「はぁうぅぅぅ……っ」
熱い泥濘のような蜜洞の感触。静さんはうつむき、色っぽく眉をひそめ、唇を引き結ぶ。互いの濡れた陰毛をにちりにちりとこすり合わせ、結合の感触を噛み締めてから、静さんは気だるげに髪をかきあげた。
「比企谷……」
胸板をそっと撫で、乳首をつまんでくる。鋭い快感に肉茎が張り詰め、静さんが「うんんっ」と色っぽく喘いだ。
「ふふ……君の反応はわかりやすくていいな……あんっ!」
お返しに乳頭をつまんだ。静さんは恨みがましく見つめたものの、やがて獰猛な笑みを浮かべ、腰を上下に振り始めた。
「んっく、ふっ、んんっ! あっ、はぁっ、はぁぁぁ……っ」
互いの敏感な部位をまさぐりあいながらの交わり。静さんの半開きになった口から、蒸気を幻視しそうなほど湿った吐息が漏れ出る。
「はぁぅぅっ、ひきがっ、やぁ……んむふぅ……っ」
静さんが顔を傾けた。唇が深く重なる。むせかえるような性の匂い。舌の交わりはねちっこくて深い。上でも下でも互いの身体を貪っているという感覚に浸る。
ばちゅっ、にゅちっ、ぱぢゅっ。静さんの腰が打ち付けられるたびに、たっぷり溢れた蜜液が淫猥な音を立てる。
「ふふ……私の中で気持ち良さそうに震えているぞ?」
得意げな顔にちょっと腹が立った。
肉尻に手を添え、下ろした瞬間に掴み、それと同時に力強く腰を突き上げる。
「ぅはぁうぅぅ!? あぐっ、はぁぅっ、んくぅぅぅ……っ!?」
息つく間もなく突き上げ続ける。汗ばんだ肢体に小刻みな痙攣が走り、止まらなくなる。
「うぅぅぅ、待ってくれ、待ってくれひきがやぁ……あっ、あっ、あっ、ぅ……うぅぅぅぅぅ」
すがるように抱きつき、ひときわ大きく痙攣する。蜜肉が甘えるように締まった。
「少しは満足しましたか?」
「そうだな……ベッドに行く道中の分くらいは」
「マジで言ってます?」
どんだけエロいんだ……と思いつつ、静さんの身体を持ち上げて結合を解く。そのまま手を掴み、肉尻を掴んでベッドに移動する。
「よつんばいになってください」
「ん……ぅあっ」
おとなしく言うことを聞いた静さんを、ためらいなく後ろから貫く。肉尻を掴み、結合部とひくついた肛門を露わにした。
「気持ちいいですか?」
ひじをついて打ち震える静さんが、こくこくと弱々しく頷いた。
深く息を吸う。全身の筋肉をふくらませる。
そして、弓矢を構えるように腰を引き、力強く打ち込んだ。
「くはぁぅっ、あっ、ぅあっ、はっ、はぁぁぁっ!」
乾いた打擲音が打ち鳴らされるたび、静さんの嬌声が部屋中にはじけ飛ぶ。汗ばんだ背中に肩甲骨が寄った。静さんの息遣いに合わせて肛門が開いては締まる。開いた瞬間を狙って親指をねじ込んだ。蜜肉が一様に締まった。
「あぉぉぉ……っ」
嬌声に獣性が混じる。律動の速度をいっそう上げた。静さんの頭の高度が徐々に下がっていき、やがて完全に突っ伏してしまった。肛門から指を抜き、肉尻を掴んで前後動を繰り返す。力強さの代わりに、一回一回膣奥をねちっこくこするように。
「イっ、く、だめ、だ、また、イク、イク、イっ……く……うぅぅぅぅ」
小刻みに震え、肉尻を突き出して一瞬の硬直。それから全身に大きな痙攣のさざ波が幾度も走った。足がバタついてベッドが軋む。絶頂に浸る背中に指を這わせ、なおもゆるゆると腰を振る。
「……比企谷」
「はい」
「……ぎゅってしたい」
可愛すぎか。
「オッケーです」
全身脱力した静さんを仰向けにして、流れるように挿入する。両脚が巻き付いてきたが、さほど力はこもっていない。離れないでね、と甘えるようにふくらはぎやかかとでこすってくる。
「ひきがやぁ……」
とろりとした目で微笑み、両手をこちらに伸ばす。覆いかぶさって抱きしめ合い、唇を重ねた。唾液のたっぷり乗った舌を絡め合うあいだも、互いの腰は止まらない。密着した中でもできる限りこする部分を大きくして、ゆるくとも深い快感を与えあう。
「ちゅっ、ちゅぴっ、んむふぅぅ……っ。へぁっ、ひきがや……中で、ひくひくしてるぞ……? 出そうなんだな……?」
俺の頬に手を添え、愛おしそうに微笑む。静さんは口の中でも膣の中でも、俺の限界を的確に読み取る。それは俺も似たようなものだった。肌を重ね続けるという行為の不思議さを感じる。
「そうですね……そろそろ出そうです……っ」
鼻先をこすり合わせながら告げる。
「ん……っ。たくさん、出してくれ」
優しく抱きしめられた直後、巻き付いた四肢に力がこもった。同時に蜜ヒダが力強く蠕動し、もう少し先だと思っていた限界が一気に引きずり出される。
尿道を通る感触がはっきりわかるほど濃厚な精液が、膣奥にこすりつけられた亀頭の割れ目から勢いよく噴き出した。
「はぁぁぁ……はぁぁぁぁ……っ」
静さんは自身も果てながら、まるで温泉に浸かったかのような安らいだ表情を浮かべている。けれど密着した身体はどこもかしこもいやらしくくねり、絶頂に打ち震える肉槍から一滴残らず精を搾り取った。
絶頂の余韻が去り、全身の力が抜ける。
「ふふ、お疲れさま」
「毎回思うんですけど……なーんで静さんの方がイってるのに俺の方が疲れてるんですかね」
「そういう風に身体が出来ているんだろう。それに、そうでないと私が君の身体を味わいきれなくて困るからな。……今、中で反応したな」
「そりゃそうですって……」
楽しげに笑う静さんに頭を撫でられ、顔が熱くなった。
× × ×
ひとしきり交わり、シャワーを浴びてシーツを替え、ゆっくり寝転がることにした。昼寝するには遅い時間だが、たまには何も考えずうとうとするのも良いだろう。静さんは俺の二の腕に頭を乗せ、楽しげにおでこをこすりつけてくる。何この可愛い生き物は?
「そういえばなんですけど」
「ん? どうした?」
なるべくさりげなく……と思ったが、発した声が思いのほか強張ってしまっていた。恥ずかしい。
ええい、ままよ……と、静さんの肩を抱く。静さんはほのかに頬を赤らめ(可愛い)、目をぱちくりさせている(だから可愛い)。
「静さん。俺が大学を卒業したら、いっしょに暮らしませんか」
ほんのり赤らんでいた顔が、ぼんっ、と一瞬で茹だった。
「え、あ、そ、そう、か……」
可愛らしくしおしおと縮こまり、
「そう、だな……そうだな。わ、私たちもそんな時期か。いやー、まあ、うん、そうだな、君が望むのであれば、うん、私も、その、なんだ、ええと……」
いつもの凛とした姿はどこへやら、ウブな少女のように黒髪の毛先をくりくりといじり、盛大に慌てる。
それからしばし沈黙したかと思うと、
「……はい、よろしくお願いします」
耳まで真っ赤にして、消え入りそうな声で答えた。やだ、同棲を通り越して結婚しちゃう!
「ふぁ……っ? ひ、比企谷……っ?」
思わず抱きしめてしまった。
「よかったです……」
「……ふふ、なんだ。私が断るとでも思っていたのか?」
「そういう訳じゃないですけど。それでも不安に思うのはしょうがないんで」
「それなら、別に今からいっしょに暮らしても……構わないぞ?」
「いえ、経済的にきちんと自立してからにしたいです」
静さんが目を見開き、ふよふよと視線を泳がせ、甘えるように胸板に顔をうずめる。
「まったく……そんな凛々しい顔で宣言するとは……」
ぶつぶつと呟きながらも、嬉しそうに抱きついてくる。
「ちょっと寝ますか。夕飯はどうします?」
「ん……そうだな、後で買い出しに行って、ふたりで作ろうか」
「わかりました。それじゃ、いったんおやすみなさい」
「ん……おやすみ」
目を閉じた静さんの黒髪をそっと撫でる。
――ふたりで過ごす日々は、それなりに大変なことがありつつも、それなりに楽しく、穏やかに過ぎていくのだろう。
静さんとの何気ない日常は、これからもずっと続いていく。
お終い。
今回でぴったり700話目でした。
それでは、これにて……
【平塚先生編】及び【俺ガイル 日常の何気ないエロス】
連載終了とさせていただきます。6年4ヶ月に及ぶ連載を見守っていただきありがとうございました!!
以前は「いったん定期連載を締める」といった言い方をしたんですが、最近の忙しさを鑑みると、皆さんに中途半端な期待を持たせるのは良くないなと思いまして。なのではっきりと最終回と言うことにしました。
生まれて初めて小説を書くようになってから3ヶ月目にこの作品の連載を始め、その間にたっっっくさんの方に読んでいただき、たっっっくさんの感想もいただけました。
コミケ本を出すようになり、オリジナル作品も書くようになり、書籍化デビューをして、ゲームシナリオを書きはじめ、電撃文庫で本を出して……と、物書きを始めたときからは考えられないほど世界が広がりました。
ゆうて商業は上手くいかないことの方が多いです。
「なんで自分の作品はこんなに売れなくて、あの作品がバカ売れしてんの? なんなの?」みたいなルサンチマンはずっと抱えながら書き続けています。
それでも続けられるのは、何気ないエロスでいただいた4000件以上の感想のおかげです。しんどいときも「大丈夫、自分は力がある。あれだけ褒めてもらってたんだから」と思えるんです。
何気ないエロスを書き始めたときは自律神経失調症でカウンセリングに通っているような状態だったんですが、どんどん元気になって今は毎日ステッパーを踏みながらお仕事してます。本当に、本当にありがとうございます。
そういえば今日誕生なんです(小声)。
しんみりしすぎるとアレなので余談を挟みました。
これからは小説・シナリオその他色々な媒体に手を広げて、自分の文章でたくさんの人に笑ってもらい、和んでもらい、少しでも活力を得てもらいたいです。
またどこかでお会いできたら……と言いつつ、がんがん活動はしているので、よろしければTwitterを覗いていただけたら嬉しいです。いやほんとに。リプ待ってます。いやほんとに(2回目)。
それでは、最後に。
ここまでずっとお付き合いいただき、本当に、本当に、ありがとうございました(^^)!!!