※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

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 明けましておめでとうございます!
 今年もよろしくお願いします(^^)!

 更新ペースについてのお知らせがありますので、ぜひ後書きを読んでいただきたいです!


(78)

 張り詰めた空気の中で迎えたセンター試験は、途中途中で手こずりながら、文系科目と理数科目の出来の差に愕然としながらもなんとか乗り越えた。試験後に優美子と合流すると、優美子もまずまずといった手応えだったようだ。

 

 自己採点の結果は手応えとほとんど一致していた。どうにも分からず当てずっぽうで選んだ選択肢が当たるなどの運も相まって、英語と現代文はかなり良い点数をとることができた。優美子も思いのほか良い点数を取れたようで、「信じらんない……」とつぶやくさまがなんだか無性に可愛らしかった。

 

 三者面談を行ない、同じ大学を目指すことが決まった。センター試験中心だった勉強を一気に二次試験対策に切り替え、赤本を中心として日々勉強を積み重ねる。

 

 寒い日が続くが、徐々に日が長くなり、陽射しが少しずつ柔らかくなっていく。

 

 2月の下旬、俺と優美子は二次試験会場にやってきた。

 

       ×  ×  ×

 

 訪れた大学は、冬のせいか妙に寒々として寂しく見えた。キャンパス内を行き来する人が受験生なのか大学生なのかは、顔つきを見ればなんとなくわかる。俺たちと同じ受験生は、志望大学を訪れているというわずかな浮かれと、それ以上の緊張を顔に貼り付かせていた。

 

「けっこう広いね」

「だな」

 

 並んで歩く優美子とは、腕が触れ合いそうで触れ合わないくらいの近さ。優美子は葉のない木々を眺め、そっと優しく息をつく。ほんのりと朱い顔の前で、白い息がふわりと舞った。

 

「ヒキオ、自信ある?」

「わからん。やってみないと何とも言えん」

「ん」

 

 素っ気ない会話。けれど、俺と優美子の会話はいつもこんな温度感だ。これで良いというよりは、これが良い。優美子が柔らかい表情を浮かべ、俺の手の甲をてしてしと叩く。周りをちらりと見回すと、ちょうど人通りがなかった。

 

 手袋を外し、そっと手を繋ぐ。優美子がほうっと目を細めた。温泉にでも入ったような表情。

 

「優美子の会場、この辺りだったか?」

「ん、そうかも」

 

 俺と優美子は志望大学こそ同じだが、目指す学部は違った。優美子は俺と同じ大学に行きたいとは言ってくれたが、その中でもきちんと自分の学びたい場所を選んでいた。

優美子がスマホに表示された受験案内をじっと見つめる。

 

「あ、ここだ」

 

 比較的新しい棟の前で立ち止まる。入口の前には学部名と試験会場である旨が書かれた看板がどんと置かれていた。

 

「ん、そうか」

 

 つないでいた手を離そうとすると、細指がきゅっと絡みついてきた。「お?」と間抜けな声を漏らしてしまう。

 

「どうした」

 

 優美子はうつむいていた。震えているのは、寒さによるものなのか、あるいは別の理由からか。どうしたものかと辺りを見回す。いつ誰が通ってもおかしくない場所だ。

 

「あーし……大丈夫かな」

 

 かすかに上げた顔には、不安がありありと浮かんでいた。

 

「大丈夫だ、大丈夫」

 

 空いた手で優美子の髪をくしくしと撫でると、気持ち良さそうに目を細めた。

 

「……ありがと」

「ん。頑張れ。俺も頑張る」

「ん。がんばろ」

 

 優美子が両手で俺の手をにぎにぎとして、柔らかな笑みを浮かべる。パッと離したかと思うと、まるで何事もなかったかのように駆け出し、入り口の前でくるりと振り返って元気に、けれど控えめに小さく手を振った。ちょっと照れながら手を振り返すと、試験会場に優美子の姿がするりと消えた。

 

「……行くか」

 

 ここまで来たら、頑張るしかない。

 

 ちいさくひとつ息をついて、歩いて数分もかからないであろう自分の試験会場へ向かった。

 

       ×  ×  ×

 

 俺が試験を受ける場所は、優美子が入った棟よりもかなり古びていた。向こうはここ数年以内に改修工事をしたといった風だが、こちらは15年くらいは経っているのではなかろうか。

 

 教室に着くと、一番乗りのようだった。高校と同じような並びの席についてしばらくすると、次々と受験生がやってきて空席を埋めていく。

 

 席がほとんど埋まり、参考書をめくる音、カリカリと何かを書く音が静かに響く。イヤホンを着けて音楽を聴いている人もいる。俺は何度も復習した参考書のページを軽く読み返して時間をつぶした。

 

 教室の前方のドアががらりと開く。メガネをかけた、落ち着いた柔和な雰囲気のスーツ姿の男性が現われた。

 

「皆さん、お疲れ様です。それでは、試験の説明に移ります」

 

 あいさつもそこそこに、早速説明が始まる。机の上の荷物を整理する音で、教室内が少しだけ騒がしくなる。筆記用具や受験票などの最低限のものを残した机に、問題用紙と解答用紙が配られていく。

 

「……説明は以上です。時間もちょうど良いようですね」

 

 試験官が腕時計を見てにこりと微笑む。受験生の緊張を少しでも和らげてくれようとしているのだろう。その心遣いがありがたかった。

 

「それでは――はじめ」

 

 試験官の合図と共に、一斉に問題用紙をめくる音が響く。俺はいちど大きく深呼吸をしてから、ゆっくりと紙をめくった。

 

       ×  ×  ×

 

 えっと、この単語の意味ってなんだっけ……?

 

 英語の長文問題を解いていると、思い出せそうで思い出せない単語に出くわした。文脈から考えられるならそうしたいけど、問題の都合上この単語の意味を思い出せないと解くに解けない。髪をくしゃくしゃとすると、長い金髪がひらひらと頼りなげに揺れた。

 

 ちらりと時計を見ると、制限時間の半分ほどが過ぎていた。完璧とは行かないまでも、ペースとしては悪くない。焦るな、落ちつけ。

 

 顔をしかめ、うんうんと考えていると、ふと――ヒキオと勉強していた日々を思い出した。隣に座る気だるげな彼氏の顔を思い出すと、ふっと頬がゆるむ。

 

「……あ」

 

 リラックスした途端、思い出せずに悩んでいた単語の意味を思い出した。ヒキオの家で英語を勉強してたときに覚えたんだっけ、そういえば。まるで朝の濃い霧が晴れるかのように、ぼんやりとしていた長文の意味が掴めていく。

 

 よし、行ける。まだまだ行ける。

 

 安心したけれど、まだまだ問題は残っている。張り詰めすぎるな、油断するな。何度も自分に言い聞かせる。

 

 あーしと同じく頑張っているであろうヒキオのことを考えながら、次の問題にとりかかった。

 

 

 

 続く。

 

 

 




 繋ぎの部分で、なおかつ展開の都合でかなり短くなりました。毎日更新していたとき以来の短さかも……?


<重要なお知らせ>
 1年と8ヶ月ほど週1更新を続けてきたんですが(めぐりんアフターを書いていた頃からでした)、しばらくのあいだは

☆☆☆第1・第3日曜日更新☆☆☆

 にしようと思います! 月2ペースですね。
 書籍デビューしようがなんだろうが頑なに週1ペースを貫いてきたんですが、ありがたいことにお仕事が増えてきてやることがぐっっっと増えまして。
 現在は今のところ、何気ないエロスを含めてWEB投稿をする際は
 25分×3セットで執筆(5000~6000字程度)→後日25分ほどで推敲&投稿
 という流れでやっているのですが、特に今月が忙しく、何気ないエロスに割く時間を削らざるを得なくなってしまいました。

 忙しさがどうなるかいまいち掴めていないので、もしかしたら「あ、やっぱ週1で行ける」となるかもしれないですし、「月2がほんっとギリギリ……」となるかもしれません。

 人によっては数年単位で読んでいただいているかと思います。本当にありがたいです。あーしさん編に続いて平塚先生編(リライト)やルミルミ編(アフター)も書きたいと言っていた矢先にこのお知らせはかなり心苦しいんですが、これからも読んでいただけるとありがたいです……! よろしくお願いします!


<コミケ本のお知らせ>
 URL等は活動報告に貼りますが、冬コミC95で頒布した小町本をとらのあな&DLsiteで販売中です! 夏コミC94の由比ヶ浜母娘&サキサキ本も現在半額になっておりますので、この機会によろしければぜひ(^^)!

 次回は1月19日(日)の更新です! 長いな……。
 あーしさん編ですが、最後にエロ楽しいくだりが入れられそうです。どうぞご期待ください(^^)!
 それでは、今回もお読みいただきありがとうございました(^^)!!
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