とある夏の日のこと。
自宅のソファで寝転がってだらだら本を読んでいると、クッションに座って俺の腹を撫でながら動画を眺めていた静さんが急に立ち上がった。
「よし、海に行くぞ比企谷」
「え、いやですけど……」
カウンタータイプのボクサー並みの手際の良さで斬って捨ててしまった。静さんは俺がこんな食い気味で返事をすると思っていなかったらしく、テンション高めに拳を握り締めたままで「ん?」と首をかしげた。可愛いなおい。斬られたことに気付かない浪人みたいにも見えるけど。
「比企谷。今なんと言った?」
「いやですけど、って言いましたね」
「…………」
「ちょ、露骨に落ち込むのやめてくださいって……」
流れるようにクッションに座り直し、ひざを抱えてしまった。へこみ方に時代を感じますよなどと言えば確実に事故るので下手なことは言えない。
「はぁ……そうかぁ……いっしょに行ってくれないのかぁ……」
「や、だって暑いわ人が多いわでぜったいめんどいじゃないですか。家にいた方がいいですよ」
「その意見には賛同しかしない。しないが、失った青春の1ページを取り戻したい」
「すげぇ真摯な顔だ……」
キリッ(半角カタカナ)みたいな顔をしてらっしゃる。
「本当にだめか……? 失った青春の1ページ……2ページ……3ページ……足りない……足りない……」
「怖い怖い怖い」
番町皿屋敷みたいになってるんですけども。
静さんが半袖のTシャツの袖をちまっとつまんでくる。絡み方は非常にめんどくさいが、それも含めてどうしようもないほど可愛く思えてしまう。あばたもえくぼとはこのことか。ちなみに漢字で書くと痘痕も靨な。なんか怖い。
「……わかりましたよ。いつ行きます?」
「おお! 乗ってくれるのか!」
静さんがぐっと身を乗り出してくる。目がキラキラしすぎてまぶしいええい離れろ可愛い鬱陶しい可愛い。大きなしっぽがふりふり揺れているさままで幻視してしまう。
「ちょ、そんな……」
近いですって、と言おうとした矢先、カットソーから覗く深い谷間に目が行ってしまう。ほぼ毎日触れて、もっと言えば数十分前も触っていた場所。
「ん……? ……ふふ、君は本当にわかりやすくていいな」
「いや、そんなこと……っ!?」
ハーフパンツの膨らみに手を添えられる。
「話し合う前に一度抜いておくか」
この人、エロいことをほんとサラッと言うんだよなぁ……。
けれど、それもまた良いと思ってしまう辺り、俺もだいぶ染まっているらしい。
× × ×
数日後、静さんの車で海に行くことになった。静さんはTシャツにショートパンツというシンプルな姿だが、付き合うようになってから明らかに色気が増していてなんというか目に毒だし眼福だ。一瞬で矛盾する言葉を並べるくらいには混乱している。
海に行ったらすぐに遊びたい、という静さんの言により、ふたりとも家を出る段階で水着を着ていた。小学生のプール遊びガチ勢のごとく。
静さんの水着はまだ見ていないが、静さんが伸びをしたときなどにうっすらとそのシルエットが浮かび上がってしまう。静さんは俺の昂りを見透かすように、信号待ちのたびに股間を握ってきた。爽やか極まる場所へ向かっているのにムラムラするとはこれいかに。
向かった先は最寄りの海水浴場だった。今日はひときわ気温が高いこともあってか、ビーチにはかなりの人がいる。
「比企谷、どうだね?」
「どうって……ビーチにいるだけでライフが削られそうですけど」
「君は相変わらずだな」
べしべしと背中を叩かれ、なぜか人差し指で背骨をなぞられた。「ひゃんっ」と子犬みたいな声が出てしまい、静さんが顔をそむけてぷるぷるする。このひと最近俺で遊んでません?
「よっこいせ……っと」
車に積んでおいたビーチテントをえっさほいさと運ぶ。舗装された道路を歩く分にはさほど問題ないが、それなりに重いものを持って砂浜を歩くのは何かの苦役かと思ってしまった。
ビーチテントをふたりがかりで設営して、ひと息。
「このテントなら周りからも見えないからな。着替えるとしよう」
静さんが楽しげにテントに潜り込む。ビーチテントは周りから視界を完全に遮断できるフルクローズタイプだった。強烈な陽射しのほとんどを防いでいて、中は薄暗い。海に行くと決めた日に静さんチョイスで注文し、つい昨日届いたものだ。ありがとう密林さん。
着替えるロッカーはかなり混んでいると予想していた通り、明らかに行列ができていた。こりゃ楽でいいや……と思いながら、静さんに背を向けて服を脱ぐ。
海パン姿になったところでとんとんと肩を叩かれる。
振り向いた瞬間に唇を奪われた。
「んむ……っ?」
暗い中で細指が蠢き、俺の耳、首筋、鎖骨、胸、腹、股間とねちっこい手つきで撫でてくる。手のひら全体でじっくりと愛でるように膨らみをさすられ、海パンの中でびゅるりと我慢汁が噴き出た。
「……ぷはっ。驚いていないんだな? 少し意外だ」
静さんが俺の鼻先をあぐあぐと甘噛みし、唇をあむっとついばむ。理性を一瞬で蒸発させるほどの甘ったるくていやらしい仕草。
「……や、どうせそのうち仕掛けてくると思ってたんで。テントだってわざわざ周りから見えないタイプにしてる時点でなんとなーく察してましたよ」
更衣室が混んでいるのは事実だが、行列の進む速度を見ればさほど待ち時間は長くない。というかそもそも、着替えようと思えば車でもできる。
それなのにわざわざビーチテントを注文したことと、最近の静さんのエロさを合わせて考えればなんとなく予想がつく。
「ふむ。つまり君は私が襲ってくるとわかったうえでビーチテントに入ったわけだな」
「あー……まあ、うーん……どうですか……ね……っ」
滑らかな指が海パンのチャックを開けて中に入り込んだ。勃起肉を引きずりだして指を巻きつけ、にぎにぎと楽しそうに握ってくる。
テントの薄膜一枚の向こうでは、たくさんの海水浴客が楽しそうに遊んでいる。そんな状況で行為に及ぶなど、ほんの少し前までは想像さえしなかった。
静さんといる時間はまだ短いが、それでも許容範囲が広がる……というよりは捻じ曲がるくらいには影響しているらしい。
さて、どう反撃してやろうか……と思っていると、静さんが唇を離し、Tシャツとショートパンツを素早く脱いだ。
「どうだ?」
シンプルな三角ビキニ姿。肢体の純粋な美しさが問われる姿だが、視線が縫い付けられるほどに似合っている。薄暗い半個室のような状況で見ると妙に背徳的にも思える。
「……めちゃくちゃ似合ってます」
「ふふ、それなら良かった」
それじゃあ……とつぶやいた静さんが、日焼け止めクリームを手渡してくる。
「塗ればいいんですか?」
「いや、私も塗ろう。若いからと油断してはいけないぞ?」
静さんがいたずらっぽく笑い、俺の腰に両脚を巻きつけてくる。カウパー液の溢れる亀頭がビキニに食い込み、ねっとりとした糸を引く。周りの喧騒が遠ざかり、鼓動が聞こえそうなほど高鳴る。
促され、両手で水を掬うような形にする。静さんが見せつけるように日焼け止めクリームをたっぷりと垂らした。
「塗るコツとかありますか?」
「難しく考えなくていい。私の肌に思うまま塗りたくってくれ。そうすれば自然といきわたるだろうさ」
「俺が全身まさぐるのを前提にしてるんですかね……」
「いつもそうだろう?」
静さんも自分の手にクリームを塗り込み、俺の背中に腕を回す。細指が楽しそうにまさぐってきたので、俺もそれにならってなめらかな背中にクリームを塗りたくる。
「ふっ、んん……っ、ふふ、相変わらずいやらしい手つきで何よりだ」
「クリームを塗ってるだけなんですけどね……。……ってか、ちょ……っ」
静さんが挑発的に下腹部をこすりつけてくる。外気に晒された肉茎がぎちぎちと張り詰め、これ以上はまずいと腰を引く前に唇を重ねられた。
「ん……ちゅっ、ぢゅるっ、んっ、ふっ、んむふぅぅ……っ」
顔がゆっくりと傾き、鼻先がこすれあい、柔らかな唇が密着する。静さんの指が胸板を撫でまわし、乳首を丹念に、執拗なまでにこねくり回してくる。俺もお返しに胸の露出した部分を撫でさすり、下腹部を包むビキニの中に手をすべり込ませて肉尻を揉んだ。
「んふぅぅ……っ? へぁっ、あっ、はぁっ、ひきが、やぁ……んっ、んっ、ん……っ」
尻肉をまさぐられ、静さんがますます蠱惑的に腰をくねらせる。肉茎は早く楽になりたいと訴えるように張り詰めている。
静さんがビキニをそろりとずらした。亀頭に生温かくて柔らかな粘膜が当たる。
「ちょ、静さん……っ、それはさすがに……っ!?」
最後まで言い切る前に、静さんが肉槍の根本をつまみ、自ら腰を押し出した。勃起肉が温かな膣肉の中に一瞬で埋まる。
「はぁうぅぅ……っ」
俺の腰に両脚を巻きつけたまま、静さんが白い喉を晒して薄く喘ぐ。いつもは遠慮なく上げる動物じみた声を懸命に殺しているのが色っぽい。静さんの中はぬるぬるを通り越してどろどろだった。そのくせ締めつけはキツく、甘えるようにきゅっきゅっと吸いついてくる。
「静、さん……っ、まずいですって……っ」
背すじを弓なりに反らせた静さんの腰を持って囁く。自然と肉槍が深くまで入り込んでしまい、静さんはますます気持ち良さそうに身をよじらせる。
「だ、大丈夫、だ……っ。声を殺しておけば、誰も気付きはしないよ……っ」
顔を傾けて微笑む静さんの顔が、ぞっとするほどの色気を孕んでいた。後ろ手をついたままでぐりぐりと腰を回し、えげつないくらいに下腹部をこすりつけてくる。行為をやめる気はさらさらないようだ。
「おっ、ぁっ、ぐっ、うぅ……っ」
あぐらをかいた状態での気だるげな抽送。家でなら誇張抜きに一時間でも繋がっていられる体位だが、状況が状況だけにあまり長い時間はかけられない。くびれた腰を掴み、扇情的な腰遣いに合わせて肉槍を突き入れる。
「あっ、ぅあっ、はっ、はぁぁぁ……っ」
静さんの恍惚とした声。薄暗いテントの中に甘酸っぱい匂いと生々しい湿り気が満ちていく。
「比企谷ぁ……気持ち、いいかぁ……っ?」
「ぐ……ぅ……めちゃくちゃ、いいですよ……っ。静さんは……っ?」
「私かぁ……? 私は……」
静さんが腰を上下に激しく振り始めた。肉槍の裏スジがごりごりとこすられるが、柔らかくたっぷりと潤んでいるため痛みはない。
「すごく、気持ちいいぞぉ……っ?」
「ぉ、あ……ちょ、これ、やば……っ」
にゅぐにゅごにゅる。肉槍を根本までねじ込んだ状態で向きが次々と変えられ、射精欲求が下腹部の奥から引きずりだされる。
「はぁぁ……比企谷、大きくなってきたぞ……? 声を出さないようにな……?」
「ぐ、うぅ……それはこっちの台詞……お、ぁ……っ」
静さんが俺の腋に手を差し込み、親指で乳首をこすってきた。ちろりと舌なめずりする仕草に背すじがぞくぞくする。
「こ……の……っ」
ここまでやられっぱなしで黙っていられるわけがない。歯を食いしばり、腰を掴む手に力を込め、一突き一突きに力を込めて膣奥をねちっこくこする。
「はぁうぅぅ……っ、あっ、はぁっ、こっ、こらっ、そんなに激しくしたらぁ……っ」
にゅちにゅちと鳴る結合音に焦ったのか、静さんが慌てて起き上がって抱きついてきた。ぴったりと密着した状態でこれなら安心と微笑む静さんの肉尻を掴み、膣奥をさらに執拗に小突く。
「あっ、ぐっ、ふっ、こっ、こらっ、なんでっ、そんなねちっこく……うぅぅぅぅ」
静さんの肌からぶわっと汗が浮き出る。背中をすがるようにさすり、唇を重ねてきた。口内にはこぼれないのが不思議なくらいに唾液が溢れていた。舌を絡ませながら熱い唾液を啜り、背すじを反り返らせて唾液を流し込む。
「んむ……ぐっ、んむふぅぅ……っ」
静さんの手にぎりぎりと力がこもる。肉尻が扇情的に円を描き、肉槍の向きがぐりぐりと変えられる。射精衝動が込み上げ、膣奥をどすどすどす、とひときわ力強く突いた。
狭い尿道を我先にと駆けあがった白濁が勢いよく噴き出す。
「んふぅぅぅぅ……っ」
静さんが目を見開き、細め、全身を小刻みに痙攣させる。肉槍の根本から先端までみっちりと締めつけられ、目まいがしそうなほどの快感の中で幾度も脈動する。頭をがっちりと掴まれた。髪の毛に指を挿し入れ、ずりずりとすがるように撫でられて背中が粟立った。
ふたりの絶頂の波が引くと、とたんに海の喧騒が戻ってくる。ここが海水浴場であることをようやく思い出した。静さんとの行為は夢中になりすぎて、ついつい今いる場所や時間を忘れてしまう。
「ん……たくさん出たな」
猫が甘えるように鼻先をこすりつけて嬉しそうに囁き、射精を終えた肉茎をきゅっ、きゅっと締めつけてくる。大人びた女性らしさと、少女のような無邪気な可愛らしさがごちゃ混ぜになった魅力にくらくらする。
結合を解くと、静さんは精液が溢れる前にビキニを元の位置に戻した。
「ふふ……君を感じながらビーチで遊ぶというのも乙なものだな」
「静さんの職業を忘れそうになるような発言ですね……」
「君以外にこんなところを見せてたまるか」
さらりとたまらないことを言って笑う顔はやけに艶々としていた。この人エロすぎでしょ……。
「日焼け止めは汗や海水でも落ちないタイプとあるが……それにしても汗をかきすぎたな。念のためもう一度塗るか」
「それは構わないんですけど……え、すぐ遊びに行くんですか?」
「? 当然だろう?」
「どんだけ元気なんですか……」
「むしろ君はなんで私より元気がないんだ」
むーと唇を尖らせ、半勃ち状態の竿をぱくりと咥える。
「んっ、んっ、ん……っ」
あぐらをかいて後ろ手をつく俺に、しなだれかかる形で気だるげにしゃぶる静さんがあまりにも色っぽい。
「……ぷはっ。ここはすぐに元気になるのにな」
「そりゃそうですって……」
「どうする? もういちどするか?」
「さすがにその勇気はないです」
すぐに海で遊ぶか二回戦をするかというあまりにもスパルタな選択肢。これ以上行為に及べばいつ周りに気付かれるかわからないので、おとなしく日焼け止めを塗りなおして遊びに出ることにした。
続く。
他サイトの連載2作が両方とも旅行編&何気ないが海水浴……といった状況でして、書きながら「なんだかファンタジーを書いてるみたいだなぁ」と思っていました。
ぼちぼち外出してリフレッシュせねばーーーと思ってます。徐々に日常を取り戻す感じで!
次回の更新は6月7日(日)です!
それでは、今回もお読みいただきありがとうございました(^^)!!