※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

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 雪乃の指示、と言うか命令により、今朝の陽乃さんと小町とのあれこれについて事細かに報告させられる。今後社会に出て万が一始末書を書くことがあっても、今程絶望した気持ちにはならないだろう。

 

「……なるほどね。まあ良いわ」

 

 緊張しながらも記入した内容を見せると、雪乃は何とも言えない表情で一通り読み、意外にもあっさりとした反応を見せた。

 

「……良いのか?」

「ええ、良いわよ? この後のことも全て正直に書いてくれるのだろうし」

 

 助けて!

 助けて!

 助けて!

 頭の中で限界音量で警告音が鳴り響く。これ本当にあかんやつ。あかん、あかん!

 

「……何でもしますから、許してください……」

「何でもするのね? じゃあこの紙できちんと報告してちょうだい」

 

 助けて!

 助けて!

 助けて!

 心の中で泣き叫んでいると、スマホが再び鳴った。画面を確認すると、相手は由比ヶ浜マだった。

 

「スピーカーモード」

 

 もはや単語一つで俺を支配する雪乃さん、マジクール。

 泣きそうになりながら電話に応じる。

 

「もしもし~、ヒッキーくん?」

「……どうも……」

「あら、どうしたの~? ……あら、うふふふ、そう言うこと。うふふふ~」

 

 え、何で全部察してる雰囲気を出してるのこの人? 待て待て、きっとカマを掛けてるんだ……!

 

「ヒッキーくんはモテモテね~。今朝は楽しかったわ~。朝からぷりぷりのものを飲めて美味しかったわ。また飲ませてね? ……それじゃあね~」

「え、あっ、ちょ……っ」

 

 最後だけ妙に艶めかしい声で囁いて、有無を言わさず切ってしまった。

 通話が終わると、地獄のような沈黙が訪れる。

 いや、違うな。

 今の、この場所は。

 紛れもなく、地獄そのものだ。

 

「……あ、あの、雪乃、さん……?」

 

 さん付けで媚びへつらうように様子を窺うと、雪乃は顎に手を当てて何やらぶつぶつと独り言を呟いていた。

 

「……人妻……」

 

 何の要素を抽出してんだお前は。

 

       ×  ×  ×

 

 由比ヶ浜マとの内容を一通り記入させられげっそりしていると、雪乃が紅茶を淹れてくれた。ふっと緊張を緩めて紅茶を口にすると、味わい深い香りが身体中に染み渡る。

 

「……相変わらず美味いな」

「頑張ってもらわないといけないから。気合を入れたわ」

「お、おう……」

 

 笑顔でプレッシャーを掛けられた。

 今から全力で逃げたらどうなるかな、空気投げをされて身体がぼろぼろになるだけだな、等と絶望的なシミュレーションをしていると、再び着信が。

 相手はいろはだった。

 

「もしもし?」

「おう」

「先輩、こんばんはー」

「こんばんは、一色さん」

『っ!?』

 

 まさかの先制攻撃。電話の向こうで、いろはが息を呑む音がはっきりと聞こえた。なんだなんだ、一色に威嚇攻撃でもする気なのか。

 

「え、せ、先輩、まさか……」

「そうね、あなたが予想している通りよ」

「いや、おい、ちょっと……」

 

 何修羅場を演出してくれちゃってるんだと言いかけた所で、いろはが予想外の言葉を言ってのけた。

 

「先輩、わたしの中にあれだけ出しておいて、まだ襲う気ですか? へんたいだー!」

「え、ちょっと」

「あ、でも……生徒会室でするのはちょっとハマっちゃいました。先輩が卒業する前に、もう何回かしたいなー、なんて……」

「ちょっと、あの、君が知ってる通り、ここにはね、ここにはね」

「雪ノ下先輩が居るんですよね。も~、雪ノ下先輩ったら焼き餅焼きなんですから!」

 

 おっと、この子は死にたいんでしょうか。しかもこの場合真っ先に死ぬ(死因は凍死)のは俺なんですけれど。

 いろはの言葉に、雪乃は目を見開いた後に俯いてふるふると震える。艶やかな黒髪から覗く耳が赤くなっていた。

 

「……一色さん? 今度、じっくりとお話しましょうね」

「ぴゃーっ!? し、失礼しましたっ! おやすみなさいっ!」

「え、ずるくない?」

 

 俺の最後の言葉が言い切られるより先に電話が切られる。

 

「……モテモテね?」

「……ど、どうもです……」

 

 間抜けな返事の後は、怖くて顔を見られなかった。

 

       ×  ×  ×

 

 いろはとの行為を事細かに書き終えて、再びひと息吐く。ちょっと報告に慣れてきたのが我ながら嫌だ。

 

「慣れてきたのは分かるけれど、段々『艶っぽい』だの『淫靡な』だのと官能小説みたいな表現を書き始めたのは何とかならないかしら?」

 

 雪乃がレポートを読み終え、こめかみに手を当てながらため息を吐く。おお、真顔でそんなことを言うとは。でもツッコんだら今度こそ命は無いだろうから言えない。

 ここからどうしようかと迷っていると、再び着信が。

 相手は川崎。

 ああ、何で皆わざわざこのタイミングで電話を……と思いながら、通話ボタンを押した。

 

       ×  ×  ×

 

 それからも、ひと悶着では済まないくらい沢山のことがあった。

 

 川崎に対して雪乃が話しかけた事で笑えるくらい険悪なムードになったので、お前の下着色っぽかったなと言って川崎が羞恥心で何も言えなくなる代わりに、雪乃からごみを見る目で見られたり。

 

 戸塚の笑顔を見て抱きたいと思ったことを書いたら雪乃が激しく動揺していたり。あなたの知らない世界を見せてしまって申し訳無い……。

 結衣が凶暴なまでの豊乳を使っていたことを知り、自分の胸を両手で押さえてショックを受ける雪乃が可愛くてしょうがなかったり。「入れ替わってる!?」って言ってほしかった。

 

 平塚先生と生徒指導室で致したことを報告して、「あなたは学校中の部屋を制覇したいの?」と雪乃に真顔で聞かれたり。その願望が無いとは言い切れなかった。

 

 折本と留美に2連続で癒されたことを報告して、何もやらかしてないぞと自慢げに言ったら「女性と続けざまに会っていながらよくそんな事が言えたわね?」と氷よりも冷たい声で返されたり。

 

 めぐり先輩と多目的トイレでした時のことを話し、「その男の子が将来あなたのような色欲魔人にならないことを祈るばかりね……」と呆れながら言われたり。色欲魔人ってひどすぎない? 否定は出来ないけど。

 

「そんなこんながあって、今ここに居ます」

 

 最後は口頭で締めくくると、雪乃が深く深くため息を吐いた。

 

 さてさて。

 俺もいよいよ、最期の刻を迎える訳か。

 辛いこともあったけれどまあまあ悪くない人生だったな……と今までの歩みを振り返っていると、雪乃が俺をじっと見つめ、ふっと呆れ笑いを浮かべた。

 

「あなた、よく生きてるわね……それだけのことをしておきながら、見た所元気そのものよ?」

「え? ああ、まあ……鍛えられてるからかな……」

「……モテモテね?」

「ご、ごめんなさい……」

 

 冷や汗をだらだら流していると、雪乃がそっと立ち上がる。

 

「少し休むと良いわ。ソファに座ってちょうだい」

「え? いや、大丈夫だって。取り敢えずシャワーに……」

「ソファに座ってちょうだい?」

「は、はい……」

 

 命令のままに座ると、雪乃が俺の足を広げてその間に腰を下ろし、膝立ちになった。

 

「え、な、何? 何すんの?」

 

 生かされたとは言え、予想していなかった展開に面食らっていると。

 

「あなたはゆっくりしていて良いわよ。……ゆっくり、ね」

 

 そう言って、雪乃が笑みを浮かべる。

 今まで見てきたどんな素敵な笑みとも違う、淫靡な微笑み。

 くらくらする程の美貌と淫靡な声音に、俺はもう、目の前の女性のことしか目に入らなくなっていた。

 

 

 

 続く。

 

 

 

 




 メタネタで、続・ゆきのんの尋問でした。ここからはいつもの感じです。

 9月も終わりますね。あっと言う間だなーなんて感覚を生まれてこの方一度も持った事が無いですが、もうすぐ冬ですね。わお。

 それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!
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