2週連続でお届けします!
季節はゆるりと巡り、4月を迎えた。
冬の刺すような冷気は鳴りを潜めたものの、夜はまだまだ冷え込む。三寒四温という言葉を使う時期は2~3月らしいが、それでも、春の陽気に惹かれて薄着になるにはまだ早い。
俺自身は大過なく単位を取得し、大学3年生になった。
そんな春の休日に、
「ふむ、今年もよく咲いてるな」
「ですね」
俺と静さんは、彼女の住むマンションのベランダから、公園に咲き乱れる桜を眺めていた。ベランダに椅子とテーブルを設置して、桜の下でやんやと騒ぐ社会人を遠目に見ながらくつろぐ。
静さんが缶ビールのプルタブを開け、一気に喉に流し込む。小気味のいい音を数回鳴らすと、静さんはテーブルに缶を置き、実に気持ち良さそうに声を漏らした。
「はぁぁ~……昼間から飲む酒は最高だな」
「そこだけ聞くと中々やばいですね……。まあ、たまにだから良いですけど」
苦笑しながら俺もビールをあおる。初めて呑んだときは「は? 一生呑まなくていいんだが?」とさえ思ったが、静さんがこうして美味しそうに呑むのを何度も目の当たりにして、俺も少しずつ呑めるようになってきた。ちなみに帰省した際にビールを呑むと親父に喜ばれ、小町からは「うへぇ……」とドン引きされた。ひどくない?
「君のおかげでずいぶん健康的な生活になったからな。たまにしか呑まない分、なおさら美味く感じるようになったよ」
缶の上部をつまんでぷらぷらと揺らしながら、静さんが楽しげに笑う。その頬はほんのりと朱い。機嫌が良くて、どこか色っぽい顔だ。
「別に俺は何もしてないですけどね。料理をがんがん作ってるわけでもないし」
「君がこうしてそばにいるだけで意味があるんだよ。分かるだろう?」
まあ、そうっすね。
素直に答えるのも恥ずかしく、会釈で返す。並んで座る静さんが小さく笑い、俺の二の腕をつっつく。春の陽気は柔らかく、雲ははるか遠くで優雅に泳いでいた。
静さんはタバコを完全にやめ、お酒はこうして時々たしなむ程度になっていた。
本人曰く「やはりストレスが大きかった」とのことで、俺と過ごすと……正確に言えば、俺と日々交わっているとかなり心身が楽になるらしい。それは俺も同じだが、静さんはストレスフルな教職員だ。日々の交わりの効果は劇的で、彼女の生活習慣は見る間に健康的になった。
「この桜も、去年はひとりで見ていたからな。もはや懐かしいよ」
「あー……そういえばそうですね」
俺と静さんが今の関係になったのは、去年の夏のこと。たかだか1年前はまだ、ただの元教師と生徒の関係だったというのが信じられない。
穏やかな風が吹いた。静さんが気持ち良さそうに目を細め、長い黒髪を耳にかける。艶やかな黒髪が、陽光で海の水面のようにきらめいていた。
「ん? どうした、比企谷?」
「あー、や、静さんって……そんなに髪の毛綺麗でしたっけ」
静さんが目をぱちくり、ぱちくり。
「嬉しいことを言ってくれるじゃないか。とはいえ、別に髪のケアはさほど意識していないぞ? これも生活習慣のおかげかもしれないな」
静さんが髪の毛を手に乗せ、目の前に差し出してくる。息を吸うとほんのり甘い香りがした。
「君が好きな香りだ。多少は気を遣ってるんだぞ?」
「あ、前に言いましたねそういえば」
静さんがシャンプーを変えたとき、俺は「こっちの匂いのが好きです」と言ったことがあった。それから静さんはさりげなくずっとそのシャンプーを使っているらしい。
「可愛すぎません?」
「……君もずいぶんあけすけに言うようになったものだな」
静さんがぐびりと缶をあおる。顔が赤いのはアルコールのせいだけではないだろう。
「大学はどうだ? ゼミが始まる時期だろう?」
「そうですね。……1年のときに受けてた講義で気に入ってるのがあって。その先生のゼミに行くことになりました。希望者があんまいなかったみたいで、すんなり通りましたね」
ゼミの先生は白髪の穏やかなおじいちゃん先生だ。声が小さく眠気を誘うので、講義では爆睡する人が後を絶たないが、俺はその先生が語る講義以上に深い内容に興味があった。
「ふむ、なんとなくで選んでいないのは良いな。楽しくなりそうじゃないか」
「そういう静さんは? たしか今年は受験生の担任ですよね」
「ふふ、君の大学の名前を出されたら少し動揺してしまいそうだ」
いたずらっぽく笑う静さんの顔はどこかあどけなくて。いつもの顔つきとのギャップに見惚れてしまう。
「まあ、それなりにやるようにしますよ。就活もあるんで」
ごまかすように言うと、静さんは俺の反応に気付いているのかいないのか、意味深な笑みを浮かべる。
「私はおカタい仕事についたが、君はもっと自由に生きてもいいと思うぞ」
桜を眺め、何かを思い出すように目を細める。
「自由……って言っても、自由な身にはそれなりの代償がいるじゃないですか。つまり働きたくない」
ぐびりとビールをあおり、
「働きたくねぇ……」
「切実だな……」
思わず二度呟いてしまい、静さんが困ったように笑う。
「なんか昨年度まではまだみんな浮ついてたんですよ。のんびり大学生やってます感があって。でも3年生になった途端に……ゼミはまだいいんですけど、一気に就活だ公務員試験だって話が出るようになって。急に現実が見えてきたというか」
「わかるよ。その感覚も懐かしいな……」
静さんはつまみを食べると、
「ワタシはたまたまこの仕事をずっと続けているが、別に誰かに強制されたものではない。たしかにストレスも多いが、それ以上にやりがいを感じているから続けているにすぎないよ」
第一……と、俺の手を握り、じっと見つめてくる。真剣味を帯びながらも優しげな表情。恋人ではあるが、やはりこの人は俺の先輩なのだ。それも、ずっと。
「君がこれから会社に入ったとしても、そこでずっと働き続けることは本当に稀だろう? 職場に嫌気が差すこともあれば、会社自体が倒れることだって十分にあり得る」
「たしかに……そうですね。『ここに入れば安心』なんて場所はないんだなって、色々調べててあらためて思いました」
「そういうことだ。私の友人も当たり前のように転職しているしな。人生はそれなりに大変だが、思ったよりも何とかなる。なぁに、気楽に構えればいいさ」
それに……と、静さんが言いよどむ。
「いざとなれば、その、なんだ。私だって大した稼ぎではないが、まあ、君を養うことくらいは……」
どんどん尻すぼみになっていく言葉と、見る間に朱くなっていく顔。
「えーと……静さん? 今のは……」
俺の追及を断ち切るように、静さんが缶ビールを勢いよく呑み干した。
「比企谷。冷蔵庫からビールを持ってきなさい」
「そんな命令初めて聞きましたけど……」
「うるさい」
唇を尖らせた静さんに股間を握られた。
「君は私をいじめるのが楽しいのか、馬鹿者」
「俺の性癖は静さんもよく知ってると思いますけど」
赤くなった耳を撫でる。静さんが唇を引き結び、くぐもった甘い声を漏らした。細指が波打ち、ズボンの中で肉茎がむくむくと膨らむ。
「ビール、持ってきますね」
「待ちなさい。やっぱり部屋に戻って呑みなおそうか」
静さんの目が濡れている。竿を握った手に力がこもっている。
「もう桜はいいんですか?」
「たっぷり堪能したから大丈夫だよ。これ以上ベランダにいるとやらかしてしまいそうだ」
「それなら、結構な頻度でやらかしてると思うんですけど……」
「あれは夜、というか深夜だろう? それくらい分別はあるさ」
ズボンの中に手がすべり込み、パンツ越しに肉竿を握られる。お返しに人差し指で背中をなぞった。
「ん……っ」
静さんが甘く喘ぎ、猫のように背を反らす。婀娜っぽい流し目に喉がごくりと鳴った。
× × ×
ベランダの花見セットを手早く片付け、部屋に戻る。お酒とつまみをローテーブルに置くと、静さんは手早く服を脱いだ。
「カーテンは閉めなくていいんですか?」
「なぁに、外からは見えないさ。なんなら窓に手をついて後ろからしてくれても構わんよ?」
俺も素早く裸になり、勃起肉を握らせる。
「そんなこと言われたら本当にしますけど。いいんですか?」
静さんが顔をそむけた。竿を握った指が物欲しげに動く。
「……エスカレートしそうだからやめておこう」
「……それもそうですね」
窓を開けて静さんの手首を手綱のように掴み、声を抑えるよう命令して突きまくる……なんていう想像をしてしまった。さすがにこれはまずい。
「静さん、座ってください」
「ん」
静さんはソファに座ると、流れるように脚を開いた。手にはちゃっかりビールを持っている。
「こういう退廃的な行為もたまにはいいだろう?」
「……ですね」
足元にひざまずき、静さんを見上げる。春の陽光を背に浴びながら、ビール片手に熱っぽい目を向けてくる。なるほど、たしかに退廃的だ。
静さんの脚はよく引き締まっている。ここ最近でさらに健康的に痩せた気がする。
内ももに口づけをした。
「うんん……っ」
甘い喘ぎが頭上から降ってくる。続けて何度か口づけをして、さらに舌を這わせる。静さんが脚を震わせ、内ももに筋が浮かぶ。
「ふぅぅ……んっ、ふっ、ふぅぅぅ……っ」
鼠径部のかなり際どいところまで唇をすべらせると、静さんがもどかしげに腰をくねらせた。ぱっくり開いた女性器に唇をつけるフリをして、今度は逆の内ももに。静さんは不満げに俺の頭を撫でたが、敏感な部位への淡い刺激でまたすぐに声が蕩ける。
太ももに指を食い込ませ、逃げられない状態にして――割れ目に唇をつけた。
「ぅあぅっ」
静さんの声が弾けた。粘膜はすでに期待でたっぷりと潤んでいて、舌でほじくるととめどなく愛液が溢れてくる。啜っては呑み込み、割れ目の下から上に、そして上から下へと舌を這わせる。
「はぁぁ……はぁぁぁ……っ」
静さんは逃げるように、それでいてもっともっととねだるように腰をくねらせる。唇を粘膜に押しつけ、固めた舌先を膣口に入れる。静さんの手が髪の毛に差し込まれた。切なげに頭皮を撫でてくる。
「ひき、が、や……はっ、うぅぅ……っ」
耳に指が挿し込まれ、静さんの声がくぐもって聞こえる。口の中に牝の匂いが充満した。歯に絡むしゃりしゃりした繊毛さえもいやらしい。一方的に愛撫しているのに射精してしまいそうだ。
いったん口を離し、割れ目の上にある、包皮をかぶったクリトリスに吸いついた。
「うぁうぅぅ!?」
突然の圧迫感。静さんが両脚を頭に巻きつけていた。むっちりした太ももに呼吸を塞がれる中、夢中でクリトリスを舐る。静さんが壊れたように腰をしゃくる。懸命に息を吸えば吸うほど、身体の中が静さんの匂いに満たされていく。
「ひきが、や……っ。私も、舐めたいっ。舐めさせて、くれ……っ」
率直な懇願に顔を上げる。今にも泣きだしそうな表情に一度は素直に応じかけたが、せっかくなので少しばかりいじめることにした。
静さんの太ももを掴み、ゆっくりと引き離す。内ももを押さえ、俺の愛撫を止めることができない状態にした。
「ひ、比企谷……っ?」
怯えと期待が入り混じった瞳を見つめながら、これ見よがしに舌を伸ばして肉芽を弾いた。
「んくぅぅ……っ」
静さんは全身を震わせながらも視線を逸らさない。見つめ合ったまま、固めた舌先で肉芽を右に左にと弾く。
「はっ、あぁぁっ、だっ、め、だっ、だめだっ、イっ、く、イクっ、イクっ、イっ――」
限界を迎える直前、クリトリスを口に含んだ。全体を圧迫するように舐り上げる。
「あぁぁぁぁ、あぁぁぁぁぁ」
すらりとしながらも肉づきの良い身体が悦びに打ち震える。それから全身の骨が抜けたかのようにぐったりと脱力した。
「じゃあ、舐めてくれますか?」
隣に腰を下ろし、豊かな乳房をまさぐりながら囁く。静さんがなんとか返事を紡ごうとするのを、乳頭を軽くつねって遮る。
「お、遅すぎだ、ばかものぉ……っ」
頬を優しくつねられた。その直後に口づけをされ、流れるようにしなだれかかってくる。艶姿にすっかり反り返っていた肉茎の先端を、静さんはためらいなく口に含んだ。
竿の半分ほどを咥え込んだ状態でぴたりと止まったが、口の中の動きは獰猛そのものだ。別の生き物のように蠢く舌が、亀頭やカリを美味しそうに這いまわる。
「お……ぁ……っ」
頬を凹ませて吸いつかれ、腹筋がぶるりと震える。
「んっ、んっ、んっ、ん……っ」
静さんが頭を上下に振りながら、髪を耳にかける。先ほどベランダでも見た仕草なのに、どうしてこうも違いがあるのか。ぴっちり締めた唇がカリ首を弾くたび、鋭い快感が尿道を駆け抜ける。
静さんはよつんばいになっていた。剥き出しになった肉尻を、欲求不満を露わにするようにゆらゆらと振る。いやらしいな、と心の底から思った。背中に置いた手をすべらせ、肉尻の谷間に指を埋める。くちゅ、といやらしい音が鳴った。
「んふぅぅ……っ。んっく、ふっ、んむふぅぅ……っ」
口淫に余裕がなくなる。指は肛門、蟻の門渡りとすべっていき、女性器にたどり着く。指をつけては離す動きを繰り返すと、ぴちゃぴちゃと卑猥な水音が鳴った。静さんが羞恥で身をよじるのがたまらなくいやらしい。
「おっ、ぁっ? 静っ、さんっ、それ、やば……っ」
お返しだ、と言わんばかりに口淫が加速する。咥え込む際に顔を傾けることで締めつけの具合が変わり、思わず声が上ずってしまう。さらに片手で玉袋をさすりながら、もう片方の手で内ももをさすってくる。安心感と淡い快感、それから鋭い快感を同時に与えられ、艶っぽい嬌声を聞いていることも相まって、あっという間に限界が訪れる。
「静さん……出る、出ます……っ」
「んふー」
ちらりと送る流し目がやけに可愛らしくて和む。けれど割れ目に指をうずめると、その瞳はすぐさま劣情に染まった。
強張った内ももを撫でられ、限界直前であることを悟られているのが気恥ずかしい……と思いながら。
「出……る……っ」
温かな口の中で、限界を迎えた。
「んふぅぅ……っ。んっ、ふっ、ふぅっ、ふぅぅぅ……っ」
静さんは口の締め付けをわずかに弱めながら、頭の上下動と睾丸への愛撫を続ける。どくっ、どくっ、どくっ、と脈打つたびに細喉が鳴った。
「んー……ぷはっ。……はぁ、はぁ、はぁぁ……っ」
静さんが顔を上げ、口を半開きにしたままじっと見つめてくる。欲情した表情はそのままだった。いや、精飲したことでもっと露骨になっている。唾液で濡れ光る竿をゆるゆるとしごき、なめらかな身体を蠱惑的によじらせる。
「静さん、ベッド……に……っ」
流れるように俺の腰に跨り、脚をM字に開く。いまだに硬度を保っている竿を握り、ちろりと舌なめずりをする。
「すまない、我慢できないものでな」
湿った声で謝り、腰を落とす。肉杭が一気に呑み込まれた。
続く。
次週、最終回です。
それでは、今回もお読みいただきありがとうございました(^^)!!