そんなこんなで、冒頭に戻る。
何か一ヶ月以上経ってる気がするけど、まあ気のせいだろう。
「ん……」
微かに漏れる声の方に視線を向けると、いろはがこちらに背を向けて寝ている。寒いと思ったら毛布を根こそぎ持ってってやがった。全裸で毛布に包まるって、なんかこたつでぬくぬくしながらアイスを食べる贅沢と似てる気がする。超どうでもいいな。
取り敢えず、いろはがばっちり占領している毛布を取り返すことにする。「二人で入っても大丈夫なくらい大きい毛布を買う」と小町に言ったら、血を吐いて死にかけてたんだけど何でだろう。
「んむむ……」
寝ぼけているのか何なのか、いろはは毛布をがっちり腕で巻き込んで、まるで手放そうとしない。こんにゃろめ……。しかし唸り声も可愛いなこいつ。さて、どうしたもんだろう。
仰向けで、腕を組んで考える。ちなみに掛ける物が無くて全裸という抜群に頭の悪い状況だ。
「……北風と太陽理論で行くか」
まるで格好のつかない言葉で格好をつけて、いろはににじり寄る。いろはは寒いから毛布を手放そうとしないのだ。それは北風に吹かれてコートをがっちり掴んだ旅人と似ている。
ならば、俺はいろはの太陽になろう。
ごめんなさい。
気持ち悪いコメントに自分でドン引きしたところで、背中を向けて丸まっているいろは(茶色い毛布をがっつりかぶっているので、みのむしみたいになってる)にすり寄る。そして毛布をぺらりと捲って、いろはの背中にくっついた。
そう、これはいろはを温めて毛布(の俺の分)を取り戻す為の行為だ。
決して他意は無い。
「はぅ……」
いろはは身体をくっつけると、安心した声を漏らして毛布を掴む手の力を緩めた。心の中でガッツポーズを決めながら、するすると毛布を取り返していき――二人で包まった。二人羽織りってこんな感じなんだろうか。
「…………」
さて、ここからどうしようか。
数時間前まで、散々二人で交わってシャワーまで浴びた(そこでも口でしてもらった)から、正直疲れ切ってる筈なんだけど。今の一連の流れで、すっかり目が覚めてしまった。それでも今の状況ならとても温かいから、もう少し包まっていればすぐに眠くなるだろう……なんて思っていると。
「んん……」
「おぉ……?」
いろはが俺に背を向けたまま、俺の右手をぱしりと取った。そしていろは自身の脇腹の上に二人の手を重ねると、満足したのかすやすやと寝息を立て始める。寝てるんだか起きてるんだか分からないような動きだった。寝ているのに俺の手をにぎにぎして「えへへ……」とか言われると俺死んでしまうんですけども。
「…………」
身体の下で挟まれている左腕をいろはの頭に伸ばし、ベッドといろはの頭の間にぐりぐりとねじ込んでいく。いろはは「あぅぅ……」と唸りながらも頭をどかして、間もなく腕枕している状態になった。
「はぅぅ……」
俺の腕に左耳をこすりつけて、いろはが気持ち良さそうに声を漏らす。どうやら少し、というかだいぶ幼くなっているようだ。
腕枕している二の腕と、いろはの背中にくっついている身体の前面と、いろはと重ねた手から、いろはの柔らかな体温を感じる。二人の熱が混じり合って、徐々に鼓動が速まってくる。
ふと、フリーになっている自分の左手を見る。
あることを思い付いた瞬間、心臓が痛いくらいに跳ねた。既に下腹部は興奮を硬度で示している。
数秒ばかり逡巡して、実行に移すことにした。
左手をそろりといろはの胸に伸ばして……豊満な乳房を優しく揉む。
「ん……っ」
いろはがぴくんと揺れて、俺の手をきゅっと握った。左手でゆっくりと柔肉を味わいながら、今度は右手をいろはの臀丘にずらしていく。いろはは手が離れかけると、俺の手首を掴んだ。手首を細い指で掴まれたまま、肉付きの良い丘にゆっくりと指の腹を着地させる。
「はぁん……あっ、んぅっ、んんん……」
いろはがもぞもぞと身悶えする。しかし、俺が腕枕した状態で胸を揉んでいる為に、まるで逃げることが出来ない。乳房と尻肉を徐々に強く揉んでいく。左手は可愛らしい乳首を摘まんでこねくり回し、右手は親指以外の四本指をまとめて、スポンジを持った時のように揉みしだく。双丘の谷間に指を近付けていくと、にちゅ、くっちゅ、にちゅ、といやらしい水音が立ってきた。
「はひっ、ひぃんっ、はっ、はっ、はひぃっ、へぁぁ……っ」
気の抜けた声に、徐々に色香が混じっていく様に鼓動が高鳴る。尻を揉む手をいよいよ足の根元に近付けると、くぐもっていた水音が明瞭になってくる。毛布を取り払うと、ベッドの上で裸で絡み合う二人の姿がはっきりと認識出来て、肉棒はつい数時間前までの行為をすっかり忘れているかのよう力強く勃起している。
「んんん……っ」
いろはが俺の腕枕に乗ったまま、くるりと身体の向きを変えた。俺に向かって転がってくる形で、俺の胸元に顔をうずめる。
俺の胸板にそっと指を這わせて、熱っぽい吐息で肌を撫でてくる。左手でいろはを抱きしめる。右手を尻から太ももに滑らせ、既に愛液で貼り付いた恥毛をしょりしょりと撫で上げ、淫裂に指を食い込ませた。
「はひぃん……っ、ひっ、ひぅぅ、ひぁっ、ひっ、ひぃん……」
泣きそうな声を漏らしながら、俺の胸板におでこをこすりつけてくる。瑞々しい唇が俺の乳首を吸い上げ、震えている両手が肉茎をするりと掴んだ。負けじとクレバスを右手中指で撫でる。
「ひぃんっ! ひっ、はっ、はぁっ、あぁぁ……ひぅぅぅ……っ」
じゅぶ、ぶちゅっと淫猥な音が響いて、指に熱い愛液が塗りたくられる度に、俺の腕の中でいろはの肢体が跳ねまわる。強めの愛撫をする時程強く強く抱きしめるようにして、逃げられないという意識を植え付ける。
気付けば、まどろみの中にいるいろはを嬲ることが、楽しくてしょうがなくなっていた。
「……足、開いてくれ」
まだ寝ぼけていたら開けてくれなかっただろうが、いろはは俺が声をかけてから数秒すると、ゆっくりと左足を開いた。左足がベッドと綺麗に垂直になり、俺の指を止めるものが何一つなくなった。
すかさず中指と薬指を一緒に膣口に入れる。入れる、というよりは勝手に入るという言い方が妥当に思えるくらい、容易くぬるりと二本の指が呑み込まれた。きゅむきゅむと心地良く締め付けて来る肉襞の感触に陶酔しながら、わざと音を立てるように指を折り曲げる。
ぐっぷ、じゅぷ、じゅぷじゅぷじゅぷ……。
「あっ、あっ、あっ、……んんんっ!」
「え……っ?」
驚いたことに、指を入れてから十秒と経たない内に、いろはが激しく身体を痙攣させた。手首までびしょびしょにする程に噴き出した愛液が、いろはが絶頂に達したことを示している。
「……顔、上げてくれ」
そっと囁くと、返事が無いままにいろはが顔を上げる。
虚ろな瞳、汗で額に張り付いた亜麻色の髪、半開きになった口、荒い呼吸、甘ったるい牝の匂い。
思わず、呼吸を忘れてしまった。
目の前の極上の肢体をもっと味わいたくなって、淫液に浸した指を再び曲げ伸ばしし始める。
「あ、うそ……やんっ、ひっ、ひぅぅぅぅ……っ」
いろはが俺を見つめたまま、甘い嬌声をこぼす。首を僅かに横に振って、止めてほしいという意志表示をしているが、足はしっかりと開いたままだ。まるで一致しないいろはの身体と心に、尚の事興奮が高まる。指の腹でいろはの弱い場所をぐりぐりと抉りながら、出し入れの動きも加える。快感に耐えようとしていたのか唇を引き結んでいたが、やがて耐え兼ねて口を開き、ぶはっと大きく息を吐いた。
「だめだめだめだめそんなのすぐイっちゃ……んんんっ!」
細やかな抵抗も虚しく、いろはがもう一度絶頂に達した。半開きになった口からは僅かに涎が垂れていて、意識が飛ぶ直前だったのだと知る。膣口からはさっきよりも大量の愛液が溢れ出して、右手がいろはの体液に浸かっているかのようにぐしょぐしょになっている。ベッドの上の牝の匂いもぐっと増していて、匂いを嗅ぐだけで勃起してしまいそうなくらい濃厚な空間になっている。
――そろそろ、良いか。
「うつ伏せになって、枕に顎乗せてくれ」
言って、きゅっと抱きしめる。
「……は、い……っ」
いろはは力無い声で答えると、ゆっくりとぎこちなく頷いた。
続く。
!お休みのご連絡!
急遽予定が入ったので、明日2月12日の更新をお休みします。物理的に時間が足りないもので。申し訳ありません。
いろはすでした。このシーンを書きたくてこのエピソードを始めたのに、実際書くまでに一ヶ月かかるという。毛布のシーンを直前になって思い付いて書いてみたら結構楽しかったです。
マンガのぐらんぶるを読み始めました。原作がバカテスの井上堅二先生だと知り、ウェブで第一話を試し読みして一目惚れ。好きです、この感じ。井上先生のノリが大好きだ……。
ビブリアシリーズも読み始めました。油断すると一日で読みきっちゃうのでペースを抑えてます。栞子さんが可愛すぎて大輔と栞子さんをモデルにした短編官能小説が思い付きました。どうしよう。
文藝春秋で今回の芥川賞受賞作二作が全文掲載されているとのことで即購入。
あと、業物語も買いました。
いかん、楽しみが多すぎる……。
官能小説でもぐっとそそるものが見付かると良いなぁ。
それでは、また「明後日」ここでお会いしましょう(^^)!
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!