※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

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1.

 明くる日の夜。

 小町に言われた通り、帰り道で晩飯を済ませておいた。食べたのはもちろんラーメンである。なりたけは通ってしまうなぁ……。

 誰も居ない家に帰って、まずはカマクラを愛でてやろうと近付いたが、ふーっと不機嫌に鳴いて、すいっとどこかに行ってしまった。家でもぼっちだぜぇ……。

 むん。

 ただただ。

 そわそわする。

 寝るまで、というか小町が帰ってくるまで何をしてようかなーなどと考えて、手当り次第に本やらゲームやら勉強やらテレビやらと試してみる。

 ……何をしてても落ち着かない。

 なに、俺どんだけ小町に依存してるのん? びっくりだね。

 取り敢えずシャワーを浴びて、パジャマに着替える。

 一応、念の為、どうなるか分からないから等というよく分からない予防線を心の中に張って、パンツを履かずTシャツも着ないでおいた。パジャマの下は裸の状態。一応ね、一応。

 部屋に入ると、妙なテンションの高さによりベッドに飛び込んだ。

「ぐお」

 思いの外跳ねて、ベッド横の壁に肩をぶつけた。何これ、超ダサいんですけど。

 アイシングしているスポーツ選手よろしく肩を押さえていると、玄関が開く音がした。

 とててと階段を登る音がしたかと思うと、部屋のドアがきいっとゆっくり開いた。

 隙間から、小町がぴょこっと顔を出す。その手はドアに添えられていた。なんか小動物みたいだな。超可愛い。

「ただいまー」

「おう、おかえり」

「…………」

 …………。

 突然の、沈黙。

 見つめ合って沈黙ってなんだよ。恥ずかし過ぎるだろ。

 数秒黙っていると、小町が照れくさそうに、

「あー……シャワー、浴びてくるね?」

 ぽしょりと言って、ドアを閉めるととててと小走りで去って行った。

 ……何この緊張。むずむずが止まらないんですけど。

 枕を抱きしめてベッド上を転がっていると、また壁に肩を打った。今度は逆。

 腕を交差させて両肩を押さえることでザビエル感が出た。超どうでもいい。

 あぐらをかいてそんなポーズをとってるもんだから、ちょっと暗めに撮影してもらえれば何かのアルバムのジャケットに使ってもらえそうとか思っちゃった。ほんとどうでもいい。

 

2.

 数十分後、シャワーを浴びてほかほかパジャマ姿になった小町が部屋に入ってきた。

「ど……どーもー……」

「なんだその挨拶……」

 どうやら、小町は小町で緊張しているようだ。15年連れ添っておきながら、お互い緊張してる兄妹ってなんなんだ……。

「よし、じゃああれだな、お前がベッドで寝て、俺が床で寝れば良いんだったな」

「なんで友達の家に泊まりに来た人みたいになってんの……」

 呆れ返った目で見られた。

……動揺しすぎて訳わからんこと言っちゃった。

「じゃ、じゃあ、ほら、ここ」

「あ、ありがと……」

 寝そべった状態で、掛布団を小町の側に開いて入るよう促す。

 ……恥ずかしくて死ぬ。

 小町はするすると入ったかと思うと、ぺたりとうつ伏せになった。

「ん、何してんだおまえ?」

「んふふー、お兄ちゃん、まずはお喋りしよう!」

 うつ伏せしてる為限度があるが、それでも目一杯首を振り向かせてにひっと笑った。

 ほーん? 何このイベント?

 まあ。

 可愛いから、許す!

 おう、と軽く応じて、小町の隣でうつ伏せになった。もぞもぞ。

 

3.

 互いにビーチフラッグのスタート時のような体勢で、のんびりと話す。この状態のせいで既にちょっとおねむ。

「お兄ちゃんと一緒に寝たのって、小町が小学校低学年のときが最後かなー?」

「そうかもな」

 確かあの時は、寝る前に心霊番組を見た小町が、ビビり過ぎて俺の部屋に来たんだっけ。もちろん、兄として全力で助けた。ただ一緒に布団に包まっただけだけど。

 ちなみに現在、部屋の明かりは消していて、枕元に小町が部屋から持ってきた間接照明を置いている。温白色の柔らかい光がなんとも心地良い。

 照明を褒めると小町が「へへーん、ムーヴィーでしょー!」とかぬかした時は絶望したけど。なんだムーヴィーって。それただの映画だろうが。あと発音だけちゃんとしてんのが腹立つ。ムーディーって正解を言われたとしてもなんか腹立つし。もう二重に三重にダメ。

「は~、そう考えると……あの頃から色々あったね~……」

 小町がややとろんとした顔で、間抜けな事を言い出した。

「なに、俺ら老夫婦かなにか?」

 金婚式間近な感じ。

 あとこんな台詞を言うとしたら、魔王との決戦前夜とかか。パーティーで焚火を囲って話してそう。

 小町は俺のツッコミも大して聞かず、というか完全にスルーしてまどろんでいる。むう、こいつ、すっかりくつろいでやがるな……。

「ん~、色々あった、色々あった……」

 お前は何の番組のナレーションだ。

 んー。

 なんか、てっきり今夜はそれはそれはもう、えげつないことになるのかなって期待してたけど、期待してるって言っちゃったけど、なんかこのまままったり寝そうな気がする。

 小町も最初はどうするつもりだったかは分からんけども、この調子だと気付いたらすやすや寝ちまいそうだな。

 小町を見るとすっかり舟をこいでいて、ただのおねむさんである。ほんとに何しに来たんだお前……。

 顔の前で軽く手を振っても「んにゃ?」と寝ぼけた反応しかされなかった。超可愛かったけど。

 こりゃもう、俺も寝た方が良いかな……と思い、小町が隣に居る状態で寝ることにまだ抵抗があったため、小町に背を向けてごろりと横を向いた。掛布団、ちょっと巻き込んでそっち薄くしてごめんね。

 なんかドキドキし損だったなぁ……なんて思いながらゆっくり目を閉じた。

 ――と。

「お兄ちゃん」

 背後で、さっきまでとは明らかに違う声音の、小町の声がした。

 

3.

「なーに寝ようとしてんの……?」

 息混じりの妙に色っぽい声を出しながら、すすすと俺に身を寄せてくる。

「や、だって、お前もう今にも寝そうだったから……」

 いつの間にか背中から抱きしめられていたため、がちがちに緊張しながら返事をする。

「寝る訳ないでしょ……」

 耳元で囁かれ、鼓動が跳ね上がった。

「お兄ちゃんもおっきくなって、小町もすっかりおっきく……とはまだ言えないかもしれないけど、それでもそれなりには育ったつもりだよ? ほれほれ……どう? どう?」

 言うと、小町が俺の背中に自分の胸をむにむにと押し付けてきた。柔らかっ……!

 ……あ。

 ……こ、こいつ……。

 ブラ、着けてねえ……!

 いや、考えてみれば、寝るときに下着を着けないのなんて当たり前とも言えるんだろうけど。

 しかしこの感触はまずい。背中になんか二つの固いものが当たっている。

 既に触ったことはあるけれど、直接見ながらでもないし、今のこの状況による興奮も相俟って、背中に当たる突起がやたらと気になる。

 それでも、背中越しなんだから下手に喋らなければ動揺も伝わらないだろうと高を括っていたら、

「んふふー……お兄ちゃん、動揺してるでしょ? 心臓の音、ばっくばく聞こえてるよ」

 おでこを俺の背中に当てて、小町がくすっと笑った。

 ……めっちゃあっさりバレてた……。

 死ぬほど恥ずかしいんですけど。

 ここからどうしようかと考えあぐねていると、小町が顔を更に近づけた。

 そして。

「はむっ」

「――――っ!?」

 耳たぶを咥えられた。上唇と下唇で、はむっと。

 え、なに、どうしたの小町ちゃん? お兄ちゃん、ドキドキで死んじゃうよ?

 小町は何か言うこともなく、ひたすら耳たぶを咥えてくる。やばい、小町が耳たぶはむはむしてくれるサービスがあったら毎日やってもらいたい……。寝る前の30分間みっちりと。

 しばらく咥えていたかと思ったら、不意にぷはっと言って唇を離した。その際の些細な吐息さえ、脳髄に電流が走ったかのような刺激に変わる。

 ぶるっと身体を震わせると、小町が急に右肩を掴んできた。

 そしてそのまま、ぐるりと小町の方に向くようひっくり返される。

「うおぉっ!? おい、何やって……」

 小町を見て、言葉を呑み込んだ。

 雰囲気が、ほんの数分前とまるで別人だったからだ。

 とろんとして、どことなく潤んだ目。

 上気した頬。

 少しばかりボタンを開けて、妙に色気を発している胸元。

 呼吸の度に下唇が微かに震える、半開きの口。

 完全に、「その気」になっていた。

「ねえ、お兄ちゃん」

 俺の首に手を回し、甘ったるい猫撫で声を出す。

 時間の流れがひどくゆっくりに感じられて、小町が一文字一文字発するごとの口の動きがはっきり見て取れる。

 やがて、更に顔を近付けて、おでこをこつんと当てて、目を細めながら、

「小町と……しよ?」

 更に甘ったるい声音で言うと、俺の返事も待たぬままに唇を重ねてきた。

 わずかばかり残されていた理性の糸が、本当に、いとも容易く焼き切れた。

 

 

 続く。




祝・2ヶ月!!
第1話を書いたのが3月21日なので、丸2ヶ月になりました。
ここまで書いてこられたのも皆さんが読んで、感想を書いて、評価をして下さっていたおかげです。ありがとうございます!引き続き宜しくお願い致します(^^)

小町編でした。ベッドで行為を始めるまでで1話くらいかかりそうだなーと思ったら、正にその通りでした。二人がうつ伏せでだらだら話す画をイメージしたら和んだので書いてみました。
次話からはもうがんがんエロで行きます。多分あと2~3話行きます。ついに話数が二桁の大台に……!

あ、ここから2点程連絡があります。
①今まで最新話にだけ「NEW!」を付けていたんですが、4つのエピソードを同時並行で進めている上に、毎日見る訳では無い方もいらっしゃると思いますので、最新から2番目の話にも「NEW!」を付けていようと思います。
②最近残業からの執筆という流れが多い為、推敲がぎりぎりになり、もはや0時0分に投稿してからでさえ加筆修正をしていることがあります。
これでは流石に申し訳無いなと思ったので、数日に一度程度だとは思いますが、まれに更新が少し遅れるようになるかもしれない、とだけお伝えしておきます。
といっても1時には寝るので、遅れても数十分程度です。
もし0時を回った時点で更新されていなかったら、「ああ、あいつ推敲してんだな」くらいに思って頂ければ!
0時台に一千数百人の方が見て下さっていますので、念のため連絡させて頂きました。
お手数おかけしますが、何卒宜しくお願い致します。

明日も何を投稿するか分かりません。どうしよう!


それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!
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