もはや断言するレベルなんですが、何気ないエロスの世界観・温度感が好きな方なら絶対に気に入っていただけると思います!
コンビニでよく見かけていた女の子と仲良くなり、とろっとろに甘く爛れた生活を送る話です。悲喜こもごものストーリーは皆無。ひたすらイチャついてます。エロエロです。
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数週間後の土曜日。
クリスマスを前日に迎えた休日とあって、ふだん家にこもっている人がのきなみ街中へとはじき出されたのではと思うほど、駅前は人波でごった返していた。
三浦と会う予定の時刻は朝の10時。早めに落ち合って、一日たっぷりとかけて遊ぶ予定だ。慣れないことをして疲れきってしまいそうなものだが、今回のデートは夜に一番重要なイベントが待っている。テンションでどうとでもなる気がした。
ちょっとは早めに……と思っていると、待ち合わせ場所の駅前に9時半に着いてしまった。スマホを点けては消し、点けては消しを繰り返し、暇つぶしにいつもプレイしているソシャゲをやろうとしてまったく集中できずすぐに断念して……と、正直に言えば1mmも落ち着かない。
周りを見渡せば、同じようにデートの待ち合わせをしていると思われる男女の片割れがたくさんいる。みんなそわそわとしていて、その中でも俺自身は特にそわそわしてしまっている気がした。
キラキラした連中の中に混じる、シスコンの引きこもり。
わざわざ自分のダメなところを抽出して自虐していると――不意に、コートの袖をくいくいと引かれた。
「……お待たせ」
「……うぃっす」
振り返り、掠れた声で挨拶を返す。
――三浦は襟にファーの付いたPコートにミニスカート、それに黒のストッキングとブーツという格好をしていた。THE女子高生と言わんばかりの格好で、スタイルの良い三浦には尋常でないほどに似合っている。
思わず、見惚れた。
見惚れずにはいられなかった。
「……ヒキオ、見すぎだから……」
三浦が恥ずかしそうにぽしょぽしょとつぶやき、ファーで口元を隠してうつむく。周りの連中が「え、なにあの子、可愛くない?」「モデルの人?」などとベタな言葉をつぶやくほど美しい三浦が見せる初心なリアクション。ついさっきまでぐるぐると考え込んでいた自虐がいともあっさりと吹き飛んでしまった。
「……ええと、その、なんだ……すまん。あんまり似合ってたもんでな」
頭をがしがしと掻いて、伝えるべきことをきちんと伝える。三浦はファーで口元を隠したまま、なにやら目をギューっとつむり、それからおそるおそる上目遣いを向けてきた。
「……ありがと」
「……おう」
消え入るような声で囁かれた言葉が心臓を貫く。あやうく声が裏返るところだった。
「……それじゃ、行くか」
「あ、ちょっと待って……」
歩き出すと、三浦が俺の袖をくいくいと引っ張り、なにやらきょろきょろとする。会話を聞かれないようにするためか、駅前でもひと気のないところへと連れていかれた。突然の連行である。
「どうした」
三浦のいつにない行動に慌てる。三浦はほんのりと顔を赤らめたまましばらく黙りこんでいたかと思うと、眉をひそめてなぜかにらんできた。やけに可愛いにらみ方だ。
「耳、こっち」
電報かよ、と思うほどぶつぎりの言葉を囁き、俺にちょいちょいと手招きをする。言われた通り耳を寄せると、三浦は周りから俺たちの会話を遮るように手を口に添え、俺の耳元でぽしょぽしょと囁いた。
「……その、……ピ、ピル、飲んで準備してたから……ゴム、用意しなくていいから」
「………っ!?」
んん!?
まるで予想していなかった言葉の弾丸に撃ち抜かれる。俺がぴしりと固まるなか、三浦はサッと顔を離し、まるでケンカでもしているかのように顔を逸らしてしまった。金の髪から覗く耳が真っ赤になっている。こんな衝撃的な告白をして恥ずかしくないわけがないのだろう。三浦が今日という日に備えて積み重ねてきた準備を思い、身体が猛烈に熱くなる。
「……ええっと……今のは……マジなのか?」
「……うん、マジ」
顔を逸らしたまま俺の前で手をふらふらとさまよわせ、俺の手をそっと握る。スイカ割りを見ているようで可愛かった。
「ん……っ」
色っぽい吐息をついて、俺の胸板におでこをとんとくっつける。なんだこの可愛い生き物は……と思っていると。
「……ピルは飲んでるし……あと、危ない日でもないから……中で出していいから」
「んぐ……っ!?」
言葉の弾丸のさらなる追撃に撃ち抜かれ、変なむせ方をした。
「ちょ、ヒキオ、だいじょうぶ?」
「うぐっ、げほっ、すまん……っ」
いつもすまんねえ、それは言わない約束だよ……と字幕が付きそうなやりとりをする。三浦はなんでこんな爆弾発言をして平気そうなんだ……と思ったが、ちらりと見ると盛大に顔を逸らしていた。そりゃそうですよね。
「げほっ、けほっ……はぁ。……三浦。一応聞いとくけど……いま自分がどんだけすごいことを言ってるのか、分かってるよな?」
真剣に尋ねると、三浦は静かにうなずいた。
「……ん、分かってる。……ヒキオと、何も気にせずにしたいから」
「……そうか。ありがとな」
いじらしい気持ちと行動が心底嬉しい。頬がゆるゆるになるのをこらえながら頭をぽんぽんと撫でると、三浦は猫のように目を細め、おでこをくしくしとこすりつけてきた。
家にいたら即座に押し倒しそうなやりとりだが、いかんせん今は公衆の面前だ。いくらひと気が少ないとはいえ、朝からイチャついているようにしか見えない(というか実際イチャついている)バカップルのやりとりは通りかかる何人もの人に目撃されている。
「……行くか」
「……うん」
俺がつぶやくと、三浦が俺の手をキュッと握った。
今晩は、三浦とゴムを着けることなく生で繋がって、しかも中出しをする。
それを、午前10時の時点で三浦本人の口から約束される。
もちろん、心の底から嬉しい。嬉しいんだが……。
……これから一日健全なデートをしようとしている時に聞くには、少々刺激が強すぎる情報だった……。
× × ×
今日の行程はふたりであらかじめ決めていた。ふたりとも、ノープランでのびのびと楽しめるような柄ではないからだ。
三浦が集合場所である駅前に来たのは午前9時55分だった。狙いすましたかのように5分前に現れた。もしかしたら俺と同じくずいぶんと早めに来てしまい、どこかで時間を潰していた……のだとしたらとても嬉しい。勝手な想像でしかないのだが。
「けっこうあったかいね」
「だな」
空を仰ぐと気持ちのいい晴天で、ぽかぽかと暖かい。目的地まで歩いているだけで、コートを脱いでも良いかもしれないと思うほど身体が温かくなった。
「……着いたな」
「……うん」
駅からほど近いところにあるショッピングモールの中にある映画館にたどり着いた。
午前は映画鑑賞をする予定で、観る作品も決めていた。予定通りに駅から淡々と移動してチケットを買い、ごく普通の席に座る。
「…………」
「…………」
…………。
会話が少ない。
いつも以上に。
けれど、別に気まずいという訳ではない。
理由は単純明快で、三浦がついさきほど告白した内容が原因だ。
このあとのデートで楽しめるのかどうかはいまいち予想がつかないが、そのあとの――夜に待ち受けている時間はきっと、いや、確実に濃密なものになる。
最後までするということへの不安はあるが、三浦とはほぼ毎日のように『直前』の行為に及んでいた。三浦は行為に及ぶ際、日に日に強張りが抜け、どんどん身体の中が柔らかくなり、加速度的に淫らになっていった。
クラスメイトとしての女王様気質の三浦、ふたりきりでいる時の可愛らしい三浦、そして淫らな行為に及ぶ時の『女』としての三浦。それぞれの空気の変わり目がはっきりと分かるようになり、その兆候が読み取れた時はたまらないほどドキドキするようになっていた。
「んむ……?」
不意に頬をつままれて雑考から目を覚ます。スクリーンには他の映画の宣伝映像が流れていた。ちらりと横を観ると、スクリーンの光に照らされた三浦がどこか咎めるような、それでいてなんだか妙に可愛らしい表情を浮かべている。
「ヒキオ、なんか変なこと考えてるでしょ」
「うぐ……っ」
あなたのことを考えてました☆
と勢いで言いそうになり、慌ててやめた。
俺が言いよどんだことを肯定と捉えたのか、三浦が俺の耳をつまみ、耳元にそっと唇を寄せる。甘い香りがふわりと鼻腔をくすぐった。
「スケベ」
「…………っ」
どこかいたずらっぽい声で囁かれ、心臓が甘やかに跳ねる。
何も言い返せずに固まっていると、三浦が耳元でくすりと笑い、するりと離れてしまった。
一方的に弄ばれているなぁ……とは思うが、その感覚がなんとも心地良いとも思ってしまう俺がいる。決してMなわけではないとは思うが……いやしかしこれもMに入るのか……? などと考えているうちに、映画が始まった。
× × ×
今回観ることにしたのは、それなりに話題になっているほどよいラブロマンスだった。
デート当日に上映している作品を三浦と調べ、いくつか気になるものをピックアップして作品内容を調べた。ベッドでふたりとも裸になってうつ伏せになり、ひとつのスマホを覗き込んで調べるという光景は――これこそ映画のワンシーンでありそうだよな……などと思ったが、恥ずかしくて三浦には言えなかった。
この作品はストーリーとしてのしんどい波風はなく、ふたりの男女が結ばれていくさまを穏やかに、それでいて時々コミカルに映している。見ていると自然と頬が緩むような、そんな作品。作品の中の時期は夏だった。ヒロインが白のワンピースを着て、麦わら帽子にひらりと落ちた木の葉をつまんで微笑むさまが印象的だ。
「…………」
ふと、隣の三浦の手と俺の手がこつんと当たる。小指同士でこつ、こつ、こつ、とまるで親密度をたしかめる合図のように、何度も何度も当たる。やがてじゃれつくように小指を絡めあい、薬指、中指、人差指、親指と重なっていく。下になっていた俺の手をひっくり返し、手のひらを重ね合う。
ちらりと隣を見やると、三浦も俺のことを見ていた。スクリーンに映る夏の日差しに三浦の顔が照らされる。ほんのりと目を細めるさまはどこまでも穏やかで、つないでいる手からじわりと安心感が広がった。
しっかりと指を絡ませたまま、映画の中の時間と映画の外の時間がゆったりと流れていく。
作中のふたりが結ばれ、気だるげな朝を迎えた。裸になったふたりが布団の中でじゃれついている。どの映画を観るかを決めていた時の俺と三浦の姿と重なって顔が熱くなった。
作中のふたりがじゃれつき、ヒロインがいたずらするようにキスをしてすぐに唇を離す。主人公の男性がキスしようとすると顔を逸らし、なんだよ……と諦めたところでふたたびヒロインから唇を重ねてくる。焦れったくなった主人公がヒロインに覆いかぶさり、唇を重ねてねっとりと舌を絡め合う。ヒロインの控えめで形の整った美乳が露わになった。ぷっくりと膨らんだ乳頭を指でくりくりとつまむと、ヒロインが悩ましげに眉をひそませ、布団の中の裸体が妖しくくねる。
「…………」
思ったより過激なベッドシーンに動揺しつつも、なるべく顔に出さないようにしていると――つないでいた三浦の手が熱くなった。ちらりと隣を見やる。三浦は平然とした顔をしているが、スクリーンに照らされた耳が仄かに赤い。
微笑ましく思っていると、三浦の手がさほど熱いと思わなくなった。俺の手も熱くなっているのかもしれない。
ベッドシーンが終わる頃には、俺と三浦はじっとりとかいた手汗をたっぷりと混じりあわせていた。
× × ×
「……はぁ」
映画館から移動して昼食をとるために入ったカフェで、三浦が物憂げなため息をついた。無理はないよな、と思う。
映画はクオリティ自体は極めてすばらしいものだったが、カップルで見るには刺激が強すぎた。あけすけなことを言ってしまえば、夜にこの映画を観てすぐに家やホテルに行き、すぐに行為に及ぶ……という前提で見るのなら良いかもしれない。
男女が結ばれて濃厚な営みをするに至るまでの過程が、あまりにも生々しく、それでいてとても穏やかに映し出されていた。
「……すごかったな」
カフェにしては驚くようなボリュームのサンドイッチを食べながらつぶやく。お互い、映画を観終えてから今に至るまで、作品の感想を言い合うことをあえて避けていた。
俺がぽつりとつぶやいた言葉に、カフェオレを飲んでいた三浦がほんのりと顔を赤くする。
「……あんなの、聞いてないんだけど……」
あんなの、というのはもちろんベッドシーンのことだろう。俺たちは作品内容を調べこそしたが、ネタバレを避けるためにあまり突っ込んだリサーチはしなかった。ベッドシーンについて触れた内容紹介を見かけていなかったので、完全に油断していた。ベッドシーンがあること自体は不思議に思わなかったが、まさかベッドシーンがあそこまで濃厚で生々しいとは……。俺はいったい何回ベッドシーンと言ってるんだろう。
「……まあな、真っ昼間から変な気分になったのは否めない」
ぽつりとつぶやくと、三浦が恨めしげな視線で見つめてきて、それからうつむいてカフェオレのカップを両手でキュッと握った。
「……言わなくていいから……バカ」
可愛らしい声音でぽしょりと囁き、長い髪の毛先をくりくりといじる。本当に可愛くなったな、と思う。元々存在していた可愛いところに気付けるようになったのか、それとも新たな魅力として形作られたのかまでは分からない。いずれにせよ、三浦はその表情も、仕草も、言葉も、まとう雰囲気も、日に日に魅力的になっている。
若干気まずい感じもするので、そろそろ出るか……と思っていると。
「ヒキオも……」
「ん?」
三浦の唇からぽとりとこぼれた言葉に首を傾げる。三浦はほんのりと朱い唇をもぞもぞと動かし、探るように上目遣いを向けてきた。
「ヒキオも……あんなふうに、したいの?」
「…………っ」
思わぬ質問に言葉が詰まる。三浦が言っている『あんなふうに』というのは、先ほどのベッドシーンのことだろう。朝のイチャつきから徐々に発展して、最終的にふたりは向かい合って抱きしめながら繋がり、ヒロインが全身をビクビクと痙攣させたところでうつ伏せにさせ、休むことなく後ろから貫いていた。
布団で覆っているので細部こそ見えないものの、見ている人は誰もが同じ行為を思い描いていたに違いない。ふたりの荒い息遣いも、ヒロインの気だるげで甘い喘ぎ声も、ベッドが軋む音も、何もかもが生々しかった。
あんなに怠惰で、濃密で、愛情と劣情を重ね合わせるような行為をしたいのかと問われれば……。
「……まあ、そりゃあな、したいとは思うけど」
「変態」
「あれ!?」
自分から聞いておいて!?
三浦はぷいと顔を逸らし、ちらりと流し目を送ると――くすりといたずらっぽく笑った。
「……別にいいけどね」
「え」
「そろそろ出よ」
「あ、おい……」
別にいい、という言葉をどうとっていいものか分からないままに三浦が立ち上がり、さっさとレジに向かう。
猛烈に問いただしたい気持ちが込み上げるが、たぶん笑ってはぐらかされるよな……と思いながら、慌ててバッグの中の財布を探しながら立ち上がった。
続く。
あーしさんが所々で大胆に行動に出ていて、書きながら驚いています。のんびりデートをじっくりお楽しみください(^^)
一気に暑くなりましたね……体調に気を付けていきましょう!
それでは、一週間後にまたここで!
今回もお読みいただきありがとうございました(^^)!!