※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

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(4)

 いろはとさんざっぱら卑猥なことをした後の授業では盛大に寝てしまった。朝起きてからの流れを考えれば当然と言えたが、いかんせん寝た授業が悪かった。平塚先生の現文の授業で寝てしまったのだ。周りの生徒に見えないようにまあまあの強さ(≒致命傷)でどつかれた。隣の席の川崎だけ平塚先生の攻撃が見えていて、心底怯えているようだった。平塚先生には「放課後生徒指導室に来なさい」とまで言われた。……あれ? これまでの流れを考えると……まいいや。

 

 そんなこんなで昼休み。

 くぁ……とあくびをしながら身体を伸ばす。さっさと昼ご飯を食べてもうひと眠りするか……とぼんやり考えていたら、隣からやけに視線を感じた。

 

「……どうした」

 

 見ると、川崎が、を赤らめながら高速で俺をチラ見していた。性別が逆だったら紛う事無き変態認定をされていたと思う。

 

「……あの、これ……っ」

 

 川崎が恐る恐る取り出したるは、妙に古めかしいデザインの風呂敷に包まれたお弁当箱。

 

「…………」

「…………」

「……俺に?」

「……うん……」

「……いいのか?」

「……お……」

「お……?」

「屋上……っ」

「屋上……って、おい、どこに……っ?」

 

 あまりにも煮え切らない態度の川崎に首を傾げていると、俺の机に弁当箱をぽすりと置いて高速で教室を去ってしまった。走っていった方向と、川崎自身も弁当を持っていたことから、どうやら屋上で一緒に弁当を食べたいらしいと言うことが伝わった。どんだけ可愛いんだあいつは。

 頭をがしがしと掻いて、ふっと頬を緩める。

 空を見上げると、少しばかり太陽を隠した雲が、日射しを程好く調節してくれていた。

 何だかむずむずする気持ちを抑えながら、俺は川崎の後を追った。

 

       ×  ×  ×

 

 鍵の壊れた屋上への入口を抜けると、誰もいなかった。俺の勘違いだったかときょろきょろした後、そう言えば川崎はよく給水塔の上に居たな……と思い、視線を上げる。

 目の前に、黒のレースの下着が見えた。

 正確に言えば、梯子を使って降りようとする川崎のスカートの中のショーツが、ちょうど強めの風に捲れてこれ以上無い程綺麗に見えた。

 息を呑んで凝視する。

 前より、ちょっと際どい下着だった。

 わお。

 

「んな……っ!?」

 

 宝石を見るような目つきで俺がガン見していることに数秒遅れて気付いた川崎が、高速で給水塔に登り直した。本当に速かった。しかしその間もスカートの中は丸見えだった。

 やっぱり、前より際どかった。

 わお。

 

「……あ、あんたね……っ」

 

 川崎が上から顔だけひょっこりと出して、涙目で睨みつけてくる。自分の可愛さをもう少し認識してほしい。まだこちらを警戒してるペットの小動物みたいだ。

 この状況をどうしたものか……と思っていると、川崎がこちらに向かって手を伸ばした。

 

「……ん、どうした?」

「弁当持って来たでしょ? 梯子登るの大変だろうから、持ってて上げる」

「おお、すまん」

 

 そう言う川崎は一体どんな風にして登ったんだろう……と思いながら弁当を手渡して、のほほんと梯子を登った。

 

 

 給水塔はほんの数メートル登っただけの場所にあるが、それでもそこから見える景色は別世界だった。見える角度が少し広がるだけで、街全体の印象がまるで違う。よく見知っている街と、目の前にいる感情表現が不器用な女の子。新たな面を見付けた時、好奇心が湧いて愛おしく思えるという意味では似ている気がした。

 

「……すげえ良い眺めだな……」

「良いでしょ。あたしも気に入ってんだ」

「ここで強い風が吹く度に、川崎は一人で恥じらってる訳だな……」

「……あんた死にたいの?」

「ごめんなさい、ごめんなさい、弁当頂きます」

 

 調子に乗ってすぐに謝罪をする、お調子者の鑑である。そんな設定無かったけど。川崎は俺を見て呆れたように笑うと、「……どうそ召し上がれ」と照れくさそうに言った。

 一緒に弁当を食べるなんて言うと、あーんするイベントが発生するかもと思ったけれど。教室と屋上を往復する時間を考えるとゆっくりする時間も無く、後は2人で街の景色を眺めながら弁当を食べるだけだった。日陰は存外涼しく、座り込んだアスファルトはひんやりと冷たい。時折吹く強い風が心地良く、何より、川崎の家庭的な弁当がとても美味い。思わずかきこんでいると、川崎が母親のような笑みを浮かべて俺を見た。妙に気恥ずかしくなって、ひたすら食べ続けた。俺が目を逸らした後も、きっと川崎は俺を見ていた気がする。

 

 こうして、俺と川崎ののんびりした昼休みが終わった。

 本編でキスをした所で止まっていると、何とも平和だなと思った。

 本編って言っちゃったよ。

 

       ×  ×  ×

 

 ほんわかとした幸福感に包まれて迎えた5限目。

 5限目は体育で、体育館内で好きなことをやって良いというゆるゆるのお達しが出た。ぼっちの身には辛い流れだが、生憎俺には愛しの戸塚がいる。そうだ、俺には戸塚がいる。ぼっちじゃない。戸塚だ。何を言ってるんだろう俺は。

 教師の話が終わった瞬間、戸塚の下へと急いだ。戸塚はきらきらした瞳で俺を出迎えてくれた。

 やばい、どうしよう。

 抱きたい。

 今俺は何て言った。

 両頬をばちんと叩いて煩悩を振り払うと、「八幡、大丈夫!?」と戸塚が心配してくれた。綺麗な瞳が潤んでいる。どうしよう、責任を取るべきだろうか。取るべきだろう。取ります。

 

「…………」

 

 冷やかな視線を背中に感じて振り向くと、結衣がバレーボールを手にして半端ではないジト目を送っていた。結衣のキャラが違ったら「何だこのごみ虫は……」とか言いそうなレベル。

 急いで戸塚に向き直り、2人で遊ぼうと提案する。戸塚は二つ返事でオーケーしてくれた。やっぱり抱きたい。やばい、背中に視線が突き刺さった。視線の数多くない? と思って振り向いたら、川崎にも睨まれていた。あ、あれ、昼休みの柔らかな表情はどこへ……?

 逃げるように戸塚の手を引いて、体育館の隅へ移動した。手を握ったのに他意は無い。純粋なる愛情である。

 

       ×  ×  ×

 

 授業の終わりまで戸塚と延々とバレーボールのトスをし合っていた。きゃっきゃうふふ感が半端無かった。更にきゃっきゃうふふすべく、今度は海に誘おうと思う。戸塚とするなら例え石を積んで戻すだけの作業でもきっと楽しい。何でこの例えを出したのかは分からない。

 

「えーっと……ああ、丁度良い。比企谷と由比ヶ浜はボールを片付けてくれるか」

『げ』

 

 体育教師がきょろきょろと辺りを見渡し、偶然体育倉庫の近くにいた俺と結衣を指名してきた。その瞬間クラス中のボールが俺と結衣の下へ殺到する。結衣の前にあるかごには皆丁寧に自分で入れにくるのに、俺の前のかごに対しては皆してぞんざいに投げてきた。調子に乗ってバスケのシュートみたいに投げて外した戸部のダサさが異常。はにかみながら手伝ってくれる戸塚の優しさは至上。

 他の生徒がぞろぞろと体育館を出ていき、教師も「すまん、俺も次の準備があるから任せて良いか」と軽く謝って出ていく。戸塚は気にしてくれていたが、気を遣わないで帰って良いぞと言って帰した。

 扉を半開きにした状態で、結衣と片付けをする。

 

「あはは、外れクジ引いちゃったね」

「おお、偉いぞ結衣。よくそんな言葉知ってたな」

「誰がバカだっ!?」

 

 こんな会話をしながらも、ゆるゆると片付けをする。

 こんな雑務を押し付けられては、着替えの時間も考えれば確実に6限に遅刻する。後で体育教師にきちんと責任をなすり付けないといけない。

 

「…………」

 

 結衣をちらりと見やる。

 体育でじっとりと汗をかいたTシャツは肌に張り付き、豊満な肢体のラインがはっきりと浮き出ている。よく見れば内側の下着がうっすらと透けて見えた。

 ……何を考えてるんだ俺は……っ。

 頭をぶんぶんと振って煩悩を払おうとするが、湿度の高い倉庫の中ではますます汗をかいてしまい、脳が熱に浮かされて正常に機能してくれない。

 

「……ひ、ヒッキー……見すぎだし……っ」

 

 結衣の言葉にハッとする。どうやら俺はぼんやりと考えている間もずっと結衣を凝視していたらしい。

 

「……すまん、つい」

「ついってなんだし……もう……っ」

 

 結衣が頬を赤らめて、もじもじと身体をくねらせる。

 あと、その……と、結衣が俺から遠ざかりながら、いつになく歯切れの悪い言葉を口にする。

 

「どうした」

「……そ、その、汗、すごくかいてるから……あんまりあたしに近付かない方が良いかも……っ」

 

 そう言って、結衣が艶っぽい唇を震わせて、胸と下腹部を手で覆う。

――カチッ、と。

 頭の中で、何かのスイッチが入った音がした。

 

「……そうか、汗をかいてるのか」

「う、うん……って、ちょっとヒッキー、何してるの……っ?」

 

 話しながら体育倉庫のドアを閉めると、結衣の声が震えた。

 

「ドアの内側からも鍵をかけられるんだな。あと、どうやら次の時間はどのクラスもここを使わないらしい」

「……ば、ばか、ヒッキー、何言ってんの、こんな所で出来る訳……っ」

「ん、何のことだ? 俺はまだ何も言ってないぞ?」

 

 俺の言葉に、結衣は顔を真っ赤にして俯く。

 結衣に近付く。

 結衣が遠ざかる。

 また、結衣に近付く。

 また、結衣が遠ざかる。

 じっくりと、結衣に近付く。

 泣きそうになりながら、結衣が遠ざかる。

 結衣の背中が壁に付いた。

 逃げ場の無くなった結衣に、俺が一歩近付く。

 目と鼻の先に、結衣の蒸れた肉体がある。結衣が汗をかいているというのは本当だったが、匂いは甘いばかりで……興奮が更に高まるだけだった。

 結衣の肩を掴むと、肉感的な身体がびくりと震える。結衣が俯いた状態から顔を上げると、その瞳は潤んでいた。

 

「……ばか……っ」

 

 小さく小さく呟いて、結衣が顎を上げて目を閉じる。

 倉庫のドアをちやりと見やって、改めて息を呑んだ。

 

 

 

 続く。

 

 

 




 今回はサキサキとガハマさんでした。ガハマさんのエロシーンが燃え上がってだいぶ字数が増えたので2話に分けました。

 それでは、また明日ここでお会いしましょう(^^)!
 今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!
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