廊下に出ると、2人とも無言で歩き出した。教室に入るまでの足取りに比べて、歩幅は少し小さく、せわしなくなっている。川崎は半歩後ろをついてきていて、右耳の後ろに時折視線を感じたが、振り向く余裕はなかった。
心の奥底がちりつくような焦燥感に駆られながら向かったのは、特別棟の中の更に外れにある職員用トイレだった。男子用トイレのドアの前で川崎に待つように言って中を覗く。ここが使われるとしたら、せいぜい文化祭や体育祭などの特別行事のときぐらいだ。ましてやこんな早朝では、誰もいるはずもなかった。廊下に出て川崎と目を合わせると、トイレを指さして頷いた。川崎は頬を赤らめて戸惑っていたが、一刻も早く行為を始めたくて、反射的に川崎の手首を掴んでトイレに引っ張り込んだ。川崎は抵抗することなく、「あ……っ」と小さな声を漏らしただけだった。視線を逸らし、震える唇を引き結ぶ様は息を呑むほど色っぽかった。
トイレのドアが閉まる。少し広めの密室に、俺と川崎は2人きりになった。
× × ×
「あ……んむ……っ!?」
トイレに入るなり、俺は強引に川崎の唇を奪った。川崎は目を細めて俺の胸板に手を当てたが、押し返してはこない。目的を見付けられない10本の指が、胸板をさわさわと撫でてくる。これから訪れるであろう濃密な時間に心を躍らせながら、胸板に添えられた細い腕を除けて強く抱きしめ、熱く湿った口内に舌をねじ込んだ。
「ふっ、んむっ、ちゅるっ、んむふぅぅ……っ、ちゅるっ、れろっ、ちゅぴっ、んん……んんん……っ」
キスの時間に対して、加速度的な勢いで川崎の表情が蕩けていく。前に進むと、その勢いの分だけ川崎はよろよろと後ろによろめき、個室のドアの前に辿り着いた。ドアに手を伸ばして開けると、そのまま中に2人で入る。
「んっ、んふぅ……っ! んぁっ、あっ、そんな、いきなり……っ!」
後ろでで鍵を閉めるなり川崎の胸を揉みしだくと、川崎は慌てて唇を離して甘い声を漏らした。これまでの経験から、川崎は優しく触られるのも好きだが、強めにされる方がもっと好きだと感じていた。川崎の目をじっと見ながら、豊満な乳房の形が変わるくらいぐにゅりと揉みこむ。
「あ……っ、はぁぁぁ……っ」
川崎の足が生まれたての子鹿のようにがくがくと震え、崩れ落ちそうになる。川崎は俺の首に2本の腕をするりと巻き付けて、息を切らしながら必死で自分の身体を支えた。
「あっ、あんっ、だめっ、ふっ、んうぅ……んぅぅっ!」
強く、強く、時に優しく。
瑞々しい弾力に溢れた乳房の感触をワイシャツ越しに楽しみながら、顔を真っ赤にして喘いでいる川崎の表情をじっと見つめる。
「あっ、やっ、そこ……っ」
ワイシャツのボタンを外していくと、川崎は恥ずかしそうに身体をよじらせる。今までもっと恥ずかしいことをいくらでもしてきたというのに、未だにこういったことに羞恥心を覚える川崎が愛おしくてしょうがない。
ワイシャツの前面を開くと、黒のレース生地のブラが顔を出した。何度見ても昂奮するけど、これを学校に着てくるってどうなんだろうか……などと冷静に思っていると。
「……んん……?」
ふとあることに気付いて、思わず気難しい声が漏れた。
「え……なに……?」
こちらの首に両腕を回した川崎が、不安げに尋ねてくる。俺はすぐに返事をせずに、薄暗いトイレの中で川崎の下着を凝視した。
「……お前、この下着……いつものより薄くねえか? すげえエロ……む?」
視界を塞がれた。1秒前まで見えていたのは、たわわに実った乳房を覆う黒のブラと……うっすらどころかはっきりと透けていた乳頭。
「み、見るな……っ」
柔らかな手のひらの感触に、どうやら川崎の手で両目を覆われたようだと気付く。
「……恥ずかしがるリアクションは可愛くてしょうがないんだが。これ、見てほしくて着てきたんじゃ……む?」
今度は口を塞がれた。なんか監禁された人みたいになってる。
「い、言うな……っ」
今にも泣き出しそうな声で囁かれた。なんだこの可愛い生き物は……。
「あっ、んぁっ! はぁっ、んんんん……っ」
目と口を封じられたまま、胸を揉みしだく。ブラは見た目以上に薄く、生々しかった。柔肌を直接触るのとはまた違う色気を感じて、昂奮は更に高まっていく。
「はぁぁぁ……っ、んんんん……っ」
川崎の手から力が抜け、再び首に腕が回される。どうやら立っていられなくなったようだ。指が乳肉に埋まる感触に耽溺しながら、親指で乳頭をくにくにと押し込む。まるで身体に電気を流すスイッチになっているかのように、乳頭を刺激する度に川崎の身体が艶めかしく跳ねた。
「ん……あ……っ」
「う……っ?」
うっとりと目を細めた川崎が、右手でそっとこちらの股間を撫でてきた。首に回していた左手でそっと俺の髪を撫で、首筋を撫で、喉仏を撫で、腹を撫で、両手で肉竿に触れてくる。大切な玩具を扱う子どものようでもあり、食べたくて食べたくてたまらなかった餌にありついた獣のようでもある手つきは、ひどく艶めかしくて美しい。
川崎の顔の標高が、ゆっくりと下がっていく。足を蹲踞のようにぱっくりと開いて、発情しきった上目遣いをしてきた。
「……ちょっと待った」
「……え……?」
チャックを下ろそうとした川崎の手を取り、動きを止める。物欲しそうな顔で見つめる川崎の視線の熱量にぞくぞくとしながら、俺は自分の唇を指さした。
「……っ」
俺が言わんとしていることに気付いた川崎が、羞恥と戸惑いで眉をひそめる。それでもやはり、抵抗はしなかった。
「ん……っ」
両手を繋いだまま、ゆっくりと川崎が口を開く。口の中に微かな唾液の糸が見て取れた。チャックを歯でかちりと挟み、ゆっくりと下ろしていく。ちぃぃ……っと小さく響く金属音も、神経が研ぎ澄まされているのかひどく大きく聞こえた。チャックを下ろすと、顔を傾けて、スラックスの隙間に口を入れた。まるで木の隙間にいる餌を捕らえる鳥のように、ボクサーパンツ越しに肉竿の先端を咥えて外に引っ張り出す。先走り汁と唾液でしっとりと濡れた肉竿に、川崎はすんすんと鼻を鳴らして妖しく目を細めた。ボクサーパンツの生地を咥えてずらし、隙間から肉竿を取り出す。川崎は睾丸以外の部分が晒け出されても満足せず、粘った末に睾丸までパンツから引きずり出した。
「んふぅぅ……っ」
「うぁ……っ」
完全にスイッチが入っているのか、川崎は泣きそうな顔で躊躇することなく肉竿を咥えこんだ。熱くぬめった口内に根本まで飲み込まれて、快感の奔流に飲み込まれる。
「んふぅぅ……じゅぷっ、んむっ、ちゅぶっ、んふぅっ、んぐっ、じゅぷっ、じゅろろっ、ぢゅぷりゅ……っ」
「う…………お…………っ」
無我夢中で肉竿に舌が絡みつき、雁首をぷりぷりした唇で締め付けられ、鈴口を舐め取られる。繋いだ手は初心な恋人同士のように優しく指が絡み合っているのに、そのすぐ下で行われている行為はどこまでも卑猥だ。猛りきった牡の欲望と、精子を絞り出す行為に溺れる牝の肉穴が、他に誰もいないトイレに淫らな音を紡いでいく。この先、きっとこのトイレに近付いただけでもこの行為を思い出して、静かに勃起するのだろう。妄想しただけでも、余計に興奮が高まった。
「ぢゅぶっれるっちゅぷちゅぷ……んむぅっ、ちゅぴっ、れるっ、ちゅぷりゅ……っ」
「う……ぐぁ……うぅぅ……っ」
口淫は激しさを増し、川崎の口からは下品に思えるほど卑猥な音が響く。ここが学校のトイレであることも忘れて、夢中で、必死で、肉竿をしゃぶる。上目遣いで「気持ち良い? 気持ち良い?」と健気に聞いてこられているようで、愛おしさも底なしに湧き出てくる。あまりの快感に後ろによろけると、川崎は口惜しそうに眉をひそめて、すぐさま前に乗り出して根本まで飲み込んでくる。自分がどれほどエロいことをしてるのか、この子は分かっているんだろうか。ドアに背中が付いた。淫乱を体言したような口から逃れることが出来ない。気持ち良い、気持ち良い、気持ち良い。腰が抜けてずり下がりそうになると、繋いだ手によって支えられた。逃がしてはくれないらしい。天井を仰ぐと綺麗で汚れ一つなかった。視界の外から漏れ出る水音はどんどん激しくいやらしくなっていく。
「川崎……っ」
「んぐ……っ!?」
繋いでいた手を離し、川崎の後頭部をがしりと掴む。亀頭が喉奥にごつりと当たり、そのまま激しく前後に動かし始めた。
「んぐっ、ぐぶっ、ふぐぅぅ……っ、んっ、じゅぶっ、んぐぅぅ……っ」
オナホールのような扱いにも関わらず、川崎は目に涙を溜ながらも、腰に抱きついて必死で舌を絡めてくる。苦しそうにえづく度に、射精欲求はぐんぐんとこみ上げてきた。
「んぐっ、おぐっ、じゅぶっ、ふぐぅっ、あぐっ、んふぅぅぅぅ……っ」
「出る、出るぞ、思いっきり出すぞ……っ」
ごちゅんっ、と鈍い音を立てて、喉奥に張りつめた亀頭を突き入れた瞬間。
――びゅぶっ、びゅぶりゅっ、びゅるるるっ、ごぶっ、ごぶごぶごぶっ、ぶびゅびゅるっ、びゅぶぶぶ……っ。
「おご……っ」
下半身が爆発して、亀頭を喉にぐりりと押しつけた。ゼリーのような粘度を持った白濁が川崎の喉奥に叩きつけられ、食道を犯し、胃の中を蹂躙する。涙をぽろぽろとこぼしながら、川崎は必死で精液を飲み込み、咀嚼し、また飲み込んだ。下腹部の脈動は止まらない。緩慢な動作で腰をみっともなく前後に揺らし、魂が抜けそうな射精に意識が削り取られる。川崎は無心で喉を鳴らし続けた。清涼飲料水を一気飲みしているような、ごくりごくりという音が聞こえてくる。川崎の身体を内側まで汚す感覚がたまらなかった。
「…………」
ようやく脈動が収まった後も、川崎は人形のように生気のない表情を浮かべながら、機械的に肉竿をしゃぶる。顔をゆっくりと前後させ、残り汁を吸い出して嚥下すると……少しだけ、嬉しそうに目を細めた。俺はその表情にまた興奮して、もう一度肉竿が脈動した。川崎が目を見開いてびっくりしたものの、ゆっくりと目を細めて飲み込んでくれた。
川崎が口をゆっくりと離す。赤々とした亀頭と唇の間には、白濁の後が全く見えない唾液の糸が伸びた。
「……すげえ気持ち良かった」
「……そっか、良かった」
「……川崎、そこに座ってくれ」
「……え……? ……あ、ああ……わかった」
弱々しい声をかけて、川崎を便器に座らせる。ふらつきながらも前に踏み出すと、発情しきった細身を左腕で抱きしめ、ぐっしょりと濡れたショーツに右手で触れた。
「んあぁぁっ!? あっ、うっく、うぁぁんっ!」
「……やっぱ、下もすげえエロい下着だな……」
川崎の反応と指の感触に、呆れながらも激しく興奮した。
川崎が履いていた黒のショーツは、割れ目の部分がはっきりと露出していた。そのためショーツ越しに愛撫するつもりだった中指が、熱くぬめった蜜壺に直接入り込んだ。これじゃ席に座ったときやばいだろ……と思ったが、羞恥に身を焦がして、何もしていないのに椅子を濡らしてしまう川崎を思い浮かべて、ふっと笑みがこぼれた。
「……お返しに、たっぷりいじめてやるからな」
耳元で囁くと、首まで赤くした川崎がぶるりと震えた。
この後、クリトリスの裏側を徹底的に責めて失禁するまでいじめ抜き、疲弊しきって半開きになった口に挿入して、もう2回射精した。更にその後は予鈴が鳴るぎりぎりまでクリトリスを親指でこすりながら膣肉を抉り続け、川崎は汗と愛液にまみれながら、泣き叫ぶように喘いで潮を噴いた。
午前中は2人してずっと眠そうだった。ちょっと、というかだいぶ申し訳ないことをした。眠そうにしている川崎の太ももをさすって起こすと、顔を真っ赤にした川崎に太ももをつねられた。可愛らしさと痛さで目は覚めた。
この日の夜は、前日以上に淡々と、激しく交じり合った。散々お互いをいじめ抜いても、部屋で一人になるとまだ抜き足りなくてもう一度自慰をした。
次の日、木曜日は朝、昼休み、夜と徹底的に川崎と卑猥な行為をした。何度絶頂しても、お互いの身体を貪り続けた。それでも満足出来ないのはきっと、まだ本当の意味で繋がっていないからなのだろう。
待ち焦がれた金曜日は、朝も昼休みも世間話をするだけに留めておいた。川崎の視線が時折こちらの下半身をじっと見つめていたが、何とか流した。俺が川崎の胸や下半身を焼け付くような視線で見ても、川崎は顔を真っ赤にしながらも何とか流していた。
授業が終わる。けれどまだ帰ることは出来ない。
帰りのHRが、いつもの何倍も長く感じた。
最後に礼をすると、俺と川崎はざわめく教室の中をすり抜けるようにして出て行った。
川崎と繋がる。
意識も身体の境界線もぐちゃぐちゃに溶け合うまで。
濃密に、ねちっこく、淫猥に――繋がる。
続く。
サキサキでした。なんやかんやで50話達成目前です。
それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!