※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

371 / 700
(70)

 熱に浮かされたような表情の留美の手を引き、映画館を出て足早に帰途に就く。留美の艶っぽい視線を強烈に感じるが、振り向いて目を合わせたら何をしてしまうか分からないくらいには、俺の理性も追い詰められていた。

 

「ただいま。……んん……?」

 

 家に帰ると、小町がリビングでくつろいでいた。ショートパンツ姿でソファに寝そべり、クセっ毛をぴょこぴょことさせている。気だるげにポッキーを咥えながら女性誌を読む様は、幼い頃から見守り続けた兄を何とも言えない気持ちにさせた。だらしないにも程があるが、それでも可愛くてしょうがない。

 

「およ、お兄ちゃん……と、留美ちゃん? どうしたの、今日は一日外に出てるん……じゃ……っ」

 

 俺の顔を見て、それから留美の顔を見た小町が、目を見開いてポッキーを落としそうになる。ちゃっかり空中でキャッチして、ぽりぽりと齧りながら留美の顔をまじまじと見つめる。ちらりと視線を落とすと、留美の顔は映画館で見た時よりも明らかに上気していて、目の焦点も定まっていなかった。何も知らない人からすれば、高熱を出しているように見えるかもしれない。察しの良い人……例えば今目の前にいる妹なんかは、そうではないことに気付くかもしれない。

 

「……お兄ちゃん。小町、家に居て大丈夫?」

 

 察しが良い上に気遣いまで見せるうちの妹は、神がかってさえいるなと思った。

 

「……あー、その、なんだ、小町が大丈夫なら、って感じだな。ヘッドホンとかしておくとより問題無いと思われる」

 

 俺の言葉に留美が「……ちょっと……っ」と小声で呟き、袖を引っ張ってくる。小町は俺の言葉に目をぱちくりとさせて、やがて可愛らしい顔がぽっと赤らんだ。かと思えば今度はげんなりとした顔をする。表情が豊かすぎて可愛い。

 

「……お兄ちゃん。今の言葉は妹への気遣いとしてはありだと思うけど、留美ちゃんへの気遣いとしては0点どころかマイナスだよ……」

「……ごめんなさい」

 

 留美の頭を撫でて謝ると、むぅと頬を膨らませた留美が渋々撫でられるがままになる。根気良く撫でると心地良くなってきたのか目を細めた。

 

「……あの、イチャつくのは部屋に戻ってからでよろしいですか……?」

『……ごめんなさい』

 

 留美の顔が一気に赤くなり、俺の顔も熱くなる。

 小町は手をひらひらと振り、「ま、何とかするよ……」と言った後、急にものすごく良い笑顔で「慎重にね!」とサムズアップしながら言ってきた。留美の顔が更に真っ赤になった。お前の方がひどいだろ、と言うツッコミは止めておいた。

 

       ×  ×  ×

 

 結局小町は「今日は外出する気0だったから」と、にへらっと笑いながら言って、ヘッドホンをリビングに持ち込んで動画鑑賞をすることにしたようだ。行動を縛って悪いなと謝ると、「大丈夫、いつものお兄ちゃんの方が100倍めんどくさいから」と笑顔で言われた。ちょっと凹んだ。

 小町とのやりとりで、俺と留美との間に醸成されていた空気は一旦霧散したように思えたけれど。

部屋に入ってドアを閉めると、

 

「……鍵、閉めて」

 

 と留美がぽそりと呟いたことで、再び二人の間に妖しい空気が生じた。部屋中の粘性をかき集めたかのように、自分と留美との間の空間が密度を増す。もう後には引けないと、留美に、そして自分に言い聞かせるように鍵を閉める。かちりと乾いた音が聞こえると、留美はびくりと小さく震えた。

 

「……ちょっと休憩するか」

 

 留美は俯いたまま、静かに首を振る。

 

「……じゃあ、もう脱ぐか」

 

 数秒の間を置いて、小さく頷いた。身体の中で暴れまわる本能を必死で制しながら、上着とTシャツを手早く脱いでズボンのベルトに手を掛けた。すると留美がふっと顔を上げて、

 

「……私に、させて」

 

 と言った。

 

「……っ、お、おう、いいけど……」

 

 戸惑う俺を他所に、留美は静かに膝を下ろして、かちゃかちゃと音を立てる。ズボンと下着をひと息に下ろすと、勃起した肉竿が下着に引っかかった反動で下腹にぴたんと付いた。留美は青筋立った肉竿に小さく喉を鳴らすと、鈴口から溢れて糸さえ引いている先走り汁をじっと見つめた。

 

「……八幡も、興奮してたんだ」

 

 と、顔を赤らめながらも嬉しそうに、そしてどこか悪戯っぽく笑う。留美が「興奮」と言う単語を使うだけでも妙にどきどきしてしまった。

 

「……そりゃあな、あんだけのもんを見て、興奮しない方がおかしい」

「……そうなんだ」

「そうなんだよ」

 

 目を合わせて、どちらからともなくふっと笑う。留美が立ち上がり、くるりと半転して背を向けた。何をして欲しいかが一目瞭然の仕草だった。背中のファスナーを下ろすと、雪化粧を施したような白く美しい背中が露わになる。ワンピースがカーペットの上にはらりと落ちると、留美がゆっくりと振り向いた。

 今までと明らかに違う雰囲気を纏った姿に、ごくりと生唾を飲み込んだ。

 映画館での行為と、これから二人で及ぼうとしている行為の両方が影響しているのだろうか。無垢な肢体はほんのりと紅潮し、左手で右腕の肘を押さえ、もじもじと内股になっている姿はとても可愛らしいのに、醸し出される雰囲気と鼻腔を擽る匂いは、幼さを帯びた姿とはまるで不釣り合いな程妖しくて艶っぽい。性の倫理観がずっと緩かった時代、幼くして男を知った少女はこう言った雰囲気を纏っていたのだろうか……等と、取り留めも無いことを考えてしまう。

 

「……留美」

「……な、なに……?」

「綺麗だ」

「……っ」

 

 俺の言葉に、留美は泣きそうな表情を浮かべる。薄い唇が震えた。

 留美の肩を抱き、ベッドに導く。

 留美はベッドに仰向けになって寝ると、胸を腕で隠しながら恥ずかしそうに身じろぎをした。

 恥じらう美少女の仕草に見惚れながら、バッグからビニール袋を取り出す。袋の中身を見た留美の目が驚きで見開かれた。

 

「……っ、そ、それ、まだ使うの……?」

「ん? ああ、映画館では声を抑えないといけなかったろ。あれだと留美も満足出来ないかもって思ってな」

「ま、満足って……っ」

 

 何を馬鹿なことを、とでも言いたげな表情になったが、思い当たる節があったのか、留美は逡巡した末に、頬を紅潮させながら見つめてきた。

 

「……使っていいか?」

「……聞かなくて、いいから」

「……ん、そうか」

「……うん、そう」

 

 再び、どちらからともなくふっと笑うと、俺は袋から7つのローターを取り出した。

 

 

 

 続く。

 

 

 

 




 ルミルミでした。70話に到達……!
 連載開始から1年近く経つルミルミ編ですが、あと数話です。どれくらい続くかはアイディアとテンション次第。よろしければ最後までお見守り下さい(^^)

 それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。