留美が俺のことを誘惑すると言ってから、しばらく時間が経った。あんなことを言った後だから、一体何をするのかと内心気が気でなかったが、今のところ和やかに話しているだけだ。
このまま平和に時が過ぎることを願う自分と。
大きな大きな変化を願う自分。
二つの矛盾した願いが折り重なって、頭の中はずっと混乱していた。
「……ちょっと、暑いかも……」
ココアを飲み干した留美が、カップをテーブルに置いてぽそりと呟く。
「ん、ああ、ならエアコン点けるか」
留美に向き直って答える。そこまで暑いとは思わなかったが、留美がそう言うのなら調整しよう――と思い立ち上がろうとすると、留美がふるふるとかぶりを振った。
「ん、大丈夫。……ちょっと、脱ぐから」
「え、脱ぐって……うぉっ!?」
留美が胸元のボタンに手を掛けた。
高速、いや、光速で目を手で覆った。
しゅるしゅると衣擦れの音がする。俺は歯を食いしばっている。
薄暗闇の中で、留美がくすりと笑う声が聞こえた。
「八幡……初心だね。上着を脱いだだけなのに」
「へ……っ?」
きょとんとしていると、留美が俺の手を外した。恐る恐る目を開けると、留美がワイシャツ姿になっていた。
…………。
「……し、知ってたし……」
「へえ、知っててあの反応なんだ?」
「うぐ……」
留美が悪戯っぽく笑う。表情の変化は小さいのだけど、明らかに俺で遊んでるのが分かる。くそぉ……っ。
まあ、まあまあまあ。
落ち着け、比企谷八幡。
ワイシャツ姿自体は、全国どこの学校、あるいは職場でも見るものだ。今のは単に、もしかしたら留美がもっと脱いでしまうのではと思っていただけなので、一度ネタばらしされれば何てことはない。
よし、落ち着いた。これならば平常心を保てそうだ。
「……ふう。ところで留美ってうおぉぉぉっ!?」
留美が、ほんのり頬を赤らめながらシャツのボタンを上から外していた。
再び光速で目を手で覆った。
薄暗闇の中で、留美が再びくすりと笑う声が聞こえた。
「八幡……ほんと初心。よく見てみなって」
「へ……?」
今度は恐る恐る自分で手を外し、留美を見てみる。
結果としては、大丈夫なようで、全く大丈夫ではなかった。
留美は、ワイシャツのボタンを3つ程外していた。今は左右の生地が重なっているのでさほど影響はないが、ちょっとでも動けば途端に胸元が見えてしまう。
「べ、べべ別に平気だし……っ」
「……ふぅん」
留美が蠱惑的に笑う。しかし自身も恥ずかしいようで、よく見れば首まで赤い。
ワイシャツの胸元をつまんで悩まし気に扇いだかと思うと、ゆったりと立ち上がって俺の前に来た。
「八幡」
ぽそりと俺を呼んで、髪をかき上げたかと思うと、膝に手を付いて、屈んで俺に顔を近付けた。開いた胸元を見せつけるような行動に、心臓が爆発しそうになる。
「る、留美、こら……っ」
慌てて目を閉じると、唇を塞がれた。
「んふぅ……ちゅっ、くちゅっ、ちゅぴっ、ちゅくく……んちゅっ、んふぅぅぅ……っ」
「……っ」
目を見開くと、留美のうっとりとした顔に視線の自由を奪われた。とろんと垂れた目尻。上気した顔。顔の角度を変えて悩ましく侵入してくる舌。制服の下で、牡の欲望ががちがちに反応していた。
留美の顔に手を添えて、口内のまぐわいに積極的に応じる。留美は嬉しそうに目を細めると、腰を下ろして俺の股座に座った。体育座りのようにして俺の太ももを跨ぎ、身体を密着させる。ワイシャツ姿になったことで、二人の身体がより近付いているような気がした。
「んふぅぅ……んくちゅっ、ちゅぴっ、ちゅりゅ、……んはぁ……んんっ? ごく、ごく、んっく、んくぅぅ……っ」
唾液を流し込むと、留美は美味しそうに飲み込んだ。留美も唾液を流し込んでくる。飲み込むと、信じられない程甘かった。ココアの甘味と、発情した女性の甘味。
留美の足が俺の腰に絡み付く。視線を下に落とすと、留美のスカートは俺の下腹部を覆っていて、淫らな行為を連想させた。
「んっ、ちゅく、んんん……んふぅっ!?」
留美が何かに対して驚き、華奢な身体を悩ましくくねらせる。何事かと思いもう一度視線を落とすと、原因が分かった。スカートに覆われて見えないが、俺の膨らんだ部分と留美の大事な部分が触れたようだ。一瞬柔らかい感触がしたのはこれだったのかと気付く。
「んっ、ふっ、んっく、んんん……っ」
留美が徐々に下腹部を密着させていくと、その声から見る見る余裕が消えていく。表情からあどけなさが消えていき、大人の女性の顔に変貌していく。
留美の頭と背中に腕を回して、きつく抱きしめた。それと同時に舌の絡みも一層ねちっこくする。
「んふぅぅぅ!? んっ、んぐっ、んぐぅぅぅ……っ」
留美の声がどんどん弱々しく、艶を帯びていく。震える声が嗜虐心をかき立てた。
頭に回した手で留美の耳を撫でながら、腰をぐいぐいと前後させる。スカートに覆われていて見えないが、その下では微かにくちゅりと言う水音がした。
唾液を一方的に流し込み、留美に思う存分飲ませる。
どれくらいそうしていたか分からないが、ようやく口を離すと留美と俺の口の間に透明な糸が引いていて、留美の顔は完全に出来上がっていた。
「……八幡、私の誘惑、どう?」
とろとろになった瞳で、そんなことを言ってくる留美がたまらなく愛おしい。
「ああ、すげぇ良かったぞ。だがこれくらいではまだまだだな。俺が留美を襲うまでには程遠い」
俺の言葉に対する留美の反応が鈍い。相当惚けているようだ。
ぽりぽりと頬を掻いて、とあることを思い付く。
「ちなみにだ。今後の参考にして欲しいんだが……」
言いながら、留美の脇を持って膝立ちにさせ、自身も膝立ちになる。俺は立ち上がり、留美には女の子座りをさせた。留美の後ろに、さっきまで使っていたものとは別のクッションを置く。
「俺が襲うと、こうなる」
「え……んむ――っ!?」
留美を押し倒して、置いておいたクッションに頭を乗せた。初めに唇を塞ぐと、先程よりも更に身体を密着させて腰をぐいぐいと押し付ける。
「んぐぅ……っ! んんっ、んむふぅっ、んんんんっ!? うんんん……んむふぅぅぅ……っ」
留美が身体を捩らせようとすると、力ずくで押さえ込む。留美は俺の背中に腕を回しきつく抱きしめて、身体をびくびくと跳ねさせると、俺の腰の動きに合わせ始めた。汗をかいたためなのか、留美から発せられる甘美な匂いに情欲をくすぐられ、下腹部にこすり付けている肉棒には先走りの汁が滲み出ている。
腰の動きと口内を嬲る舌の動きは連動させていた。
時に優しく、時に蹂躙するように。
緩急を付ける度に、留美の表情はどんどん淫靡なものに変わっていく。
たっぷりとお互いの身体を密着させると、ようやく唇と身体を離した。留美の腕が力なくカーペットの上に投げ出され、髪は振り乱れていて、ぱっと見は完全に「そういった行為」をした後にしか見えない。
「……本気で襲えばこれよりもっとすごいぞ。……本当に、良いのか」
留美の横に座って頭を撫でながら言うと、留美がにっこりと微笑んだ。
「……ん、望むところ。待ってて、八幡が本気で襲いたくなるくらい誘惑してあげるから」
留美がそう言って笑う。
その笑顔が、心をざわつかせて。
「お前な……っ」
もう一度押し倒して、襲う予行演習をした。
結局この日は、留美を送るぎりぎりまでそうしていた。
留美が帰った後、部屋に残る匂いに、少女としてのもの以外の香りが混じっていることに気付く。
今日、この場所で。
二人の関係が変わり始めたことを実感した。
続く。
ルミルミでした。結構燃えました、本当に。
ここからは癒しとひりひりするようなエロという2つの要素をお楽しみ頂けたらと思います。
連載を始めて、1年と1ヶ月と1週間程経ちました。恐らく半年くらい前から「いつまで毎日投稿するかは分かりませんが」とここで書いていましたが、ようやく頻度を減らします。
取り敢えず、当面は「週5」「木曜0時と日曜0時はお休み」という方針で行きます。何かしら変える場合はここで告知致します。
コミケのいろはす本やオリジナル小説の宣伝、或いはただの徒然なツイートを
takahashi_toru_
で呟いています。よろしければぜひフォローして頂きたいです。
これからもしばらくの間、よろしくお願いします。
俺ガイルのゲームを買うか悩み中。
それでは、また明日ここでお会いしましょう(^^)!
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!