※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

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1.

放課後、部室に向かいながら今日聞いた会話の事を思い出す。

……なんだろうね、別に何とも思わないんだけど。

ただ、身近に居る女子の事をあんな風に褒められるのは悪い気はしない。

……あれ、俺、何様だろう。

狙う男子が居るのも当然の事だろう。一色だってあんな可愛いのだから、狙う男子もさぞや多いのだろう。今は生徒会長もやっていて、今まで見せていたあざとさだけでなく、真面目で良い子な面も沢山の人に見えているだろうし。

……あれ、俺、何様だろう。

……この気持ちは何だろう。春かな?いや、春はまだ遠いと思うんだけど。瞼閉じればそこにあるのかな?

 

気付くと部室の前まで来ていた。由比ケ浜の元気な声と、雪ノ下の落ち着いた声音が聞こえて来る。入った瞬間ゆりゆりしい現場を目撃とかならないよね?大丈夫だよね?……大丈夫だよね?そう言えばあなたたち、結局一緒にお風呂に入ったんですかね?

 

からりとドアを開け、部室に足を踏み入れる。

「あ、ヒッキーだ!やっはろー!」

「おっす」

「あら比企谷くん、目が腐っているけれど大丈夫?体調を崩しているのではないかしら」

「目が腐ってるのは元々だよ、お生憎様」

いつも通りのやりとりに、ほっとしたものを覚える。

この空間に心の底から安心するのは、閉鎖的だからなのだと思う。この三人が誰か他の人と話す事が生じ得ない状態で、ぬくぬくと話す。無理に話す事も無く、気が向いた時に喋れば良い。そんな気の抜けたこの空間が、たまらなく心地良い。

しかも今のこの空間は、完全に崩壊しかける程の不和を乗り越えての物だ。心の安らぎは測り知れない。

だから、何だろう、もし他の男どもがこの二人に群がって来たら、この空間が崩れる気がするのかもしれない。この穏やかな空間を侵される不快感は測り知れない。平塚先生や、それとなく入り込む様になった一色のようなやつを除けば、後は皆不快だ。あ、戸塚はオッケー。材木座?誰それ?

そうだ、このもやもやは俺のテリトリーを侵されることに対する不安と苛立ちなんだ。そうだ、きっとそうに違いない。雪ノ下や由比ヶ浜や一色に対してどうのこうのなんて言う感情では断じて無い。断じて!そうでは!無い!

頭の中の雑念を必死で振り払おうとしながら、表面上は平静を取り繕って自分の席に向かった。

「……ひ、比企谷くん、何をしているのかしら?」

「え、ヒッキー……?」

「え?」

ぐるぐると考え事をしていて気付かなかった。

無意識の内でも、俺は鞄を机の上に置き、座って読みかけの本の栞を抜こうとしているのかと思ったら、違った。

 

俺は雪ノ下の前に立つと、おもむろに彼女の頭を撫でていた。

 

突然の、凶行☆

しかも小町を撫でる事に長年習熟していたため、絶妙な力加減で撫でている。流石は俺のお兄ちゃんスキル。オートで発動するとかレベル高い。いや、こんな冷静に実況している場合ではない。発動する場所によっては、気付いたら罪を犯してる可能性さえあるし。いやだから、こんな事考えている場合ではない。

俺、何してんの、急に?なんで?どうして?

由比ヶ浜は固まっている。事態を呑みこめていないようだ。大丈夫だよ、俺も呑み込めてないから。

雪ノ下は……あれ?抵抗しない?この状況で本を読めるってのもすげえな……。

あ、手が止まった。頬が赤らんでる?

「……ど、どう言うことかと、き、聞いているのよ……」

糾弾する様な言葉の割に語調は弱々しく、拒絶の意が感じられない。ってか可愛い。目を背けてるこの感じ超可愛い。

……何だろう、この状況。

「えっと、まあ、その…つい?」

疑問形で言ってしまった。超だせえ。

「……そ、そう。まあ、それなら良いわ……」

良いんだ。受け入れちゃった。また本読み始めたし。え、じっくりやっちゃって良いの?やっちゃってとか言うんじゃねえよ、俺。おバカ!

しかし俺も、雪ノ下の髪の感触を楽しめるとなるとこの状況を受け入れるのも吝かではない。滑らかな触り心地も、ふんわり香るシャンプーの匂いも、今なら楽しみ放題だ。すぐ隣に由比ヶ浜が居るけど。めっちゃ見てるけど。

「……そうか、じゃあ、このままもう少し……」

変に照れちゃって俺マジ気持ち悪い。めげずに、そのまま雪ノ下の頭を引き続き撫で始める。

「むー……」

犬の唸り声が聞こえた。あ、違う、由比ヶ浜だ。え、それどう言うリアクション?

「……ゆきのんばっかり、ずるい……」

ぽそっと何か行った。あれ、拗ねてる?何この子可愛い。

「……由比ヶ浜さん、これは比企谷くんの歪んだ欲望が、誠に残念な事に私に向けられた事により生じた状況なのよ。だから、比企谷くんがこの色にまみれた欲求を他の人に向けないようにする為に、今、私が全力で受け止めなければならないの。だから……ね?」

『ね?』じゃねえよ。何だその言い様。泣くぞ。って言うか自分で色とか言うなよ。エロく聞こえるぞ?

「むーーー……」

長い、長いよ、唸り声。昔の山に居た野犬かよ。

膨れっ面の状態から犬ヶ浜さんがどうするのかと思ったら、椅子を持ち上げがたがたと移動させ、雪ノ下のすぐ隣に置いた。

そして、頬を膨らませたまま俺の目の前に頭を差し出す。

「……ん」

すんごい短い言葉、と言うより声を発して、頭を俺の前にずいと突き出して来た。

……えー、何、この状況?撫でないといけない流れ?や、別にいやではないよ?でも、その、……ねえ?

うん、いいや、撫でちゃおう。雪ノ下のリアクションを見る前に!

「……じゃ、じゃあ……」

俺が恐る恐る、上ずった気持ち悪い声で受け入れる意を示すと、雪ノ下が俺の動きを止めようとするかの様にぴしゃりと言葉を発した。

「比企谷くん、あなたは私を撫でることに集中すべきでしょう。由比ヶ浜さんまで撫でるなんて、何を考えているの?あなたの劣情を二人以上の女性に向けるだなんて、世間が許すと思って?」

本に視線を落としたまま、すごい毅然としてすごい馬鹿みたいな事を言って来た。どんだけ撫でられたいんだよ。猫か。猫だ。

「えー……あたしは、良いけどな。ゆきのんと一緒に撫でられても」

おい、百合、メロン。百合メロン。流石だな、おい。

「……そ、そう、なの……。……では、仕方ないわね。比企谷くん、私と由比ヶ浜さんを同時に撫でる事を許可します。さあ」

「やった!ほらヒッキー、早く早く!」

ほら、雪ノ下さんが陥落してもうた!陥落してもうたよ!どんだけ由比ヶ浜に甘いんだよ!

二人の許可を得ちゃったんですけど。

なに、何なのこの状況?二人してバカ過ぎるでしょ?

……発端は俺だから何も言えねえ……。

 

 

2.

雪ノ下を右手で、由比ヶ浜を左手で撫で始めてもうかれこれ20分くらい経つだろうか。なげえよ。どう言う事?止めようとするとすんごく怪訝な顔で見られるし。

いつもの様に携帯を弄ったり本を読んでいてくれればまだ良いのだが、何故か二人とも完全に手を止めて、俺の手に身を委ねている。

初めは二人ともぽけーっとした顔になっていたんだが、途中から気持ち良くなって来たのか、段々ととろんとした表情になって来ている。

「ヒッキー……」

息混じりの、妙に色っぽい声で呼ばれてどきりとした。え、何、事の最中?……俺のバカ野郎。しかし色っぽい声で呼ばれる名がヒッキーって、俺が辛すぎるんだけど。

「どうした?」

「犬ってさあ……あごの下を撫でると気持ち良いみたいなんだ」

え、何言い出してんのこの子?

「比企谷くん」

こっちも艶っぽいなもう。それぞれの持ち味を出してくんのやめてよ!変な気持ちになっちゃうでしょ!ごめん、もうなってる!すんごいなってる!

「どうした?」

「猫も……あごの下を撫でると気持ち良いらしいのよ……」

……すーごい嫌な予感がする。

「ヒッキー、ね?お願いだから……」

「比企谷くん、ちゃんと欲求を発散しないとまずい事になるだろうから……」

やばいやばいやばい。由比ヶ浜は潤んだ瞳で懇願する様な声で言って来るし、雪ノ下はこの期に及んでまだ理由を付けようとしてるし。

「「あごの下、撫でて?」」

……はい、来たー。息子よ、頼むから反応しないでくれ。

 

 

3.

「……んっ、ふあっ、んんんっ……」

「ひゃっ、んあ、くふぅっ、あっ、あっ……」

「……」

雪ノ下は悩まし気な声を抑えるように漏らし、時折俺を上目遣いで見つめる。

由比ヶ浜は甘い声を遠慮なく上げ、俺をずっと切なそうに見つめている。

……死ぬわ、興奮で。何これ?

何で俺が雪ノ下と由比ヶ浜のあごの下を撫で回してんの?

二人ともうっとりしすぎだろ?エロさ自覚してる?

いよいよ俺の息子もやばいかな、ぎりぎりかなって思って下を見た。

……がん勃ちやないかい……。

まあ、正直興奮しない訳が無いですよね。こんな状況でね。俺の体勢だけ見れば魔王が戦闘シーンで仁王立ちで手をわきわきさせてるみたいになってんだけど。

ああ、これ、どうしよう。このまま終われるかな?これ以上撫でよう無いよ?どうすんの?部活開始直後からこの状態だから、下校時刻までまだたっぷりある。誰か助けに来て欲しいけど、こんなん見られたら死ぬ。『本物が欲しい』と2トップを飾れるくらい恥ずかしい。思い出しただけで恥ずかしくて死ねる。

幸い、二人の視線の向きを考えると、俺の息子が起立してるのには気付かなそうだ。何とかなって……お願いですから……。

 

どうしようかと途方に暮れていると突然、聞き覚えのある声がした。

「わー、先輩って意外と独占欲強いんですねー。お二人をこんな風に手懐けるなんて……」

「え」

「……え」

「わわっ!?」

後ろを向くと、一色がいつの間にか椅子に腰かけ、机に肘を付いて手を組み、あごを乗せてこちらをじっと見ていた。ほえ~って感じで見てる。そんなに興味湧くの、この光景に?

あまりにもびっくりし過ぎて、俺たち三人のリアクションもいつもと違っている。

雪ノ下はいつもなら、慌てると俯いたり何かしら照れ隠しの言葉で罵倒して来る。思い出すと泣く。

由比ヶ浜なら『わわわっ!?ちょ、ちょ、ヒッキー、どうして!?やだ、キモいんだけど!』みたいにテンションで誤魔化す。思い出すと泣く。

俺ならそれはもう理路整然と破綻した論理を掲げる。毎回皆引いてるのを思い出すと泣く。

……泣きなさい、笑いなさい?

だが、この時は、この時ばかりは、三人が三人とも、ものの見事に固まった。

……だって、言い訳しようが無いんですもの……。

 

 

 

続く。

 




仕事が長引いて日付が変わるまでにしっかりとした時間が確保出来なかったので、一番形になってた今回のお話を持って来ました。久しぶりの2話連続です。
この話はあと2~3話続きます。やっと最終形が見えて来ました……。
既に訳分からん展開になってますが、より訳分からん事になります。

土日はしっかり書いて、また毎日お届け出来るように頑張ります。ネタは尽きぬ!
川崎、平塚先生のエロ部分はもう構想(と言う名の妄想)は出来てるので、ちゃんと書いておこうと思います。
いろはは単独エピソードのイメージがちょっとずつ出来て来ました。小町はエロ部分がちょっと思い付きました。
由比ヶ浜はエピソードもエロ部分もばっちり浮かびました、今日の仕事中に←
今1話平均の文字数が4500字程度なんですが、少しでも構想が浮かんでいるものを全てちゃんと書いたら10万字を確実に越えます。
何が言いたいのかと言いますと、書く時間が足りないと言う事です←

くおぉ……書きたい……。

見て頂く方が少しずつ増えているようで嬉しい限りです。自分の妄想をこれだけ楽しみに待って頂ける喜び!!


それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!
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