※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

610 / 700
☆☆オリジナル作品「コンビニで出会ったエロい女の子と爛れきった関係になりました。」の第1巻が電子書籍で発売されました!!

 もはや断言するレベルなんですが、何気ないエロスの世界観・温度感が好きな方なら絶対に気に入っていただけると思います! 

 コンビニでよく見かけていた女の子と仲良くなり、とろっとろに甘く爛れた生活を送る話です。悲喜こもごものストーリーは皆無。ひたすらイチャついてます。エロエロです。

 AmazonやBookwalkerで配信されています。よろしければぜひ(^^)!


(58)

 行為がひと段落すると、まずはシャワーを浴びることにした。「一緒に入るか」と冗談半分で言ってみたところ、三浦がまんざらでもない反応を見せた。なんだか変な空気になった。慌てて「やっぱ別々でいいよな、恥ずかしいし」と言うと、三浦がぽそりと「……別にいいんだけど……」とつぶやくのがはっきりと聞こえてしまった。恥ずかしくて死にそう。今度俺から勇気を出して誘ってみようと思った。

 

 それぞれがシャワーを浴びて部屋でのんびりしていると、もう夜になっていた。放課後に俺の家に三浦を連れてきてからけっこうな時間が経っている。あまりにも濃密な時間に、今日学校でどんな時間を過ごしたのか根こそぎ忘れてしまったような気がする。

 

 ちらりと三浦を振り向く。髪までは洗っていないが、それでもほこほこと上気している身体がなんだか妙に色っぽい。あとクッションを抱きしめているのが強烈に可愛い。

 

「三浦、帰り送っ」

 

 くぅ、と。

 

 できるだけ自然に……慣れた感じで……と心の中で唱えながら『帰り送ってくから』と提案をしようした瞬間、ものの見事に、漫画かアニメかと勘違いするほど見事に腹が鳴った。

 

 気まずさ全開の俺を見て、三浦が目をぱちくり、ぱちくり。

 

「……ぷっ、くくっ、ふっ……ご、ごめ……」

 

 顔の筋肉が不自然にヒクつき、お腹を抱えて背中を向けてしまった。クッションをぼすぼすと叩いている。どうしたんでしょうね!

 

「……えっと……小町はまだ帰ってきてないの?」

 

 謎の腹痛から回復した三浦が上目遣いで尋ねてくる。無意識にやっているとしたら天才だなー、押し倒しそうだなーなどと心の声を間延びさせて必死で理性を保っています。

 

「あー、まだ帰ってないな。さっき連絡が来てたんだが、もうちょいかかるみたいだ」

「そっか」

 

 さきほど三浦がシャワーを浴びている時に小町からメッセージが届いていた。内容は『もうだいじょうぶ?』という簡潔な言葉。ちょっとあけすけにもほどがあると思うんですけどねえ! ちなみに俺の回答は『まあだいじょうぶ』だった。極めて曖昧模糊な返答だったが、小町からは『はいよー』と軽いノリの返答が来た。『もうちょいしたら帰るねー』と続けてメッセージが来て、最後に顔の付いた人参が馬鹿でかい鍋で煮られて苦悶の表情を浮かべているスタンプが送られてきた。お前こんなのどこで見つけたんだ……。

 

「えっと……」

 

 ぺたりと女の子座りをした三浦が、視線をきょろきょろと巡らせて金の髪の毛先をくりくりといじる。髪を洗っていないがそれでもしぶきは飛んだのか、ちょっとだけ湿っているのが生々しい。

 

「どうした」

 

 先ほどから何か言いあぐねているような態度に首を傾げると、三浦の視線がまた泳ぐ。毛先をいじる。泳ぐ、いじる。泳ぐ、いじる……。

 

「……えっと……」

 

 振り出しに戻った。

 

 三浦からすると話すのによほど決断力がいることなのか、次第に顔が赤くなっていく。途中から俺を若干恨めしげに睨んできた。え、なんで?

 

 根気強く待っていると、盛大に落ち着かなかった視線と手の動きがぴたりと止まった。俺と正面から向かい合い、上目遣いで、しかし依然として恨めしげな視線を向けてくる。納得がいかぬ。

 

「……その、よかったら、……ご飯、作ろっか」

「え」

 

       ×  ×  ×

 

「それは大歓迎なんだが……いいのか?」

「だ、大歓迎って……」

 

 戸惑いつつも即答した俺の反応に今度は三浦が戸惑う。それでも、勇気を出して提案した内容を俺が受け入れたことに安心は覚えたらしい。表情が和らぎ、恨めしげな気配もなくなっていた。ていうかなんで恨めしげだったのか未だに分からぬ。

 

「ほ、本当に、いいの……?」

「いいもなにも、まあ、うん、小町とならたまに作ってくれてたろ」

「それは……そうだけど……」

 

 弁当を作ってくれる以外にも、何度かこの家で小町とご飯を作ってくれていた。両親がいない休日はお昼ご飯を作ってもらったりもしている。ちなみに俺も何度か手伝おうとしたが、「お兄ちゃんは優美子さんの花嫁修業を邪魔しちゃだめ」と追い払われた。耳まで真っ赤になる三浦を見ながらソファでくつろがざるを得なかった。その時は俺も顔がやたらと熱かったが。

 

 けれど、こんな風に三浦がためらうのも分かる気がする。今回は俺と三浦のふたりきりだ。小町がもうすぐ帰ってくるとはいえ、ふたりきりの夕食となると……しかも家で、三浦が作ってくれるとなると……なんかこう、ね!

 

「あー、その、三浦はいいのか? 親御さんがご飯を作って待ってたりとかは……」

「ああ、うちはだいじょうぶ。今日は帰りが遅いから、帰ったらひとりで作るつもりだったし」

「お、おう、そうか」

「うん……」

「…………」

「…………」

「…………」

「……その、冷蔵庫に食材って、ある?」

「え? あ、ああ、そうだな、何日か前に小町とがっつり買ってきたけど……見てみるか」

「う、うん」

「…………」

「…………」

 

 初対面?

 

 つい先ほどまでの行為どころか、今まで築き上げた時間さえ吹っ飛ばしたかのようなたどたどしい会話。ふたりきりでご飯を作ってもらうという時間がどれだけ気恥ずかしいかということが三浦自身もよく分かっているのだろう。だからこそ提案するまでにさんざん躊躇したし、今も顔が赤い。ものすごく赤い。

 

「うぐ……っ」

「見すぎだし……」

 

 りんごのようになった綺麗な顔をまじまじと見ていると、ほっぺを掌底でぐりぐりされた。三浦の長い髪から覗いた耳が真っ赤になっていた。

 

 とりあえずふたりでリビングに向かうことにする。家の中でふたりの足音がぎっ、ぎっ……と鳴ると、ふたりきりでの生活というものを妄想してしまってどうにも落ち着かない。

 

 冷蔵庫を開けてふたりで覗く。顔がやたらと近い。顔の前面に冷気が当たるのに、身体の奥がひどく熱かった。

 

 三浦が残っている食材を眺め、なにやら指折り数えている。「……ん」と小さくつぶやくと、俺の手にそっと触れた。思いきり動揺してしまい、冷蔵庫を閉めていいよという意思表示だと気付くまでに数秒かかった。

 

「ご飯はパックに入ってるのを使ってだいじょうぶ?」

「ああ、問題ない」

「ん、じゃあちゃちゃっと作ってみる」

 

 三浦が微笑み、キッチンの隅の棚を開ける。いつの間にか小町が用意していた三浦専用のエプロンだ。

 

「…………」

 

 制服のブラウスとスカートに、エプロン……。

 ふむ。

 

 調理実習でなら見ることはあるが、最後に見たのはいつだったかも思い出せない。三浦が放課後に小町と料理をしたことはあったが、その時はまだエプロンを着けていなかった。

 

 なにより――この家で、ふたりきりで、制服姿の三浦がエプロンを着ているという事実が胸に深く深く突き刺さる。

 

 …………。

 

「神話になるな……」

「? なんか言った?」

「いや、なんでもない」

 

 JS研の次の神話は制服エプロンに決まった。俺の中での話だが。

 

       ×  ×  ×

 

 なにか手伝えることはないかと聞いたが、普段小町と調理している時と同じように断られた。そのうち俺が勝手に料理するくらいのことをして信頼を築いておかないとまずい気がする。

 

「……むぅ……」

 

 リビングのソファに座ってくつろいでいるが、落ち着かないしまったくくつろげていない。

 

「ナーゴ」

 

 愛猫(あいびょう)のカマクラがのっしのっしとリビングに現れた。手際よく調理していた三浦が手を止め、控えめながらも嬉しそうにカマクラに近付く。調理中なので撫でたりはしないものの、カマクラが嬉しそうに三浦の足にすりすりと身を寄せ、三浦の表情がふにゃりと和らぐ。

 

「……見んなし……」

「なんで……」

 

 一部始終を眺めていると、顔を真っ赤にした三浦に怒られた。納得がいかぬ。

 

「ナーゴ」

「む」

 

 調理を再開した三浦の背中を眺めていると、愛猫カマクラ(なんか妖刀村正みたいな語呂だ)が俺のもとへやってきた。ふはは、俺は調理してないからな、撫でほうだいだぜぇ……と心の中でうっとうしいテンションで喋りながらも無表情でちょいちょいと手招きする。

 

「ナーゴ」

 

 俺の手招きを華麗にスルーしてこたつに潜り込んだ。

 納得がいかぬ(本日3度目)。

 

 ソシャゲをしてもまったく頭に入ってこないので、キッチンに冷やかしに行くことにした。俺が同じことをやられたら舌打ちするまであるが、本当に暇なのでしょうがない。大人になってからだと本気でドン引きされそうな行為なので、今のうちにやって痛い目を見ておくことにする。三浦には迷惑でしかないが。

 

「おお……美味そうだな……ていうか、美味くなりそうだな」

「まだこれからだし」

 

 制服エプロン姿の三浦の隣に立ってつぶやくと、三浦がくすりと笑った。調理しているのが楽しいのか、なんだか鼻歌でも歌いだしそうだ。一通り野菜と肉を切ってあとは鍋に投下するだけ……という段階だったが、これから熱を通されかき混ぜられ、調味料を入れられて、どれほど美味しい料理が出来上がるのだろう。普段調理途中の場面を覗くことがないだけに、不思議なワクワク感がある。

 

「…………」

 

 包丁をまな板に置いた三浦がちらりと俺を見やり、半歩にも満たないほど近付いた。

互いの二の腕が触れる。ちょん、と。控えめに。

 

右手をそろりと伸ばして三浦の肩を抱き寄せると、かすかな吐息が聞こえた。三浦が俺の肩にこてんと寄りかかる。小休憩だろうか、少し汗の混じった甘い匂いが鼻腔をくすぐる。

 

「……休憩するのか?」

「……ん」

 

 焼いたり煮たりといったことをしていないので、三浦が手を止めれば調理全体が止まる。俺の質問にしっとりとした声音で答えると、まるで猫が甘えるように俺の胸へすりすりと頬ずりをしてくる。表情筋が溶け落ちてしまいそうなほど可愛らしい。金の髪をくしくしと撫でると気持ち良さそうに目を細めた。

 

「……ねえ」

「ん」

 

 振り向いた瞳がしっとりと濡れている。俺の腕の中で身体の向きを変え、正面から抱きついてきた。恥ずかしそうに、けれど自分の欲求を果たすために大胆に、ほんのりと朱に染まった顔を上げ、切なげに見つめてくる。柳腰にそっと腕を回すとぴくりと震え、さらに甘えるように身体を寄せた。ふにゅりと柔らかな感触が胸板に当たって陶然とする。

 

「三浦……」

「ん……っ」

 

 三浦がうっとりと目を閉じる。俺も目を細めた。

 

 吸い寄せられるように唇を近付けると――

 

「ただいまー! お兄ちゃん、まだ優美子さんいるん……わーお」

『…………』

 

 地獄みたいなタイミングで妹が帰還した。ほんと地獄。

 

 リビングのドアを開けた小町がにやりとした笑みを浮かべた止まっている。「ナーゴ」と泣き声を上げたカマクラが妹の足元にとてとてと近寄り、三浦に甘えた時と同じようにすりすりと身を寄せた。小町は動かない。表情筋だけはニヤニヤとしている。頬がちょっと赤い。俺と三浦は小町を見たままピタリと固まっている。映画「フローズンタイム」でもこんなシーンがあったなと思う。AVでこういうジャンルがあるが見たことはない。あまりの出来事にどうでもいい思考が際限なく巡る。腕の中の三浦が発火しているのかと思うほどに熱い。熱いが、俺の体温も上がっているのか三浦と抱き合っているのがちょうど良いくらいだ。熱い……!!

 

「……小町」

「へひゃいっ!?」

 

 信じられないほど熱い身体から信じられないほど冷たい声がこぼれ出た。三浦はわなわなと震えている。小町はニヤついた顔から一転して、まるで軍の上官に命令されたかのようにピシッと気をつけをした。突然の素早い行動にカマクラが驚いて「ナー!」と鳴いて妹のもとを離れた。

 

 三浦が俺の胸を押してそっと離れる。自分から離れた割にちょっと寂しそうだ。

 

「……あんたは何も見てない。わかった?」

「……は、はいぃぃ……何も見て……見て……うーん……」

「あんたねぇ……」

「ひゃー!」

 

 小町にとって忘れたことにするには惜しい出来事だったらしい。軍の上官(あくまでイメージ)の命令であっても忘れることを躊躇していると、三浦が小町のもとへとどすどすと足音を立てながら向かう。めっちゃ恐い。殺気をまとう恋人の進軍に小町が可愛らしい悲鳴を上げて逃げ出すと、なぜかカマクラを捕まえて抱きしめた。なんでだ。

 

「う、動かないでください! この子がどうなってもいいんですか!」

 

 リビングの壁際に追い詰められた小町がカマクラを前に突き出す。まるで慌てる様子のない愛猫カマクラ(やっぱり妖刀村正みたいだ)が「ナーゴ」といつものように鳴いた。

 

「……その子は関係なくない?」

「うぐ……っ」

 

 三浦が口にした極めて当たり前の正論に妹がうめく。素晴らしい茶番だ。

 

 まるで意味のない抵抗に思えたが、小町の行動とカマクラのふてぶてしい可愛さに毒気を抜かれたのか、三浦がフッと力を抜く。どうやら落ちついたらしい。

 

「ゆ、優美子さん……ごめんなさい……悪ノリしちゃいました。怒ってます?」

 

 シュンと落ち込んだ様子の小町がお詫びとばかりにカマクラを差し出す。なぜカマクラをそこまで活用する……。

 

 三浦は差し出された愛猫カマクラ(やっぱり妖刀以下略)の首をころころと撫でると、穏やかな笑みを浮かべた。

 

「別にいいよ。あんたがもうじき帰ってくるって分かってたのに、……その、あーしとヒキオが調子に乗っただけだし……」

「おお!? 優美子さんも分かってたのにあんな大胆なことをってごめんなさいごめんなさいカマクラに免じて許してください!」

 

 小町がふたたび調子に乗るも、獄炎の女王がリビングを破壊せんばかりの圧を放ったことで妹が瞬時に涙目になった。「神よ静まりたまえー!」と言いながらシャーマンが棒かなにかを振るようにカマクラを掲げている。カマクラを活用しすぎじゃない?

 

 結局このあと、三浦が怒りを鎮めては小町に煽られてふたたび怒り、カマクラを盾にされてまた鎮まる……というひどい流れを数度繰り返した。終わった頃には三浦も小町も疲れきっていた。あとカマクラもげんなりしていた。

 

 三浦が料理していたと知り、小町ははじめ「じゃあふたりきりでの夕食を楽しんで」と言って部屋に帰ろうとした。しかしにこやかに微笑んで手を振ったタイミングでくぅ、と可愛らしくお腹が鳴った。三浦が珍しく涙が出るほど笑っていた。「兄妹でこんなとこまで似るんだ……」と言われて俺も小町も顔を真っ赤にした。

 

 お腹を空かせた小町をそのまま寝かすわけにもいかないので、結局いつも通り三浦と小町で料理を作り、俺は引き続きカマクラと戯れることになった。

 

 なんだかんだでこの時間はすごく落ちつく。三浦と小町のやりとりは遠目に眺めているだけでも和むのだ。

 

 しかしそれでも、いつかは三浦にご飯を作ってもらい、ふたりきりで夕飯を楽しんでみたいな……と、ひっくり返ったカマクラのお腹をワシャワシャと撫でながら思った。

 

 

 

 続く。

 

 

 

 




「りゅうおうのおしごと!」を5巻まで読んでおりまして、まーーーハマっています。5巻が熱すぎて一気に読んでしまいました。久しぶりに今回のような引用をした気がします。

 以前まではコミケサンプルをpixivに上げていたんですが、今回の夏コミの由比ヶ浜母娘編とサキサキ編(1冊にまとめます)に関してはこの作品内で上げてみようかなと思いました! 7月に入ったらやってみます(^^)

 それでは、今回もお読みいただきありがとうございました(^^)!!
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