先に相手を襲ったら負け、という奇妙な焦らし対決が始まった。
「ふぅ、それにしても暑いな」
車内は冷房がよく効いているにも関わらず、静さんが実に白々しいセリフをつぶやいてカーディガンを脱ぐ。ノースリーブのカットソーは真っ白な二の腕と深い谷間を露わにする。ちらりと横目に見ただけで思わず生唾を呑み込んでしまった。
「どうした? 顔が強張っているぞ?」
信号で止まるなり、股間を握りながらにんまりと笑って煽ってくる。ドライブをしながらの対決なので、あくまで安全運転を逸脱しない範囲での行動。それでも静さんの攻めは強烈に過ぎる。
「……これは襲ってるうちに入らないんですか」
「なぁに、この程度はただのスキンシップだよ、スキンシップ」
膨らみの先端を爪でかりかりとこすり、耳たぶをぱくりと咥える。いつもならとっくに押し倒しているタイミング。けれど信号はすぐに青に変わった。静さんがすげぇ楽しそうに笑ってますよ腹立つ。
「ふぅ、暑い暑い……」
白々しいにもほどがあるセリフが聞こえる。ちらりと横を見やると、静さんがカットソーをめくってちらちらと黒のブラを見せていた。すぐに視線を前に戻す。信号で止まってもう一度ちらりと見る。今度は乳頭を見せてきた。
「……言っておくが、私とてそれなりに恥ずかしいんだからな?」
「……良かったです、もはや痴女にしか見えなうぉっ」
チャックを開けられてパンツ越しに竿を掴まれた。
「……君以外にこんな痴態を見せると思うか?」
勃起肉の裏スジを手のひらでこすりながら、たっぷりと吐息の混じった声で囁く。
「……思わないです、はい」
「ならばよろしい。……しかし、車の中での攻防は限度があるな」
「たしかにそうですね。てか一方的に俺がやられてますし」
「はは、たしかにな」
もういちど股間を握られたところで信号が青に変わる。
「それなら一度落ち着いた場所に……お、ちょうどいい」
静さんが前方を指差す。ファミレスのチェーン店の看板が見えた。
「じゃあ夜もあそこで食いますか」
「そうだな。さほど混んでいないようだからちょうどいい」
「……何にちょうどいいのかは聞かないでおきます」
くすくすという笑い声を聞きながら、ゆっくりと車の速度を落とした。
× × ×
立地の関係なのか客は少なかった。お好きな席へどうぞと言われ、奥まった禁煙席に座る。俺たち以外の客は二組しかおらず、近くには誰もいない。
「君とはラーメンばかり食べているからな、こういった場所は久しぶりだ」
「ほっとくとマジでラーメンばっかですよね……俺でさえ心配しますよ」
すり、と何かがすねに触れる。
「……行儀悪いですよ」
「勝負のためだ、致し方ないさ」
タイツに包まれた静さんの足が甘えるようにすりついている。テーブルが小さいためか、対面に座る静さんとの距離も近い。ひと気のないこの場所では何でもし放題、といったところか。
「飲み物はどうします? 俺はコーヒーにしますけど」
「君は……最近、甘くないものをよく飲んでいないか?」
「いっしょにいる人がブラック大好きだから影響されてるんですよ」
静さんの頬がちょっとだけ赤くなる。可愛いなおい。
「それなら私も同じものにするか」
すりつける足がよりいっそうじゃれついてくる。飼い主大好き犬って感じだ。
料理も決めて店員を呼ぶ。注文しているときにすねをこすられて変な声が出そうになった。
間もなく届いた料理を口数も少ないままに食べる。それなりに付き合いの長い静さんとのあいだで気まずい時間が流れることはほとんどない。この人とは沈黙さえも楽しめる。けれど今は少し事情が違う。一刻も早く料理を食べ終えて、そのあとに待つ――何が起こるかわからない時間を迎えたかった。
せっせと料理を食べ終え、皿も片付けてもらう。食後のコーヒーで一服しながら静さんをちらちらと見る。考えていることは同じなのか、何度も視線が噛みあった。
静さんが椅子にもたれかかった。内ももに静さんの足が触れる。
「人がいないのは助かるな」
「……そう、ですね」
柔らかな足裏が股間に触れる。周りを見回した。二組いた客のうち一組が会計をしている。新しい客が来る気配はない。
「……これも襲ってるうちには入らないんですかね」
「私が君を襲うというのが何を意味するか、君はよく知っているだろう」
「なるほど……」
文字通り搾りとってきますもんね、静さん。
「慣れ親しんで部屋でくつろぐのも良いが、こうやって初めて訪れる場所の空気を楽しむのも良いものだな」
至極真っ当なことを言いながら、静さんの足が股間をもみほぐす。足裏にこすられた肉茎がむくむくと膨らむ。
「あ……っ? こ、こら……っ」
「お返ししてるだけですけど」
俺も同じように椅子にもたれかかり、靴を脱いで静さんの内ももに足を置いた。徐々に内側にすべらせ、タイトスカートをめくり上げる。
「だ、誰かに見られるだろう……っ」
「心配しなくても大丈夫ですよ。不安ならカーディガンで隠せばいいじゃないですか」
「うぅ……っ」
攻めているときからは一転して可愛らしい声を漏らしながら、静さんがそそくさとカーディガンを腰にかける。それを確認すると遠慮なくスカートの中に足を挿し入れた。
「ぅあ……っ」
両脚の付け根に足裏をすりつける。
「……静さん、すげぇ濡れてます?」
指を曲げて割れ目に押し込む。タイツ越しにも関わらず、足裏にたしかな熱と湿りを感じる。
「……当たり前だろう、誰のせいだと思っている」
子供のように唇を尖らせ、俺の足をぐにぐにと揉んでくる。ちょっと、というかかなり痛いんですが。
「いつから濡れてたんですか?」
「……ずっとだよ」
「え」
「……うるさいぞ、何も言うんじゃない」
痛みを感じる寸前の力加減で股間をこすられる。お返しに割れ目を足裏でぐりぐりとこすった。
「あ……ぅぅ……ひき、が、や……これ、だめ、だ……っ」
「あし、ちゃんと開いてください」
静さんが目を泳がせ、やがてするりと足を引き、両脚を開いた。卑猥極まるあけっぴろげな体勢。
「ぅあぅぅ……っ」
無防備な割れ目に足裏をこすりつける。
「中、大変なことになってますね」
「い、言うな……頼むから……っ」
黒髪から覗く耳までもが赤くなっている。
「勝負はどうします? 俺はもうちょっと粘れますけど」
今すぐにでも襲いたい衝動はもちろんあるが、この焦れったい時間もまた楽しい。
けれど静さんは首をふるふると振り、
「……わ、私の、負けでいいから……早く、させてくれ……っ」
今にも泣きそうな顔で懇願しているのに、その瞳は獣のごとくギラついている。
「わかりました。そんじゃ会計しますか」
「手早く行こう、手早く」
数秒で身支度を整えた静さんが急かしてくる。どんだけしたいんだ……と苦笑しながら会計を済ませ、車に戻る。
「帰るまで我慢できます?」
「無理だ……っ」
細指がチャックを開け、パンツの隙間から肉竿を直接鷲掴んだ。
「……ここでするのはさすがにダメですからね?」
「それくらいわかっている……だから、早く、移動してくれ……っ」
内ももをこすり合わせ、人差し指の背を噛む仕草があまりに淫らで思わず見惚れる。
「……何を見てるんだっ、はやく……っ」
「あ、ああ、すいません」
その声も、膨らみをまさぐる指づかいもあまりに切実だった。
ひと気のない場所を探すと、遅くまで営業していてなおかつ駐車場の広い店があった。
「ここでいいですか」
「ありがとう、ここで頼む」
かろうじてまともな口調で喋っているが、本当に限界間近なのだろう。竿を執拗にしごかれて俺もまずいことになっている。
「いったん離してください。すぐ着きますから」
静さんが手を離す。安心してエンジンをかけた瞬間、静さんが我慢汁のまとわりついた指をねろりと舐めるのが見えた。
続く。
平塚先生のエロさと言ったら。
次のお話もぜひお楽しみください(^^)
引くほど暑い日が続いていますが皆さんお元気ですか!!
それでは、今回もお読みいただきありがとうございました(^^)!!