翌日。
「……こ、こんにちは」
放課後、部活も終わってから学校近くの公園で留美と会うと、顔を真っ赤にしてえらく他人行儀な挨拶をされた。
「おう。……どうしたんだその距離感は?」
並んで歩きながら尋ねると、留美は真っ赤になって俯いてしまった。
「……昨日のを思い出したら、ちょっと……っ」
「……ああ、そういうことか」
それは恥ずかしいだろう。
電話で年上の男に言葉で責められながら自分を慰めて……ん?
……んん?
「留美。気のせいかもしれないんだが」
「ん、なに?」
「俺が昨日やったのって、通報レベルか?」
「……そんなことする訳ないけど、しようと思えば多分今まで何十回も出来たと思う」
「おうふ……」
何十回もなんだ……。それもそうか、そうだよなぁ……。
意味もなく凹んでいると、留美がそっと手を握ってきた。指を絡めて握り返すとぴくりと手が震えた。
「……だから、する訳ないってば」
いつの間にかいつも通りの調子に戻って、優しく微笑んでいる。心がふわりと軽くなって、愛おしさが増す。
ベンチに並んで座って、ほっと一息つく。円状の空間を囲むようにベンチが並んでいて、夜遅くになるとカップル同士が見せつけるようにいちゃつくと有名な場所だ。この時間は俺たちの他に誰もおらず、近くを行き過ぎる人からは死角になっている。指定したのは留美なんだけど、この噂は高校生どころか小・中学生だって知っているはずだ。一体何をするのかと、内心気が気でなかった。
「八幡……」
留美の声が湿り気を帯びる。横を向くと夕陽が留美の顔を横から照らし影を作っていて、明るい昼間の顔と妖艶な気を帯びた夜の顔が混在していた。
留美がぴとりと身体をくっつける。足と足がくっつくと、途端に2人の境目が分からなくなった。
「ん……っ」
留美が目を閉じると、長い睫毛が微かに震えた。見惚れる程美しい顔だけれど、あまり見ている時間的余裕は無い。顔を傾けて唇を重ねると、甘い吐息が鼻腔を擽った。
「ん……っ、ふぅっ、ちゅっ、ちゅく、んんん……っ」
舌を絡めて唾液の交換をしていると、留美が手を繋いできた。両手を握り返して、いやらしく音を立てながら口付けをする。
留美が繋いだ手を離すと、首に腕を回して抱きしめてきた。どきりとしつつも、留美の背中に腕を回して抱き寄せる。密着度が一層増して、自然と口でのまぐわいの激しさも増す。空いた左手をどこにやろうかと迷っていると、留美の手が俺の左手を掴み――自身の太ももへ導いた。
「ん……っ!?」
急に何を……と思ったが、そうだ、そもそも留美は俺を誘惑するのだと堂々と言っているのだ。第一俺はこの展開に戸惑いこそすれ、いやだと思ってはいない。むしろ大歓迎だ。
スカートの上から留美の太ももに手を触れる。生地越しに柔らかな感触が伝わり、心拍数が跳ね上がった。
「んふぅぅ……っ」
甘美な声が漏れて、理性をじわじわと焼かれる。恐る恐るさすっていると、留美がスカートをぺろりと捲り、透き通るような白さの太ももを露わにした。驚きながらも素肌に触れると、シルクのような滑らかさと、熟し切っていない果実のような柔らかさに息を呑んだ。
「んっ、ふっ、ふぅぅ……っ、んちゅくっ、ちゅくっ、ちゅぷ、ちゅぴ……んふぅぅん……っ」
太ももを撫でられる度に悩ましく身体をくねらせる留美の仕草は、信じられない程妖艶だ。
「ちゅぷ、ちゅぴっ……んはぁっ。……どう? 私の誘惑は?」
口を離して微笑んだ留美の顔は、数分前とはまるで別人のものだった。少女の中の女としての面が顔を出し、僅かな挙動一つで心が揺さぶられる。
「……かなりやばい。でもまだ俺は耐えられるな」
「……そ」
あっさりとした返事をするや否や、留美が俺の喉元に口付けをした。
「ちゅっ、ちゅぴっ、ちゅくっ、んふぅぅっ、んっ、ちゅりゅ……っ」
「お、おぉぉぉ……っ」
固めた舌先でつつき、なぞり、舌の腹でたっぷりと舐る。留美の髪から汗混じりの甘い匂いが漂い、視界がぐらりぐらりと歪む。命と理性を一緒に握られている気がした。
留美は口を離すと、うっすらと口の端を上げた。その瞬間背中を何かがぞわりと駆け抜けて、留美の目を直視出来なくなり、抱き寄せて胸元に留美の顔をうずめる。
「……私の顔、見たくないの?」
顔をうずめたまま、優しい声で留美が尋ねてくる。
「や、そうじゃないんだけど、なんか、その……っ」
時間を追うごとに妖艶な笑みを纏ってゆく留美に、頭が付いてきていなかった。だから、一時退避として留美を抱きしめて顔を見ないでおいたのだ。
しかし、留美の攻めは止まらない。
「じゃあ、こうしてあげる」
「え――」
留美が突然立ち上がり、俺の手を引いた。為されるがままに立ち上がると、ベンチのすぐ横の芝生に連れて行かれた。「座って」と言われ腰を下ろすと、留美は胡坐を掻いた俺の正面に立ち、腰を下ろして抱き付いてきた。俺の身体に正面から密着してきた瞬間、思わず言葉を失った。
「な……っ」
目の前に留美の顔がある。スカートの中に履いているショーツと、いきり立った股間がこすれていた。
「ん……っ、これ、で、どう……っ?」
留美が蠱惑的に微笑む。しかしよほど恥ずかしいのか、大人びた笑みを浮かべながらも顔は真っ赤で震えている。ひどくアンバランスなギャップにごくりと息を呑むと、俺の首に腕を回した留美に唇を塞がれた。
「ん……っ!?」
今までよりも舌が口の奥深くまで入り込んできて、入念に中を撫で回してくる。身体が密着して、胸の柔らかさと下半身の湿り気を帯びた肉感に酔いしれる。
「んふぅぅ……んっ、んんんん……っ」
留美は腰をひくつかせながら、前後に動かして互いの大事な部分を布越しに擦り合わせる。快感を求めるように、俺の腰も留美の動きに合わせて揺れる。留美の体重は冗談かと思う程軽いが、擦れ合っている部分に感じる重みは妙に生々しい。
このまま夜までこの格好を続けていれば、周りからは最後までしているカップルだと思われるだろう。服を着ているという自覚も薄れるくらい、この行為に夢中になっていた。溺れていた。
ああ、このままずっとこの時間が続けば良いのに――と思っていると。
留美が、不意に唇を離し、すっくと立ち上がった。
「あ……っ?」
思わず漏れた自分の情けない声に赤面すると、
「ふふ、もっとしたかった?」
留美が悪戯っぽく笑う。スカートの中は見えそうで見えない。
「八幡。もっとしたい?」
留美が続けざまに聞く。答えなんて一つしかないが、この流れで言うのは憚られた。
「ほら、八幡、早く……あ――っ?」
――ここまでの行為で、足腰にきていたのだろうか。
留美の膝がかくんと崩れ落ちた。
咄嗟に腰に手を伸ばして支えたが、留美の身体はずるずると真下に落ちてゆく。
――くちゅり。
「あ……っ」
再び互いの下腹部が擦れた瞬間、いやらしい水音がした。留美の瞳が揺らぎ、目が合うと気まずそうに逸らした。
「…………」
俺は、何も言わず、芝生に手を付いて身体を後傾させた。一人でやっていれば、星でも眺めているかのような体勢だ。
「…………」
留美も何も言わず、ぺたりと女の子座りになると、俺の腰に手を添えた。
この場で、俺たちは、一体どこまでするんだろうか。
終わりのない攻防は、まだ収束の糸口さえ掴めない。
続く。
ルミルミでした。女の人がスイッチを切り替える時の空気を出すのが好きなので、引き続き精進します。もっとひりついた空間を作りたいです。
それでは、また明日ここでお会いしましょう(^^)!
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!