「ん……っ」
ふと、目が覚めた。目の前に何があるかさえ分からない程暗い部屋の中で、自分は今どこで何をしていたのだろうかと考える。その疑問は、身体――特に下腹部を包む温もりに気付いた所ですぐに氷解した。
俺は今、陽乃さんと繋がっているのだ。
「……?」
しかし、一つの疑問が解けた所で、また新たな疑問が湧く。
何でまた今になって目が覚めたのだろう。眠りは思いの外深かったようで、眠りに就いてから恐らく数時間は経っている。時計を見ることは出来ないが、すっかり夜も更けている筈だ。夜中に尿意で目が覚めるなんて経験も滅多にないので、はてどうしたことかと思う。
「ん……うん……っ」
「……っ、ああ、そういうこと……っ」
――不意に目覚めた理由が、すぐに分かった。
ぴったり密着している陽乃さんが、寝相でもぞもぞと動いている。その為、挿入したままの肉竿が柔らかに締め付けられていた。何てことは無い、気持ち良さで起きたのだ。
「ふ……っ、うんん……っ」
陽乃さんは、まるで淫夢でも見ているかのように悩まし気な声を漏らして、腰をもぞもぞと動かす。その度に肉竿がきゅむきゅむと締め付けられ、声が出てしまいそうになる。甘やかな刺激により肉竿が硬度を増していき、それに反応した陽乃さんの膣が更に締め付けてくる。
「……やば……っ」
密着した状態だと、陽乃さんの身体が淫熱を帯びていく様子もはっきりと分かってしまう。徐々に夜目が利いてきて、目の前にある白いうなじが見えてくる。ふわりと香る甘い匂いが、心と体を捉えて離さない。
気を紛らわそうと、腕枕に使っている右腕の位置をずらし、陽乃さんの口に中指を滑り込ませてみる。
「ん……ふぅ……っ、ちゅぷっ、ちゅぷりゅ……ふっ、ちゅぴっ、んふぅぅ……っ」
「……悪化した……っ」
夢の世界に浸っている陽乃さんは、俺の指を何の抵抗も無く口内に受け入れたかと思うと、先端から根本まで丁寧に舌を這わせて行く。気を紛らわせる方法としては悪手にも程があった。人よりも明らかに長い舌が指を撫でていく度に、ぞわぞわとした快感が身体を包む。まるで指だけでなく、全身にあの紅い舌が艶めかしく這っているような感覚に陥った。まだ遠くにあった筈の限界が一気に近付いてしまう。下半身の決壊はすぐそこだった。
「ちゅっ、ちゅぴ……んっ、……比企谷くん……っ」
「……っ、あ、やば……っ」
指を離すと、陽乃さんが甘えるような声でぽそりと俺の名前を呼んだ。安心しているようにも、それでいて子供のように不安げにも聞こえる声音は、ぐっと俺の心を掴んだ。
――その瞬間。
「……で、出る……っ」
――ぶびゅっ、ごびゅるるるるっ、びゅぶっ、ぶびゅるるるる……っ。
「……っ!? んはぁぁんっ!? やっ、ちょっと……あぁぁぁぁ……っ!」
突然の射精で、陽乃さんが驚きながら目を覚ます。ぴったりと密着したまま、熱く柔らかな膣肉を白濁で浸していく。上気した肉体がびくびくと痙攣して、肉竿から精を搾り取っていく。
ようやく脈動が収まると、陽乃さんは呆れたような声音で話しかけてきた。
「はぁぁぁ……あっ、あんっ、……もう、急にどうしたの? 発情期?」
「いや、この状況で言われましても……。陽乃さんがもぞもぞ動くから目が覚めて、無意識の責めをくらい続けてこの有様です」
「さっき、ぼんやりとだけど何かが口の中に入ってた気がするんだけど?」
「それは何て言うかごめんなさい気を紛らわそうとしたらめっちゃ気持ち良かったです」
「……君は可愛いなぁ」
恥ずかしさでいっぱいになっていると、ずっと繋いでいる左手をぽんぽんと撫でられた。
「……ほら、寝よっか」
「一回抜かなくて良いんですか?」
「ん、比企谷くんの精子が零れないように栓をするってことで。……こら、また硬くなってるぞ」
「今のは不可抗力です……っ」
陽乃さんの発言の破壊力に頭がくらくらしながらも。
やはり疲れていたようで、俺も陽乃さんも、数分としない内にもう一度眠りに就いた。
× × ×
陽乃さんに頬をつねられて起きた。どうやら電灯を点けたようで、閉じている瞼の裏にもうっすらと光が見える。「朝だよ、起きて」と言う声に反応して気だるげに目を開けると、頬を膨らませて分かりやすく怒った顔をした美しい顔が目の前にあった。いつのまにか結合は解けて、二人で向かい合っている。
「痛いです……」
「大丈夫だよ、手加減したから。本気でやったら比企谷くん泣いて引き籠っちゃうよ」
「……ヒッキーだけに、ですか」
「今何か言った?」
「何でも無いですごめんなさい」
「ヒッキーだけに、なに?」
「え、続きを求めるの」
「よくバラエティで聞くじゃない、『かーらーのー?』ってやつ。ほら、せっかくスベったんだからもっとスベり倒してよ」
「鬼にも程がある……て言うかそもそも、何で俺は今つねられたんですか」
「3回」
「え」
「比企谷くん、寝てる間に結局3回出したでしょ」
「え、あれ? 2回目を出した記憶はありますけど……3回?」
「3回目は、君は寝たまま出しました。わたしだけ跳び起きました。寝たまま出すって何なの、おねしょの代わり? 夢精? なんなの?」
「……陽乃さんの中が気持ち良すぎて、つい……」
「……まあ許してあげる。3回目に出した後、寝言で『陽乃さん……愛してます……』って呟くのを聞けたし」
「え、ウソ」
「え、ウソなの?」
「いや、それに対しての『え、ウソ』じゃなくて」
「比企谷くん、わたしのこと愛してないの?」
「いや、そんな、急に目を潤ませなくても……何であなたはそんなに演技が上手いの……可愛いなもう……」
「…………」
「……顔、赤いですよ」
「本気でつねろうと思います」
「やめてください、泣きますよ」
「開き直った……」
「開き直ると何でも出来ますね。勢いで何でも出来そうです」
「わたしのこと、愛してる?」
「愛してます」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……死にそう……」
「……わたしもだよ、ばか」
こんな会話を、おでこをくっつけながらしてました。本当に死にそう。
照れ隠しなのか何なのか、陽乃さんがちゅっと口付けをしてくる。差し出された紅く長い舌に応じて、互いの粘膜をねっとりと絡め合う。陽乃さんとのキスは、もう1つの性交と錯覚する程濃厚だ。今のようにゆったりと口付けするだけでも、射精してしまいそうな程の濃密な快感が得られる。まぐわいながらキスをすると、2人の身体の境界線が曖昧になる程どろどろに溶け合うことが出来る。それが、たまらなく気持ち良くて、嬉しい。
「……んっ、今日はね……」
口を離すと、陽乃さんが唾液の糸をぺろりと舐め取って、艶やかに微笑んだ。一体何を言われるのかとどきどきしていると。
「ちょっとした設定を考えて楽しんでみようと思います」
「……設定?」
陽乃さんの言葉に、片眉をぴくっと上げる。陽乃さんは俺の反応を見て嬉しそうにふふんと笑うと、ついばむようなキスをしてきた。
「そう、設定。上手く行ったらすごーく楽しめると思うよ。……お互いに、ね」
「……はぁ、そうですか」
「んっふっふ、訝しげだねぇ、少年」
「取り敢えず説明を聞かないことには何とも……」
俺の言葉に、「それはそうだね」と言ってこほんと咳払いをする。
「わたし、今から拗ねるね」
「……はい?」
陽乃さんの言葉は、若干身構えていた俺にとっては予想外に過ぎていて。我ながらずいぶんと間抜けな、甲高い声が口の端からぷしゅっと漏れ出ていた。
続く。
2連続はるのんでした。
ゲーガイル続ではるのんルートをやってみた所、「何この人可愛すぎるでしょ」と悶えた結果の2連続投稿。他のヒロインもまた書きたくなりました。いろはすは1人で200話分くらい書けるアイディアをメモしていたのを思い出しました。めぐりんafterも書きたいなぁ……。
それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!