※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

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(4)

1.

 由比ヶ浜と右手同士を繋いだ状態で二人きりになって、かれこれだいぶ経った気がする。

 体感的には、大体30分くらい経っただろうか。

 どれ、時計は……。

 ……まだ5分しか経ってなかった。

 なんだこれ。一人で緊張してるのがバカみたいなんだけど。

 由比ヶ浜を見ると、時折にへらっと笑ってむにゃむにゃと何か呟き、その度に握っている手にきゅっと優しく力が込められる。その絶妙な力加減にいちいちドキドキしてしまう。

 うーん。

 何というか、最低と分かってて言うけれど。

 襲うなんてことは絶対しないけど、せめてあの谷間はもう少し眺めたい。

 しかし、掛け布団に綺麗に包まっている為見ることは叶わない。

 ……もどかしい。

 見ることが出来ないならせめて手は離したい。ドキドキしすぎて心臓に悪いし、ゆっくりと床に座っていたい。

 ――などと考えていたとき。

「うーん……暑い……」

 由比ヶ浜が、ぶうたれる子どものような口調で呟くと、空いている左手で掛け布団の上半分をばほっと取り払った。ばほっ。

「……う……お……」

 目を見開いた。下手をすれば血走っていたかもしれない。

 由比ヶ浜は、右手は変わらず俺と繋いだままで、何も上に掛けずに、さっきまでの服の状態のまま、堂々と仰向けで寝ている。

 つまり、胸元のボタンを明らかに開けすぎた状態で寝ている。

 それどころか、さっきよりも更にボタンがもう一つくらい開けられているのではなかろうか。

 見えてはいけない突起が、ちらちらと見え隠れしている。

 …………。

 …………っっっだあぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁ!

 触りてえ!

 何だこれ!? 据え膳にも程があるだろう?

 でも、でも、でも!

 左手で頭を抱えて、由比ヶ浜の繋いで手は下手に動かさないようにしながら全力で悩み苦しんでいると、由比ヶ浜が少し声を漏らしたことに気付いた。

 んんっ……と。

 悩ましいような、苦しんでいるような、そんな声。

「おい、由比ヶ浜、大丈――」

 寝ているとは知りつつ、思わず声を掛けた俺の言葉が、由比ヶ浜の行動により遮られた。

「寒い……」

 言うや否や、由比ヶ浜は繋いでいた俺の右手を両手で全力で引っ張った。

「うおぉ……っ!?」

 俺の戸惑う声も意に介することなく、まあ寝ているのだからそれも当然だが、遠慮無しにぐいぐいと引っ張りこんでくる。

 その結果として。

 俺の顔は、気付けば彼女の胸元に完全に埋まってた。ぽふっと。

 …………。

 ……抱き枕……だと……?

 流れとしては何となく分かる。

 夢の中で不安になって、伸ばした手がたまたま俺の手を掴んで。

 そして熱もあるからか布団が暑くなったためにそれを取り払って。

 最後に、やっぱり寒くなったからと近くにあったどころか掴んでいた俺の身体を抱き寄せる。

 うん。まあ。

 分かるには分かる。

 しかし、これは。

 まずい。

 互いに横向きになり、由比ヶ浜は安らかな寝息を立てながら、俺の頭をすりすりと撫でている。

 何、俺の髪の毛そんなに撫で心地良いのん? 何と勘違いしてんだろう……。

 そう言えば、布団に包まっていたせいか由比ヶ浜の身体はじっとり汗ばんでいて、パジャマがしっとりと肌に貼り付いている。

 そのため、二人の身体の密着感がより増してしまっている。これは非常にまずい。全裸で抱き合っているよりエロいかも。そんな状態になったことないから分かんねえけど。

 心地良すぎてやばい。特に顔が気持ち良い。柔らかすぎんだろ、こいつの胸……。

 しかしそろそろ離れないと、俺の理性がいよいよまずい、もう離れようか……と思った矢先。

 耳元で、

「えへへ……ヒッキー……」

 由比ヶ浜がぽそりと俺の名を呼び、とびきりの幸せな笑みを浮かべた。

 や。

 これ。

 だめでしょ。

 可愛すぎる。もうだめ。

 いくら目が腐ってても、男ですもの。このままじゃ据え膳も片付けられちゃう。

 所在無げにふわふわさせていた両手を急にわきわきさせていると、

「――え?」

 二人同時に、声を上げた。

 そう。

 二人、同時に。

 由比ヶ浜が目を覚まして、ばっちりと目が合ってしまった。

 

2.

「……え」

 由比ヶ浜が、もう一度声を漏らした。

 俺はというと、多分目も当てられない程の苦笑いを浮かべていたと思う。

 ちなみに目は合っているけれど、顔は彼女の胸に埋まってるので自然と上目遣いみたいになっている。俺の上目遣いとか気持ち悪くて死んじゃう。俺が。

 状況を、というより二人の体勢を把握したのか、由比ヶ浜が目をむいた。

 悲鳴でも上げられたら色々とまずい、普通の女の子ならまず確実にそうするだろうし……!

 ――と。

 思ったのだけれど。

「……あ、あはは、あたし、寝相悪かったかな……?」

 顔を真っ赤にしながら、俺をしっかり抱き寄せたまま。

 彼女は、気まずそうに笑った。

 状況の理解がやたら早いのね……。

 彼女の胸に埋まりながら、俺もたははと苦笑いを浮かべた。

 

3.

 二人でベッド際に並んで座り、事の経緯を一から説明する。

「そっか、そうだったんだね。……ごめんね? ヒッキー」

 足をぷらぷらさせながら、こちらをちらりと見る。

「や、俺こそ、その、なんか、すまん。ていうか、悲鳴を上げずにいてもらえて助かった。普通自分が起きて男が抱き付いてたりしたら、それこそ一瞬で警察沙汰だろ?」

 言うと、由比ヶ浜は一瞬目を見開いて、やがてゆっくりと細めた。

「あー……うん、もちろん最初はびっくりしたよ? だけど、その……ヒッキーがくっついてくれてたって言うのがなんか、びっくりはしたけど、凄い安心して……嬉しくて、さ」

 指をもじもじと絡めながら、下を見つめてぽそりと呟く。

「あ、そ、そうか……なら、何より……だな」

 頬をぽりぽりと掻きながら、俺も目を逸らす。

「…………」

 互いに目を逸らすこと、丸々一分。

 何だこれ。アニメでこんなシーン流したらただの放送事故だって思われるぞ。

 そろそろ向き直らねばと思って首の向きを変えると。

「……あ」

 目線を戻すタイミングがばっちり一致してしまい、思い切り目が合った。

 互いに顔が真っ赤になるが、今度は由比ヶ浜が目を逸らさない。

「……ヒッキー、あのね?」

 由比ヶ浜がこちらの右腿に手を乗せ、するりと身体を寄せてくる。

 離れようという気が、起きない。

 離れられないし、離れたくない。

 何となく、そんな気持ちになった。

「ほんとに、ありがとう」

 ヒッキーは……と由比ヶ浜は続けて、

「しょっちゅうよく分かんないこと言うし、あたしのこと馬鹿馬鹿言うし、本読んでにやけるとほんとキモいけど……」

 待て待て。

 逆接の前の罵倒ラインナップが辛すぎるぞ。

 だけどあたしにとっては、と由比ヶ浜は言い、顔を更に近付ける。

「あたしが困ったときに駆け付けてくれる、ヒーロー……にしてはちょっと目が腐ってるけど、……でも、ほんとに、本当に、頼りになって、かっこいい男の子なんだよ。ずっと、ずっと……今も」

 ずどん、と。

 心臓がとんでもない力でぶん殴られた感覚に陥った後、今までと比べ物にならないくらいの速度で心臓が早鐘を打つ。

 由比ヶ浜の目は潤んで、でも顔には幸せそうな笑みを浮かべていて。

 二人の唇は、微かな吐息さえ分かる程に近付いていた。

「由比、ヶ、浜……」

 自然と、彼女の名を呼ぶ。

「ヒッキー……」

 由比ヶ浜はゆっくりと目を閉じて、やがてどちらからともなく、二人の唇が重なった。

 

4.

「んんっ、んむっ、んちゅっ、えむっ、あふあっ……」

 初めてのキスだからと、少し唇同士が触れてはいお終いとは行かなかった。

 座りながら互いの唇を貪って、口内を貪ると、二人はそのまま後ろに倒れ、互いに横向きになって更に舌を絡め合った。

 俺が上になって唾液を流し込めば、由比ヶ浜も同じように上になって唾液を流し込んでくる。

 彼女の唇の柔らかさと、口内や唾液の得も言われぬ甘さが、ゆっくりと理性を蕩けさせていった。

 身体を更に密着させたいと思い、完全に彼女の上に乗る体勢をとり、好き放題に口内を舐り回し、舌に吸い付いて自分の口内で彼女の舌を根本から蹂躙し、耳にもゆっくりと指を入れてさわさわと撫で回す。

「んぐっ、れるっ、んはっ、はむっ、んちゅるっ、はぅっ、ヒッキー、ヒッキー、ヒッキー……」

 なんだこれ?

 なんだこれ?

 なんだこれ?

 可愛すぎる。

 柔らかい。

 温かい。

 頭が、おかしくなる。

 密着してたわわな胸が潰れるのも厭わず、彼女は俺の背中に手を回して、愛おしむようにさすり続けた。

 途中からは互いに手を握り合って、指も舌も絶え間なく絡ませ合った。

 

5.

「……ぷはっ。……ねえ」

 口を離すと、由比ヶ浜がにこやかに微笑みながら口を開いた。

 このときは俺が上になって唾液を流し込んでいたため、唇と唇が離れるとその間に糸が引かれて、それが切れると、彼女は口の周りをうっとりとした表情で一舐めした。

「今日、金曜日でしょ? それと、お父さんとお母さんが帰って来るの、日曜なんだ。だから……今日、泊まっていかない?」

 由比ヶ浜の表情は、今まで見たことがない程に大人びていて。

 目を細めて微笑む仕草に、たまらない程胸が高まった。

「……な……あ、や、いくらなんでもそれは……」

「じゃあ、あの、さ……明日も看病してほしいからって理由じゃ……だめ?」

 少し困ったように、上目遣いで笑う。

 これを了承したら、この後どういうことになるかなんてのは分かりきっている。

 正直、その展開の魅力に抗えないなという気持ちはあった。

 いや、この言い方自体彼女に失礼だろう。

 よし、自分に正直になろう。

 したい!

 ……思っただけで死にたくなった……。

「……わかったよ。泊まってく。小町に連絡するから待っててくれ」

 言って、由比ヶ浜の表情がぱあっと明るくなるのを見ながら、携帯を手に取るとぱぱっとメールを打って送信する。

 ものの数十秒で返信が来たかと思うと、異常な数の星マークと共に「おめでとう!」と返ってきた。やべえ、超うっとうしい……。

「これでオーケー。……じゃ、その、なんだ、よろしくお願いします」

 頬をぽりぽり掻きながら、妙に恭しく挨拶してしまう。

「あ、こちらこそ……その、よろしくお願いします」

 何故か同じテイストで返された。

 互いに目を合わせると、ぷっと笑い合った。

「それじゃあ、さ」

 由比ヶ浜がきちんとした向きで仰向けに寝転がると、少し恥ずかしそうに胸元を手で押さえた。

「ここ……どうぞ? ヒッキー、いつも見てて興味津々みたいだし……」

 バレてた。

 死にてえ。

 内心絶望していると、由比ヶ浜は戸惑いながら言葉を続ける。

 「でも、その……ここ、さ、結構……っていうか、すごく弱いから……あんまり、イジめないでね?」

 もじもじと内股をすり合わせながら、首だけ横を向いて、頬を朱に染めながら、潤んだ瞳で流し目を送った。

 …………。

 なんという、素晴らしいフリなんだ……!

 

 

 

 続く。




次回のガハマさんは胸大特集です(予告)。

もうじき2ヶ月なんですが、毎日更新以上のことは出来ないので特に何もしません← 60話突破したときはコメントすらし損ねました← 何話か前から、60話行ったときは絶対お礼のコメント書くぞーって思ってたんだけどなぁ……。
って言うかもう2ヶ月近く毎日書いてることにびっくりしました。
一回、60話記念に一日だけ休みます!とかって言おうとしたんですが、それやるとペースが乱れるだけなんで、考えてから2日後くらいに自分の心の内で取り下げましたw

300000UA達成しましたーーーーーーー!!!!!
いつもありがとうございます(^^)!!!これからもよろしくお願いします!!!
これこそ何かお祝いに何かやりたいところですが、やれることはお祝いでなくともやるつもりなので、結局何も出来ないですね!←

また一週間が始まりますね。ここでこんな挨拶を何度もすることになろうとは思いませんでした……!

明日からまたランダムで行きます。さてさてどうなることやら。


それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!

(追記)投稿場所と話数を間違えました!!ご指摘ありがとうございます。訂正しました(^^)!
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