「くびれボディを作るには、腹筋をするのが良いと思う!」
小町があまり無い胸を張って、やる気に満ち満ちた顔をした。
春休み、3日目。
昨日はジョギングの後に公園で控えめな運動をした。帰った後も結局何回もしてたんだけども。最近は何かもう、日常会話のレベルでああいうことを自然に始めてしまっている。最後まで行く時も沢山あるけど、テレビを見ながら小町の下半身を弄ったり、俺が寝転がっている時に小町がすり寄ってきてパンツごとズボンをずり下ろして口でしたりする時もある。勉強で集中している時などを除くと、本当にあらゆる時にこういった事をしている。
そんな中で小町が打ち出した、夏までにくびれボディを作る宣言。時期としては十分間に合うだろうし、昨日もジョギングは実際にやった。まだ続ける気なのは良いことだ。
「そうか、じゃあ早速やってみるか」
読んでいたマンガを閉じて、カーペットに置いてあるテーブルを端に寄せる。普段の行為の方がよっぽど良い運動になってると思うけど、そんなことを言っても女の子は納得しないのだとこの15年間で学んだ。なので小町の案に素直に乗っかることにする。
「んにゃ? お兄ちゃん、手伝ってくれるの?」
小町が顎に人差し指を添えて、こてんと首を傾げる。おっといけない、つい押し倒してしまいそうだ。我ながらひどいなこの言動。
「ああ、体力測定の時みたいに足を押さえようと思ってな」
腹筋のやり方は数多とあるだろうが、捻ることなくオーソドックスな腹筋をやるのであれば、足を支えた方がやりやすいだろう。体力測定の上体起こしで初めて支えてもらいながらやった時は、その安定感に驚いたものだ。
極めて真面目な発言をしたつもりなんだけども、何故か小町は風で捲れるスカートを押さえるような仕草をする。頬がほんのり赤い。なんでなのん?
「お、お兄ちゃん……いやらしいこと考えてるでしょ」
…………。
「今の小町の言動が無かったら、そもそもそんな発想自体無かったんだけど」
「しまったー!」
小町が両手で頭を押さえて悶える。外国の人なら「ッッマイガッ!」とか言いそうな動きだ。ちなみに今の台詞はオーマイゴッドを実際のテンションに合わせて表記してみた。超どうでもいいなこの説明。
今現在の小町は、またしても俺のTシャツを羽織って、下にホットパンツを履いている。格好的に、このまま腹筋を始めても問題無いだろう。
「うぐぐ……でも、お兄ちゃんが押さえたら……」
まだ悩んでいるようだ。往生際が悪い。
「そんなこと言ってるとどんどんお前のやる気が下がってくし、俺もムラムラしてくるぞ。やる気は水物だ、早くここに来なさい」
あぐらをかいて、ちょいちょいと手招きをする。
「う~……こ、これも、くびれボディのため……っ!」
妙に切実な決意を固めて、小町が俺の前に座った。失礼なやつだ。少なくともついさっきまでは、いやらしいことをする気などこれっぽっちも無かったというのに。今は別です。
「よし、じゃあ寝そべって膝を曲げて、腕は交差させるか」
「う、うん」
俺の言う通りに小町が寝そべり、くりっと膝を曲げて、自分を抱くように腕を交差させる。体育館で見る光景と全く同じ状態にした所で、俺は小町の踵とお尻の間に足を通して胡坐をかき、ふくらはぎをがっちりと固定した。
「んにゃっ!? な、なんでお兄ちゃん、足を絡めてきたの!?」
「や、だってこれが普通だろ。他の体勢だと不安定だし。お前も学校でこういう感じでやってるだろ?」
「う……そ、そうだけど、いつもならクラスの女の子に押さえてもらってたんだもん……」
「あんまりごねてると……」
両手を離してこれ見よがしにわきわきと指を動かすと、小町が目を見開いてぶるりと震えた。
「や、やる、やるから!」
よし、説き伏せたぞ。だいぶ強引だったけど。
「じゃあまずは、15回4セットくらいか。様子を見て休憩を入れつつやるぞ」
「へ?」
「へ?」
「お兄ちゃん」
「なんだ」
「正気?」
「失礼な、俺はいつだって正気だ」
小町の寝こみを襲ってる時だって、至って冷静だ。冷静に変態だ。
「そんなにしたら、小町お腹割れちゃうよ」
「筋トレを舐めるな。この程度で割れてたまるか。女の人は割れづらいから要らん心配はしなくていい」
ちなみに男性の腹筋は内側の筋肉から割れるんだけど、女性の腹筋は表層しか割れないらしい。女性の方が脂肪が付きやすいのと関係がありそう。何この豆知識。
「ほれ、頑張れ頑張れ。お兄ちゃんが応援してやるから」
「うう……こうなったら、とことんやってやるわいな!」
お前何キャラだよというツッコミは胸にしまいつつ。
腹筋、スタート。
× × ×
「……13、……14、……15。よし、終了~」
「ぷはー! もう無理―!」
結構な時間をかけて、ようやく1セット目が終了する。小町は俺に足を固定されたまま、カーペットの上にばたんと寝転んだ。
「よし、しばらく休憩して次のセット行くぞー」
「うぅ、お腹がぁ……って、あれ? なんでお兄ちゃんは小町を捕縛したままなの?」
捕縛て。
「ああ、逃げられないようにな」
「ほ、捕縛だー!」
また言われた。
まあ、言われてみれば確かに捕縛だった。だって手を離したらそのまま家の外に避難しそうなんだもんこの子。
「ちなみに小町ちゃんが次のセットを頑張ろうとしない場合、お兄ちゃんは小町にいたずらを開始します」
小町がぎょっと目を見開く。
「え……この状態で?」
「ああ、この状態で」
「……いたずらするの?」
「ああ、いたずらするぞ」
「……性的な?」
「…………」
目を背けた。
「……う、うぅ……どうしよう、お兄ちゃんがマジだよぉ……でもこれ以上は無理だよぉ……」
小町が気弱になりすぎて、若干涙声になっている。どれだけ筋トレに免疫が無いんだこいつ……そんなにいやなのか。自分から提案したのに。
俺が手伝っているのにここでやめられては甲斐が無いので、がっつり煽ることにする。
「じゃあ、あと30秒待ってやる。30秒経ったら腹筋2セット目行くぞ」
「え!? ちょ、ちょっと待って、そんなの無理……っ!」
小町はそんなことを言いながらも、どうにかしようとして自分のお腹をむにむにと摘まむ。マッサージのつもりだろうか。やっても無駄だと思うが、わざわざTシャツを捲ってむにむにする様がやたらと可愛いので放っておくことにする。
「ほれほれ、どうする、もう30秒経つぞ。24、25、26……」
適当ではあるがカウントをすると、小町が何故か両手で顔を塞いだ。
「……何してんだ?」
「小町はこんなすぐに2セット目は出来ないから、お兄ちゃんのいたずらを受ける覚悟を決めるためにこうしてるのです」
両手で顔を隠したまま、「むむむむ……」という謎の唸り声が聞こえる。
「よし、来い!」
両手を外すと、何故か開き直った表情になっていた。
「ふむ、そうかそうか……」
筋トレを手伝った甲斐はほとんどないが、折角小町が俺の悪戯を受け入れてくれたことだし、ばっちり悪戯をしようと思う。しかしいざやろうとすると何をやったら良いか悩む。うんうん唸りながら小町の身体を眺めていると、小町が若干気後れした表情を見せた。ふむ、あまり小町が不安に思う時間を長くするのも申し訳ないから、早く決めてしまわねば。
「……あ」
一つの案が頭に浮かんだ。
うわぁ、俺。
これ、実際にやったらだいぶひどいな。
まあ良いか、やってしまおう。
小町の両足首を掴み、むんずと持ち上げる。
「きゃうっ!?」
ぱっくりと足を開脚させられて、小町が股間を両手で覆う。
「手、どけてくれ」
俺の表情は、既にスイッチが入っていたかもしれない。小町は俺の顔を見るなりびくっと震えて、するすると手を下げた。
小町の足と足の間の中心部に、そろりと自分の右足を伸ばす。そのまま足の裏を宛がうと、生地越しに柔らさを感じた。微かな熱も感じる。
「ひゃうっ!? え、お兄ちゃん、うそでしょ……っ?」
小町の顔が引きつる。まあ、無理もないだろう。
今から俺がやろうとしているのは、所謂「電気アンマ」というやつなのだ。
「……我慢しなくて良いからな」
何に対しての我慢なのかは明言しないまま。
小町の股間に添えた足に、ぐっと力を込めた。
続く。
まさかのもう1話です。腹筋のくだりが思ったより長くなりました。
それでは、また明日ここでお会いしましょう(^^)!
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!