は結衣の頬に手を伸ばすと、傾国の美女として名を知らしめた妖狐の如く、妖艶に目を細めた。

 結衣の緊張をほぐすように頬を撫でると、にっこり微笑む。

 

「結衣……あなた、ここに入ってくるとき何て言ったか覚えてる?」

「え……」

 

 突然の質問に、結衣が詰まる。どういう意味かと思い、記憶を数分程遡る。

 

『――《それ以上は》だめ――』

 

 ……あ……。

 結衣のこの言葉と、何度か聞こえていた物音を思い出し、点と点が繋がり一筋の線になる。

 ……つまり、結衣は……。

 事態を把握して結衣に顔を向けると、顔を真っ赤にして俯いていた。恐らくさっきの言葉は反射的に言ったんだろう。

 彼女は、俺と結衣の反応を見て尚も言葉を続ける。

 結衣の両頬に手を添えて、いっそうにこやかに微笑む。

 どうして同じ微笑みでこうも違う印象が生まれるのか、女の人の顔はつくづく不思議だなどという場違いな感想を抱いた。

 

「結衣? あなた……『それ以上は』って言ったわよね? あなたが入ってくる前も物音が二回くらい聞こえたんだけど……」

 

 彼女の言葉にハッとする。彼女は物音に気付いていなかったのではない。

 気付いても、俺と同様に反応していなかっただけだった。

 結衣は一体、何のつもりで――?

 不思議に思い結衣に目をやると、さっきまでとは打って変わっておどおどとした様子に変わっている。

 

「ぁ……ち、ちがうの、ヒッキー。あのね? あのね……?」

 

 手をわたわたと動かし、胸の前で人差し指を合わせてくりくり回して上目遣いで見つめてくる。ちょーっとさりげなく殺しにかかって来てますねー。可愛すぎますねー。

 俺が結衣の仕草に悶絶していると、彼女がそれを見てくすりと笑い、胸の前でもう一度手をぽんと合わせた。手と首それぞれをちょっと斜めにしてるのが可愛すぎてつらい。

 

「だから、三人でお風呂に入りたいな~って」

 

 彼女がのんびりとした口調で言うと、指をくりくりしていた結衣がぴたりと止まった。 彼女の方へ向き直り、背後に「ごごごご」のフキダシが出てそうな雰囲気を醸し出す。普段が温和な分、ギャップで鬼みたいに恐い……。

 

「ママ、だからなんでそうなるの? 大体、さっきまで二人が一体何をして――」

「ママがどんな風にヒッキーくんにしてあげるのか、見たくない?」

 静かに怒ろうとしていた結衣がぴたりと止まった。

「え……」

 小さく呟いて、どういうことなのかと訝しむように彼女を見つめる。

「だって結衣……すぐに入ってこなかったってことは、そういうことに興味がある……いえ、興味津々なんでしょう?」

「あ、う、それは……」

「もしかしたらだけど、ママがしてるのが見えて、それが自分よりも上手いと思って、つい見ちゃったんじゃない?」

「あ、う……」

「しばらくじーっと見てたんだけど、わたしとヒッキーくんがそれ以上のことをしそうになって、それで我慢出来なくなって……っていう感じかしら? ……どう?」

 え、何このえげつない詰問? 口調は優しいのに。

「…………」

「待て待て待て、結衣。なんで俺に抱き付くんだ」

 

 小さな声で「うぅ……」と唸りながら抱き付いていた。

 甘い匂いがするし柔らかすぎるし柔らかすぎる。二回言っちゃうくらい柔らかい。三回言っちゃった。

 だから、と彼女が言葉を続ける。

 

「せっかくだから、じっくり見せて結衣に勉強してもらえればと思って。償いの意味も兼ねて……ね?」

 

 そう言って微笑む彼女の顔は、母親としてのもので。

 それを結衣は敏感に感じ取ったのだろう、とても複雑な表情を浮かべる。

 

「うぅ~~……。……ヒッキー」

「なんだ?」

 

 頭をくしくしと撫でてやると、潤んだ目で俺を見つめてきた。

 押し倒して良いでしょうか。ここではだめですかね。ここではって言っちゃったよ。

 

「……ママと、最後までするのは無しだよ?」

「……分かったよ」

 頭を撫でながら肯定すると、彼女もうんうんと頷いた。

「もちろんよ~。ママ、それくらい分別は付けるわ~」

 言いながら、彼女は俺に向けてぱちんとウインクして――妖しく、舌をぺろりと出した。

 や、この人絶対その気あるじゃん。むしろその気しか無いまである。

 ああもう全くこの人はしょうがな――

 

「ヒッキー、なんでおっきくなったの今……?」

 心臓がきゅっと締まった。きゅって。

「ちょ、待て、結衣、お前今すげえ怖いぞ。可愛い顔が台無しだぞ。な? な?」

「え、か、可愛い? えへへへ……っ」

 

 あっぶねぇ……。この子、瞬間的に雪ノ下さんばりの怖さを滲ませてきた。

 うつらなくて良いとこがうつるの止めて頂きたい。俺の命の為にも。

 ていうか俺の躱し方が変にこなれてて自分で自分がイヤになった……。

 

「そういうことで、三人で一緒にお風呂に入りましょ~。わたしはちょっと準備があるから、二人は先に入っててちょうだい。あ、ヒッキーくんの椅子だけ先に出しておくわね~」

「あ、は、はい」

 

 おっとりとした口調のままてきぱきと指示を出されて、結局由比ヶ浜母娘との混浴と相成った。

 

 ……や、なんでだよ。

 

       ×  ×  ×

 

 思い出しただけで興ふ……変な気持ちになる。言い直した意味が壊滅的に無かった。

 

「…………」

 目のやり場に困って、視線を巡らせる。

 この家の風呂はやたらと広い。どこのアニメでの阿良々木家だよと思う。

 や、実際はそこまでではないけれど、それでもとても一般家庭の浴室とは思えない広さだ。

 何でまたこんな広さなんだ……?

 これから先の展開が読めな過ぎて途方に暮れていると、隣の椅子に座っている結衣がじっと俺を……というより、俺の下の椅子を見ていることに気付いた。

 

「どうした」

「や、うーん、その椅子……うちで今まで見たことないなーって」

 

 そう言う結衣の椅子は元々この風呂場で使っているようで、結衣はごく自然に座っている。

 そりゃまあ急遽出してきたんだから、結衣が見たこと無いとしてもそりゃそうだろうとは思うんだけども。

 ……そもそも、何で急遽出せるような椅子があるんだ?

 急に不安を感じて、よく見ずに座った椅子の形を立ち上がって確認する。

 

「…………」

「ヒッキー!? どしたの!?」

 

 口の端からつつつと吐血する俺を見て、結衣が慌てる。

 俺が彼女に用意してもらって座っていた椅子は、動画やマンガでしか見たことが無い椅子で……所謂、「スケベ椅子」と呼ばれるものだった。

 ……や、あの人、何考えてんの?

 結衣が頭の上にハテナマークをぽへぽへと浮かべていると、浴室のドアがからりと開いた。

 そこには居たのは、再び一糸纏わぬ姿になった彼女――ではなく。

 正確に言えば、彼女が持ってきた、これまた動画やマンガでしか見たことが無いもので彼女の姿が隠れていた。たまにキングスライム×2が見えてます。

 

「ごめんなさいね~。これを引っ張り出すのに手間取っちゃって……」

 

 飄々とした調子で喋りながら、『それ』を浴室に運び入れる。

 俺と結衣はぽかんとしたままその様子を見つめていた。

 正確に言えば、俺と結衣ではぽかんとする意味合いは違うんだけど。

 広い浴室の床に『それ』をどさりと置いて、彼女が満足げに一息つく。

 

「ふー。やっと運び込めたわ~。二人の前でこれに空気を入れるっていうのはちょっと、舞台裏を見せるような感じがして気が引けたから、部屋で準備してきたのよ~」

「ママ……それ、なに?」

 

 結衣がはてさてと首を傾げる。俺はその横でこぷこぷと吐血する。今度は口の両端から器用に吐血している。

 

 ……この人、何でマット持ってきてんの?

 

「ああ、そうだわ~」

 

 彼女が胸の前でぽんと手を合わせて、脱衣所に戻る。

 何事かと思いじっと見ていると……何かお世話になったことがあるような無いような気がする、透明な液体の入った容器を持ってきた。

 

「これも無いとね~」

 

 彼女がうきうきとした調子で言う。のんびりした雰囲気はいつも通りだけど、明らかにテンションが高い。この人酔ったらまたエロそうだなぁ何でもないですごめんなさい。

 一度目を閉じて気持ちを落ち着かせて、目を開けてもう一度それを見る。

 

 ……ローションやないかい。

 

「……………………」

 

 引き続きはてさてと首を傾げる結衣の横で、今この浴室に用意されているものを見渡す。

 

 ボディソープ。

 シャンプー。

 リンス。

 椅子(通常版)。

 椅子(限定版。スケベ)。

 ローション。

 マット。

 

「……………………」

 

 今度は、今俺とこの空間に居る二人の肢体を眺める。

 

 若く瑞々しい中にも色っぽさを備えた、二つの豊かにも程がある乳鞠を備えた結衣。

 年齢をどう見積もっても信じられない程若い見た目でありながら、年齢特有の艶っぽさと結衣よりも更に大きな凶器を携えた彼女。

 

 ……何が起きるのか、手に取るように分かる。

 そしてもっと言えば、これくらいは起こるであろうと言う内容を更に上回る事も起きるであろうことが手に取るように分かる。

 

「うふふ~楽しみだわ~」

「ママ、だからそれ、なに?」

「ゆっくり説明するから~」

「? うん……」

 

 二人のやりとりを見ながら、タオルの下に欲望の血流がどくんと集まるのを感じた。

 

 

 

 続く。

 

 

 




 ☆☆☆祝・総合評価1万達成☆☆☆
 !!!!!!ありがとうございます!!!!!!
 この小説、R-18作品なんですよね。それでこの評価値……!!途方も無い数字に実感が湧きません。感想も2300件近く頂いていて、もうどれだけ支えて頂いたのか……ああもうありがたすぎて……ほわー!評価投票も300人に達した後更に沢山の方に投票して頂きました。本当にありがとうございます。
 感謝として何か特別編を書ければなどと考えたんですが、普段から書きたいものを書いてるので何も浮かびませんでしたw
 この作品を書き始めてから9ヶ月弱。休んだのは合計1週間にも満たない程度で後はどんな体調だろうがどんなテンションだろうが書いてきました。今思い返せば可哀想にさえ見える辛辣な批判にも耐え、その何百倍ものお褒めの言葉に力を頂いて、ここまでやってこれました。
 色んな人が居るんだなと日々感じているんですが、超然としてひたすら書き続けようと思います。
 あとどれくらい毎日投稿を続けるか分かりませんが、もうしばらくの間、どうぞお付き合いくださいませ(^^)!
 これからも、何卒よろしくお願い致します。

 さてさて。

 由比ヶ浜マでした。スケベ椅子さんお久しぶりです。こういうテイストが久しぶりに思えて、書いていてとても楽しかったです。

 <明日>
 スケジュールによっては書く時間が物理的に取れないかもなので、上げられれば上げるという感じになると思います。ふわっとしていて申し訳無いのですがよろしくお願い致します。

 それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!



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