(1)
目を開けると、俺の腕に頭を乗せた陽乃さんがあえかな吐息をこぼした。
無防備な寝顔と長いまつ毛に見惚れながら、枕元の間接照明を点けて小さくあくびをする。充実した疲労の名残を身体のそこかしこに感じた。
「ん~……」
もぞもぞと顔を近付けてきたかと思うと、俺の胸板におでこをくしくしとこすりつけてきた。あごをくすぐる黒髪の感触。普段のめんどくささとは対照的な、猫のような甘え方。
「ん~~……」
寒いのか、さらに身体をくっつけてきた。暴力的なまでに柔らかな肉感。この人が服を着るのは寒さから身を守るためでなく、道行く人の理性を守るためなのではとさえ思える。
「……おはよ」
陽乃さんが顔を上げる。頭があごにごりっとこすれて変な声が出そうになった。
「おはようございます」
目をきゅっと閉じ、猫があくびをするかのようにぷるぷると震える。
「今何時?」
「ええっと……八時ですね」
陽乃さんの細指が胸板をそっと撫でた。静かに、けれど着実に劣情を刷り込むような蠱惑的な手つき。
「んー、眠い……」
ぽしょぽしょと吐息混じりの声でつぶやくあいだも、陽乃さんの手はいたずらっぽく這いまわる。鎖骨に口づけをされた。骨の硬さをたしかめるように唇がすべる。胸板を撫でる指は徐々に下へすべっていき、下腹部に触れた。淡い快感に肉茎がぴくりと反応する。
「したいんですか?」
「んー……どうだろ」
だいたいこういう質問はのらりくらりとかわされる。なんだかなぁと思いつつも、腕枕をしている手で陽乃さんの耳を、もう片方の手で背中をそっと撫でた。
「あん……っ」
耳朶を打つ濡れた声にごくりと喉を鳴らす。陽乃さんがこちらをちらりと見やり、もういちど鎖骨にキスをした。
小さな耳に指を挿し込み、背中の凹凸をたしかめながら指を這わせる。
「ふっ、んっ、んふぅぅ……っ」
腕の中で陽乃さんが悩ましく身じろぎする。柔らかくひしゃげた乳房の頂はぷっくりと膨らんでいて、陽乃さんが身をくねらせるたびにくにくにと向きを変える。背中に這わせていた手を腰まですべらせ、肉尻の谷間に中指を差し込む。
「うんん……っ」
陽乃さんの喘ぎが蜜を帯びる。元々感じやすい身体は近頃さらに感じやすくなっている。
陽乃さんが顔の位置をずらした。俺の乳首に吸いつき、膨らんでいた肉竿に細指を巻きつけ、一定のリズムで優しく握る。
「お……ぁ……っ」
陽乃さんの舌の動きはいやらしい。柔らかく蠢く舌で乳首をにゅろにゅろと愛でたかと思えば、不意に固めてぐりぐりとこする。細指の巻き付いた肉竿がびくりびくりと跳ね、そのたびに陽乃さんが勝ち誇ったように目を細めるのが可愛くも腹が立つ。
肉尻の谷間に潜り込ませていた手をさらに奥へ。中指が花びらに触れる。軽いまさぐり合いしかしていないにもかかわらず、陽乃さんの性器は熱く、たっぷりと濡れていた。
「……ねえ」
俺の喉に吸いつき、甘えるような短い言葉を囁く。
「なんですか?」
あえて聞き返し、お返しに喉に吸いついた。
「あっ、だめっ」
陽乃さんの声が跳ねる。余裕のなくなった声にぞくぞくとする。
「どうしました?」
わざとらしく尋ねながら、ほんのりと汗の浮いたなめらかな喉を舐める。陽乃さんが身をよじるが、その動きは弱々しく、どこかおもねるようだ。
「だめ……それ、すぐ……イクから……っ」
そんなことを言われたら、逆効果でしかないのに。
鎖骨からおとがいの下まで何度も舌を往復させ、固めた舌先で喉仏を愛でる。
「あっ、ぅあっ、イっ、く、イク、イク……っ」
頭上から降ってくる、限界を告げる声。ぶるぶると痙攣が走り、くなりと脱力する。
「…………」
何も言わずに見つめてくる。細指は竿に巻き付いたまま。
「挿れますよ」
「え~、どうしよっかなー」
「いや、さっき……」
文句を言おうとしたが、「ねえ」の二文字を陽乃さんの意思の証明とするにはあまりに弱い。
ぐだぐだと話して性欲がしぼむのももったいないので、素早く起き上がって陽乃さんの身体をころりとうつむけにした。
「きゃー、犯される~……ぅあっ」
くびれた腰を掴み、ぬるりとした膣口に躊躇なく肉槍を突き入れる。陽乃さんの背中が綺麗に反り返った。肩甲骨が寄るさまはいつ見ても美しくていやらしい。
「はっ……ふっ……ふぅぅ……っ」
枕に顔をうずめた陽乃さんが荒い息をつく。肉茎がなじむまでしばらく待っていると、むっちりとした肉尻がぴくりぴくりと揺れる。早く動いてほしいという無言の訴え。
「動きますよ」
返事は期待せず、尻肉を掴んで腰を引き、突き入れる。また引いて突き入れる。あらわになった肉槍は白濁した本気汁で濡れている。
「ぅあっ、はっ、はぁっ、はっ、は……っ」
陽乃さんの荒らげた声。間接照明の淡い光に照らされた陽乃さんの艶姿をもっとしっかり見たい。終わったらまずはカーテンを開けるか……と腰を振りながら考えていると、陽乃さんが後ろに手を伸ばし、俺の手首をつかんだ。
「今、どうでもいいこと考えてたでしょ」
「……なんでわかるんですか」
腰の動きは止めていなかったのに……とちょっと本気で驚く。時間にすればせいぜい数秒だったんだけれども。
「わかるって。集中してるときの比企谷くんは獣みたいな目をしてるから」
「俺ってそんな本能丸出しなんですかね……」
陽乃さんが両手で俺の手首をつかみ、楽しげに肉尻をくいくいと上下に揺らす。
「ほらほら、集中して集中してー」
「はいはい」
お望みとあらば……と、陽乃さんの手首をつかむ。
「ぁ……っ」
か細い声にぞくぞくする。華奢な手首を手綱のように引き、膣奥をどすんと突いた。
「ぅあぅっ」
陽乃さんが硬直する中、ためらうことなく腰を振る。互いの肌が密着した状態での抽送。どすどすといった音は鳴らず、代わりににゅるにゅると淫猥な感触が肉杭を包み込む。
「あっ、ぅあっ、はぁぁっ、はぁぁぁ……っ」
陽乃さんの背中に、霧吹きを吹きかけたような汗粒が浮く。俺に手首を掴まれた状態で、陽乃さんは十本の指を蠢かせ、甘えるように俺の手を撫でる。
「比企谷くん……っ」
消え入りそうな声で名を呼び、脚を曲げて足裏で俺の腰を撫でてくる。
「ああもう……っ」
寝起きだから、本当はもっと穏やかにするつもりだった。なのに気が付けば必死で腰を振っている。動きに激しさはないが、陽乃さんの最奥をこする腰遣いをしているので消耗が激しい。
「陽乃さん……そろそろ出しますよ……っ」
返事がない。陽乃さんの身体は小刻みに痙攣していて、蜜ヒダの締め付けはずっと強いままだ。もしかしたらずっと果てているのかもしれない。
「出ます、出します……ぉ、あ……っ」
鈴口から精液が噴き出す。初めはどっ、どっ、と勢いよく。それからとくっ、とくっ、と少しずつテンポを落としながら。
「はぁぁぁ……っ」
陽乃さんが枕に突っ伏したまま長い吐息を漏らす。蜜ヒダは柔らかく蠕動し、射精に喘ぐ肉茎を丁寧に搾る。腰を動かすことなく、尿道に一滴とて残すことなく搾り取られた。
全身から力が抜け、陽乃さんに覆いかぶさる。
「……重いんだけど」
口では文句を言いながらも、俺の手に指を絡めてきゅっきゅっと握ってくる。
「すいません、もうしばらくこのままでいいですか」
実際かなり体力が吸われていた。真面目なお願いが通じたのか、
「しょうがないなー」
陽乃さんが楽しげに笑ってゆるやかに腰を左右に振る。「おふっ」と変な声が出てしまい、陽乃さんは枕に顔を突っ伏してしばらくぷるぷるしていた。
× × ×
しばらく休憩したあと、ようやく起き上がった。俺がカーテンを開け、陽乃さんがあくびをしながら観葉植物に水をあげる。「よしよし、きみは比企谷くんと違って素直でわかりやすいねー」と完全に俺に聞こえるように言ったので、一度もやったことがないが彼女の後頭部にてしっとチョップをした。どうなることかと思ったが、陽乃さんは楽しげに笑っていた。
コップ一杯分の水を飲み、ふたりでシャワーを浴びる。
「……いや、なんでですか」
部屋着でソファに座ったところで陽乃さんの姿に気付き、思わずジト目を向けてしまう。
「え、何か変?」
くすくすと笑う陽乃さんの恰好は、なぜか俺のワイシャツ一枚という状況。
いわゆる彼シャツ。
彼シャツだ。
わざわざ言い直すくらいには破壊力が強い。
「コーヒー淹れるからゆっくりしてて?」
「あ、はい……」
膨らみを想定していない胸元はきつそうで、その頂も透けて見えてしまっている。煩悩一色になっている俺をよそに、陽乃さんは俺の頭をくしゃりと撫でた。ちらりと覗く下腹部の茂みと、朝日が差し込むキッチンに立ったときの肉尻にごくりと喉を鳴らしてしまう。
「はい、どうぞ」
「え? あ、はい、どうもです……?」
爽やかながらも色っぽい立ち姿をぼけっと眺めすぎて、思いきり反応が遅れた。
陽乃さんは立ったままカップに口をつけ、スズ……っと小さな音を鳴らした。「うん、上出来」と目を細め、俺をちらりと見る。
「誘ってるのはわかってるよね?」
カップを片手で持ち、もう片方の手で俺の頭を撫で、下腹部の膨らみを優しく踏んでくる。
「コーヒー飲んだら襲うんで大丈夫です」
陽乃さんがカップを傾けたまま目を見開いた。
「……君もずいぶんと遠慮がなくなったもんだね」
「毎日挑発されてたらこうなりますって」
「そっか」
「そうですよ」
陽乃さんは俺の股間を踏んだままカップを傾ける。足の指が艶めかしく波打ち、肉槍はパンツを突き破らんばかりに張り詰めている。
「ごちそうさまでした」
「はい、お粗末さま」
陽乃さんが俺のカップを手に取り、シンクに置いて水を入れる。
首だけ振り向き、流し目を送ってくすくすと笑った。
ソファから立ち上がり、後ろから抱きしめる。
「んん……っ」
俺の腕に手を添え、色っぽく眉をひそめて震える。
「痛くないですか」
「ん……大丈夫だよ、ありがと。ま、すっごい挿れてほしくなるんだけど」
密着したままでズボンとパンツを脱ぐ。陽乃さんは肉茎をつかむと、大事そうに愛でた。
「んふぅ……っ」
おとがいを人差し指で上げて口づけをする。朝の気だるい空気。陽射しがまぶしいのか、陽乃さんは目を半分閉じていた。口内に残るコーヒーの匂いを互いの唾液が押し流していく。
ワイシャツの上から乳房に触れた。豊かな乳丘の裾野に指を這わせ、陽乃さんに見せつけながらゆっくりと頂に向かう。
「ふっ……んっ、んふぅぅ……っ」
陽乃さんが人差し指の背を噛んで甘く喘ぐ。一挙一動が的確に劣情を煽り立てる。肉茎に添えた指でゆっくりとしごかれ、溢れた先走りで肉幹がぬめつく。
「んくぅぅっ! あっ、はっ、はぁぁぁ……っ」
ふっくらとした乳頭をつまむと、甘い嬌声が跳ねた。おとがいが、くっ、くくっ……と快感に比例するように上がっていく。内ももをこすり合わせ、腰を下げる仕草があまりに扇情的だ。
「……君ってさ、ほんとに変態だよね」
唇を震わせながら囁く。俺の唇をちろちろと舐め、すがるように竿を優しくしごく。
「手、ついてくれますか」
「……ん」
陽乃さんがシンクに手をつく。突き出された肉尻は豊満ながら全くたるんでいない。牡の劣情を煽るのにあまりにも適した形と質量。ごくりと喉を鳴らし、花びらに肉槍を当てる。たっぷりと潤んだ膣内に一気に突き入れようとすると――
「んぉっ!?」
亀頭がにゅるりとすべり、竿がむっちりした太ももに挟まれた。陽乃さんがくすくす笑っているのを見て、意図的にずらされたのだと時間差で気付く。
「なんですかこの生殺しは……」
「世の中何もかも思い通りにはいかないんだよ……んん……っ」
そのまま腰を振り始める。案の定といえば案の定で、陽乃さんの内ももはあふれ出した愛液で充分すぎるくらいにすべった。亀頭が花びらをかき分けるたびに新たな蜜液が溢れるので、卑猥なぬめりと太ももの肉感をたっぷり味わうことができる。
「もう……生意気だぞ……っ?」
左手で俺の頭を抱き、もう片方の手のひらで太ももから覗いた亀頭を撫でまわす。
「ぐ……ぁ……っ、ちょ、それ、反則……っ!?」
たまらず腰を引けば陽乃さんが肉尻を押し付け、剥き出しになった亀頭を手のひらでこする。
「あれー? どうしたのかなー比企谷くーん? さっきからぴくぴくして可愛いけど……っ」
腰を引き、陽乃さんが肉尻で追ってきたタイミングを見計らって肉杭の角度を変え、柔らかな膣ヒダに一気に突き入れた。抵抗できぬよう白くなめらかな喉に吸いつき、シャツのボタンを開けて直に乳頭をつまむ。
「あっ、ぅあっ、あっ、はぁっ、んくぅっ、あっ、あっ、あっ、あ……っ」
陽乃さんの声が壊れたかのように余裕を失う。ただ、そうしているあいだも蜜ヒダはうねうねと蠢動して肉槍を食い締めてくる。
「陽乃さん、エロすぎですって……っ」
乳頭だけつまむのが我慢できず、豊かな乳房を揉みくちゃにする。行為中の陽乃さんはどこを触ってもわかりやすいほど大きく、そして色っぽく反応してくれる。十本指を乳肉に食い込ませ、波打たせながら、ぬるぬるの膣洞に何度も何度も突き入れる。
「あっ……はぁぁぁ……っ。ひきがや、くぅん……っ」
俺の髪に指を差し込み、蕩けきった顔を向けてくれる。無防備な顔を見せてくれる嬉しさと、はまり込んだら二度と抜けられそうな恐怖が同時に込み上げ、理性をかき乱す。
「陽乃さん……もう……出そうです……っ」
「ん……いいよ、たくさん出して……っ?」
耳にぴったりと唇を押し当て、嬉しそうに囁く。直後、にゅるりと舌が挿し込まれた。
「ほら、はやくぅ……」
俺の頭を撫でながら、もう片方の手で俺の手の甲をさすり、蜜ヒダが追い詰めるように、貪るように食い締めてくる。甘痒い射精欲求。一刻も早く射精してこの人の中を満たしたい。
「出ます……出る、出る……っ」
陽乃さんが俺の喉に吸いついた。それと同時に両手で俺の手を掴んで逃げられないようにする。どぐんどぐん、と身体全体が心臓になったかのような強烈な射精。冬の朝日が差し込むキッチンとは思えない淫靡な空気の中、陽乃さんがぴちゃぴちゃと音を立てて喉仏を舐る。
「おぉ……おぉぉぉ……っ」
射精が収まっても、陽乃さんは唇を離さず、手を放そうともしない。
しばらくのあいだ、陽乃さんにゆるやかに拘束されたまま立ち尽くしていた。
「はー、気持ちよかったー」
肉槍を引き抜くと、陽乃さんは「すっきり!」と言わんばかりに両腕を上に伸ばした。なんでこの人こんなに元気なのん……?
「陽乃さんは魔人かなんかですか……おぁっ」
するりと腰を下ろしてひざ立ちになった陽乃さんが、ためらいなく肉竿を口に含む。精液と愛液にまみれ、半勃起状態の肉茎。丹念に舌が這い回り、温かな口内でむくむくと膨らむ。
「よし、それじゃコーヒーもう一杯飲もっか」
「鬼畜すぎません?」
すっかり臨戦態勢になっているというのに。しかし陽乃さんは楽しげに勃起肉を人差し指でぴーんぴーんと弾くと、本当にコーヒーのおかわりを淹れ始めた。
今日も今日とて、俺は陽乃さんに振り回されている。
× × ×
陽乃さんとこうして過ごすようになったきっかけは、今年――大学二年の夏のことだった。入学当初からしょっちゅう彼女に呼び出されていたのだが、ある日珍しく酔いすぎた陽乃さんを家に送り届け……そこで関係が一変した。とは言いつつもしばらくは(主に俺が原因で)曖昧な関係が続き、なんだかんだで恋人関係になり、気付けば年末を迎えている。時間にすれば半年にも満たない期間だが、人生でも指折りの濃い時間を過ごしてきた。
近頃の陽乃さんは――元々綺麗だったことは充分わかりつつも――いよいよ人間離れした美しさに達している気がする。
街ですれ違った人は、老若男女問わず陽乃さんに目を奪われる。思春期男子に至ってはグループ全員で食い入るように見つめる。もともと破壊力の高い童貞スレイヤーともいえる容姿だったが、街行く人々の視線の熱量はここ数ヶ月で明らかに上がっていた。
「比企谷くん、さっきからわたしの顔見てどうしたの? 変態みたいだよ? 変態」
「みたい、って言ったあとに普通に変態呼ばわりするのやめてくれません?」
昼食をとってソファでまったりしていると、頬を人差し指でぷすぷすとつつかれた。陽乃さんの顔をずっと見つめてしまっていたのは事実なので、小声で「すんません」と謝る。
「何考えてたの?」
「言いません」
「わたしがどんどん綺麗になってるなー、可愛いなー、エッチだなーって思ってたんだ」
「…………」
「比企谷くんは可愛いなー。うりうりー」
頬をぷすぷす、ぷすぷす、ぷすぷす。障子だったらマシンガンでも撃ち込まれたのかってくらい穴があきそう。
「ま、言わんとしてることはわかるよ」
「まだ何も言ってないですけど」
「はいはいそうですねー」
「真面目に取り合ってくれない……」
陽乃さんが自分の頬をぺたぺたと触る。
「最近肌の調子がすっごい良いんだよね。体調によってある程度変わるんだけど、その水準がびっくりするくらい上がってるの」
ほら、触ってみて? と手を引かれ、ほっぺたに触れる。
「……たしかに」
柔らかくて、もちもちと弾力がある。ちょっと引っ張ってみると楽しげに笑った。陽乃さんは意外とこういう行為に寛容だと最近気付いた。
「毎日誰かさんに可愛がってもらってるからねー」
陽乃さんの手が太ももにそっと触れる。こういうとき、陽乃さんの行動はふたつにわかれる。ひとつは思わせぶりに撫でただけで猫のように離れるパターン。もはや魔人かってくらいあざとい。魔人はたぶんあざとくないけど。
そしてもうひとつは、遠まわしに誘惑するパターン。
「今日はなんも予定ないんですよね」
「そうだねー。外食もいいけど、君で……君と自由に遊べるからうちにいるのが一番だなー」
「君『で』って言ったのが思いきり聞こえてんですけど……まあ、うちが一番なのは間違いないですね」
陽乃さんが話を続けながら俺の下を脱がせにかかる。たまに気まぐれで拒否すると、唇を尖らせて二の腕に頭突きしてくるんだけれど(可愛い)、今回は素直に腰を上げた。
「え、上もですか……」
上着のボタンを外されて脱ぎ捨て、万歳をしてTシャツまで脱がされる。鎖骨に吸いつかれてぶるりと震えた。
「ん、とりあえずこれくらいで許してあげる」
「追いはぎかなんかですか?」
「比企谷くんはそれくらいがちょうどいいよ」
「俺に人権はなかった……?」
陽乃さんがくすくすと笑いながら、ごく自然にしなだれかかってくる。肩にさらりと触れる艶髪の感触。
「男の人ってさ、普通こんなに出せるものなの?」
半勃起した膨らみをさすりながら陽乃さんが尋ねる。
「他の人は知らないですけど……俺に関して言えば、陽乃さんとするようになってから明らかに回数は増えてますね」
「へー、そうなんだ?」
「ていうか増やせなかったら今頃干からびてますよ」
「あはは、たしかにね」
耳たぶをぱくりと咥えられる。「んふー」という上機嫌な甘え声。勃起は細指の中で確実に育っていた。ボクサーパンツの膨らみにできた先走りの染みを陽乃さんが指先でくりくりと撫でまわし、目の前でちろりと舐める。
「んー……しょっぱい」
文句を言いながら嬉しそうな笑みを浮かべる。この人捻くれすぎじゃない?
「比企谷くん、こういうのも好きだよね」
「陽乃さんがエロすぎるからですけどね」
「今度逆痴漢でもやってみる?」
「その場合反撃しますよ」
「そしたらわたしは素直に叫ぶね」
「叫ばれる前に喘がせますから」
「……それはちょっと恥ずかしい」
珍しく言い負かした(?)と思ったが、どうやら陽乃さんの意識は完全に下腹部に向いているようだった。パンツの太もも側から指がすべり込む。自分の身体の中に入り込まれたかのような感覚にぞくりとする。
「また大きくなった」
パンツに潜り込ませた手で竿の根元や玉袋を丁寧に、執拗なまでに撫でまわす。どれくらい精子が残っているかを確かめるかのように。空いた手はずっと胸板を這いまわっている。
「陽乃さん……どんどんエロくなってません?」
平日は時間が限られるのである程度自制しているが、金曜夜から休日にかけて、予定がない日はとにかくすさまじい。時間と体力が許す限り身体を貪りあうのが常になっていた。
「一回ね、ほんとにセックス依存症なんじゃないかって思ったの」
「え」
目を見開く俺のパンツの縁に指を引っかけ、するりと脱がすと、
「でもね、チェックリストで調べるとぜんぜんそんなことないっぽいんだよね」
勢いよく飛び出した肉竿の先端をぱくりと咥え、俺の腹筋をたしかめながらもう片方の手でパンツを足首から抜く。
「君としかしたいと思わないし、別に君に『今日はだめですよぉ~』って言われたら切り替えられるしね」
「今の信じられないくらい気の抜けた裏声ってもしかして俺の真似ですか」
「もちろん」
「悪意ありすぎません?」
亀頭が温もりに包まれる。くぷっ、くぽっ、と音を鳴らし、口を離す。俺をじぃぃ……っと見つめながら、これ見よがしにちろちろと亀頭を舐める。噴き出したカウパーを美味しそうに啜り、小さな声で「しょっぱい」とつぶやいた。嬉しそうな、それでいてどこか幼い声。
「仕事に行くときもちゃんと切り替えてるし」
「出かける三十秒前まで搾られてるときもあるんですが」
「ぎりぎりまで君としてたいけど、挿れられたらもう出かけるどころじゃなくなるからっていう健気な乙女心ですよ」
「健気……乙女心……?」
あとで改めて意味を調べたい。
まあ、ね……と囁き、竿の根元をゆるゆるとしごきながら鼻先を触れ合わせる。
「専業主婦になって、君にずっと調教されるのも楽しそうだけどね」
ねろりと伸びてきた舌に自分の舌を絡める。細指が巻き付いた勃起肉がびきりと張り詰めた。
「毎日毎日たくさんして、君がムラムラしすぎて昼休みに帰ってくるようにしちゃうから」
何をそんなばかな……と思ったが、この人の沼にハマったらあり得そうで怖い。はるのんの沼……やだ、ぜったい底なし沼じゃん……。
「今、ちょっといいかもって思ったでしょ」
「そんなことは、うん、ええと、ない、です、はい」
「前よりも欲望に素直になってくれたねー。お姉さんは嬉しいぞ?」
ささやかな仕返しにルームウェア越しに尻を撫でると、陽乃さんは色っぽく眉をひそめた。
「こら、今は大事な話の途中でしょ?」
「え、どの口が……?」
本気で驚いてしまった。
「君に触られるとしたくなっちゃうから、ずっとわたしのターンね」
「理不尽にもほどがある……」
「ちなみに君が在宅で働く場合、わたしは薄着でうろついてます」
「なんですかその新手の拷問は……。まあ、ちょっかい出されないように縛って放置プレイでもしますかね」
陽乃さんが目をぱちくりさせ、それからけらけらと笑うと、
「ほんとにしたかったらしてもいいよ?」
「え、じゃあほんとにやります?」
強気に攻めたとたんに陽乃さんの瞳が揺れる。
「おぁっ、ちょ……っ」
先走りですべりがよくなった竿をちゅこちゅことしごかれて悶絶する。
「……ま、検討しとこっかな。縛られるのはありだけど、放置はさびしいし」
「え、可愛すぎません?」
頬をむにーと引っ張られた。唇を尖らせてるところも可愛いと伝えたいが、両頬を引っ張られているので言うに言えない。
陽乃さんがルームウェアを素早く脱いだ。するりとしなだれかかり、肉竿を口に含む。
「ん……ふっ、んん……っ」
温かな口の中で舌が亀頭を何周にも渡って這いまわる。裏側も快感が強いが、表側は表側で慣れていないぶん快感が強い。
「君はどんどん調子に乗って……お姉さんは悲しいなー」
そんなことを言いつつも、陽乃さんの目は完全にスイッチが入っている。出勤前でもいったんこのモードに入ると、最低でも30分は口を離してくれない。
「んー……やらしい汁、いっぱい出てる」
伸ばした舌がカリのくびれをなぞる。噴き出したカウパー液をちゅっ、ちゅっと吸い、うっとりと目を細める。
「陽乃さんだって……」
ふりふりと揺れる肉尻の割れ目に指をすべりこませると、くちゅりと卑猥な水音がした。陽乃さんがきゅっと眉をひそめ、快感をごまかすように内頬に亀頭をすっぽりと入れる。
「ほら、早く舐めてください」
黒髪をくしくしと撫で、花びらに指をつけては離しを繰り返して水音を大きく鳴らす。
「んふぅぅ……ふっ、んっ、んっ、んっ、ん……っ」
陽乃さんがこちらに身体を向け、規則正しいリズムで顔を前後に揺らす。剥き出しになった乳房と花びらに指を添え、乳頭をまさぐりながら花びらに指を入れる。濡れそぼった膣ヒダの中でもひときわ柔らかい場所を指先で幾度も押す。
「んぐぅぅ……ふっ、んふぅぅ……っ?」
口を離して何かを言おうとしたが、俺から腰を突き出してそれを止める。陽乃さんは恨めしそうに見つめながらも、玉袋を手でさすり、すぼめた唇を竿にすべらせる。
「陽乃さん……もう、出そう、です……っ」
蜜洞に浸した指をぐっぷぐっぷと鳴らしながら告げる。うなずく陽乃さんの目は、快感と呼吸の苦しさが相まって虚ろになっていた。
ぴっちりと締めた唇でカリ首を弾かれる快感にしばらくこらえたところで、心地よい射精感が湧きあがってきた。
「出ます、出る、出る……っ」
乳頭を強くつまみ、膣ヒダを指でぐっと押す。温かな口の中に精液が勢いよく噴き出した。
「んぐぅぅ……っ。んっく、ふっ、んふぅぅっ、んふぅぅぅ……っ」
絶頂のさざ波が身体を駆け抜けるあいだも、陽乃さんは唇をすべらせる。噴き出した白濁はこぼすことなくすべて細喉の奥に消えた。
「はぁ、はぁぁ、はぁぁぁ……っ」
陽乃さんが唇を離す。亀頭と唇のあいだにわずかに白濁した糸が引き、それを陽乃さんはちゅるりと啜った。
「すげぇ気持ちよかったです……。あ、さっき何を言おうとしたんですか?」
乳頭と膣への愛撫を続けながら尋ねる。
「えっと……ぁっ、んんっ、こ、らぁ……っ」
甘え声を漏らして身をくねらせる仕草があまりに色っぽい。
「……せっかく舐めてるのに、こんなふうに気持ちよくされたら挿れてほしくなっちゃうって言おうとしてた」
「……それ聞いてたら、途中で押し倒してたかもしれないです」
「だよねー」
陽乃さんがくすくすと笑い、膣から抜いた俺の指をためらいなく咥え込む。にゅるにゅると舌が這いまわる感触に背すじが粟立つ。さりげなく乳首もさすられ、情けないほどに震える。
「もう一回くらいはできるよね?」
「もう一回したら夜まではしないですよね?」
「善処します」
「すげぇいい笑顔で言われた……これぜったいだめなやつだ……」
陽乃さんが鼻歌まじりに俺にまたがり、人差し指と中指を鉤状に曲げて竿をつまんだ。
ここまでにしておきます!
詳細は活動報告に載せておりますので、そちらでご確認ください(^^)!
春に出したはるのん本の続きという形になっていますが、こちら単体でも楽しめます!
何かとしんどいことが多い一年でしたが、年の瀬に少しでもエロと癒しと笑いを提供できたら嬉しいです(^^)
それでは、今回もお読みいただきありがとうございました(^^)!!
よいお年を!!