依然として拗ねている――という設定の――陽乃さんを引き続き陥落しにかかる。今度はもう少し慎重に攻めていくことにした。
陽乃さんは女性誌を読むのに飽きたのか、すらりと伸びた足を組み、腕を組んだ状態で毛先をくりくりと弄っている。うちのクラスの女王様のような態度だ。ただし目の前にいる女王様は名演技も相俟って、どこぞの本物の女王様のように思える。
今の俺が下手に声を掛けても逆効果だと判断して、そっと距離を詰める。陽乃さんはぴくりと反応して横目でこちらを睨んだが、特に避けたりすることはしない。不機嫌な背中に右手を伸ばし、そっと右肩を抱き寄せる。
「ん……っ」
微かに甘い吐息が漏れたのも束の間、抱き寄せられてもなお、不機嫌な女王様は態度を崩さない。しかし横目で睨みつけてはきても、それ以上の抵抗はしてこない。どうやら徐々に距離を詰めていけば拒絶はされないらしい。
腰を上げて、陽乃さんとソファの背もたれの間にすっぽりと収まる。陽乃さんは目をきょとんとさせていたが、抵抗や拒絶をする暇も無かったようで、この場の雰囲気に合わせて神妙な顔をしている俺に何も言ってこない。けれど、俺が陽乃さんの両肩に手を置いた瞬間、振り向いた顔が仄かに赤らんだのを見逃さなかった。
陽乃さんの様子を窺いながら、そっと肩を揉み始める。
「ん……そんな、こと、んぅ……っ、したって、許さないんだから……っ」
「それでもやりますよ。少しでもご機嫌をとっとかないと」
「ん……うんんっ、君ってそういうのはっきり言っちゃうよね……んっ、んっく……っ」
「そういう男は嫌いですか?」
「……んっ、んん……っ」
顔を覗き込んで尋ねると、陽乃さんは俯いて黙りこくってしまった。言葉の代わりに返ってくるのは、徐々に糖度を増してきた吐息。少し凝り気味の肩を入念に揉み解す度に、陽乃さんの言葉から棘が抜けていく。これだけのものを抱えていたら、それは凝るようなぁ……と、カットソーからくっきりと見える悩ましい谷間を覗きながら思う。わざわざゆるめのものを着ているのか、陽乃さんがぴくりと反応する度にカットソーから覗く柔肌の面積が広がってきていた。もう少しで薄桃色の先端が見えてしまいそうで、さっきから気が気でない。
「……さっきからちょっと見すぎだと思うんだけど」
「すいません、あまりに魅力的なもんで」
「……ふーん。それはご機嫌とりのためのお世辞?」
「俺がお世辞を言わないのは知ってるでしょう。ご機嫌とりが目的ではありますが、言ってることはただの本音ですよ」
「……ふーん」
声音に少しばかりの喜色を滲ませて、陽乃さんが俺の腿をそっと撫でてくる。態度がゆっくりと、けれど着実に軟化していた。
「陽乃さん……」
左側から顔を覗き込み、そっと唇を近付ける。陽乃さんは乗り気でない表情を装いながらも、ついさっきと比べると随分と穏やかに目を閉じて、唇を委ねた。
「ん……っ」
柔らかな唇に己の唇を沈み込ませる。肩に置いておいた手を陽乃さんの細指に絡ませると、渋々と応えてくれた。いつもよりも受け入れてくれるまでの過程が随分と長くて苦労するが、それ故に僅かにでも好意的な反応が返ってくるのは本当に嬉しい。
「ん……うんん……っ」
唇の合わせ目に舌を這わせると、綺麗に整った眉が悩ましく歪む。依然として舌の侵入を拒んでいるが、それでもそこまで強く拒絶はしていない。唇の端から端まで丁寧に何往復もすると、拒絶に綻びが見えた。ぬるりと舌を侵入させると、陽乃さんの身体がびくりと震えた。
「んふぅぅ……っ!」
身体の内側に粘膜を侵入させると、陽乃さんは劇的な反応を見せた。受け入れてしまいたい欲求と、やっぱり受け入れたくないという欲求がぐちゃぐちゃに混ざり合っている。人よりも長い舌に己の舌を絡ませると喜んで応えてくるが、繋いでいた手は解かれて必死で俺の身体を押しのけようとする。本能と理性が混線を起こしたような反応は、理性を保ちながらも本能に忠実な、いつもの陽乃さんのものとは明らかに違う。身体中の産毛がちりつくような、静かな興奮が心をざわつかせた。俺は陽乃さんのお腹に両腕を回すと、ぎゅっと抱きしめて身体を密着させた。
「ん……ふぅんっ、ちゅぴっ、ちゅむ……んふぅ……んぁっ、こ、こら……んむっ!? ふぅぅ……んふぅぅ……ぷはっ、ちょ、ちょうしに、んっ、のるなぁ……っ」
目に力のない抵抗の色を浮かべて、可愛らしく眉をひそませてくる陽乃さんに嗜虐心が際限なく溢れ出てくる。舌ったらずで子どもっぽい口調になっているのが可愛くてしょうがない。長い舌をぱくりと咥え込んで、強烈に吸い立てた。
「んふぅぅ……っ!? へぁ……ひっ、んひぅぅ……ひゃめへったらぁ……っ」
やめてったら、と言おうとしたのだろうか。そんな微かな抵抗の声も、湿度を増した空気中に投げ出された瞬間に溶けて消えてしまう。美しい双眸は絶えず明滅を繰り返して、唇を離す頃には女神のような顔立ちが淫猥に崩れていた。
「……ば、かぁ……機嫌とる気ないでしょ……っ」
「すいません、あまりにも可愛いもんで、つい」
「……こ、のぉ……っ」
力の抜けきった陽乃さんが、お腹に回してある俺の腕を何とか振りほどこうとする。まるで握力を感じない手に微笑ましささえ感じて、余計にイジメたくなる。
『得意でしょ? 女の子をいじめるの』
ほんのつい先程の陽乃さんの言葉を思い出す。
……うん、たしかに好きだわ。
心の内ではっきりと結論を下すと――お腹に回していた腕を解き、右腕をカットソーの谷間に突っ込んで、左の乳房の乳頭を人差し指でみちりと押し込んだ。
「う……んあぁぁっ!?」
敏感な身体の中でも殊更感じやすい部位を刺激されて、陽乃さんの身体は感電したかのように飛び跳ねる。暴れる身体を押さえ込もうと、今度は左手を谷間に突っ込み、右腕と交差させる形で右の乳房をぐにりと揉みしだいた。
「ああぁぁっ!? んぃぃぃ……ひっ、うぐっ、ひぎっ!? んくぅぅぅ……っ!」
人差し指と親指で乳頭を丹念にこねると、交差した腕の中で豊満な肉体が跳ね回った。おとがいを上げて硬直したかと思えば、背中を丸めて恐いくらいに震える。身体の寄る辺を求めて、けれどどこにも安らげる場所が見付からないような、そんな不安定な動き。
「い……んはぁぁぁぁっ!!」
大きな絶頂の波を迎えて、すらりと伸びた足がV字にびんと伸びて硬直する。足がへなりと投げ出された後も、上半身は壊れたように痙攣を繰り返していた。快感の波がまるで落ち着いていないことを如実に物語っている。
「やめ……やめてったらぁ……んっ、い、いいかげんにしないとぉ……うあぁぁぁっ!?」
可愛らしい抵抗の言葉を、鉄砲水のような快感の波で押しつぶす。俺はよっぽど嗜虐心に塗れた顔をしていたのか、陽乃さんが振り返って俺の顔を見ると、更に感度が良くなった。全身性感帯と化した陽乃さんのうなじに口付けをして、ぴんと張り詰めた乳頭を指でごしごしとしごきたてる。
「機嫌、直りませんか? まだだめですか?」
「だ、だれが、気持ち良くなったら機嫌が直るなんていって……んはぁぁっ!? やめっ、いっ、んぐぅっ、だめ、だめ、だめ、い……ぅあぁぁぁああぁぁぁぁぁっ!!」
獣のような声を上げて、内股を擦り合わせて絶頂に達する。可愛らしい色をしたキュロットスカートが内側からじわりと染みが広がり、潮を噴いたか、或いは失禁したのだと気付く。ようやく手を離すと、陽乃さんは力なく後ろに寄りかかってきた。お腹に両腕を回して、今度は優しく抱きしめる。
「……この、へんたい……っ」
荒く息を弾ませながら、陽乃さんが俺の手の甲をつねってくる。ほとんど力の入っていないつねりは、まるでペットに甘噛みされているような気分だった。
よろよろと立ち上がった陽乃さんが、目の前でキュロットスカートを脱ぐ。水に浸したかのように重みを帯びたスカートを洗濯機に入れると、こちらをちらりと一瞥した後にタオルを持って浴室に行ってしまった。どうやら軽く身体を洗うようだ。
程なくして戻ってきた陽乃さんは、再び不機嫌そのものの顔になっていた。今度はTシャツとミニスカートという格好だが、Tシャツの盛り上がりの先端にはうっすらと2つの点が見えていて、ミニスカートの裾をしきりに気にしている。またしても上下の下着を着けていないらしい。俺の隣に座ると、再び髪の毛を弄り始めた。どうやらこの仕草がお気に召したようだ。
……ええっと……。
……まだ続くんだ、このゲーム……。
続く。
12月!!
今年もあっと言う間だった……とは思わない人間なんですが、それでもここまで時間が経ったのだなーと感じています。もうじき執筆開始から丸2年でございます……。
はるのんでした。ひねくれゲームは続きます。実際、はるのんが拗ねたらめっちゃ厄介だろうなと思いながらも彼女を陥落させるのに奮闘する八幡を書いてみました。
色々書きます!
①小説情報募集
本当に久しぶりに、小説の情報を募集します。
「不意に官能的な表現が出てきて、それがたまらない小説」の情報を頂きたいです!!
最近官能表現で伸び悩んでおりまして。官能小説を買って読んでみても中々「あ、これは糧になる!」と個人的にヒットするものがなかったんですが、角川ホラー文庫から出ています「かにみそ」という作品を読んだ際に、ふと出てきた表現がかなり官能的でぞくぞくきたのです。それで今回の情報募集に思い至りました。
たまらなくエロい官能小説の情報でも良いですし、全然関係無いジャンル(ミステリー、ホラー、異世界もの、日常もの、その他なんでも)でも問題ありません。ほんの数ページしか官能的な表現が出てこないものでも構いません。皆さんが読まれたことのある作品の中で、「あ、そういえばあの作品なんかエロかったな」と思うものがあれば、ぜひご感想やメッセージで教えて頂きたいです!! 切実!! 僕は今進化を欲しています!! ご助力お願い致します!!
Twitterアカウント
takahashi_toru_
宛で教えて頂いても結構です。宜しくお願い致します。
②ノクターンノベルズにて連載中の「痴漢少女」ですが、冬コミ原稿に取り掛かっていたこともあり1ヶ月半程お休みしていたのを再開致しました。こちらと同時に最新話を投稿しましたので、よろしければぜひご覧ください(^^)!
③冬コミ2日目(12月30日)に出ます! 入稿も終わりまして、後は本になるのを待つばかりです。前回表紙を担当して頂いた稲鳴四季先生に、今度は表紙&挿絵も担当して頂きました。早くお見せしたいです……!
細かい情報はTwitterアカウント
takahashi_toru_
でツイートしますので(再度宣伝)、日々のツイートも合わせてご覧頂けると嬉しいです(^^)!
何気ないエロスでの関係の延長で、大学生になった八幡と雪乃が正月に温泉旅行に行きます。しっとりエロです。
④夏コミ本、DL販売中です!
いろはすとの甘々エロエロな禁欲生活。
夏コミ会場およびとらのあなでの販売分はおかげさまで完売しまして、只今DL販売中です。詳しくは活動報告をご覧ください(^^)!
長々と書いてしまいました。
それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!