小町が立ち上がり、腰に手を当てた。今回の企画の詳しい説明をしてくれるようだ。ノリノリのようで何よりです。
「こほん。今回は、全エピソードの中で最も登場率の高い小町が、『何でもランキング』を作成しちゃいます! 本当に何でもやっちゃいます!」
「本当にメタいな」
式神童女もびっくりだ。
「一応、今までお兄ちゃんが開発……調教してきたヒロインの皆々様との距離感が分かるように、地の文では各ヒロインのエピソードで最終的にしていた呼び名を使ってもらいます」
「地の文とか言うんじゃねぇよ。あと言い直した意味なくないか?」
いかん、妹のメタさが止まらない。
「お兄ちゃん、いくら恥ずかしいくてもちゃんと呼ばないとだめだからね。結衣さんのことを『雌犬』と呼ぶのを躊躇っちゃだめだよ?」
「その捏造は何なんだ!?」
1回も呼んだことねぇよ! ……多分。
「え、ヒッキー、そんな風に呼んでたの……?」
いかん、結衣がドン引き……って、あれ?
結衣の違和感に気付いたのか、いろはが結衣をじろじろと見つめた。
「あれ……結衣先輩、ひょっとしてまんざらじゃないんですかね……?」
「ちょ、ちょっと、いろはちゃん!? 何言って……!」
結衣が顔を真っ赤にして、手を前に突き出してぶんぶんと振っている。
「お~、М同士が闘っているな」
「こちらはМが入っていても肉食のМって感じですものね~」
ソファで平塚先生と由比ヶ浜マ――彼女が好き放題言っている。如何せん全く間違いじゃないから困ったものだ。あそこの3人はМにしてもすげぇ攻撃的だもの。
「まあ、そんな冗談はさておき。それじゃあまずは無難なものから行きたいと思います。それは……ずばり、『登場話数ランキング!』」
『おお……』
周りが意味もなく歓声を上げる。この空気は何なのん?
「これはシンプルに『メインヒロインとして』何回登場したかという話数で競います。怪談噺やメタネタハーレムなど、多数――厳密に言えば2人以上のヒロインが登場する前提のものはカウント致しません」
みんなが真剣に頷いている。これってそんな重要なランキングなの……?
「全員の順位を付けるのは中々骨が折れるので、ベスト3を発表しますね!」
どぅるるるる……と小町がドラムロールの音を始める。結構気に入っているようだ。
今度は俺を介入させず、セルフで「ジャン!」と言った。一人でやると空虚さが目立つな……。
「まずは第3位……雪乃さん! 全48話でした!」
「え……? あ、そ、そう……」
雪乃が驚いた同時に、嬉しいような納得の行かないような、複雑な表情を浮かべている。
「雪乃さんは登場回数はとても多いです。最初期からですしね。しかし今回のカウントのやり方では結衣さんと2人で出た回や結衣さん・いろはさんと3人で出た回などを除いたので、思ったよりも順位が低くなったと思われます」
小町の大真面目な解説で、雪乃はあごに手を当ててふむと頷く。
「そう……私単体での登場が少なかったのね……」
負けず嫌いが前面に出ている。あと、雪乃までメタくなっている。大丈夫かこの企画?
「続いて第2位は……めぐりさん! 全54話です!」
おお~……という歓声が湧く。この歓声は本当に何なんだろう。
「めぐりさんはシンプルに、本編の長さが最長だったことが理由ですね。原作では出番がそこまで多くなく、且つお兄ちゃんがどきどきする描写はあれど恋愛に絡んだ交流をしていた訳ではなかったので、ゆっくりと愛情を育むための話数が必要だったことが大きいです」
「お前遂に原作って言葉を出しちゃったな」
これもう日常会話だろ。
「そ、そっか……えへへ、嬉しいな……」
めぐり先輩がおさげの先をくりくりと摘まんで、嬉しそうにはにかむ。……ううむ、反則だ。
「ちなみにめぐりさんの場合、めぐりさんが大学に行ってから――お兄ちゃんが高校3年生になってからですね。その後にめぐりさんが住むマンションにお兄ちゃんが行って……といった甘々のエピソードが構想されています。そちらは糖度もエロさもは本編以上に跳ね上がりますのでお楽しみに☆」
「え、ええ!? 小町さん、それはどういう……!?」
「おいこら小町、これ以上メタ発言をして場を引っ掻き回してくれるな」
何でもありになってるぞ、マジで。遂に予告までしちゃったよ。
「さてさて、お待ちかねの第1位は……い・ろ・は・さんです!」
またしても湧く歓声。みんなすっかりこの場の空気に慣れたようだ。
「その話数はなんと……全70話! いろはさん単体のエピソードでこの作品の全話数のおよそ5分の1を占めています!」
「そ、そうなんだ……へ、へぇ……」
いろはが平然を装おうとしながらも、頬を赤らめてどこか照れた表情で俺をちらちらと見やる。ちょっと恥ずかしいし可愛すぎるしでどうしよう。
「またいろはさんは、初めてヒロイン視点を導入した革命児でもあります。その冒頭はまさかのお兄ちゃんとのいちゃいちゃエロス生活の独白と言うもがっ!?」
「ちょ、ちょっと小町ちゃん、それは流石に……っ!」
いろはが血相を変えて小町の口を押さえ込んだ。うんうん、今日の小町にはそれくらいの対処が必要だ。油断すると色々と手遅れになる。
「もがもが……ふぅ、危うく意識が飛ぶ所でした。以上、登場話数ランキングでした。そして、今回1位だったいろはさんには称号をお送りしたいと思います」
「え? 小町ちゃん、それって……」
戸惑ういろはに、小町が歯を見せた爽やかスマイルを向ける。うん、不吉な予感しかしないぞ。
「はい。自分からお兄ちゃんを煽って、更に自分を責めさせるその姿勢はとても尊敬しています。なのでいろはさんには『ドМキス魔』の称号をお送りします!」
「それ絶対尊敬してないでしょ!?」
恐ろしい称号にいろはが全力でツッコむ。す、すげぇ……いろはがマジでツッコんだ……!
いろはが猛烈に抗議するのを小町は「あんまり騒ぐとお兄ちゃんに縛ってもらいますよ。その後、おもちゃをいろはさんの身体に固定して1日中イジメてもらいますよ」という鬼みたいな提案をして止めていた。いろはが「……それは……抗議をやめるべきかちょっと迷っちゃうんだけど……」と称号通りの反応を示していた。うん、今度やってあげよう。
小町が一仕事終えたような顔をして、満足げに微笑む。
「登場回数が多い程、エロくない日常シーンの描写が多いという特徴が結構見受けられました。次はそんなランキング……『初心(うぶ)度ランキング』を発表します!」
小町がそう言うなり、ソファからため息が漏れた。まあ、うん、アダルト組はね……。何だかんだで平塚先生は初めは初心だった気がするんだけど。今? 淫獣だよ淫獣。騎乗位の時の先生は洒落にならないんだって、マジで。表情見るだけでイキそうになるくらいエロいし、腰の前後のグラインドが……いかん、これ以上思い出したらまずいことになる。
「これは特に数値に出せる訳ではありませんので、キスに至るまでの経緯やエロシーンでのあどけなさなどが指標になります。ぶっちゃけ小町の主観です」
小町の言い方が清々しい。
「それでは……おっと、続きはまた次回ですね。どうもまだ尺の調整が難しいようです」
こいつのメタさは無尽蔵だな……と、半ば感心しながら。
まだまだまだまだ、この宴は――
続く。
メタネタ第2話でした。小町がやばい。
たっっっくさんのご感想ありがとうございます。「この1年頑張って良かった」と思えました。ご自身の思い出も書かれているとこちらの心に沁みることに気付きましたので、「あの時はこんな時期で~」などと書いて頂けるとまたすごく嬉しいです!!
それでは、また明日ここでお会いしましょう(^^)!
今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!