死ぬ程恥ずかしい。
それが、今の気持ちだった。
「あぅぅ……」
思わず漏らしてしまう声は、何にも取り繕うことが出来ない。それが、どうしようもない程に恥ずかしい。でも、そんな声が先輩をめいっぱい興奮させることを知っている。先輩の手を見ると、わきわきさせては止めるのを繰り返してる。あれは襲いたくてしょうがないけど必死で我慢してる動きだ。バレてないつもりなのが可愛いし、自分がやりたいままにしない優しさに胸がきゅんと鳴る。全くもう、自重してほしい。うそ、自重しなくていいや。
……。
「あぅぅ……」
だ、だめだ。
他のことを考えても、恥ずかしいものは恥ずかしい。
だって、自分でスカートを捲ってるんだよ? しかも下着を着けてないんだよ?
しかも、先輩はわたしに、自分で入れてって……。
心臓がどうしようもないくらいに高鳴ってる。ばくばくばくばくと響く心臓は、一体何に対して緊張しているんだろう。
「ひ……っ」
変な声が出てしまった。 時折お尻に触れる、先輩のものが焼けるように熱い。きっとわたしの身体も、風邪を引いてるんじゃないかってくらい熱い。どうしよう、こんなの今入れたら、わたし、わたし……。
「ひぃんっ!?」
先輩の両手が、わたしの腰を掴んだ。あまり強く握ってる訳じゃないけど、逃がすつもりはないっていう意志が手のひらから伝わる。
恐る恐る振り返ると、先輩の目が獣みたいな目になってる。でも、必死で理性で抑え込もうとしてるみたいで、口を引き結んでる。
「せん……ぱい……っ」
震える声で先輩を呼んで、腰を掴んでいる手に自分の手を重ねる。どっちの手も熱くて、まるで溶け合うような感触。
「自分で入れますから……ちゃんと、見ててくださいね?」
ぎこちなく口角を上げると、先輩の逞しいものがびきっといきり立った。
× × ×
先輩と手を重ねたまま、よたよたとした足取りで挿入すべき位置を探す。先輩が足を広げて、わたしは足を閉じた状態で入れようとしていた。
「この辺だな……」
先輩がぽそりと呟く。少し声が低くなってて、我慢も限界なんだと気付いた。
「んっ……くひぃ……っ」
自分の一番大事な穴に、先輩の先っぽを宛がっただけで……もう、歯がかちかちと鳴ってしまう。この状態でも、ものすごく気持ち良い。でも、ここから先の気持ち良さを、わたしは知っている。
怖い、でも入れたい。
恐い、でも挿れたい。
勇気を出して、腰をゆっくり下ろす。
一気に入れたら絶対やばい。慎重に、慎重に、慎重に……。
そう……思っていたのに。
「――あっ」
先輩の熱くて硬いものがほんの少し入っただけで、頭の中にばちばちと火花が散って。ゆっくり下ろすはずだった腰が、重力のままにすとんと落ちる。
「ひぐぅぅぅ……っ!」
身体の中を焼けた鉄の棒がごりごりと貫く感覚に恍惚としながら、わたしの意識は泡みたいに弾け飛んだ。
× × ×
いろはが腰を下ろし始めた時、何となく予感はあった。
俺と手を重ねているが、その手は震えていてまるで力が入っていない。
亀頭に熱く湿った淫裂を宛がった時、いろはの声は上ずり、明らかにいつもより感度が増していることを知らせていた。
慎重に腰を下ろし始めた時も、これは絶対一気に行ってしまうやつだな、俺が支えておかないとな、なんて考えていたんだけども。
「――あっ」
「うぐ……っ!?」
――亀頭が埋まっただけなのに。まるで、いろはの身体の中に肉棒が溶けてしまったのかと思う程の、熱された蜜壺がもたらす極上の快感に、手の力がふっと抜けてしまった。
その瞬間。
「ひんっ」
「うぐぁぁぁ……っ!」
ずちゅんっ、といやらしい音を立てて。
いろはの発情しきった牝の穴が、俺の肉棒を根本まで呑み込んだ。反射的にいろはの身体を支えようと、いろはのお腹を抱きしめる。その瞬間を待ち構えていたのかと思う程の速度で、肉竿にざわざわと膣肉が絡みつき、収縮して締め上げてきた。予想を超えた肉悦に歯をかちかち鳴らしながら、腹をぶるぶると戦慄かせながらも何とか耐える。鈴口からカウパー液が噴きこぼれたが、いきなり射精するのは何とか避けることが出来た。
「……いろは?」
腕の中のいろははぐったりと脱力していて、くにゃりと首を傾げている。汗ばんだうなじの色香に更なる官能を覚えつつも、恐る恐るいろはの名を呼ぶ。
「……ふぇ?」
何度目かの呼びかけで、いろはの呆けた声が聞こえた。まるで寝起きのような声を聞いて、いろはの意識が飛んでしまったことを知る。
「大丈夫か?」
頭をくしゅくしゅと撫でながら尋ねる。いろは自身はほけっとしたままだが、柔らかな膣がきゅむきゅむと締め付けてくる。
「せん……ぱい……」
いろはがゆっくり振り返り、にへっと淫蕩な笑みを浮かべる。その手がふらふらと机に伸びて――マウスを掴んだ。
「あぅ……」
前屈みになってマウスに手をかけたまま、尻を振るようにもぞもぞと動く。肉襞と肉竿がにゅくにゅくと触れ合う度に、俺もいろはもびくびくと震える。
「せんぱい、これ、不安定すぎます……」
いろはが眉根を寄せて、子犬のような顔で愚痴を言う。いろはの言うように、俺が支えていはいるものの足の置き場所が安定していないようで、身体がふにゃりふにゃりと曲がってしまっている。その度に快感が突き抜けて、正直気が気でない。
しかし……。
「や、この格好は本来不安定さを楽しむ為にあるんじゃないか?」
思ったことをそのまま口にする。
実際、長く楽しもうと言うならもっと他の体位があるし。
俺の言葉に、いろはは「おぉっ」と感嘆の声を漏らした。
「なるほど……一理ありますね。流石体位の達人だけあります」
「太鼓の達人みたいなイントネーションで言うな」
何て言ったか一瞬分かんなかったっての。字で見たら本来のイントネーションで再生されるだろ、これ。
しかし、実際この体勢では調べもののも何もあったものではないだろう。ていうかこの体勢で調べものしようとするって、俺らクレイジーにも程があるだろう。
「うーん……思ったより大変ですね、これ。やり方を変えましょう」
「序盤も序盤だぞ」
「いいんですー。あ、じゃあ、私が先輩に正面から抱き付いた状態でっていうのはどうですか?」
「それ、俺がただ調べるだけだろ。だったら俺が一人の時に調べるっての」
何か赤ん坊の子守りをしてるみたいになるし。
俺の言葉に、いろははうーんと唸って考え込む。左手で俺の手を、右手で俺の太ももをぺちぺちと叩いている。この子自由すぎない?
「じゃあ、テーブルにパソコンを置きましょう」
「お前……さっき、机にパソコンを置きたいって言っただろ」
「状況は刻一刻と変化するんだから、柔軟な対応が求められるんですよ?」
「現代社会に染まりきった言い方をするな……」
「あ、思い付きました。先輩先輩、耳貸してください」
「なんでこの距離で……」
「ごにょごにょごにょ……」
「……」
……。
二度目だけども。
まあ、うん。
耳元で囁かれるの、悪くないね、うん!
しかもやたら楽しそうに話すから、可愛くてしょうがない。
「……という訳です」
「お前可愛いな」
「ひゃうっ!?」
思ったことをそのまま垂れ流してしまったら、いろはが素っ頓狂な声を上げた。
「あ、わりぃ、本音がついうっか……ちょ、待って、締め付けるな、こら、こら……っ」
「あぅぅぅ……」
いろはさん、恥ずかしがりながら締め付けてくるのやめてほしい。
俺の口が滑ったことで話がブレたけども。
「まあ……良いか」
いろはが提案したアイディア(というか体位)は中々魅力的だった。
「まあ、やってみるか。準備するか……」
「はーい。……立てるかな……」
ぽしょりと呟いた言葉に、ふっと頬が緩む。
いろはの髪をくしくしと撫でて、腰を支えた。
――前言撤回、形勢逆転、急展開の雰囲気変更は当たり前。
二人で過ごす時間は、緩やかに続く。
続く。
いろはすでした。
「耳貸してください」といういろはの台詞のイメージは、アニメ「憑物語」での月火の「こっち見てこっち見て」だったりします。
ゆるゆるのエロだなーと思いながら書いていて、ふと「あ、ふたりエッチってこんな感じかも」と思いました。ファンの方がいらして「全然違うわ!」と思われたらすみません。
部分的にしか読んだことがないので、一度じっくり読んでみようかなーと思いました。エロを題材に扱って66巻も書けるって、今思えば師匠としか思えないです。
完全なる余談ですが、ふたりエッチの作者の克・亜樹先生の作品で「サイキックアカデミー煌羅万象」というのがありまして。小学校の時にすーごくどきどきしながら読んでいた記憶があります。途中で雑誌を買うのをやめていたので、大学に入ってから最終回までを一気読みしたらラストの展開にびっくりしました。書いておいて難ですがオチを覚えていないという。
余談、お終い。
それでは、また明日ここでお会いしましょう(^^)!
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!