留美とは毎日会う様になった。
平日は放課後、部活が終わった後の限られた時間を使って。
休日はうちに留美が来て、朝からたっぷりと。
行為が最後まで行くことはなく、その過程に二人で溺れる。
夢を見ているのではないだろうかと思うほど留美との交わりに溺れるが、指と肉棒を覆う淫猥な湿り気が、現実であるということを生々しく知らせてくる。
夢と現の間を行ったり来たりする日々。
何故最後まで行かないかと聞かれたら、正直よく分からない。
留美の誘惑がまだ足らないかと言われれば全くそんなことは無いし、毎日押し倒したいと思っている。
留美を大事にしたいという、臆病と隣合わせの気持ちも少なからずあるけども。
それ以上の理由を上げるとしたら、この焦れったい関係を楽しんでいたいという気持ちが挙げられる。
留美と再会して、かれこれ一ヶ月と半月程。
じめじめした湿気の中にも、確かな夏の気配を感じる時期。
今日も留美は、うちへ来る。
心と体を交わらせに。
× × ×
「こんにちは」
呼び鈴が鳴って玄関のドアを開けると、留美が柔和な笑みを浮かべていた。正直留美の顔を見ただけで抱き締めたくなるのだけど、毎回必死で我慢している。
「おう、中入ってく……れ……っ?」
頬を掻きながら中に招こうとした所で、ふと留美の服装に視線が行く。
ノースリーブで淡い水色のワンピースという、お嬢様然とした上品さを感じる服装。
けれど、いつもよりもスカート部分がほんの少し短い。
いつもだと膝をすっぽり隠すくらいのロングスカートであることが多いのだけど、今日は綺麗な膝がしっかり見えている。女性でこれくらいの長さのスカートを履く人はザラにいるし、むしろ今日の留美の服装は女性の中では身体を隠している方だ。
言ってしまえば、その中身だって見たことがあるのに。
それでも、その微妙な変化が心を躍らせる。
「……夏だな」
スカート部分をちらりと見て、ばれないようすぐ顔を逸らしながら言うと、
「……変態」
楽しそうに呟かれた。一瞬でバレてしまっていた。
頭をがしがしと掻いて振り向き、留美に手を伸ばす。靴を脱いだ留美は、嬉しそうに目を細めて俺の手を握った。
さてさて、今日は何をしようか。
× × ×
留美が家に来る日は、別に一日中アレなことをしている訳ではない。やって数時間程度だ。それでもかなりのもんだと思うけど。
どうやら俺も留美も、相当ねちっこいのが好きらしい。
競い合うように濃厚な責めをするものだから、楽しくてしょうがない時間が延々と続く。
留美を股座に座らせて俺が胸を揉み、留美が後ろに手を回してイチモツをしごくだけで1時間経過なんてパターンはよくある。
部屋に入っていきなり……ということはあまりない。大抵は軽くお茶をして、勉強なども挟んでから行為に及ぶ。これが終わったらまた二人で……という明確な期待を抱いているため、この時の勉強は尋常でない程捗る。勉強をする際、留美に教えることはよくある。留美は自分の分からない所を整理して伝えるのがとても上手いので、一つの質問に答えた時の効果がとても大きい。教え甲斐がとてもある。
俺と他愛も無い話をしている時や、勉強をしている時の留美の顔は年相応に可愛らしい。大人びているが、そうは言っても5つも下なのだ。ませていると言った方がしっくりくる。
――けれど。
ひとたび留美の牝としてのスイッチが入ると、年齢差などまるで関係が無くなる。
目がうっすらと細められ、テーブルの上に置かれた手の指が妖しく蠢き、お茶を飲んで喉を潤す仕草さえ扇情的になる。
目の前の物を見て、自分の身体を動かし、自分の喉を潤す。
そんな単純極まる行為も、ただ単に自分のためと言うのではなくて目の前の異性を誘惑する為に行われると、途端にその意味合いが変わる。
大袈裟に聞こえるかもしれない。いや、実際にそう思われるだろう。
けれど、決して誇張などしていない。
すぐ隣に居て、微かに肩が触れるくらい傍にいるから分かる。
留美の雰囲気が変わった瞬間、呼吸音が艶めかしく変わり、身体から香る匂いさえ変わるのだ。その変化の程度も、日に日に大きくなっていく。平常時の雰囲気は変わらないから、切り替わった時のギャップがどんどん大きくなっていく訳だ。
端正な顔立ち、艶やかな黒髪、柔らかな物腰。
その全てが魅力的で、魅惑的で、蠱惑的だ。
人は一年で、いや、ほんの数ヶ月で、ここまで変わるものなのか。
そんなことを、日々感じている。
「取り敢えず座ってくれ」
「ん」
2つ置いてあるクッションの内の片方をぽふぽふと撫でる。留美専用に買ったクッションだ。柔和な青一色のクッションで、一緒に買いに行った時はもっと女の子っぽいのでも良いのではと聞いたのだけど、これで良いと言われた。なんだか留美らしいなと思いくすりと笑ったのを覚えている。
留美がクッションに座るのを見て、俺も座る。2つのクッションは元から近くに置いていたのだけど、俺が座るのと同時に一気に間合いを詰めてきた。この子武術の達人か何かかしら。
留美の左肩が、右の二の腕に触れる。何も言うことなくしな垂れかかってこられては、最初からそういう気になってしまいそうだ。
①その気になって押し倒す。
②さらりと流して雑談を始める。
数秒悩んだ末――
妥協案として、留美の肩を抱いた。
涼し気な白い肌に指を僅かに食い込ませると、
「ん……っ」
すぐ横から、甘い声が漏れ出た。思わず押し倒しそうになるが、それでは妥協案の意味が無いので必死で気持ちを抑える。
「……お茶、持ってくるわ」
そう言って手を離すと――
「ん、ありがとう。……でも、今はいい」
「え……っ」
ぽそりと呟いた留美が、俺の正面に回り込んで俺の肩を押して覆いかぶさってきた。押し倒すのを我慢していたら押し倒された。
今日はいきなりか、まあそれもありだな……なんて思っていると、留美は俺の胸板に顔を押し付けて、くしくしとおでこをこすり付けてきた。なんだ、甘えたいのか……と冷静に考えたい所だが、生憎目の前の女の子の可愛さがカンストを起こしているもので、頭の中は大パニックだ。何でこの子すーはーすーはーとたっぷり呼吸してるんでしょう。俺の匂いが好きなんでしょうか。ちょっとこの子の将来が心配だから責任とるしかない。
「……可愛いやつめ」
きっと自分の頬は緩みきってるんだろうな……と思いながら、留美の髪の毛に顔をうずめる。柔らかな髪の香りに浸りながら留美の髪を手で梳くと、まるで上質の絹を触っているような滑らかさを感じた。宙を舞う埃なんて全て滑っていくのではないかとさえ思うような、滑らかな肌。
「……最近なんだけど」
留美が顔をうずめたまま話し出した。声がこもってて結構シュール。
「ラブレターを貰ったり、告白されたりすることが急に増えたの」
ほーん?
「ちょっとそいつのフルネームと連絡先と住所を教えてくれるか」
「落ち着いて八幡……私もそんなの知らない……」
あまりに衝撃的な近況報告に、思わず我を忘れてしまった。留美が顔を上げて冷静に宥めてくれる。
頭を撫でられた。
和んだ。
ふひー。
「……それは、なんだ、ここ最近急になのか」
「ん……そうみたい。小学校の時もまあ、たまにそういうことはあったんだけど……最近急に増えた」
「小学校の時もか……ちなみに小学校の時は、告られたら何て答えてたんだ?」
「『私、あなたのこと知らない』って率直に」
「鬼だ……」
まだよく知らないとかならまだしも、ただ知らないとだけ言われてしまってはもう救いが無い。これからも興味を持つことは無いと言っているようなものだ。
「増えたって言うのはどれくらいなんだ」
「小学校の時は2~3回あったくらいなんだけど、ここ1ヶ月は……ほぼ毎日」
「え」
「多い時には放課後に2件捌くこともあった」
「捌くって言うな」
お仕事か。
……って、あれ? ここ1ヶ月ってことは……。
「留美、俺と放課後会ってた時って、まさか……」
「ん、大体告白されてから行ってた」
「マジか」
「うん。全部その場でフってから行ってた」
「怖い……女の子怖い……」
「……『ごめんなさい、大好きな人がいるから』って言って断ってたんだけど」
「よしどんとこい八幡お兄さんが何でも奢ってあげよう」
「単純すぎ……」
留美が楽しそうに笑って、再びおでこをこすり付けてくる。
ああ、楽しい。
こんなにシンプルに、何の憂いも無く幸せな時間があったなんて。
今日はこのままだらだらとイチャついてるのも良いな……と思ったところで。
「……ん?」
ふと、違和感に気付く。
俺は最近、家では専らTシャツ一枚だけ着ている。それは留美と居る時も同様だ。だから、留美と抱き合っている時の感覚も大体覚えている。
……なんだけども、今日はいくら留美が上から乗っているとは言え……妙に、二人の身体の密着度が高い。まるで俺がTシャツを着ずに裸で留美を抱き締めているような――
……裸?
留美の身体をよく見る。
いくらワンピースとは言え、留美の身体のラインがあまりにはっきり見えている。
……まさか、まさか、まさか。
「……なあ、留美。まさか、これ……っ」
留美の肩を掴んで恐る恐る尋ねる。
留美が少し驚いたように目を見開く。
そして、嬉しそうに目を細めると――
留美の身体から香る匂いが、変わった。
続く。
ルミルミでした。ルミルミのエロさをどんどん増して行きたいなと思いつつ。
それでは、また明日ここでお会いしましょう(^^)!
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!