場の空気が妖しく変わったところで、それはあくまで表立って見えない、水面下での話。
「皆さん、みかん食べますかー?」
「わー、ありがとう小町ちゃん」
表立って見える雰囲気は至極和やかで、小町といろはが和気藹々と話し、俺と陽乃さんが微笑ましく見守るような状態。
……と思ったら、皆みかんの皮を剥き始めた途端に黙り込み、ちらちらと俺を見始めた。
なんで?
…………。
①小町……コミュ力の塊。その場にいる人の老若男女を問わず話が出来る。全世代から愛される妹。
②いろは……コミュ力小悪魔。割と好きなように振る舞っておいて、決して場の空気を悪くするようなことをしない、絶妙なバランス感覚の持ち主。
③陽乃さん……コミュ力大魔王。「取り敢えず雪ノ下さんがいれば何とかなるよね!」という雰囲気を、陽乃さんが存在するありとあらゆる場所で感じる。空気の作り方も醸成のさせ方もお手の物。
こんな3人が、自分から一切話題を切り出さずに俺をじっと見ている。
……ええっと。
…………。
…………。
……ええっと。
『……………………』
見られてる。
すっげえ見られてる。
沈黙が痛い。視線の圧が段々増してきた。段々肌に刺さってきた。
これは、アレか。
俺から話題を切り出せっていう無茶振りか。
しかもよく見たら、3人は時折互いに目を合わせてほんのちょっとだけ笑ってる。
『ほら、なんか面白い話してよ』
そんな空気をびんびんと感じる。
しまった、今この場には場を取り繕う神様である(失礼)結衣がいない。即ち逃げ場が無い。というよりもこの3人は結衣がいないからこそこの状況に持っていったのではなかろうか。やだ極悪。
…………。
……なんか、無難な話……。
…………。
「…………ま…………」
『……ま?』
「……真冬の、怖い話をしようと思います……」
『………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………は?』
おっと。
多分、一回心臓が止まった。
笑いが起こるような話はまず出来ないので、せめて面白味のある話をしようとしたのだが……それにしても、今のチョイスは我ながらひどかった。……に、しても、この反応は辛すぎる。小町といろはは心底蔑んだ目で俺を睨めつけ、陽乃さんに至ってはこっちを見てさえいない。というかあなたは何処を見てるんでしょう。何処かを見ているというよりは俺を見ていないという感じでちょっと泣きたいです。
「……はあ、ま、比企谷くんに面白さを求めてもしょうがないか」
視線を戻した陽乃さんが流れるように俺を罵倒して、全てをうやむやにするような優しい笑みを浮かべた。釣られて小町といろはも呆れた笑みを浮かべる。
ほっと息を吐いた――直後。
「……っ?」
足に、何かが触れた。
誰かの足が偶然触れたのかと思ったが、違った。
1本だけでなく、2本の足が胡坐をかいた俺のすねや膝、内ももを撫でてくる。ぞわりぞわりと快感が押し寄せて、喉が瞬時に干上がった。
ちらりと視線を巡らせる。
小町もいろはも、俺と目が合うときょとんとした。
陽乃さんと目が合う。
「……別に、無理に喋らなくたって面白いことはあるもんね」
言って、陽乃さんは天使のような笑みを浮かべ――俺にしか見えないタイミングを見計らって、ちろりと舌なめずりをした。人よりも長い舌は、外気に晒すだけで見ている側に異様な緊張感と官能を呼び込む。紅い粘膜に目を奪われていると、2本のほっそりとした足が俺の内ももを撫でた。
引き際の波が砂浜に落ちていたサンダルを海に引きずりこむように、緩やかな日常が淫猥な空気に飲み込まれた。
× × ×
「はるさん先輩って、普段どんなやり方で勉強してるんですかー?」
「う……くぁ……っ」
「えー? 別に普通だよー」
「……ぐ……ぅ……っ」
「予備校には行ってたんですか? 陽乃さん」
「うっ、うぁっ、んく……っ」
「あー、わたしは行かなかったなー。参考書で良さそうなのを見繕って、それで集中的に勉強してたね。あんまり多くのものに手を出しても、却って良くないと思ってね」
『なるほど……』
「うっ、くっ、うぅ……っ」
――歪な時間が、一見正常に見せかけたまま進んでいく。パッと見は何ともないぬいぐるみが、中の綿を全て抜かれて代わりに砂鉄を詰め込まれたかのような、そんな、ハリボテの日常。
陽乃さんの両足は、今は膨らんだ下腹部を集中的にこすり立てていた。互い違いにこすり、時折同時にしごき立て、亀頭と睾丸をぐりぐりと撫で回す。俺の弱点を的確に突いておきながら、決して射精はさせない焦れったい快感。
小町といろはも、自分たちを挟んで水面下で行われている淫猥な行為に早々と気付いたらしい。こたつに深く身体を入れたと思ったら、2人して俺の手を握り、艶めかしく指を絡めてきた。手と手が触れ合うだけなのに、それぞれと秘密の関係を持ったような背徳感が相俟ってたまらなく気持ちが良い。3人は俺が小さく呻くのも気にせず、和気藹々と話している。
「あ……っ」
「? どうしました、はるさん先輩?」
「ごめんごめん、何でもないよ」
繋いでいた手を離して陽乃さんの両足を掴むと、極上の美人の澄まし顔に僅かばかりのひずみが生じた。2人きりの時であれば今の比じゃないくらいの反応を見せるのだが、綺麗に自分の反応を隠している。小町といろはは手を繋ぐ代わりに俺の膝や内ももを撫でてくる。出来る限り興奮を煽るような撫で方は、肉竿に更に血液を集めて膨張させる。こたつの中に、ひどく卑猥な匂いが満ちている気がした。
「……え……?」
艶めかしく揺らぐ陽乃さんの足と格闘していると――股間を這う足が更に4本増えた。こたつの上では皆ごく平然と話しておきながら、目に見えないところでは3人がかりで下腹部を嬲りに来ている。慌てて小町やいろはの足を片足ずつ押さえてももう片方の足が襲ってきて、その上で俺の手から解放された陽乃さんの足が再び肉竿をまさぐってくる。
「こ……の……っ」
防御だけする状況に耐え兼ねて反撃に転じる。右側から伸びる2本の足を押さえて無理矢理開かせると、いろはが目を見開いて頬を朱に染めた。可愛らしい反応に心臓が脈打つのを感じながら、割り開いた両足の根本に右足を近付けて、生温かいタイツの上から淫裂に足を這わせた。
「ひん……っ」
思わず漏れ出た嬌声に、誰よりも驚いていたのはいろは自身だった。俺を含む3人から向けられた視線に顔を真っ赤にすると、口を手で押さえて顔をこたつの台に突っ伏した。小町と陽乃さんを見ると、いろはの様子を気にしながらも、まだ日常を演じた会話を続けている。いろはは突っ伏したまま動かない。
さして広くないこたつの中で、指先をぐりぐりと動かしていろはの下腹部を愛撫すると、指先に淫靡な震えを感じた。
「ひん……んっく、ひぅっ、んふぅぅ……っ」
若干の幼さの残る声音で艶めかしく喘ぎ、こたつの台の上で亜麻色の髪がさわさわと踊る。時折顔を上げた時に目が合うと、ほんの数分前までとは比較にならないくらい、顔が欲情でとろとろに蕩けていた。
ぐりぐり、ぐに、にゅぷ、こしこし、にゅくにゅく、くちゅ、ちゅくく……っ。
「んぅぅぅ……ひぅぅぅ……っ」
割れ目に沿って指を這わせ、蜜壺の谷間に指を押し込み、溢れ出してくる蜜がいやらしい音を立てるように指を動かす。いろはは両手で俺の右足を掴んできたが、すがるように撫でてくるだけで決して止めはしない。
指の動きを速める。
いろはのくぐもった声が、少し大きくなった。
指でこする力を強くする。
いろはの様子を見ていた小町の喉が小さく鳴った。
指で割れ目を深く穿つ。
悶絶するいろはを見つめていた陽乃さんの瞳が艶を帯びて、強い興味の光を宿した。
こする、こする、押し込む。
押し込む、こする、こする。
無我夢中でいろはの大事な場所を嬲って、嬲って、嬲って――
「……あぅぅぅぅぅ……っ!!」
いろはが再び口を手で覆ってこたつの台に突っ伏す。4回、いや5回ほど大きく身体が脈打つと、まるで射精したかのように蜜液が溢れ出て、タイツをぐっしょりと濡らした。ゆらりと上げた顔は汗ばんでいて、既に一度事を済ませたかのような虚ろな目をしている。
こたつに足を入れたままこちら側にくたりと寝転ぶと、片頬を膨らませて恨めし気に睨んでくる。全く圧の無い可愛らしい顔に和んで頭を撫でると、亜麻色の髪はしっとりと汗を含んで蠱惑的な匂いを香らせた。
「ん……ちゅぷ……ふぅん……んむふぅ……っ」
頭を撫でていた手を掴んだいろはが、人差し指をぱくりと咥え込んだ。根本まで飲み込んで舌を這わせてきて、手が性感帯になったかのような錯覚を覚える。
ぞくぞくとしていると――つんつん、と下腹部を可愛らしく足でつつかれた。そういえば、いろはを責めているときは小町も陽乃さんも動きを止めていたな、と思いながらちらりと小町を見る。
「…………」
無言で、年不相応の婀娜っぽい流し目を送ってくる。生まれてきてからずっと寄り添ってきた快活な妹の顔ではなく、まるっきり牝の顔をした小町に――たまらなく、欲情した。
続く。
メタネタでした。こたつ下での攻防。
活動報告にて冬コミC91で出した作品の委託&DL販売のお知らせをしています。よろしければぜひ(^^)!
最近「冴えない彼女の育て方」を読み進めています。日付で言えば昨日は休みだったため、一気に2・5冊分ほど読みました。脳が疲弊。
オリジナルも書いていますが、このすば・ダンまち・冴えカノの二次創作も折を見て書きたいなと思っています。何気ないエロスと同じっぽい流れになったりならなかったりな構想を練っているところ。連載する場合は確実にハーメルンなので、その際はここでもお知らせします!
それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!