静さんが妬いてくれていることを嬉しく思いつつも、具体的に何に対して妬いているのかを知りたくなった。
「……えっと、俺のテンションが上がってることに妬いてるんですか?」
試しに問いかけてみると、
「……まあ、間違ってはいないな」
ソファで脚を組む静さんの隣に座る。いつもならごく自然にくっついてくるのだが、今日はいつもよりも距離が遠い。
「俺、日頃からそんなにテンション低いですか?」
「ああ、低いな。私は気にしないが」
「でも、ラーメンだとかなんだとかでそれなりにテンション上がってますよね?」
静さんがビールの残りを呷り、テーブルに勢いよく缶を置く。
「……君のテンションが上がるときはな、なんというか、あくまでひそかに浮かれているんだよ。それなのに、戸塚との呑みについて語る君はどうだ? まるでこれからデートに行く乙女のように鼻歌まで歌っていた。君とはそれなりに深く付き合っている私が驚くほどに。小町ならばふつうに『お兄ちゃん、キモキモの実の能力者なの?』というくらいには」
「小町経由でdisるのやめません? しかもそれ実際に言われたやつだし」
総武高でプロムの話が持ち上がる少し前、小町と川崎姉妹の4人で話したときに言われたフレーズだった。ボディブローのようにじわじわと響く罵倒だったのでいまだにはっきりと覚えている。
しかしまあ、なんというか。
「……色々とすいません」
静さんとどこかに行くときも毎回楽しみにしてはいるんだが、戸塚との呑みに備えているときのように浮かれていることはなかった。静さんからすれば「なんでお前の中でテンションが一番上がるイベントが戸塚との呑みやねん」とツッコみたくなる話だろう。
「……べつに、気にしないとも」
相変わらずふたりの距離は空いたまま。静さんだって自分が今どんな態度をとっているのかは充分にわかっているんだろう。わかっていても納得ができない、といったところか。
どうしたものかと考えた末。
とりあえず、静さんを抱きしめてみた。
「……は?」
耳元ですっとんきょうな声が聞こえ、それから、
「ふっ……くく、ふふふ……っ」
なにやら楽しげな笑い声が漏れた。
「ははははは!」
静さんがソファの上で転げる。やだ、ビールになにかやばい成分が入ってたのかしら……?
「いや、そんな笑わなくても……」
謝罪の意を込めて抱きしめるという、どんな往年のキザ男だよという行動をとってしまったぶん恥ずかしさもひとしおだ。具体的に言うと穴にダイブしたい。穴はなくても作る。
「いやー、すまない。君がいたって真面目なのはわかっている……わかっているんだが……くっ、くく……っ」
目尻の涙をぬぐって静さんが笑い、するりと顔を寄せた。唇が重なる。
「甘い酒の匂いがするな」
「そりゃまあ、それなりに呑んできたんで」
「君からそんな言葉を聞く日が来ようとはなぁ」
静さんがくつくつと笑い、髪を撫でてくる。頭皮を這う細指の感触にぞくりとした。
「ぉあ……っ?」
股間をそっと撫でられ、腰が跳ねる。静さんの視線がずるりとすべり落ちた。やわらかな手の中で肉竿がむくむくと膨らみ、静さんがじっと目を見つめてくる。わずかな手の動きと視線だけで、ふたりのあいだの空気の色が変わった。
「……お詫びと言っちゃあなんですけど、今日は好きなことをしてください」
静さんが目をぱちくりとさせ、
「ふむ……その心意気は嬉しいが、ふだんからやりたいことはやっているしな……あ、そうだ」
さりげなくジーンズのチャックを開けてパンツ越しに竿を撫でていた静さんが、なにやらにんまりと笑う。
「使ってみたいものがあったんだ。とりあえず脱いでいてくれるか」
「へ? あ、はい」
静さんがいそいそと自分のバッグを漁るなか、せっせと服を脱ぐ。
「これなんだが」
バッグから取り出したのは、透明な液体の入った容器だった。
「それは……美容液、ではないですよね。……まさか、ローション的なやつですか?」
ふたりで行為に及ぶときにたまに使っているのだが、今まで見たことのない製品だった。
「これはアストログライドと言ってな、元NASAの職員が作ったもので、従来のローションに比べて乾くまでの時間が長いんだよ」
「へえ。……たしかに、油断するとすぐカピカピになりますもんね」
静さんが意気揚々と服を脱いで裸になる。ソファに座る俺に跨り、下腹部と下腹部を密着させた。
「今日はこれを使って……たっぷりと気持ちよくしてやろう」
「……搾りとるの間違いじゃないですか?」
「そうとも言うな」
「否定しないんですね……」
静さんが「ええと、タオルタオル……」と辺りを見回しながら竿を撫でる。さりげない会話をしているあいだもこういった卑猥な行為に及ぶのがたまらない。竿の根元に接している割れ目はじっとりと湿っている。
「そこに置いてるやつなら使って大丈夫です」
「おお、ありがとう。こぼれると面倒だからな」
静さんが俺の下にせっせとタオルを敷き、またぐらに座る。
すぐにローションを使うのかと思いきや、流れるように勃起肉の先を咥えた。
「んー……んっ、んっ、んっ、ん……っ」
とろりと目を細め、頬をへこませてゆっくりと顔を前後させる。温かな口内で這いまわる舌が亀頭を撫でまわし、腰がびくびくと跳ねてしまう。
「しょっぱいな。それなりに汗をかいたのか」
「まあ……けっこう歩きましたし、店の中も温かったんで」
「ふむ」
玉袋を手でさすりながら、カリ首をゆっくりと舐めまわす。今日一日でたまった汚れをこそげるように。劣情を刷り込むように。
鈴口から先走り汁がとぷりと噴きこぼれた。静さんが透明な雫をちろりと舐め、色っぽく目を細める。唇をすぼめて珠を啜り、口の中でこねくり回す。見ているだけで射精しそうなほどいやらしい仕草。
「……ふむ、いつも好きにやっているつもりだったが……どうやら無意識に抑えていたようだ。私は自分が思っている以上に……君のものを愛でるのが好きらしい。……おっと?」
ふたたび噴き出した先走り汁に静さんが目をぱちくりさせ、にぃっと目を細める。
「……ふふ、楽しみだな」
「えっと……何をするつもりなんですか?」
静さんはにんまりと笑うだけで何も答えず、乳房を下から掬い持って勃起肉を挟んだ。
「おふぅ……」
生温かい感触に思わず声が漏れる。静さんはうっとりと目を細め、乳房を左右からもみくちゃにする。射精に近づけるというよりは、マッサージに近い快感。
「さてさて……では、君がかけてくれるか? そのほうがやりやすい」
「これをですか? ……ええと……」
言われるがままに小さなローションを手に取り、静さんの胸の谷間と、ぴょこんと顔を出した亀頭に液体を垂らす。ひんやりとした粘液が勃起肉と豊乳のあいだを埋めていく。
静さんがちろりと舌なめずりをして、ゆっくりと乳肉を上下させはじめた。
ぬち、くちゅ、にゅち、にゅりゅ。
「お、おぉ……? これ、は、たしか、にぃ……っ」
語尾が間抜けに伸びてしまう。静さんが説明したとおり、このローションは以前使っていたものと比べて明らかに伸びがいい。今までのものなら乾いてしまうくらい時間がたっても、人肌に温められたこの液体は依然としてぬめりけを保っている。
「ふふ、中々いいだろう……? んっ、ん……っ」
静さんがほんのりと頬を上気させ、楽しげに乳肉をこねくりまわす。カリ首をはじかれるたびに腰が跳ねる。
「この行為はあまり強烈な快感はないのかもしれないが……その分、じっくり楽しめるという利点がある。君が感じている顔を見やすいというのもいいな」
「ちょっ、とっ、それっ、恥ずかっ、しっ……ぉっ、あっ、うぐ……っ」
強烈な快感はないといったが、それもやり方によるんだろう。竿全体を包み込んだ状態でもみくちゃにされれば心地よさが先行して、亀頭への攻めを重視されるとあっという間に射精してしまいそうになる。静さんは両者を絶妙に使い分け、俺を翻弄するのを楽しんでいるようだ。
「どうした? もっと喋っていいんだぞ?」
「いや、この状態でしゃべるのは……おおぉぉ……っ」
ぱっくりと開いた鈴口を、伸ばした舌でこれ見よがしにほじくられる。
「ふふ……いつでも出してくれて構わないからな?」
慈母のような安らかな笑みを浮かべ、乳房をこねくり回す。透明な粘液が塗りたくられた豊乳も、上気した頬も、何もかもがいやらしい。
「この……っ」
せめてもの反撃をと、ぴんと尖った乳頭をつまむ。
「ぅあっ!? あっ、はぁぁ……こ、こらぁ……っ、今は、私っ、のっ、番……あっ、あっ、あ……っ」
人差し指と親指でこねくり回す。静さんの表情と声が見る間に蕩けるが、そのあいだも乳肉で刺激する動きは止まらない。色っぽく眉をひそめる顔に撃ち抜かれ、一気に射精欲求が高まる。
「静さん……もう、出そう、です……っ」
「ん……そうか。好きなだけ出してくれ」
乳房の上下動が激しくなる。たぱんっ、たぱんっと下乳が小気味よい音を鳴らす。乳頭はつまんだままだ。不意に静さんの肢体が震える。軽く果てても止まることなく乳愛撫が続く。歯を食いしばった。腹筋に力を込めた。内ももを力ませた。
できるだけ限界を引き延ばし、引き延ばし、引き延ばして……すがるように静さんの背中に両脚を巻きつける。
「出る、出る……っ」
折れんばかりに背すじを反らせ、勢いよく射精した。
「ぅあ……っ? あっ、はぁぁぁ……っ」
豊乳の谷間から顔を出した亀頭から噴水のごとく白濁が飛び散る。その勢いに静さんが目を見開き、それからうっとりと目じりを垂らした。
「はぁぁ……すごいな……」
血管が透けて見える乳肉に、どろりと濃厚な精液がたっぷりとこびりついていた。静さんが鈴口に浮いた白濁をちゅっと吸い、細喉を小さく鳴らす。
「片付けないと……って、静さん?」
後片付けをしないとなと思っていたら、静さんがふたたび乳肉を揺らしはじめた。射精したばかりの肉竿はいまだに挟まれたままだ。
「あの、なんでまだ続けてるんですか……?」
「今日は好きなだけやらせてくれるんだろう? ほれ、ローションを追加してくれ。私は手が離せないからな」
「マジですか……」
思わず独りごちながらローションを追加する。粘液と精液が混ざり合い、柔肉の谷間は恐ろしいほど卑猥な状態になっていた。
「とりあえずもう一回出すまで楽しませてもらうぞ。さすがにそのあとは洗ったほうがいいだろうから、風呂で続きをするとしよう」
「……静さんって、なんていうか……底無しですよね」
「わかりきったことだろう?」
「そうなんですけど……あらためて痛感したっていうか」
静さんがくつくつと笑い、まだまだ頑張れと言わんばかりに鈴口を舌でほじくった。
続く。
※アストログライドは実在する製品です。
それでは、今回もお読みいただきありがとうございました(^^)!!