留美の言葉に、心臓が跳ねる。
――見せたいものって、なんだ――?
留美は俺の腕を解くと、ベッドを這って降りた。くるりと振り向くと、恥ずかしそうに目を伏せた。肩紐をはだけ、ワンピースの前面に付いてあるボタンに手を掛けると、上から一つ一つ、焦らすように外していく。黒の生地がはだけて徐々に新雪のような肌が現れて、まるで蛹から蝶への羽化を見ているような気持ちになる。
最後のボタンを外すと、服が自身の重みで自然と落ちる。するりと落ちる黒の生地がスローで再生された。。
留美の足元に、ワンピースがはらりと落ちる。再生速度が戻った世界で顔を上げると、
「……う……ぉ……っ」
視線がぴたりと固まる。
言葉が出ない。
呼吸もままならない。
それほどまでに、留美の艶姿は強烈な魅力を放っていた。
留美が着ていたのは、大人の女性であっても相当な勇気がいるであろう、過激な黒の下着だった。レース生地にフリルが付いていて柔和な印象があるが、よく見れば大事な所が透けていて、僅かに見えてしまっている。はっきりと見えそうで見えない絶妙なラインを突いていた。
留美はへそを両手で覆っていて、内股になっている。
「……あれ? それって……」
見せたいものっていうのはこれか――と釘付けになっていると、あることに気付いた。
「……うん」
留美は小さく頷いて、顔を逸らした。
留美が着ている下着は、以前留美とのデートの終わり際に通りがかったランジェリーショップに置いてあったものだ。自分一人で見ただけならすぐに忘れていただろうが、留美がこの下着をじっと見た後、俺をちらりと流し見た時の意味深な表情が印象的で、この下着のことをはっきりと覚えていた。
……わざわざ、買ってくれたのか……。
むずむずとした幸福感が、胸の内に温かい火を灯した。
「……どう……?」
戸惑いながらも尋ねてくる声は、息を呑む程艶っぽい身体とは対照的にとても幼い。歪なギャップが心を揺らして、我慢しないとすぐにでも飛びかかってしまいそうだ。
「……言葉に出来なくてすまん。似合い過ぎてるし、可愛すぎるし、……エロすぎ」
俺の言葉に留美は目を見開いた。
「……そ。……誘惑、出来てる?」
「ああ、もう出来過ぎててやばい。襲い掛からないのが精一杯だ」
思ったままのことを口にすると、留美が頬を緩ませた。
「……ばか」
ぽそりと呟いた言葉が、あまりにも可愛らしくて。
甘い水に吸い寄せられる蛍のように、壁から背中を離してふらふらと留美の傍に行く。ベッド際に座ってカーペットに足を付けると、再び留美の身体に見入った。
黒と白のコントラストがあまりにも見事で、言葉を失う。
淫靡な黒の生地と、純朴な白の肌。そしてその肌を、時折朱色が彩る。
網膜に焼き付けて生涯覚えていたくなる程の、可憐さと美貌と色香を備えていた。
「……そんなに、見られると……っ」
留美がもじもじと内ももをこすり合わせる。嗜虐心がぞわりと芽吹いて、下腹部が痛い程張り詰めた。
「……見られると、なんだ?」
「……っ、な、なんでも、ない……っ」
留美が慌てて顔を逸らす。首まで真っ赤になっていて、動揺を全く隠せていない。
「足、開いてくれるか」
「え……っ」
俺の言葉に、留美は目を見開く。
「俺のこと、誘惑するんだろ? 足開いたら、それはもうくらくらすると思うんだけど」
「……っ」
留美の瞳が揺れる。けれど、そこに拒絶の色はない。留美の心には、戸惑いと、躊躇と、羞恥と……確かに燻る、誘惑という名目を借りた、俺に対する服従行為への好奇心が見えた。
留美の細い喉がこくりと鳴る。覚悟を決めたような、そんな音。
内股になっていた足が離れ、足をカーペットに滑らせるようにしてゆっくりと開いていく。数十センチ開いただけでも、淫靡な下着がはっきりと見えて興奮の度合いが桁違いに上がった。前屈みになって、留美の挙動を凝視する。
もっと、もっと――と思っていると。
「これ以上は……だめ……っ」
「……へ?」
立ったままでもまだまだ開く余力がある状態で、留美の足の動きが止まった。何が起きたのかと唖然としていると、留美が言葉を続ける。
「……これ以上は、見えちゃう……っ」
「……え……み、見えるって、まさか……っ」
言われて、留美の下腹部をもう一度見る。
黒の下着の隙間に、微かな肌色が見えた。身体中の毛が逆立つような感覚を覚えた直後、留美が足を閉じてしまう。
「あ……っ」
ついつい口惜しむ声を上げると、留美が茹だったように真っ赤になった。
「……ばか」
留美は呆れたように笑うと、上半身を屈めて顔を近付けた。髪をかき上げる仕草がとても美しくて、一挙手一投足を目で追ってしまう。
「……ん……」
こちらの両耳に手が添えられて、瑞々しい唇に口を塞がれる。にゅるりと入り込んできた小さな舌と自分の舌をまぐわらせて、くちゅりくちゅりと唾液の交換を行う。
「んっ、んむっ、れるっ、ちゅぴ、ちゅく……っ」
うっとりとキスに興じる留美の表情は、年相応の少女っぽさと、聖母のような優しさと、淫魔のような艶を含んでいる。この子の新たな顔を知る度に、女性と言うのは皆百面相なのかと驚くと同時に、色鮮やかな魅力に強く強く惹かれる。
唇を重ねたまま、両手をそろりと留美の乳房に伸ばす。
下から掬うように揉むと、薄い下着の生地がくしゅりと歪んだ。
「んんんん……っ」
留美の悩まし気な吐息が口内に流れ込み、行き過ぎた官能が思考を麻痺させる。
柔肉をむにむにと揉みしだき、指先で乳頭を軽く弾くと、留美が跳ねるように上半身を起こして唇を離した。
「んあぁぁっ!? あっ、あんっ、そこ、気持ちい……っ、やっ、恥ずかし……んんんん……っ」
眉を八の字にして、留美が首をふるふると横に振る。両手をどこに置くのかと思ったら、恥ずかしそうに身悶えしながらも俺の両肩に置いた。自然と身体が屈み、足が生まれたての子羊のように震える。
「なんか、乳搾りしてるみたいだな」
「ば、ばか、何言って……んはぁぁぁっ!?」
下を向いた乳首を人差し指と親指できゅむきゅむと扱く。うっすら透けた乳頭は、小さいながらもきちんと摘まめる程張り詰めていた。
「んあぁぁ……あっ、あんっ、あっ、あっ、あっ、くぁ……っ、ひっ、うんん……っ」
吐息がかかる程の距離で、留美が切なげに身を捩らせ、こちらを見つめながら喘ぎ続ける。留美の頭を掴んで引き寄せ、首に吸い付いて再び胸を揉みしだくと、肩にかかる体重が増した。
「あ、一緒にしたら、だめ、そんなの、おかしく……んぅぅぅぅ……っ!」
顔を伏せて、内股になったかと思ったら全身を激しく痙攣させた。シルクのような肌をした内ももが淫猥な汁に塗れ、牝の匂いをまき散らす。
「留美……今自分がどんだけエロいか分かってるか?」
「やぁっ、言わないでぇ……っ」
俺の肩に顎を乗せて、顔をこすりつけながら恥ずかしそうに身を捩る。庇護欲と嗜虐心をそそる挙動は、俺の次の行動に常に迷いを与える。慈しむか、めちゃくちゃにするか。常に欲望と理性を天秤にかけながら行動するのは、思いの外楽しい。
留美の下腹部に手を伸ばす。
さっきは手を出せなかった、留美の一番大事な所。
まずは表面をじっくりと……と思い、割れ目があると思われる場所に手のひらを伸ばした。
手が触れた瞬間、ねっとりとした湿度が肌に絡み付く。
肉丘の谷間をこすろうと、手を手前から奥に滑り込ませると。
――ぬちり。
「んはぁんっ!?」
留美が身体を跳ね上げて、下腹部を触っているこちらの手を両手で掴んできた。俺の手は留美の手により動きを止めたものの、位置そのものは変わっていない。
右手中指は下着をかき分けて、色っぽく開けられた部分から留美の膣内に入り込んでいた。熱いゼリーに指を浸しているようだ。
「……こんなあっさりと入るなんて、どんだけ濡れて……あ、でも、すげえ締め付けてくる……」
「……ばか、ばかばかばか……っ、そんなこと言わなくていい……っ」
要らないことを言ってしまったと思ったが、留美の反応が凶悪なまでに可愛いからやめるにやめられない。
「もう少し……挿れるぞ」
「あっ、やっ……んくぅぅっ!? だめ、んくっ、それ、そんなの……っ!」
留美の中にじゅぶじゅぶと中指を侵入させていき、第二関節まで侵入したところでくいと折り曲げる。
「あぁあぁぁあぁぁぁっ!」
留美は普段のクールな表情が霧散して、余裕の無い一匹の牝と化している。目尻に涙を浮かべながらいやいやと首を振る姿は、嗜虐心をそそるばかりだ。
続けて何回か折り曲げると、ある場所を押し込んだ瞬間、留美の身体からがくんと力が抜けた。
「あ――――っ」
魂が抜けたようにこちらに倒れ込んできて、慌てて指を引き抜いて留美を支えた。ズボン越しに肉棒が留美の下腹部と重なると、ぷしゃあぁ……と温かい液体が大量に勢いよく噴き出してこちらの下半身を濡らした。
留美の腕がこちらの背中に回される。俺も留美を抱きしめると、耳元で囁いた。
「……なあ、留美」
「……ん、なに?」
「最後まで、していいか?」
「…………」
奇妙な間に心がざわつく。
「ん……今日はまだ、だめ」
「……な……っ」
目の前の餌が逃げ水のように遠ざかった気がした。
驚きの余り言葉を失っていると、留美は顔を起こして、おでこ同士をこつんとぶつけた。
「八幡……誘惑に乗り過ぎ。ここまで上手く行くと思ってなかった」
「……いや、まあ、うん、辛抱が足らんかった、すまん」
「でも、誘惑に乗ってくれなかったら、それはそれで私にそんなに魅力が無いのかって落ち込んでた」
「何それめんどくさい……」
キスされた。
だから、なんでだよ。
「……もっと、じっくりしたいの。だめ?」
「……はいよ」
息を呑む程の艶を湛えた美少女の上目遣いに、一体全体どうやって勝てと言うのだろう。
時計をちらりと見る。朝早くから留美を招いていたから、まだ昼前だ。今日はもう、適当にだらだらするか……などと思っていると。
「……でも、このままだと八幡がかわいそう。私ばっかり気持ち良くなってる」
「いや、十分興奮させてもらったから……」
「……私が、してあげる」
「え……」
上気した顔で、留美が視線を落とす。ぱんぱんに張り詰めた肉竿は、留美の下着を捲って生の淫裂とこすれ合っていた。
留美の息が荒い。2つの瞳には、確かに情欲の炎が灯っている。
――どうやら、時間を持て余す心配など、全く必要無いようだ。
続く。
ルミルミでした。どんどんスイッチが入っていきます。
それでは、また明日ここでお会いしましょう(^^)!
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!