※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

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 あとがきにてC94の作品、C95の作品、ノクターンノベルズでのオリジナル官能小説の新連載についてぶわーーーっとお知らせします! ぜひ覗いてみてください(^^)!!



(62)

 イルミネーションとクリスマスツリーを眺めた帰り道は、ふたりともほとんど何もしゃべらなかった。

 

 しゃべることが見つからないという訳ではない。

 ただ、ふたりで眺めた景色の余韻に浸りたかった。三浦も同じ気持ちだったら良いなと思う。

 

 言葉を交わす代わりに手をつなぎ、指を絡めあい、視線を交わした。何度も、何度も。三浦が白い息を吐きながら見上げた空は曇っていたが、ときおり隙間から綺麗な月が覗いていた。

 

「ただいま」

「……ただ、いま……でいいの? お邪魔します?」

 

 俺の家に着くと、三浦が首をかしげた。可愛い。

 

「ただいまでいいだろ」

「……ん、わかった」

 

 三浦が薄く微笑んだ。

 

――夕食は三浦のリクエストで、俺の家で食べることになっていた。小町が気を利かせて友達の家に泊まり、さらに両親にも根回しをしてくれていた。両親が帰るのは深夜、もしくは泊まりになるそうだ。本当によくできた妹である。三浦に小町の動きを話したら死ぬほど恥ずかしがると思われるので言っていない。あくまで『小町も両親も家にいない』としか伝えていなかった。

 

 三浦は小町と会うたびににこやかにイジられていて、遠目に見ているととても面白いし可愛い。調子に乗って俺もイジろうとするとものすごく怖い目で睨まれるけど。あの眼力、寿命が縮むからほんとやめてほしい……。

 

 ひとまずリビングに荷物を置き、ふたりで料理をする。材料はふたりで話し合い、俺が買ったことにしているが……実際は三浦と話し合ったあと、小町と買いに行った。三浦に指定された食材やら調味料やらでちんぷんかんぷんなものがあり、なんでもできる妹に助力を乞うたわけだ。

 

 当然ながら呆れられたが、「ま、未来のお義姉ちゃんのためにがんばりますか」と恥ずかしいセリフとともに手伝ってくれた。「優美子さんに小町が手伝ったこと言っちゃだめだよ? ぜったい恥ずかしがるから」「奇遇だな、俺もそう思ってた」なんて会話を挟んでいたため、この件についても三浦には伝えていないの。比企谷兄妹は三浦の羞恥心をすっかり把握している。

 

 三浦がソファにバッグを置き、Pコートを脱いだ。目にも鮮やかな赤のニットは、三浦の整った身体のラインをくっきりと浮かび上がらせている。

 

――食事が終わったら、『そういうこと』をする。

 

 とっくにわかっているはずのこと。けれど、今日のデート中はずっと、なるべく意識の外に追いやっていたこと。三浦に対する思いはたしかだ。愛情だってある。けれど、それでも、性欲が煮えたぎってしまう。

 

 我慢に我慢を重ねていた思いが、三浦のニット姿を見ただけでいとも簡単に噴き出しそうになる。

 

 俺の視線に気付いた三浦が、顔を真っ赤にしてそらした。

 

「……ばか、見すぎだから……」

「……すまん」

 

 三浦が口をもにょもにょと可愛らしく動かし、右手で左のひじを押さえる。ただでさえ強調されていた胸がさらに強調される。ごくりと喉を鳴らすと、三浦がハッと顔を上げた。気付けば三浦の目の前にいる。三浦は泣きそうな顔をしていた。

 

「……サカりすぎだって」

「……ふまん(すまん)」

 

 三浦が優しく頬をつねる。じゃれつくような仕草に胸が高鳴る。細い肩を掴むと三浦の瞳が揺れた。俺を見上げ、目を閉じる。

 

「ん……っ」

 

 やわらかな唇の感触に浸る。ちろちろと舌を絡ませ、腰を抱く。同じ人間だとは信じられないほどに細く、繊細な腰つき。三浦も抱きしめ返してきた。身体をぴったりと密着させ、互いの体温を感じ合う。リビングの時計は少し前に壊れてまだ直していない。俺と三浦しかいない家は本当に無音で、家の前を車が通る音さえしない。三浦の甘やかな息遣いが、舌で唾液を弾く音が、三浦が艶めかしく身体をよじらせることで生じる衣擦れの音が、耳朶を静かに打つ。

 

「……ぷはっ。……硬くすんなし」

「いや、それはムリだろ……」

 

 唇を離すと、三浦がいたずらっぽくささやき、膨らんだ股間をさする。お返しとばかりに尻をミニスカート越しになでると、色っぽく身体を揺らした。

 

 興奮の熱が、ぞわぞわと糸のように伸びて背すじを駆け上がる。

 

 もう少しだけ、もう少しだけ……と心の中で言い聞かせながら、三浦のスカートをめくりあげようとすると――

 

「いてっ」

 

 おでこにてしっとチョップをされた。三浦が顔を赤らめながらも、まるで年上のお姉さんのような呆れた笑みを浮かべている。

 

「先にご飯でしょ? ……ったく、なんかヒキオ、どんどん遠慮がなくなってない?」

「うぐ……すまん」

「ま、べつにいいけどね。本音を隠しておさえてるよりは」

 

 さらりとつぶやき、にこっと笑う。優しく包み込むような笑みに撃ち抜かれ、ああ、俺は本当にこの子が好きなんだな……と思っていると。

 

「んむっ?」

「……ぷはっ。ほら、ご飯作るよ?」

 

 ほんの一瞬だけ、風が吹いたかのように唇を重ねられ、さらに股間をさらりとなでられた。押し倒したくなるような色っぽい挑発だが、こうもあっさりと切り替えられてはどうしようもない。

 

「……おう」

 

 手のひらで転がされてるなぁ……と思いつつ、俺もキッチンに向かう。

 転がされているとは思いつつも……その感覚がどうしようもないほど心地いいと思う俺がいた。

 

       ×  ×  ×

 

 ふたりで夕食を作るという行為は、思っていた以上に楽しかった。三浦は俺がいない時もしょっちゅう小町に料理を教わっていたらしく、初めて小町に料理を教えてもらった時とは比べ物にならないほどの腕前になっていた。『優美子さんはもはや免許皆伝だね』と小町が言っていたことを思い出す。三浦さん、っべー。そりゃあ、俺が首をかしげるようなものを買い出しリストに入れるわけだと納得する。

 

 三浦は優しくもきびきびと俺に指示をして、俺は数えきれないほど「あ、はい」という間の抜けた返事をした。三浦を手伝うというよりは、もはや教えてもらっていた。料理中の三浦は本当に楽しそうで、ときおり無意識に鼻唄を歌っては顔を真っ赤にしていた。可愛い。もしかしたら、家ではいつもこんな感じなのだろうか。可愛い。

 

 食卓にはカットしたローストチキン、ロールキャベツ、野菜たっぷりのサラダ(盛り付けもばっちり)、ポテトサラダ、その他「本当にふたりで食べきれるのか?」と思うような料理がずらりと並んだ。三浦が普段から健康を意識しているためか、サラダが妙にたくさんあった。途中から草食動物になった気さえした。

 

 どう座るか迷ったが、ふたり並んで食べることにした。三浦が美味しそうに食べる仕草に見惚れたり、俺の頬についたポテトサラダを三浦がひょいとつまんで無意識に食べ、お互い顔を真っ赤にしたりと、淡い時間が過ぎていく。三浦と過ごす時間が、どんどん『日常』になっている気がして、それがたまらなく嬉しかった。

 

 大量の料理をたいらげたあとは、冷蔵庫からケーキを出した。これは小町にも相談せず、俺が選んでみた。ブッシュ・ド・ノエルという可愛らしいケーキ。三浦にも好評でよかったが、「これ、ヒキオが選んだんだ……」とちょっと笑いをこらえていて腹が立った。俺がすねると、まるで赤ん坊をあやすかのようにあーんをされた。羞恥で怒りが吹き飛んだ。ふたりして顔を真っ赤にしていた。俺たちは少々自爆が多すぎる。

 

       ×  ×  ×

 

 片付けを済ませると、ソファで少し休むことにした。シンプルな食べ過ぎである。丸一日デートした疲れもあり、三浦がうとうととしなだれかかってきたのが強烈に可愛かった。今日だけで何回押し倒したくなったかわからない。

 

「あ、そうだ」

 

 しばらくぽけーっとしていると、三浦がバッグの中をごそごそとしはじめた。中から袋を取り出す。俺もハッとして、三浦に見えない位置に置いていた袋を取り出す。

 

「はい、プレゼント。……え、あーしにも?」

「そりゃそうだろ」

 

 プレゼントを渡しあい、ドキドキしながら袋を開ける。

 ふたり同時に中身を取り出し、思わず笑ってしまった。

 

 俺からのプレゼントも、三浦からのプレゼントも、どちらもマフラーだった。しかもどちらも落ちついた色合いのチェックのマフラー。まるであらかじめ打ち合わせしたか、あるいはいっしょに買いにいったかのようなペアルック。三浦は目をぱちくりとさせ、けらけらと笑った。みんなの前にいるときは決して見せないような無邪気な笑み。ずっと見ていたくなる。

 

「どうする、巻いてみる?」

「いや、室内で巻くのは変だろ……。暑いし」

「いいからいいから」

「むぐ……」

 

 三浦が無理やり俺の首にマフラーを巻く。コートも着ていないうえに、暖かい室内で巻くのは極めて違和感がある。しかしはしゃぐ三浦が可愛いので俺は無抵抗を貫いた。なにこの男前な心意気。完璧なる自画自賛である。

 

「ん、いいんじゃない?」

 

 さいですか。

 

 バリバリの部屋着にマフラーという妙ちきりんな格好だが、三浦は満足げだ。

 

「じゃあ今度は……」

「え、あーしはいいって」

「や、なんでだよ」

 

 自分だけ逃げようとした三浦をとっつかまえる。ふたりきりという状況を考慮しても、三浦はいつも以上にはしゃいでいる。どういうことだ、気絶するくらい可愛いぞ。これがクリスマスなのか……(錯乱)?

 

 観念した三浦にマフラーを巻く。

 

「あー……良い感じだな」

 

 コートを着ていないとはいえ、ごく普通に似合っていた。俺の素の言葉に、三浦がぷいとそっぽを向く。

 

「……そ」

 

 そっけない声音が可愛らしい。

 

 このあと、お互いのマフラーを袋に戻し、あらためて渡しあった。なんだか変な時間だったが、和んだのでよしとする。

 

       ×  ×  ×

 

「そろそろ、部屋に行くか」

「……っ」

 

 プレゼント交換でひとしきりはしゃいで落ちついた頃を見計らって声をかけると、三浦の肩がぴくりと震えた。腰に腕をまわすと、細喉がこくりと鳴る。

 

「……うん」

 

 震える唇からこぼれでた声は、おどろくほど頼りなかった。

 

 三浦は何度も俺の部屋に来ているのに、今日はまるで借りてきた猫のようになっている。今日は今までくり返してきた行為からさらに一歩踏み出す。俺よりも三浦が緊張しているのは当たり前だった。

 

 部屋に入り、電気を点ける。三浦がかなり緊張しているから、ワンクッション入れることにした。のんびり外でも眺めようかとカーテンを開けると――

 

「あ……」

 

 三浦の声が、不意に緊張から解き放たれた。窓にそっと手を置き、外を眺める。恋人の横顔に見惚れつつ、俺も外の景色を眺めた。

 

 雪。

 

 移動中は曇っていただけだったが、いつの間にか雪が降っていた。風に吹かれることなく、静かに、はらはらと降りてくる。ひと粒ひと粒がまるで道行く人に「見て、見て」と無邪気に呼びかけているように思える。たくさんの雪を眺めたり、ひと粒が天から家の屋根まで落ちるさまを眺めたり。

 

「きれい……」

 

 三浦がうっとりとささやく。いつの間にか互いの肩が触れ合っていた。そっと肩を抱くと、三浦が見つめてくる。瞳に緊張の色はなく、愛情に満ちているように思えた。

 

「ん……っ」

 

 唇を重ねる。顔を横に向けてキスをしていたところから、徐々に向き合い、互いの背中や腰に腕をまわして抱きしめあう。雪が音を吸っているのか、家の外はさらに静かになっていた。互いの鼓動さえ伝わりそうなほどの静寂。三浦の長いまつげが揺れ、金の髪が流れ、すがるように俺の背中をさすり、唇と舌を愛情たっぷりに絡める動きひとつひとつに神経を集中させる。三浦のことをもっと知りたくて、貪るように身体を密着させる。

 

「んふぅぅ……んっ、ちゅっ、れるっ、ふぁっ、んっ、んふぅぅ……っ」

 

 三浦がとっ、ととっと後ろにさがり、身体の向きを変える。無意識なのか、窓に背を向ける形になった。口づけに夢中になった三浦はそのことに気付いていないのか。ゆっくりと首を後ろに傾ける。窓に触れないように三浦の頭にそっと手を回すと、しんと冷えた窓の感触が手の甲を突き抜けた。

 

「ちゅっ、ちゅぴっ、れるっ、はぁぁ……ヒキ、オ……んっ、れるっ、んふぅぅ……っ」

 

 三浦が夢中になって舌を絡め、艶めかしく身体を揺する。金の髪の毛先が窓に触れ、俺の手の甲も窓をすべる。三浦を抱きしめたまま後ろに下がって窓から離れると、ミニスカート越しに尻を揉んだ。

 

「んふぅ……っ? あっ、やっ、んんっ、んっく……っ」

 

 三浦が色っぽい声を漏らし、頬を朱に染めて人差指を咥え、喘ぎ声をおさえる。いじらしい仕草にぞくぞくしていると、下腹部にぞくりとした感触が突き抜けた。三浦が手のひらを上向きにして、膨らんだ股間をそっとなでている。三浦は人差指を咥えたまま柳腰をくねらせ、熱っぽい上目遣いを向け、がちがちに張り詰めた肉幹をなでてくる。裏すじを爪でかりかりとこすられ腰が揺れると、三浦がうっとりと目を細めた。あまりの興奮でどうにかなってしまいそうだ。

 

「……三浦。……そろそろ、するか」

 

 俺の言葉に、三浦の手が止まる。両手でそっと俺の腰を抱き、ぴったりと寄せてくる。膨らんだ下腹部の感触を味わうように身体を揺らすさまが恐ろしいほどに色っぽい。

 

「……うん」

 

 愛情と、劣情と、興奮と、不安と、緊張と、期待。

 

 さまざまな感情がまじりあった三浦の返事が、床にぽとりと落ちた。

 

 

 

 続く。

 

 

 

 

 




 濡れ場描写で毎回書くたびに「これはきたぞ!」と思う表現を書けているわけではないのですが、今回は冷たい窓に手の甲が触れるところでちょっと自分の感覚が広がった気がしまして、『三浦は人差指を咥えたまま柳腰をくねらせ、熱っぽい上目遣いを向け、がちがちに張り詰めた肉幹をなでてくる。』という文で久しぶりに「これはきたぞ!」と思いました。あーしさん、エっロ……と思いました。



<たくさんお知らせします!!>

①コミケ本について
(1)夏コミC94で出した由比ヶ浜母娘&サキサキ編を収録した『由比ヶ浜家で搾りとられ、川崎家で癒される夏休み。』をDLsiteにて販売中です(^^)! サークル名は媚熱書房、作家名は高橋徹のままです!

 とらのあなでも販売したんですが、「まあ1週間くらいかけてゆっくり売れたらいいなー」と思っていたところ1日と経たないうちに売り切れてしまいました……! ぶっちゃけると採算が合わないので数十部だけ刷り直して……ということが出来ないのです……手に入れそびれてしまった方はすみません!

(2)以前書いたかもしれないのですが、コミケ用に書いた由比ヶ浜母娘編がとても長くなりまして。文庫本で140ページ分書いたものを100ページ程度にまで削りました。
 ガハマさんとサシでイチャついたり(もちろんエロもあり)、海の家でエロいことをしたりといった部分をカットしまして。
 せっかくなのでどこかでお披露目したいなーと思い、Fantiaの『媚熱書房』にて支援プラン限定で公開しました! 推敲をする前の原稿なので荒い部分もあるかと思いますが、ぜひ楽しんでいただけると嬉しいです(^^)!

(3)冬コミC95では小町本を出します! 今度は小町ひとりに絞ってお送りします。今回の売れ方を見て印刷数をごりっと増やす予定ですので、内容も含めてどうぞご期待ください(^^)!

②オリジナル官能小説の新連載について
 ノクターンノベルズ(小説家になろうの男性向けR-18版です)にて、『六畳一間のS⇄М母娘(エスエムおやこ)』という作品の連載を始めました!!
 フランス書院文庫官能大賞に応募していまして、現在二次選考の結果待ちをしているところです。
ごりごりの甘エロ作品です。よろしければぜひご覧ください(^^)!!

 

 それでは、今回もお読みいただきありがとうございました(^^)!!
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