雪ノ下と由比ヶ浜の肩を揉んでから数日。
あいにく、あの後中々都合が合わず、雪ノ下の家に行けずにいた。
健全な男子高校生としては、すこぶるもどかしい。
目は腐ってても、身体は男ですもの。
放課後、いつものように部室に行こうとすると、由比ヶ浜が俺の所に歩いて来た。
…やっぱりいつ見ても、こいつの犬感は半端無い。
たまに変な妄想をしそうになって必死に振り払うけど、何だかんだ寝る前にちょっと妄想してますごめんなさい。
「ヒッキー、今日の部活なんだけどね、あたし家の用事あるから行けないんだ。ゆきのんにはもう伝えてるから。ごめんね!」
あらま。
「おお、そうか。わかった」
賑やかなのが居ないのはほんの少し寂しい気がしないでも無いが…今の状態だと、何よりまず、気が気でない。
…どうしよう。
部室の前に立つと、少し深呼吸をした。雑念よ、消え去れ!
無理!
なるべく平静を装って、ドアをからりと開ける。
雪ノ下がいつもの様に、椅子に座って静かに本を読んでいた。
相変わらず、やたらと絵になるな…。
そんな風に思いながら、彼女を一瞬だけ見つめた。
雪ノ下は俺に目を向けると、優しく微笑んだ。
や、相変わらずクールなんだけど、そんでもここ最近は…と言うより、あの日から、また明らかに柔らかくなった気がする。
正直、あの微笑み一発でなんかすごい動揺する。可愛いなちくしょう。
「おう」
ぎりで裏返らずに済んだ。あっぶね。
机に鞄を置いて、いつもの様に文庫本を取り出す。
栞を抜いて文字列を追い始めると少し落ち着いたので、視線を本に落としたまま話しかけた。
「今日、由比ヶ浜は休みなんだな。さっき聞いたわ」
その言葉を聞いた途端、雪ノ下の身体が一瞬だけぴくりと動いたのを視界の端で捉えた。
「…そうね。今日は…二人ね」
雪ノ下が発した『二人』と言うワードに、俺は一瞬身体が固まる感覚を覚えた。
「…そうだな」
少し間を置いて、何とか答えた。
…ただお互い本を読んで終わる、それで終わる気なんて全くしなかった。
本を読み始めて、20分程経っただろうか。
正直、本の内容が頭に入って来ない。
今読んでる本がトルストイなのかギャグマンガ日和なのか分からないくらいには入って来ない。
本を持ちながら、頭の向きを変えないままに何度も雪ノ下に視線を送ってしまう。
雪ノ下はいつも通り本を読んでいる。
…くそ、何か俺だけ緊張して馬鹿みたいだ。
少しだけ外でも眺めようかと思い、席を立った。
その瞬間、雪ノ下の身体が、再びぴくりと動いた。
俺が窓の方へ向かおうと雪ノ下の方へ向かうと、雪ノ下のページをめくる手が明らかにぎこちなくなった。
ページを摘まむすらりと伸びた美しい指が、僅かに震えている様に見える。
雪ノ下の背後を通り過ぎて窓辺に来たとき、ちらりと雪ノ下を見てみた。
一瞬、目が合った。
その後雪ノ下はすぐさま俺から目を逸らす。
彼女の下唇が、微かに震えた。
ああ、もう、我慢出来ない。
雪ノ下に触れようと、彼女の艶めかしいうなじに手を伸ばした瞬間。
「止まりなさい」
ぴしゃりと撥ねつけるような声がした。
声の主は、紛れも無く目の前に居る雪ノ下だ。
…あっれー?だってこの間…あっれー?
これが例のアレか、『飲み会で仲良くなったと思った女の子に後日素面で会って、こっちは仲良くなった時のノリで挨拶したら向こうは思いの外冷静に一線引いた感のある挨拶を返して来た』ってパターンか。
俺が手を伸ばしたままの体勢で固まって、ショックに打ちひしがれていると、
「…大変なことになるわよ」
ページをめくる手を止めたまま、雪ノ下が言った。
…うーわっ、追い打ちかよ。
浮かれてたのが馬鹿みてえだな…。
これ、雪ノ下の家に行くって流れも消滅したよね?
己の間抜けさに辟易して目を細めた。
そして、伸ばしていた手を下ろそうとした瞬間、雪ノ下が続きの言葉を発した。
「…私が」
…紛らわしいっっっ!
何で溜めた上に倒置法使ってんだよ。主語が極限まで分かりづらいわ。
言葉は!きちんと分かりやすく、相手に伝わるように!
これ、先生との約束!
紛らわしいことを言ったお返しと言うことで、試しにうなじをそっと撫でた。
「んんっ…」
くぐもった声を上げると同時に、少しだけ震えながら肩を竦める雪ノ下。
その反応を見た瞬間、あの時の興奮が蘇った。
両手を首に添えて、さわさわと首全体を撫で回す。
「んん…んあっ…ふぅっ…ん…」
口をつぐんで必死に声を抑えながら、読んでいた本に栞を挟むと、震える手で机の上に置いた。
それを確認すると、あの日すんでの所で堪えた事を今度こそしたくなった。
雪ノ下の首に、後ろから、まるで噛み付くかのように吸い付く。
「~~~!!?」
敢えて彼女の口を押さえずに、声が漏れ出るのを期待した。
両手で二の腕を押さえ込み、椅子から離ることも自ら口を塞ぐことも封じて、彼女の首の左側面に口を付け、好き放題に舐め回す。
緊張していたのか、若干の汗のしょっぱい味がする。
それ以上に、彼女の髪から香る清楚な匂いが、背徳感をかき立てた。
行き場所を失った彼女の手は、始めは太腿の上に乗せられぶるぶると震えていたが、やがて肘を折り曲げて、俺の手を握って来た。
そして、俺の耳元で、
「…だめ、ほんとに…声、出ちゃう…から…」
と、今にも消え入りそうな声で囁いた。
…何でお前は、俺の嗜虐心を刺激するのが上手いんだよ…。
そんなことを考えながら、雪ノ下を押さえ付けていた手を放し、同時に唇も放した。
そして、ゆっくりと彼女の正面に回り込む。
「…?」
惚けた顔で、俺の行動を見守っている雪ノ下。
そんな彼女に、何一つ容赦の無い責めを与える。
「…~~~っ…!!?」
言葉にならない悲鳴が、雪ノ下の口から漏れ出た。
俺は正面から雪ノ下に抱き付くと、左腕を背中に回して彼女の左右の二の腕を一度に押さえつけ、更に右手を彼女の左胸にやり、首筋に再び吸い付いた。
声を抑えることも出来ず、先程よりも刺激する場所を増やされる。
しかも胸は、初めて触られるはずだ。
興奮しきった状態で胸を触られる快感は、彼女にとっても相当予想外だったようで、全身をびくびくと痙攣させた。
「い…あっ…だめ…ほんとに…ほんとに…だめ…なの…ひっ…んんっ…」
悩ましい声が、柔肌を舐り回す俺の顔の右側から響いて来る。
『だめ』と言う言葉が、俺の頭の中で全て『もっと』に変換されていた。
そして、彼女を拘束していた左手を右の胸にやり、両手でぎゅっと彼女の両胸を揉んだ瞬間。
「いっ……んあっ!!」
椅子に座ったまま、雪ノ下の身体が跳ね上がった。
真冬だと言うのに、互いに汗をかいている。
蕩けた目をした雪ノ下と目が合うと、まるで当然の事のように顔を近付け合って、ゆっくりと唇を重ねた。
そのまま彼女の肩を持って椅子から立たせると、まるでお漏らしでもしたかのように温かい液が溜まっていた。
そして、肩を持ったまま机の前に立たせる。
「…?」
息を荒げながら、力の無い瞳で疑問を投げかけて来た。
「上半身を机に乗せて、尻を俺の前に突き出して」
ストレートに、雪ノ下のプライドをぶち壊すようなお願いをする。
彼女の目が、驚きで一瞬見開いた。
最初の数秒は戸惑っていたが、俺の目を見て本気なのだと悟ったのか、震える声で
「…どうしようも無い変態ね、あなた…」
と言って、僅かに微笑んだ。
そして、足を少しばかり開いて、上半身を机に突っ伏して尻を突き出すと、捲れたスカートの中から可愛らしい白の下着が現れた。
続く。
この後日談は、書いてしばらく(1週間くらい)置いたら、きちんと順番を整理しようと思います。
今日更新した2話は、どちらも『これからこの話を書くよ』と言う意思表示の意味合いで、最初の部分だけさらっと書くことにしました。ここから濃密にして行こうと思います。
こんなに多くの方に読んで頂けるとは…感無量です。ありがとうございます!!
怪談の最後のお話で、評価を一気にたくさん付けて頂けました。気合を入れて書いた甲斐がありました…!
ゆきのんは書けば書く程好きになることに気付きました。何と言う魅力なんでしょう!
それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!