※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

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(3)

1.

「あ、そう言えば」

 由比ヶ浜の胸元騒動も一段落ついて、しばらくの間3人でのほほんと過ごしているときに、用事の一つをすっかり忘れていたことに気付く。

「ヒッキー、どうしたの?」

「これこれ、今日のノートのコピー」

 由比ヶ浜が休んだ分のノートのコピーを翳す。

 別に、何となく落ち着かなくて、昼休みと放課後部室に行く前にせっせとコピーしていたりはしていない。断じてしていない。

 由比ヶ浜をコピーをじっと見て、呆気にとられているようだった。

「……これ、ヒッキーが用意してくれたの?」

 ……俺、そんなに不親切に見えますかね?

「コピーしただけだ。さらっとやれるぞこれくらいなら」

 ベッド際に座っている由比ヶ浜の方に歩いて行き、ぱさりと手渡す。

 ……胸元を凝視してしまった……!

 って言うか、ここからだともはや突起がチラ見出来てしまう。

 いかん、見るな、見るな俺、見るな……!

 ……ダメだ、「押すなよ、絶対押すなよ」に変換されて行く……!

「ヒッキー」

 雑念にまみれていたところで、由比ヶ浜の声がしてはっと目を覚ます。いや、起きてるけどね。

 由比ヶ浜はノートのコピーたちをきゅっと抱きしめるように持つと、目を細めて笑った。

「……ありがと」

 少しトーンを落とした、優しい声音と潤んだ瞳に思わず目を見開いてしまう。

「……っ! ……お、おうおう、どど、どういたしまして」

「あなたはどこのオットセイなのよ……」

 尋常でない程にどもっていたら、雪ノ下の呆れたトーンでのツッコミが聞こえてきた。

 ……あれは、耐えようとしたって耐えられないぜぇ……。

 由比ヶ浜さん、コピーを見てえへへっと笑うのはちょっと……どきどきしすぎてやばいので……ねえ?

 

2.

 そこからもうしばらく経つと、由比ヶ浜がうとうととし始めて、雪ノ下に肩を寄せて体重を預けるようになってきた。

「あら、疲れたのかしら?」

「むにゃ……んん……」

 雪ノ下が右肩に寄りかかっている由比ヶ浜を左手で優しく撫でると、由比ヶ浜はおねむの子供のような声で返した。

 ……姉妹兼母娘だと……? レベル高いじゃねえか……!

 雪ノ下が、由比ヶ浜を撫でつつこちらをちらりと見る。

「……そうよね。風邪で体力を消耗している所へこの男が来たんだものね……」

「なんで俺だけなの? 俺はエナジードレインの使い手なの?」

 それどこのブラック羽川だよ。もしくは武装錬金のやつ。お前に抱き付いて体力を吸ってやろうか! そして社会的に抹殺されてやろうか!

「私たちには構わないでいいから、もう横になって休んでいてちょうだい? 大丈夫、もうしばらくそばにいるから」

「むにゅ……うん……ありがと」

 雪ノ下が由比ヶ浜を抱きしめて横にして、枕の位置を調整しながら布団を掛ける。

 寝るための準備が完全に整うと、由比ヶ浜がにへっと安堵の表情を浮かべた。

 ……雪ノ下がお母さんになったら、こりゃ安定だなぁ……。

 ……なんか身体が熱くなってきた……。

 由比ヶ浜をゆっくりと撫でた後、雪ノ下がくるりと振り返る。

「もう少しだけ様子を見ていきましょう」

「ああ、そうだな」

 雪ノ下はふっと微笑むと、紅茶を淹れると言ってぱたぱたと部屋を出て行った。

 ……紅茶を用意出来る程、由比ヶ浜家の台所の諸々を既に把握してるのん? 早くない?

 

 そこからまたしばらくの間、のんびりとした時間を過ごした。

 場所は由比ヶ浜の部屋というイレギュラーな状況ではあるが、紅茶の香り漂う場所で3人で過ごすこの時間は、部室で過ごすときと雰囲気が自然に似てくる。由比ヶ浜はもう寝てるけど。

 由比ヶ浜はたまにむにゃむにゃ言っては、にへらーっと笑っている。幸せな夢を見てるんだわーん。

 雪ノ下はそんな由比ヶ浜を見る度に、愛おしそうに撫でている。

 ……雪ノ下さん、由比ヶ浜のこと好きすぎじゃありません? あ、布団掛け直した。幼い女の子を育ててるお母さんみたいだな……。    

 ……母ノ下さんって死ぬほど言いたいけど、死ぬ気で我慢する。

 ふと。

 雪ノ下がちらりと携帯を開くと、一瞬眉をひそめるのが見えた。

 表情はすぐに戻ったため、それについて追及することは控えることにした。

 

3.

「もう、大丈夫そうね」

 もうしばらく経った後、雪ノ下は由比ヶ浜の顔を覗き込むと、安心したように言った。

「そうか。じゃ、行くか」

 言って片付けを始めると、雪ノ下がメモ紙らしきものに何やら書き始めた。

「何書いてんだ?」

 ちらりと覗き込みながら質問する。こいつ、やたら字上手いな……。書道何段とか普通に取ってそう。

「置き手紙よ。一応ね」

 淡々と書いてペンを置くと、雪ノ下も片付けを始めた。

どちらも一通り帰る準備を終えたところで、俺も ちらりと由比ヶ浜の顔を見る。

……うん、これなら大丈夫そうだ。今は横を向いて、くうくうと穏やかな寝息を立てている。

「…………」

 …………。

 …………うん、大丈夫。変な気持ちになんてならない。絶対に!

「何をしているのよ……」

 固まっていると、後ろから呆れたような声が聞こえてくる。

 振り向くと、雪ノ下がこめかみに手を当てて眉を寄せていた。

「あ、ああ、すまん」

 ……「つい」って最後に付け加えそうになった。あぶねえあぶねえ……。

「さあ、帰りましょう」

「そうだな」

それじゃ帰りますかと言って、ベッドから離れようとした。

 ――と。

「……っとぉ……?」

 何かに、右手をくんと引っ張られた。

 そんな事態を想定してはいなかったため、後ろに大きく仰け反る。

 視線の先では、雪ノ下が何事かときょとんとしている。

「……んん……?」

 後ろを振り向くと、由比ヶ浜が寝たまま、俺の手を握っていた。

 ……なんつう寝相だ。

 無理に振りほどくのもなぁ……と思い、雪ノ下に助けを求める視線を送る。

 しかし雪ノ下は俺と目を合わせず、代わりに由比ヶ浜のことを真っ直ぐに見つめていた。

「ん、なんだよ? ……あ」

 雪ノ下の視線を辿って由比ヶ浜の顔に辿り着くと、由比ヶ浜は少し苦しそうな表情を見せていた。

 ――と思ったのだけれど。

 よく見ると、目こそ閉じてはいるが、その表情はどこか寂しさを漂わせている、そんな気がした。きっと雪ノ下も同じように感じたのだろう。

 犬だったら眉をひそめて「く~ん……」とか鳴きそうな感じ。

 具合が悪い訳ではないのだろうけれど、このまま残して行くのは忍びない気がした。って言うか後ろ髪が超引っ張られる。

「……どうする?」

 雪ノ下にちらりと目をやって聞くと、由比ヶ浜から俺へと視線をずらし、にこやかに微笑んだ。

「……比企谷くんだけ残って行ったらいいんじゃないかしら」

 ほーん?

 なんでなんで?

「……えっと……なんで? お前を一人で帰すのもあぶねえし」

 本音だった。

 俺が由比ヶ浜の部屋で二人きりになる緊張も、雪ノ下に夜道を歩かせるという心配も。

 聞くと、

「由比ヶ浜さんは寂しがってるようだから、出来るなら私たち二人で残っていてあげたいけれど……」

 雪ノ下はため息交じりに携帯を取り出して、画面を見せてきた。メールを見せたいらしい。

「これは……げっ、陽乃さん?」

 思わず、げって言っちゃった。本人が居なくて良かった……。

「そう。姉さんがね、私の家に遊びに行きたいって突然言ってきたの。もちろん断固拒否したんだけど、清濁併せ呑んだ交渉をされて、結局折れたのよ……。まったく、あの人の気ままさには本当に迷惑するわ」

 うーわー……あの人らしいなぁ……。

 あと、清濁って何なの……? 超気になるんですけど。

「今は由比ヶ浜さんの家にいるということを伝えたら、じゃあ家の前まで迎えに行くから、地図を送ってと言われて……由比ヶ浜さんには申し訳ないけど、本当に申し訳ないけれど、添付してもらった地図を姉さんに送ったの。それで、恐らくもうすぐそこまで来ているのよ。だから、私がこれ以上ここに居ることも出来なければ、私の帰りの心配をする必要もないの。……お願い、出来るかしら」

 困ったように眉をちょっと寄せるのやめろよ、可愛いだろうが!

 しかし、この状況はどうしたものだろうか。

 下手に時間が経てば、陽乃さんがこの家に突入さえしてきかねない。

 いや、あの人ならむしろ喜んで突入してくるだろう。

 だから、あまり迷っている時間は無い。

 由比ヶ浜に手を握られたまま、左手で頭をがしがしと掻く。

「……分かったよ。ちょっとだけ残ってくわ」

「ありがとう。それじゃあ、由比ヶ浜さんによろしくね。……無理矢理襲ったら駄目よ?」

「するか、んなこと」

 俺の返しを聞いてふっと微笑むと、雪ノ下は由比ヶ浜をそっと撫でて小声で挨拶をしてから、俺に視線を向けて胸の近くで小さく手を振ると、静かに部屋を出た。

 そして間もなく、車の発車音が聞こえた。

「車で来てたのかよ……」

 流石だな、陽乃さんってか雪ノ下家。

 頑張れ、魔王に負けるな、母ノ下!

「……さて、と」

 繋いだ手を離したら余計に寂しがってしまうだろうから、手を繋いだままベッド際に腰を下ろす。コートをまだ着てなくて良かった……。

 使い慣れない手でなんとか小町に事情説明のメールを送る。

「ふう」

 ほっと一息をつく。

 由比ヶ浜の顔を見ると、再び穏やかな表情になって、くうくうと寝息を立てていた。

「……ちょっとだけだぞ」

 言って、少しだけ、右手を握り返した。

 

 

 

続く。




何でしょう、超平和ですね。
ゆきのんも加わるとガハマさんの存在感がぶれるので、最初からこの流れにするつもりでした。
この状況になるまでの尺が、最初考えたときの倍くらいになっていますが……まあ良しとします。

超うとうとしております。眠い。
寝る直前のまどろんでいる時やこういううとうとしている時に、主にエロ部分のネタがどんどん湧いて出て来ます。いろはすのくだりも含めると、もう2週間分くらいのネタは浮かんでいるんですが……全て書き切るのはしばらく先になりそうです。

戸塚の誕生日だったようなので、血迷って戸塚の話を書こうかと考えちゃいました。思い留まりました。割とエロく出来そうだから余計にやばい!

めぐりんのリクエストが割と多いのに気付いたものの、アイディアがなぁ……と思っていたら、今日の仕事中にちょっと骨組だけ組むことが出来ました。
もう少しリクエストがあるようでしたら、いろはす・はるのんの次くらいに書いてみようかと思います。あくまで予定ですが!

アニメも見てるんですが……いろはすがどんどん凶悪なまでの可愛さを晒してくるぅ……!


それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!
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