「えーっと……」
由比ヶ浜マ――彼女が浴室に用意したエログッズを見て、改めて戸惑う。エログッズって言っちゃったよ。
結衣は相変わらず首をくりくり傾げていて、その度にタオルが巻かれた豊満な果実がぷるんぷるんと揺れる。GIF動画にして保存したい。
ちなみに俺と結衣は、彼女が諸々を持ってきた時にひな壇の芸人ばりに立ってしまい、座るタイミングを逃してそのままになっていた。
さあ、説明を求むという目線を結衣と俺が揃って彼女に送ると、視線の圧力を毛ほども気にせずに満面の笑みを返してきた。
「これはね~、パパとお風呂で色々してみたいな~と思って用意したのよ~」
結衣が俯いた。どうやら今の言葉で何となく察しはついたらしい。正しい反応だ。
「新しく引っ越すっていう時に、こういう事がしたいからなるべくお風呂が広い所にしてって言ったの。わたしのわがままのせいでお家探しが難航してね~」
待て待て待て待て。判断基準がぶっ飛びすぎだろう。
「それで引っ越した後は……もう……ねえ? うふふふふ~」
サザエさん?
……ていうか、それを聞いた限り、このマットってお古……?
結衣も同様の疑問を感じたのか、露骨に「うぇぇ……」という表情を浮かべていた。お父さんがすこぶる不憫だけど、今は俺も結衣と同じ気持ちだ。
「ママ、じゃあこのマットって……」
青ざめた顔で結衣が尋ねると、彼女は一度くりっと首を傾げた(母娘で傾げ方が似ていて、やたら可愛くて困る)。
そして結衣が言わんとしていることに気付いて「ああ」と手を合わせる。
「それは大丈夫よ~。結構使い込んじゃったからって椅子もマットも新しいのに替えたんだけど、パパったらその後こういう事をさせてくれなくなっちゃって~……」
彼女が困ったもんだと言わんばかりの表情で頬に手を当てる。
……それ、どれだけ使い込んだのん? どこの幻の6人目の練習用ボール?
そりゃまあ、お父さんもげっそりする訳だ。
「……結衣、大丈夫か」
「……うん、ぎりぎり」
振り返って結衣の様子を見ると、色んな感情が混ざり合った表情でぷるぷるしていた。
俺が居る状態でこんな話を聞いたから、尚更ダメージが大きいかもしれない。
結衣が後悔を前面に押し出していると――
「うおほぅぉっ!?」
――背中に物凄く柔らかい感触がして、自分でもびっくりするくらい気持ち悪い声が出た。
今の声はもう、結衣が一体どれ程気持ち悪がることやら……と恐る恐る見てみると、予想した反応と違って、結衣はわなわなと震えて俺の肩の辺りを見ていた。
「ま、ママ! 何やってんの!?」
「うふふ~」
「え……」
振り返ると、彼女が俺の背中に凶悪な程豊満な果実を押し付けて、両肩にそっと手を乗せていた。タイミングによっては完全にホラーだろこれ。
ていうかこの状況でこの人だけタオルさえ巻いてないっていうのが本当に意味がわからない。ごちそうさまです。や、そうじゃなくて。
結衣は彼女を指差してぷるぷる震えている。ちょっとこの構図地獄すぎるんですけども。
彼女は結衣の反応を見て、ん~と唸って何やら考え始めた。そして「こう言えば良いかしらね~」と小声で呟いた。俺に聞こえてますけども……。
「結衣……恥ずかしいのは分かるけど、今からわたしが教えることをきちんと覚えたら……ヒッキーくん、とっても喜ぶわよ~」
「え……」
「え……」
あ、そういうアプローチで来ますのん? マジで?
結衣は彼女の言葉を聞くと目を見開いて、俺にぽてぽてと近寄ってきた。袖をつまむ代わりだろうか、俺の指先をちょんと掴んで、もじもじと上目遣いで見つめてくる。
「……ヒッキー、本当?」
「……っ」
喉に重い石が詰まったかのように、言葉が出なくなる。
や、別に答えに迷ってる訳ではなくて。
ガハマさんの健気さがちょーっと殺人級に可愛いもんだから、思考が止まりました。数秒程ね。
頬をぽりぽりと掻いて、答える恥ずかしさから浴室の壁を見ながら(ふと視線を向けた壁が地味に遠い。本当に広いなここ)、ぽそりと呟く。
「……ああ。超喜ぶぞ」
目を逸らしたまま言うと、結衣の手が俺の両手をふわりと包み込んだ。
「……ん、わかった」
ママ、と結衣が呼ぶと、彼女が「なぁに?」と首を傾げた。
「あたし、ちゃんと頑張るから……よろしくお願いします」
「……ん。よろしい」
なんか師弟関係が成立したっぽい。
……何この青春じみた流れ?
あと、彼女は結衣と会話してんのに、なんで俺の背中に胸を更に押し付けたんでしょうか。
ぜひ説明して頂きたい。その柔らかさの訳を。これ質問の主旨がぶれぶれだな。
× × ×
もう一度椅子(スケベな方)に座るように言われて、ぽすりと腰掛ける。
タオルを巻いているとはいえ、わずかな興奮ですぐに欲望の主張がばれてしまうから、何だか全裸よりも恥ずかしい気がする。
裸よりも裸エプロンの方が恥ずかしいというのはこういう理屈だろうか。俺何言ってるのん?
どうでも良いけど、今既に半勃ちである。本当にどうでも良かった。
「うふふ~」
彼女がにこにこと(本当に上機嫌そうに)笑いながら、俺の前に膝を下ろした。
その様子を結衣が横からじっと見ているというシュールな状況になっている。
天国なんだか何なんだかもはやよく分からない。
「お店で経験がある訳じゃないから、自分なりに調べて勉強してみたのよ~。だからあまり細かいことは気にしないでね~」
そんなことを言って(細かいことが分かる訳もないので、取り敢えず頷いた)、彼女が、それでは……と、急に艶っぽくなった声を発する。
「本日は……よろしくお願いします」
膝立ちの状態からゆっくり腰を下ろして……ぺたりと正座すると、そのままこちらにぺこりとお辞儀をしてきた。
「……っ」
その上品な振る舞いに完全に不意を打たれ、鼓動が跳ね上がる。結衣は俺の反応を見てあわあわと彼女と俺とを交互にみている。
時が止まったかのように彼女はお辞儀をしたままだったけれど、やがてゆっくりと顔を上げて――俺の脚の間に目を向けるなり、頬に手を当ててあらあらと嬉しそうな声を上げた。
「……あ……」
何事かと思って下に視線を滑らせると、彼女の今のお辞儀一つで、タオルがこんもりとした山を作っていた。
何でだ……と一瞬疑問に思ったけれど、彼女の礼儀正しいお辞儀を見て、これから自分がどれだけ極楽な事をしてもらえるかという、確かな予感と期待が湧き上がったが故だとすぐに気付いた。
「ヒッキー……」
横を見ると、結衣が膨れっ面をして俺の太ももに手を添えていた。な、なんかごめん……。
結衣はジト目でしばらく俺を見ていたものの、こんなことをしてもどうしようも無いと思ったのか、やがて手をすっと離した。
なんか飼い主にお預けをくらっている犬みたいで、見てるだけでぞわぞわする。ぞわぞわするって言っちゃった。
それにしても……と目の前から声がしたので振り向くと、彼女が俺の股間をまじまじと見ていた。
余計に勃つからやめてほしい。
「……どうしました?」
聞くと、彼女は何やらうっとりとした様子で惚けたように口を開く。
「今の挨拶は、なるべくわたしの立場が下になるような言い方にしたんだけど……それでこんなに大きくなるなんて……やっぱり、ご主人様の才能があるのねぇ……」
「え」
「え」
「何でもないわ~」
俺と結衣が目をむいて固まると、彼女は俺たちの視線をひょいと躱して立ち上がった。え、この人、今なんて……?
俺と結衣のどちらかが今の彼女の台詞を聞き直すよりも早く、彼女はひょいひょいと道具を持ってきて、俺の目の前に置いた。
以下、目の前に陳列された道具一覧。
洗面器。
ボディソープ。
スポンジ。
ローション。
…………。
何が起きるか大方の予想が付いて、ごくりと息を呑むと――彼女が、俺の両脚の間に入り込んで、たおやかに腰を下ろした。
膝立ちになって俺の内腿に手を添えると――そのまま、腰に巻いたタオルの中に手を滑り込ませて、がちがちに隆起した肉棒の竿と陰嚢を優しく手で包み込んだ。
「んぉ……っ」
たまらない快感に声を漏らすと、彼女が妖艶に目を細める。
「それでは……お身体、洗わせて頂きますね?」
「……っ、は、はい、お願いします……っ」
がちがちに緊張した声で答えると、彼女はにっこりと微笑んで、タオルの中で十本の指を妖しく蠢かせた。
ぞくぞくとした快感が背筋を駆け抜けて、鈴口からカウパーが滲んだのが分かった。
白い生地の裏側でゆらめく手指の動きをじっと見つめていると、すぐ隣で結衣が小さく、押し殺すように喉を鳴らす音が聞こえた。
続く。
3人以上居る状態をじっくり書くという経験が少ないので、書く度に勉強になっています。ここからどんどん濃密になっていきますので、どうぞご期待ください(^^)
ちなみに今回は八幡の腰に巻いたタオルの中に手を入れる動作がお気に入りです。
それでは、また明日ここでお会いしましょう(^^)!
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!