※この作品はR-18です。

俺ガイル 日常の何気ないエロス。   作:高橋徹

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「えへへ……」

「…………」

 現在の状況。

 自宅のリビングのソファで、俺と由比ヶ浜が抱き合っていて、そのすぐ横で気を失った小町がうんうん唸っている。気絶の理由はくだらなすぎるので割愛。

 ……や、おかしいでしょ。

 何これ?

 何がどうしたらこんな状況になるの? おかしいでしょ?

 なんとか記憶を辿って(と言っても、せいぜいここ10分くらい)、ここまでの流れの説明を簡単にしようと思う。

 安心して欲しい、この話に深みなんて全くないから。水たまりくらいしかないレベル。あるいはプリンのカラメル部分くらい。

 

       ×  ×  ×

 

「小町をまずはソファに……っと」

 マンガみたいに目をぐるぐる回しながら倒れている小町(面白いし可愛い。超可愛い)をお姫様だっこで持ち上げる。

 内心、柔らかいなあ間違えた軽いなあとか思いながら、のっそのっそとソファに連行。

 そっと下ろして寝かしつけると、その横にぽすっと座った。

「ふいー」

 温泉に浸かったおっさんのような声を出して、ふへーと気を抜いた。

 ふと、横に目をやると。

「…………」

 一連の様子を見ていた由比ヶ浜が、俺のことをじーっと見ている。や、ほんと、じーっと見てる。なんか犬が生まれて初めて見る珍しいものに出くわしたみたい。撫でたいなあ……。どうでも良いけど、生まれたてのパグが手を叩く音とかに反応して首を傾げるのが殺人的に可愛い。何回も傾げさせている内に音に慣れて、何の音を出してもきょとんとした顔しかしなくなった時のショックは異常。

 由比ヶ浜を撫でるにはやや距離が遠いので(既に動く気0。今ならチャンネルを替えるにもリモコンをカマクラに取りに行かせるまである。カマクラが俺の居る所までリモコンを弾いてくれる確率なんて天文学的な低さになりそうだけど)、由比ヶ浜もこっち来ないかなーとふやけた顔をして考えていたら、由比ヶ浜が立ち上がってとてとてとこっちに向かってきた。人差し指を唇に当てていて、なんか食べ物を欲しがる子供みたい。よし、こっちに来るんだ……俺に撫でさせろ……!

 ――と。

「……んん?」

 近くに来たら由比ヶ浜がどんな体勢をとろうが撫で回す気満々でいたのだけれど。

「……ほっ」

 俺の予想を軽々と飛び越えて、妙に気の抜けた掛け声と共に、俺に正面から抱き付いてきた。

 その瞬間、むにゅっという至福の感触が押し寄せる。

 乳トン先生、Come Again☆!

 ……いや。

 なんでだよ。

 あ、冒頭のシーンまでの流れの説明は以上になります。ね、水たまりでしょ?

「えーと、由比ヶ浜さん? また小町を気絶させたいの?」

 言うと、由比ヶ浜の目ががんがん泳ぎ出した。アメンボくらい縦横無尽に泳ぎ回ってる。。

「……い、今は……抱き合ってるだけだから大丈夫だよ、きっと、多分、おそらく、多分」

「どんだけ自信ねえんだよ……」

 きっととか多分って言うことで、コンマいくつの掛け算をしてる感じがする。最終的に小町が無事な可能性が3%くらいになってそう。

 何してんのかしらこの子はとジト目を向けると、由比ヶ浜が口を尖らせる。

「……だって、もっとヒッキーとこういうことしたいんだもん……」

「……っ」

 ほーん?

 なんでしょうか、この子。

 いつもは空気を読んで、自分の言いたい事もなるべく上手いオブラートに包んで喋るような子なのに……なんか、なんか。

 程好くわがままになっている。

 2人きり(正確には横に世界の妹(気絶)が1人)だからなのか? いや、それでも、今まではこういう事を言うヤツではなかった。

 ……気を許してくれているんだろうか。前よりも、少しずつ、少しずつ。

 なんだろう、この気持ちは何だろう。声にならない叫びとはならない。

 なんていうか、うん。

 この状況はアレだ。

 嬉しい。

 妙に気持ちがぽかぽかして、こそばゆい。

 本当にこそばゆいので、しょうもない例えで気を紛らわそう。

 うん。

 あれだ、八九寺と再会した時くらい嬉しい。俺あの子に会ったことなかった。

「……仕方ねえな、あとちょっとだけだぞ?」

 言って、さりげなく由比ヶ浜の腰に腕を回しつつ、頭を撫でる。うん、顔が近いからなんかもう良い匂いを感じすぎてやばいです。あと抱き締めたら身体のむちむち感が伝わってなんかもう死にそう。

 俺に頭を撫でられて、由比ヶ浜はこそばゆそうに身体をもじもじとさせて、頬を緩めた。

「……えへへ……ありが、と、う……」

「ん?」

 由比ヶ浜が急に、バッテリー切れを起こしたロボットみたいになった。

 顔は俺を向いているが、目だけは横にぎぎぎと不自然に動いている。

「…………」

 ――何かの気配を感じた私は、恐る恐る、横を振り向きました。

 その時、見えてしまったのです! なんだこのノリ。

「……あ」

 世界の妹、小町ちゃんが復活してました。

 わー……超目ぇ細めてる。その瞳に宿る感情は何、親心? 呆れ? それともぶ・べ・つ? 侮蔑?

 俺と由比ヶ浜が静止画の如く止まって固まっていると(本当にぴたっと止まっている。今の俺たちよりも、ハリーポッターの世界の写真の方がよっぽどアクティブだ)、小町がおもむろに何かを探す動きを始める。

 そして。

「…………」

 かしゃり、と。

 小町は、無言でスマホを翳すと、俺たちががっつり抱き合っている写真を撮った。

 そして、

「う~ん……まだ小町は気を失っている~……妹を気絶させておきながらその横で更にイチャついている兄とその相手のお姉さんの写真なんて撮っていない~……」

 ひどいクオリティの寝言(のつもりらしい)を呟いたかと思うと、小町は再びぱたりと寝た。無駄にう~んう~んと唸ってる。

 …………。

 ひでえ。

 なんかもう、ひどすぎる。

 ツッコミ所が多すぎて試合放棄したい。

「…………」

「…………」

 由比ヶ浜と、そろりと目を合わせる。

「…………」

「…………」

 数秒の、沈黙。

「…………」

「…………」

 ――沈黙、終了。

「小町ちゃん? 何してくれちゃってんの? お兄ちゃん流石に今のは看過出来ないぞ?」

「そうだよ小町ちゃん! 絶対カンカ出来ないよ!」

 ……こいつ今、看過をカタカナ表記で言わなかったか……? 何語だよ。

 しかし、呼び掛けも虚しく、俺と由比ヶ浜の言葉に小町は反応しない。

 揺する。

 反応しない。

 ぴくりとも。

 更に揺すりつつ、言葉を掛ける。

「おい、小町、起きろ、お前が起きてるのは、由比ヶ浜の胸がFカップ以上あるのと同じくらい明らかだぞ」

 どさくさ紛れで言ったらバレないかなあと思ったが、由比ヶ浜が目ざとく(ひどい)反応した。

「なんでそれ言ったの!? あたし自分の胸の事何も言ってないよね!?」

「じゃあGはあるのか?」

「や、そんなには……ってこらー!」

 はい。

 流れ弾から、軽いコントを挟んでみた。

 ちなみに小町は……と、見てみると。

「う~ん……結衣さんはFカップ……羨ましい……小町も雪乃さんと頑張らないと……」

 …………。

 なんか、雪ノ下も巻き込みやがった。寝言のフリでさらりと罵倒するそのメンタル、マジでクールだと思います。

「小町ちゃん!? あたしはそんなに……あ、うう……小町ちゃん、起きて、起きて!」

 否定しねえのかよ。もう確定だな。Fだな? 信じるぞ? それにしても、あの大きさなのにアレがつんと上を向いてる釣鐘型とか素晴らし……おっと、口が過ぎたようだ。

 由比ヶ浜が涙目で小町を起こしにかかっていると、小町は寝たフリのまま更に言葉を続ける。なんでこいつ寝たフリ続けてんだよ……。

「う~ん……取り敢えず今の写真は小町のスマホの待受けと、Twitterのヘッダー画像と、mixiのアイコンと、Facebookのカバー写真に設定して……後はFBのアルバムにこの写真を載せて2人をタグ付けしないと……あ、でもお兄ちゃんはぼっちだからSNSとは無縁だった……」

「Twitterのアカウントぐらいあるわあああ!」

 妹に絶叫してツッコミをする、酷くてひどい兄がいるらしい。

 俺だった。

 ていうか、こいつすげえこと言ってる。流石に止めないと。薄目を開けてスマホを弄り出してるし。寝たフリするんならもうちょっとちゃんとやれよ。なんだこの茶番。

 ……そろそろ、本気で起こすか。

「小町ちゃ~ん、朝ですよ~」

「う~ん……あと5分……いや、3分で全部設定が終わるの……」

 うーん。

 こいつ、バカなのかにゃー?

 ……かくなる上は。

「お、おい、由比ヶ浜、急に脱ぐなって! 何やってんだ、小町がいるのに!」

「え、あたし!? まだ何にもしてないよ!?」

「お、お、お、おーーー!?」

「はい、起きた」

「あ」

 捕獲。

 由比ヶ浜の痴態(ウソ)を見ようと、目を爛々と輝かせて起き上がった小町の首根っこを猫みたいにふん捕まえると、小町は「ふにー!」と鳴いた。なんで猫に寄せてくれたの? 可愛いけど。 

「……え、あ、そういうこと? なーんだ、あはは……」

事情を数秒遅れで察した由比ヶ浜が苦笑いを浮かべた。

 ……きみ、今、「『まだ』何にもしてないよ!?」って言ったよね? すごいこと言った自覚あるのかしらん? まあ、もう既に色々やってる訳だけど。ど淫乱メロンめえ……。

 と、言う訳で。何がだよ。

 いよいよお昼ご飯作りです。すんごいドキドキする。結果によっては本気で心臓がドキドキして止まる可能性もあるから洒落にならない。

 ……本来、こんな緊張するイベントじゃないはずなんだけどなあ……。可愛い妹と、まあ、その、アレな関係の子がご飯を作ってくれるとか、胸アツの筈なのに! ……筈なのに!

 

 

 

 続く。




ちょろっと書こうとしたシーンが思いの外膨らむという。
小町とガハマさんはギャグ調でめっちゃ書きやすいなと。作中ではガハマさんくらいですよね、コンスタントにツッコミに「!?」を入れる子って。
ガハマさん編は次もギャグチックになります。可愛かったりエロかったりするシーンは気紛れで混ぜるかもです。なんせ小町が居るので、いくらでもやりようが。ふふふ。この作品のリベロです、世界の妹・小町。

ご感想、超ありがとうございます。引き続きお待ちしております。調ありがとうございます(2回目)。

ふと目次を見て思っていたのですが、今で言うとゆきのん編を更新すると、ほぼほぼ目次全体の真ん中辺りになるんですよね。その後の話が多すぎて。ちなみに今日で120話ということに気付いて戦慄しました。
なので、もうちょいしたら若干エピソードごとに順番の整理をしたいと思います。
具体的に言うと、連載中の話を下に持っていって、平塚先生の本編とAfterをきちんとくっつけたり等しようと思っています。
何か他に分かりやすいやり方がありましたら、教えて頂けると嬉しいです(^^)!

今日も仕事は汗だくでした。冷房の効きが弱い……。
今は昨日よりはまだ涼しいので、なんとか。うん、多分、何とか。
おでこに冷えピタ張ってます。

平日の折り返しですね。ダルいかとは思いますが頑張りましょう!

それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!
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