※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

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 三浦と付き合いはじめてから、2人でいる頻度は格段に増えた。三浦は由比ヶ浜や海老名さんと一緒にいる時間をきちんと確保しつつも、平日・休日問わず俺と行動をなるべく共にしてくれている。俺は元から一人なので特に人間関係で気を遣う必要はない。言ってて泣きそうになった。

 

 三浦が彼女という立場になって改めてわかったのは、俺との距離感のとりかたが絶妙であるということ。

 

 一緒にいる時も、ベタベタすることもあればほどよく離れてお互いが好きなことをやっていることもある。純粋に一人でいる時間は減ったのだが、そのことによるストレスがほとんどないことに気づいて驚いた。もうちょっと一人でいたいかも……という気持ちは、三浦と一緒にいることによる幸福度が軽々と上回るのである。俺のチョロさに自分で驚いている。

 

 ちなみに三浦が甘えてくる時は、無言でスススと近寄ってくる。素知らぬ顔をして。それだけでも鼻血ものだが、エロいことをする際は瞳を潤ませてしなだれかかってくる。何度めまいがしたことか。

 

 エロいこととは言っても、三浦の下着姿を見たこともないのだけれど。それでも毎回口でたっぷりとしてくれているので文句を言うつもりもなかった。

 

 10月に入り、夏の気配が完全に消えて秋の気配が漂ってくる。受験が刻一刻と近づいてきて、周りでは焦る人と呑気極まりない人が出てくる。材木座は今もラノベを書いていると言って実際はプロットしか書いていないし、戸塚はいつも通り可愛い。前文の前半はいらなかった。

 

 そんなこんなで、今日は休日。もう何回目かわからないが、俺は三浦と市立図書館に勉強に来ていた。

 

       ×  ×  ×

 

 昼休憩ということで、図書館の外のベンチで食べる。寝る頃になるとだいぶ寒くなってきたが、昼間はまだポカポカとしていて温かい。念のため着てきたコートは太ももに掛けていた。周りを見ると、コートを着て出歩く人と薄着で出歩く人が半々といったところだ。

 

「美味かった。ごちそうさま」

「ん、お粗末さま」

 

 三浦が作ってくれた弁当を食べて挨拶をすると、いつも通りにこやかに微笑んで返事をしてくれる。

 

 三浦は少し前まではほとんど料理の経験がなかったようだが、この数ヶ月で凄まじいほど腕前を上げていた。定期的にコーチをしている(変な立場だ)小町から言わせると「伸びしろが等速直線運動どころか二次関数的。末恐ろしい」とのことだった。

 

 等速直線運動ってグラフにしたら上がり下がりが一切ないと思うんだけど……とはツッコマずに置いた。小町、ちょっと物理に触れて玉砕したタイプだな。俺もだ。位置エネルギーの式をポンと出された時の首の傾げようったらなかった。等速直線運動はそもそも中学で習うんだったか。もはやアレ系は全て記憶の彼方だ。アレ系って言っちゃった。

 

 俺の食べる量を考慮した大きな弁当箱を回収し、自分用の小さな弁当箱と一緒に手慣れた仕草でカバンにしまい込む。初めは洗って返そうとしたが、「あーしが好きで作ってるんだから気にしないで」と断られた。今度なにかお礼をしないと……ゆるキャンのDVD全巻プレゼントしようかしら……。カレーヌードルを食べながら2人で観るのもいいかもしれない。

 

「……どんどん腕前が上がってるな」

「そう? ありがと。最近やっと、あーしが台所にいてもお母さんが驚かなくなった」

 

 俺の言葉に嬉しそうに微笑み、家での出来事を楽しそうに話す三浦が可愛らしい。本当に、柔らかな表情になったと思う。

 

 最近三浦が眉間にしわを寄せているのを見た時といえば、せいぜい勉強中に難問にぶつかった時と弁当のメニューを考えている時と突然雨が降った時くらいだ。挙げてみたら意外とあった。

 

 いつもはここからちょっとばかりのんびりして、お互い少し昼寝してから午後の勉強に臨む。昨日買った漫画を読むか……と思ってカバンから取り出すと、三浦が身を寄せてジッと見つめてきた。だいぶ距離が近い。ふわりと甘い匂いがする。

 

「読みたいのか?」

 

 俺が手に持っているのは、個人的にいつアニメ化してもおかしくないと思っている作品の第5巻だ。三浦は読んだことがないはずなので、初めから読みたいということなのだろうか……と思っていたが、三浦はふるふると首を横に振る。ちがうらしい。

 

「あーしも漫画買おうかなって。ヒキオ、それどこで買ったの?」

 

 質問しながら三浦がさらに近寄る。俺をいたずらっぽく惑わす……という意思もないらしく、ごく自然に二の腕が触れる。それ以上のことなど幾度となくしているというのに、女性の柔らかさといい匂いにはまったく慣れることがない。

 

「えーっと……あそこだあそこ、例のアレ」

「……ぜんぜんわかんないんだけど」

 

 大型書店で買ったことを伝えようとしたのだが、テンパっているおかげでなに一つ具体性のない言葉しか出てこなかった。これが進むとテレビに出てきた人をことごとく「名前なんだったっけ……」となるわけだな恐ろしい。テレビを見る頻度自体激減してるんだけどね。最近は勉強のためにアニメをリアルタイムで観ずにネット配信で見るケースが増えたし。

 

 三浦が怪訝そうに眉間にしわを寄せている。俺のせいでまた事例が増えてしまった……。密着度が増したことでふにふにと触れてくる柔らかな感触に気が動転しながらも、なんとかかんとか書店名と場所を思い出して伝えることができた。

 

「……あーしも行きたいかも」

 

 三浦がようやく納得いった様子で身体を離すと、以前よりも高くなった雲を眺めながらぽつりと呟いた。

 

「ん、じゃあ今日行くか。勉強が終わった後にでも」

 

 温もりが離れて少し寂しくなった右腕をさすりながら言うと、三浦がパッと目を輝かせた。行こうと思えばいつでも行けるのに、どうしてこうも嬉しそうなのかと不思議に思う。

 

「うん、行きたい。ヒキオ、あーしでも好きそうな漫画教えて」

「また難易度の高いお題を……」

「いいでしょ別に。よろしく」

 

 有無を言わせぬお願いである。それって命令じゃないのん? と思いながらも、三浦のワクワクした顔を見ると断る気など簡単に失せてしまう。

 勉強を少しだけ早く切り上げて、夕方ごろに目当ての大型書店に向かうことにした。

 

       ×  ×  ×

 

 キリのいいところまで勉強をして、三浦と大型書店に向かう。郊外のだだっ広い敷地を使った書店で、2階以上が無い代わりにとにかく広い。エレベーターを使いようがないので、代わりに歩く歩道があった方がいいのではと思うほどだ。

 

「それ、歩く歩道じゃなくて動く歩道じゃない?」

 

 自分の考えを三浦に話すと、真顔で訂正された。死ぬほど恥ずかしかった。羞恥心に焼かれて恥ずかしすぎて頭痛が痛い。いつか会議で「詳しい詳細はまだ未定です」と言ってみたいものだ。以上、重複シリーズでした。

 

「うわ……広……っ」

 

 店内に入るなり三浦がぽろりとつぶやく。ほら、必要でしょ? 歩く歩道。

 家電量販店だとまっさらな白い床に煌々と照りつけるLEDライトが……といった内装になっているが、ここは書店なので内装も雰囲気も落ち着いている。といってもレジは常に4人体勢で、常に客が並んでいるのだけれど。万引きGメンが私服で数人勤務しているという噂を聞いたことがあるが真偽は定かではない。

 

「漫画はこっちだな」

 

 さっそく女性雑誌の立ち読みを始めた三浦の肩をぽんぽんと撫でると、三浦がちょっと名残惜しそうにした。うん、後でこっちにも寄ろう。漫画コーナーに向かう途中、三浦は料理系の雑誌もちらりと見ていた。本当に、この数ヶ月でこの子は変わったなと思う。俺もなにか始めようかな……ドローンとか……。

 

「男性向け、女性向け、中性的なところとあるけどどれがいい?」

「ん……とりあえず、女性向けと中性的なのを見たい」

「ほいよ、女性向けはあんまり知らないが……」

 

 言いながら、何度か通っている漫画コーナーの物色を始める。女性向けでも割と男子が読みやすいところであれば俺もチェックしているので、白泉社の花とゆめコミックスのコーナーを見てみることにする。面陳や平積みにしている作品で自分が読んだことのあるもの、あるいは評判がいいものの試し読み冊子を三浦に見せる。「うーん、全部は買えないし……」と悩んでいるところを見ると、全体的に好評のようだ。

 

 マーガレットやフラワーなどの女性向けど真ん中なコーナーも見ていく。雑誌によって明確に狙っている年齢層が分かれているが、あまり詳しいことは知らなくとも各作品の絵柄を見るとなんとなく想像がついたりもする。

 

 りぼん、ちゃお、なかよしなんかはその典型だし、大人の女性向けだと作品タイトルだけでも狙っている層がわかる。以前流行ってから未だに根強い人気があるのか、面陳されている『深夜のダメ恋図鑑』を見てもらうと「……こんな男、いるんだ……いや、いるか……」とぶつぶつつぶやいていた。あまり踏みこみたくない領域である。

 

「ええと、中性的なのは……」

 

 具体的な男女比率はわからないが、アニメの反応を見ていると男女ともに反応を示しているスクエニ系を覗く。読んだことのあるガンガン作品がマッグガーデンでふたたび連載されているのを見た時は「!!??」となったものだ。

 

 詳しい事情は知らないが、結構な作品がマッグガーデンに引越しして連載されている。マッグガーデンといえば『魔法使いの嫁』だ。俺もアニメでしか見たことがなかったので、三浦と一緒に試し読みをする。アニメはもちろんだが原作も面白く、ぴったりと肩を寄せ合って立ち読みしている状況に気づく頃には一通り読み終わっていた。

 

「どれか気に入ったものはあるか」

「んー……いっぱいあって迷ってる」

 

 思っていた以上の好反応を三浦が見せる。試し読みしている時の顔を見てもいまいち分からなかったが、まあ、漫画を読んでいる時にそこまで分かりやすく目を輝かせる人もいないだろう。しかし各務原なでしこ並に目を輝かせて読んでいる人がいたらその漫画をきっと読んでみたくなる気がする。

 

 俺もソロキャン行ってみようかな……と他の作品(色々な意味で)とかぶるようなことを考えていると、三浦が上の棚に手を伸ばした。この店の棚はかなり高いところまであり、そこかしこに小さな脚立が置いてある。女性向け漫画のコーナーに脚立が多めに配置されていた。三浦がなかなか目当ての作品を取れずにいたので、ひょいと取って渡す。なるべくさりげなく渡すように心がけた。

 

「ほいよ」

「……ごめん、その隣の本なんだけど……」

 

 恥ずかしっ。

 

 ドヤ顔にはさすがになっていなかったと思うが、痛恨のミスだった。三浦がめいっぱい伸ばした手がフラフラしていたのを失念していたぜ……。

 

「……今度こそ。ほいよ」

「ありがと……あ」

 

 三浦のお目当ての本を渡すと、細い指がぴとりと触れた。

 

『…………』

 

 三浦がなにも言わず、触れ合っていた面積を徐々に増やして俺の手をにぎにぎとしはじめる。急に顔が熱くなり、慌てて周りを見渡した。

 

「えーと、三浦さん?」

 

 ひそひそ声で呼びかけると、漫画本ごと俺の手をにぎにぎしていた三浦がチラリと上目遣いで見つめてきた。え、なにこの可愛い生き物?

 

 俺の呼びかけを華麗にスルーした三浦は、ひとしきり触ったり揉んだりを繰り返すと満足したのか、あっさりと俺の手を解放した。終始無言だった。ちょっと満足げにしている。

 

(解せぬ)

 

 そういえば今日はまだスキンシップをあまりとってないな……と思いながら、他になにか勧められる作品はあるかと探し始めた。

 

 1時間ほど滞在して、三浦は最終的に3作品の第1巻を買った。「ぜんぶハマったらどうしよう……」とつぶやいていて笑ってしまった。たしかに、どの作品も10巻以上出ていて、全てにハマって買おうとしたら万札が飛ぶ。高校生には厳しい領域だ。

 

 三浦の選んだ本のなかに、俺の手をにぎにぎしてきた時の作品がまじっていたが、なんだか恥ずかしくてそこには触れないでおいた。

 

 

 続く。

 

 

 

 




 のほほんとしてました。
 今期アニメはなにが話題に上るのか(主にTwitter上で)……楽しみです。


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 ここ限定でのオリジナル作品や、何気ないエロスで出たヒロインの続きの話等々を掲載する予定です!
 活動報告で詳しい説明を書いていますので、よろしければぜひ覗いてみてくださいませ(^^)!

 それでは、今回もお読みいただきありがとうございました(^^)!!
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